── Kindleはそれよりは稼げると?
Kindleの印税率って70%なんだよね。Kindleだと1000円で売る予定なので、一冊売れるごとに700円。650冊売れれば講談社から紙で出すのとほぼ同じになるわけで。流石に650冊は売れるんじゃないかなあ、と。そう信じたい。
── でもコンドームごはんが350冊だったんすよね。それを上回れると?
俺はKindleに全く高望みしてないんだよね!
長期的スパンで考えてて、10年で1000冊売るのを目標にしてるんだ。それが『コンドームごはん』の経験を経ての結論だね。
書店に書籍がどのくらいの期間並ぶのか分からないけど、多分、いいとこ半年くらいじゃん。それ過ぎたあとはKindleとかでしか入手できなくなっちゃうわけで、書店に並ぶ宣伝アドバンテージ消えちゃうんだよね。で、講談社経由だとKindleの印税率がおそらく実質10%くらいなので、すごく長期的に考えるとすれば、自分でKindle出して70%もらった方がいいっちゃいいんだよ。
── どうやって1000冊売っていくんですか?
Kindleは宣伝力の限界が本当にネックだよね・・・。
読者に「新作が出たぞ」という情報をそもそも届けられないんだよな。ブログ、ツイッター、フェイスブック・・・。手軽にできる宣伝手段は当然全部やるとしても、まだ足りない。漫画版のダンゲロスは20万部売れてるから、そこの読者層に情報が届けば1000冊行けると思うんだけれど・・・。一番イイのは、どこかの漫画雑誌が『ダンゲロス1969』をコミカライズしてくれることなんだけどね。ただ、俺もこれから先の仕事で名前が売れていけば、そこから過去の作品に流れていく読者も増えるだろうし、全く勝算がないわけじゃない。
結局、紙と電子書籍はどっちがいいの?
── で、結局のところ、作家は紙とKindle、どっちで出すのがいいんですか?
紙で出した方がいいんじゃないの。
── あ、やっぱそうなるんですか。
この時代は、まだね・・・。ほら、今はまだ紙で本出してるとスゴイ感あるじゃん。「俺は紙でも出してるスゴイやつですぅー!」みたいな顔して、箔をつけて・・・Kindleやるとしてもそっからのがいいんじゃないかなあ。俺の場合は、今回は紙で出してもあんまり希望がないから、Kindleの方がまだ夢がある感じになってるけど、紙で出版社から出した方が売れるケースの方が多いと思うよ。俺にしたって10年計画でペイしていく腹だし。
── 10年後、Kindleがあるかどうか、不安ですね・・・。
それは実際ちょっと不安だよね。Kindleがこのまま電子書籍のデファクトスタンダードになるのかどうか。
それにKindleどうこうじゃなくて、「あー、電子書籍、そんなのあったなー」って、ベータビデオみたいなことになっちゃう可能性もある。
逆にAmazonが業界で一人勝ちしたら、著者の印税率が下がっていくのではないかという懸念もあるし・・・。まあ、賭けだよね。
まとめ:電子書籍は儲からないらしい
電子書籍は大きく儲かるわけじゃないけど、長期的に(10年〜20年のスパンで)見たら紙の本で出すよりも収入があるかもしれない、俺はそれに賭ける、という暗いんだか明るいんだかわからない、祈りのような結論になりました。架神さん、頑張って!
この記事がこれから電子書籍をやろうかな、という人の参考になれば幸いです。