「顧客も社員も未来永劫幸せにしたい」潰れないサービスはどん底の苦しみから生まれた | レバレジーズ

「顧客も社員も未来永劫幸せにしたい」潰れないサービスはどん底の苦しみから生まれた | レバレジーズ

小田直美

小田直美

「Eプランぐらいまで用意して」事業を複数組んでリスクヘッジするべきだと思った

創業時はIT業界のみだったレバレジーズの人材事業は、医療業界にも領域を広げ、さらにこれらのマーケティングを兼ねた自社メディアも運営しています。ここまで多様な事業展開をするようになった要因について「特定分野のサービス提供のみを行うデメリットを感じた」と話す岩槻氏。

岩槻
1つの業態が経済指標に連動して、下がったり上がったりするのは不安定極まりないと、リーマン・ショックを経験して痛感したんです。売上が順調に8億7000まで伸びてきたとき、バン!と来たんですよ。半年で40%も売り上げが下がった。あれはキツかったですね。

リスクヘッジするには、事業を複数組むのが最適だと考えました。その中でも市場の安定性が最も高くて、すでにもっているリソースに近い範囲で、すぐにできそうだったのが医療業界の人材事業だったんです。

しかし、リーマン・ショック後の不安定な状況の中で、新規事業を展開することに社内で反発の声は挙がらなかったのでしょうか。

岩槻
そこまでネガティブな感じはなかったかな。ただ、いろんな声は出ますよね。「どうせうまくいかないよ」とか「そんなのやるより、給料上げてよ」って言う人もいました。一方で「新規事業をやらないと、ベンチャーじゃない」と言う人もいましたし。

新規の投資にどれぐらい回すとか、既存の社員の給料も上げるのにどれぐらい使うとか、将来どこへ行きたいとか。そういったものを見据えたうえで、具体的にリソース配置しました。

こうしてレバレジーズは、医療業界に特化した人材コンサルティング事業をスタートさせます。しかし、リーマン・ショック後の雇用機会の縮小は深刻であり、人材業界は苦戦を強いられました。

岩槻
マーケティング力がハンパなく強くないと、医療業界の人材サービスはむずしいのが現実でしたね。同じころ、医療系の人材事業には大手さんも含めて、50社以上が参入してきましたし。

リーマン・ショックの影響を見据えた事業計画を立てていたので、うまく切り抜けられました。でも、当時はリーマン・ショックが経済へ与える影響力って、本当に未知数で。だから「こう下がったときは、このプランを実行する」っていう感じで、Eプランぐらいまで用意していたほどです。

「窮地に追い込まれなくても人は努力できる」誰かの役に立つことが私利私欲に繋がる

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レバレジーズの経営理念である“関係者全員の幸福追求”は、“人”と“仕事”がテーマの事業展開に通じています。さらに多くの幸福を実現するための、同社の成長戦略を伺いました。

岩槻
自社サービスを開発したり、クリニックのようなリアルな場をもったり、海外でビジネスチャンスを見つけたり。これからも、レバレジーズができることはいろいろあると思っています。

ビジネスに具体性があると、より共感を得やすいんですよ。「みんながハッピーだったら、事業形態は何でもいいんじゃない?」と言うと「なんでもいいのかよ」と言う人もいるので(笑)

そのため、岩槻氏は「ビジネスチャンスが広がれば、それだけ多くの人と関わる機会が増え、結果として関係者全員を幸せにできるのではないか」と考えます。

岩槻
人の感情に貢献したいって気持ちがベースにあれば、サービスの形は問わないじゃないですか。自ら可能性を狭めるのはナンセンスで、むしろ限定すればするほど、会社としての安定性は失われていくんです。

多角的な事業を展開するがゆえに、自分の会社のアイデンティティが変わっていくような抵抗を覚える方もいるのではないでしょうか。そのことについて尋ねると、岩槻氏は会社の存続を担う経営者ならではの考えを示します。

岩槻
1つの会社に仕事の選択肢がいっぱいあるほうが、社員にとってもいいんじゃないかな。転職しなくてもチャレンジできる職種や事業がたくさんあって、自分の関心に応じて異動できたらおもしろいと思うんですよ。それに未来永劫、会社が続いていくために、息の長いビジネスモデルを組みたいです。

だから、人材も事業単位で採ったりしますね。美容系の事業だったら、やっぱり美容に興味がある人が来ます。1つの会社の中で選択肢があるので、きっと「自分のチャンスかも」と思えるかもしれない。

それに過去の経験から、窮地に追い込まれなくても人は努力できると学びました。だから、新卒も中途も求めることは同じです。信頼性、知性、情熱とか。ただ、その線切りのラインは違いますけど。

では、独自の理念で経営者の道を歩んできた岩槻氏自身は、何を目標にしているのでしょうか。

岩槻
必要とされる限りは、経営者をやっていきたいです。この会社に貢献したいと思ってはいますが、立場にはあまりこだわりがないんですよ。僕に私利私欲がないかというと、別にそうではなくて。こんな風に貢献したいって想いは、一種の自己満足じゃないですか。

マザー・テレサも一緒なんですよね。人の役に立っていることで、自分が「嬉しい」と感じるんです。その気持ちと、あまり変わらないかなと思っています。たぶん、誰かの役に立つことが私利私欲に繋がるんです。

最後に、レバレジーズの今後の展望をお伺いしました。

岩槻
コングロマリットを軸に、世界中でいろんな事業をやりたいです。それで、事業ごとに1位、2位をとっているような会社にしたいですね。

そこから得た収益で、新しいイノベーションにお金を使っていきたい。人の可能性を広げるところをいろいろやりたくて。例えば、再生医療とか。健康面とかは、身近な人の問題解決に即効で繋がっていくので。

※コングロマリット:複合企業。多種の業種・企業を統合してできた巨大企業集団のこと。

引用元:コングロマリット

自らの意思で働いて生活する、当たり前のような幸せがどれほどかけがえのないものか。その大切さを身をもって経験した岩槻氏だからこそ、時代によって移り変わる“人”と“仕事”の繋がりを供給しつづける会社が生まれました。

サービスの表情を変えながら拡大していくレバレジーズは、これからも関わる人を増やし、その数の分だけ幸せを増やしていくことでしょう。


furture_bnr

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「エンジニアに萌えるお姉さん」として年間3,000人が訪れるテック系イベントスペースを運営し、企業のファンづくりを務めた。2015年からフリーランス編集者。IT・Web系企業のPR・採用事情を取材している。

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