「顧客も社員も未来永劫幸せにしたい」潰れないサービスはどん底の苦しみから生まれた | レバレジーズ

おだんなおみ


「顧客も社員も未来永劫幸せにしたい」潰れないサービスはどん底の苦しみから生まれた | レバレジーズ

フリーエンジニア向け案件サイト『レバテック』と、看護師専門転職サイト『看護のお仕事』。全く異なる2つの職種を軸にサービスを運営している企業が、渋谷ヒカリエにオフィスを構えるレバレジーズ株式会社です。

人・メディア・技術・マーケティングなどの領域で、多角的な事業を展開する同社の創業者であり代表取締役の岩槻知秀氏は「未来永劫続くような会社づくり」に強い意欲を示します。今回は、その原体験となった出来事と、そこから派生した独自の経営理念、そしてレバレジーズの今後の展望についてお話を伺いました。

d4907f6fe9462b462891ed118edd1a72 人物紹介:岩槻 知秀氏
1980年生まれ / 大阪府和泉市出身。早稲田大学社会科学部入学後、大学1年時からIT企業にて経験を積む。携帯コンテンツ開発会社での2年半のインターン経験後、システム開発会社の設立から関わり、要職を担当後退社。大学卒業後、レバレジーズ株式会社を設立し、現在に至る。

▼成長企業の裏側とは?

「高価な脳波の測定器を借金して購入」給料の高い仕事がホストとプログラマーしかなかった

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大学を卒業したころにレバレジーズを創業した岩槻氏。起業に興味をもったきっかけとなるインターン先での体験を振り返ります。

岩槻

大学に入ってからいろんな起業家の本を読むようになって。「一度きりの人生なら、こういう生き方のほうがおもしろくなりそうだな」と思ったのが、起業に興味をもったきっかけです。

その後、有機野菜のネットスーパーを運営するベンチャー企業で、インターンをはじめました。当時はその会社が立ち上がったばかりのころだったので、メンバーも5、6人しかいなかったんです。

優秀なメンバーたちの考えに触発され、とある行動を起こした岩槻氏。しかし、その結果は意外な方向に進んでいきます。

岩槻
「何をしなきゃいけないのかな」と、考えたんです。結果、賢くないとダメだなと思って、食品が脳に与える影響の勉強をして。そしたらもっと知りたくなって、高価な脳波の測定器を借金して購入しました。その次には、スーパーハーレーのバイクを買うのに150万ぐらい借金して。

月に7、8万返済すれば大丈夫だろうと思って買ったんですけど、その矢先に父親が経営していた会社がおかしくなって。仕送りがどんどん減ってしまって。

借金返済と大学のお金を工面するため、すぐに給料が入る仕事を手当たり次第に探しはじめます。大学には籍を置いていましたが、睡眠をとる余裕もなく働いていたため、この時期はほとんど学校に通えなかったそうです。

岩槻
生活費を稼ぐために日雇い派遣のアルバイトをしました。ごみ収集、屋根の瓦をいじる仕事、ビルのアスベストの吹き付け、学校の掃除、いろいろやりましたね。

それでも次第に大学に通えない状況になって。せっかく入ったのに辞めるのは嫌だったから、給料の高い仕事をしようと探しました。そしたら、選択肢がホストとプログラマーしかなかったんです。

未経験でも高収入が期待できる仕事を前に、選択の余地はありませんでした。そして、当時のITバブルが後押しになり、無事にプログラマーの職に就きます。

岩槻
必死にプログラミングの勉強をして、モバイルコンテンツの開発会社に雇ってもらいました。同時に、小さなスタートアップ企業でも委託契約で働きはじめたんです。

結局、他の仕事を全部断って、そのスタートアップ企業だけで仕事をするようになりました。将来的には起業したかったですし、スタートアップの主要メンバーとしてやっていくのは、おもしろそうだなと思ったので。

夜中に会社まで人が怒鳴りこんで来て「そこではじめて、経営理念の存在意義を考えるようになった」

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しかし、システム開発を受託していた会社で待っていたのは、過酷な労働環境でした。

岩槻
もう、むちゃくちゃな企業だったんですよ。保険も契約書もない。日常的に罵声が飛び交っていて、新しい人が入っても、あっという間に辞めていって。

プロジェクトがうまくいかなくて、めちゃくちゃ荒れて。僕らが開発しているところに、怖い人たちが20人ぐらい来て「お前、どこ行くんや」って囲まれて(笑)コンビニすら行けませんでした。

このような体験を通して「物事に対して、動じることがなくなった」と話す岩槻氏。では、当時は一体何をエネルギーにして、前へ進んでいたのでしょうか。

岩槻
昔だったら強い奴はキツい環境に放り込まれて、競争して、切磋琢磨するから強くなれるって信じていました。そういう環境を呼び寄せるように、自ら逆境を望んでいたのかもしれません。

でも、わざわざ嫌な状況に追い込まれなくても、努力したり、志を高くもったりするのは並列できるんだと学びました。だから「これ以上、成長できない。ブレイクスルーできないかも」と不安に思うときはないですね。

そして、岩槻氏は会社の在り方、ひいては“経営理念の存在意義”を考えるようになります。

岩槻
世の中に悪い会社がいっぱいあることを実感しました。そこではじめて、経営理念の存在意義を考えるようになったんです。それまで「会社は、売り上げが上がっていればいいんでしょう?」くらいに思っていたので。

根本にはどんな想いがあるかって大事なことなんだと考えて。逆境にいたからこそ得た教訓でした。

お金や権力のためだけに存在する会社に「どんな存在意義があるのか」と問う岩槻氏。退職した会社での仕事は、事業の構想を考えるうえでの原体験となります。

岩槻
それまでの人生を振り返ると、自分はお金と仕事ですごく苦労してきました。だから、お金と仕事の問題を解消できるようなことをビジネスの床にしたいと思ったんです。課題の解決が対価になったり、人が集まるリレーがつくれたりするのがビジネスの意義。

お金と仕事の問題って何があるだろうと考えて、そうしたら人材と金融の2つが思い浮かんで。それで、システム開発とSESの事業で起業しました。

※SES:システムエンジニアリングサービスとは、システムやソフトウェアの開発・運用などで行われる委託契約の一種で、対象物の完成などを目的とせずに特定の業務への技術者の労働の提供を行う契約。

引用元:システムエンジニアリングサービス 【 SES 】 System Engineering Service

そして、身近な問題が自社のサービスで解消されていったことにより、岩槻氏は「ビジネスに手応えを感じられた」と話します。

岩槻
お金を払ってくれるということは、自分の価値を社会が買ってくれるってことです。じゃあ「社会に買ってもらいやすくて、貢献できる“価値”は何だろう」と考えたときに、自分のバックグラウンドである営業と開発に関係があるなと思って。そうすると、やっぱりIT人材事業がベストだった。

あとは、エンジニアをやっていた経験から、こういう案件やりたいだろうなとか、今の技術トレンドはこれだなとか、ユーザーと同じ目線で理解できたんです。知り合いでフリーランスになった人たちは、みんな収入がアップしていったので、これはやりがいがあるなと思いました。

「Eプランぐらいまで用意して」事業を複数組んでリスクヘッジするべきだと思った

創業時はIT業界のみだったレバレジーズの人材事業は、医療業界にも領域を広げ、さらにこれらのマーケティングを兼ねた自社メディアも運営しています。ここまで多様な事業展開をするようになった要因について「特定分野のサービス提供のみを行うデメリットを感じた」と話す岩槻氏。

岩槻
1つの業態が経済指標に連動して、下がったり上がったりするのは不安定極まりないと、リーマン・ショックを経験して痛感したんです。売上が順調に8億7000まで伸びてきたとき、バン!と来たんですよ。半年で40%も売り上げが下がった。あれはキツかったですね。

リスクヘッジするには、事業を複数組むのが最適だと考えました。その中でも市場の安定性が最も高くて、すでにもっているリソースに近い範囲で、すぐにできそうだったのが医療業界の人材事業だったんです。

しかし、リーマン・ショック後の不安定な状況の中で、新規事業を展開することに社内で反発の声は挙がらなかったのでしょうか。

岩槻
そこまでネガティブな感じはなかったかな。ただ、いろんな声は出ますよね。「どうせうまくいかないよ」とか「そんなのやるより、給料上げてよ」って言う人もいました。一方で「新規事業をやらないと、ベンチャーじゃない」と言う人もいましたし。

新規の投資にどれぐらい回すとか、既存の社員の給料も上げるのにどれぐらい使うとか、将来どこへ行きたいとか。そういったものを見据えたうえで、具体的にリソース配置しました。

こうしてレバレジーズは、医療業界に特化した人材コンサルティング事業をスタートさせます。しかし、リーマン・ショック後の雇用機会の縮小は深刻であり、人材業界は苦戦を強いられました。

岩槻
マーケティング力がハンパなく強くないと、医療業界の人材サービスはむずしいのが現実でしたね。同じころ、医療系の人材事業には大手さんも含めて、50社以上が参入してきましたし。

リーマン・ショックの影響を見据えた事業計画を立てていたので、うまく切り抜けられました。でも、当時はリーマン・ショックが経済へ与える影響力って、本当に未知数で。だから「こう下がったときは、このプランを実行する」っていう感じで、Eプランぐらいまで用意していたほどです。

「窮地に追い込まれなくても人は努力できる」誰かの役に立つことが私利私欲に繋がる

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レバレジーズの経営理念である“関係者全員の幸福追求”は、“人”と“仕事”がテーマの事業展開に通じています。さらに多くの幸福を実現するための、同社の成長戦略を伺いました。

岩槻
自社サービスを開発したり、クリニックのようなリアルな場をもったり、海外でビジネスチャンスを見つけたり。これからも、レバレジーズができることはいろいろあると思っています。

ビジネスに具体性があると、より共感を得やすいんですよ。「みんながハッピーだったら、事業形態は何でもいいんじゃない?」と言うと「なんでもいいのかよ」と言う人もいるので(笑)

そのため、岩槻氏は「ビジネスチャンスが広がれば、それだけ多くの人と関わる機会が増え、結果として関係者全員を幸せにできるのではないか」と考えます。

岩槻
人の感情に貢献したいって気持ちがベースにあれば、サービスの形は問わないじゃないですか。自ら可能性を狭めるのはナンセンスで、むしろ限定すればするほど、会社としての安定性は失われていくんです。

多角的な事業を展開するがゆえに、自分の会社のアイデンティティが変わっていくような抵抗を覚える方もいるのではないでしょうか。そのことについて尋ねると、岩槻氏は会社の存続を担う経営者ならではの考えを示します。

岩槻
1つの会社に仕事の選択肢がいっぱいあるほうが、社員にとってもいいんじゃないかな。転職しなくてもチャレンジできる職種や事業がたくさんあって、自分の関心に応じて異動できたらおもしろいと思うんですよ。それに未来永劫、会社が続いていくために、息の長いビジネスモデルを組みたいです。

だから、人材も事業単位で採ったりしますね。美容系の事業だったら、やっぱり美容に興味がある人が来ます。1つの会社の中で選択肢があるので、きっと「自分のチャンスかも」と思えるかもしれない。

それに過去の経験から、窮地に追い込まれなくても人は努力できると学びました。だから、新卒も中途も求めることは同じです。信頼性、知性、情熱とか。ただ、その線切りのラインは違いますけど。

では、独自の理念で経営者の道を歩んできた岩槻氏自身は、何を目標にしているのでしょうか。

岩槻
必要とされる限りは、経営者をやっていきたいです。この会社に貢献したいと思ってはいますが、立場にはあまりこだわりがないんですよ。僕に私利私欲がないかというと、別にそうではなくて。こんな風に貢献したいって想いは、一種の自己満足じゃないですか。

マザー・テレサも一緒なんですよね。人の役に立っていることで、自分が「嬉しい」と感じるんです。その気持ちと、あまり変わらないかなと思っています。たぶん、誰かの役に立つことが私利私欲に繋がるんです。

最後に、レバレジーズの今後の展望をお伺いしました。

岩槻
コングロマリットを軸に、世界中でいろんな事業をやりたいです。それで、事業ごとに1位、2位をとっているような会社にしたいですね。

そこから得た収益で、新しいイノベーションにお金を使っていきたい。人の可能性を広げるところをいろいろやりたくて。例えば、再生医療とか。健康面とかは、身近な人の問題解決に即効で繋がっていくので。

※コングロマリット:複合企業。多種の業種・企業を統合してできた巨大企業集団のこと。

引用元:コングロマリット

自らの意思で働いて生活する、当たり前のような幸せがどれほどかけがえのないものか。その大切さを身をもって経験した岩槻氏だからこそ、時代によって移り変わる“人”と“仕事”の繋がりを供給しつづける会社が生まれました。

サービスの表情を変えながら拡大していくレバレジーズは、これからも関わる人を増やし、その数の分だけ幸せを増やしていくことでしょう。


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おだんなおみ
この記事を書いた人
おだんなおみ

外部ライター 東京

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