オフショア開発では、「どんなメンバーが担当してくれるのか」「どのようにコミュニケーションを取っていくのか」といった不安を抱かれる企業様も少なくありません。
そこでLIGでは、フィリピン拠点 CODY Web Development Inc.(以下、CODY)への現地視察プランをご用意し、プロジェクトを共につくるパートナーとしての理解を深めていただく機会を大切にしています。
今回は、新プロジェクトの本格始動に合わせて、株式会社ヤマハコーポレートサービス様がCODYへ再びお越しくださいました。
長年のパートナーとして節目ごとにCODYを訪れてくださる理由とは何か。そして今回の4日間で、チームとしてどのような理解と絆が生まれたのか。
現地での取り組みの様子と、株式会社ヤマハコーポレートサービス ICT事業部 寺井様への特別インタビューを交えてお伝えします。
目次
現地で進んだチーム理解と技術理解の4日間
今回のCODY訪問では、チームとしての相互理解を深めながら、プロジェクト立ち上げに必要な技術知識のキャッチアップを集中的に行いました。
ここからは、4日間にわたる現地での取り組みを、日ごとに振り返ってご紹介します。
Day 1:顔合わせ・プロジェクト概要共有

初日は午後からCODYオフィスへご来社いただき、1週間の目的や進め方を全員で共有しました。
- メンバー同士の自己紹介
- 今回のプロジェクトの背景と役割の確認
- 基礎理解のためのレクチャー
- 簡単なハンズオンを通じた仕組みの把握
チームとしての土台づくりと関係構築にしっかり時間を割いた1日となりました。
Day 2:技術理解(構成・ルールなど)

2日目は、異なる種類のサイト構成について理解を深める1日でした。
- 複数タイプのページがどのように構成されているかを整理
- 実際の操作を通じて構成要素の流れを確認
- 担当者への質疑応答で背景や注意点を理解
前日に学んだ基礎内容をさらに深め、理解が着実に広がった1日でした。

業務終了後の食事では、プロジェクト以外の話題も交えながら自然なコミュニケーションが生まれ、チームの距離もより縮まりました。
Day 3:技術理解(実践 & 深掘り)・チーム理解

3日目は、実践的な内容が詰まった充実の1日。
- 学んだ内容をもとにサイトの一部を構築する演習
- 構築後の動作確認を実施
- プロジェクト定例会に参加し、意思決定の流れや関係者の役割を把握
- ランチを共にし、リラックスした雰囲気で交流
- メンバーとの1on1でスキル・興味領域をヒアリング

「理解 → 実践 → 振り返り」を短いサイクルで回すことで、学びが一気に定着した1日でした。
Day 4:運用理解 & 仕上げ
最終日は、運用の流れを理解しながら4日間の総復習を行う日となりました。
- 日々の運用で必要となるチェック項目や進め方を共有
- 構築演習を実施し、4日間の総まとめ
- 最後に全員で振り返りを行い、翌週以降の進め方を確認
現地でのコミュニケーションを通じて、技術面・チーム面の両軸で理解が深まり、今回の訪問がたしかな成果につながったと実感できる締めくくりとなりました。
特別インタビュー:ヤマハコーポレートサービス 寺井様
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株式会社ヤマハコーポレートサービス ICT事業部 寺井様コーポレートIT / Webインフラ運用基盤エンジニア。データセンタのサーバ保守運用をはじめ、ServiceNowやSalesforceの開発・保守、Webアプリケーション開発ディレクションまで幅広く経験。現在は全社Webインフラ基盤の保守運用を担い、基盤改善・安定運用に加え、業務効率化やユーザー体験の向上を推進し、サービス価値の最大化に取り組む。 |
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――まず、今回CODYへの訪問をご決定いただいた理由について、改めてお聞かせいただけますか。
寺井:最初にCODYさんとご一緒した、ヤマハホールの予約システムをミドルウェアバージョンアップしたプロジェクトでも、立ち上げ時に現地を訪問しました。短期間でも密にコミュニケーションを取れたことで、非常に良いスタートが切れたことを覚えています。
今回も同じように、新しいプロジェクトをスムーズに立ち上げるため、早い段階で訪問することを選びました。
――今回も現地でご一緒できて、私たちとしてもとても心強い時間でした。実際にCODYメンバーと対面いただいて、前回からの変化を感じた部分はありましたか?
寺井:はい。Keeferさんは前回のプロジェクトから引き続き関わってくれているメンバーですが、相変わらず学習意欲が高く、新しい技術にも積極的に向き合っている姿が印象的でした。
一方、今回新しく担当に加わったStevenさんはインフラ領域に強みがあり、全体構成や変更管理を意識したアプローチができる方です。
アプリ寄りのKeeferさんとインフラ寄りのStevenさん、それぞれの得意分野がうまく補完し合い、チームとしての幅が広がっていると感じました。
――メンバーそれぞれの強みをよく把握されていると感じましたが、そうした点は今回の訪問や1on1のなかで把握された部分もあるのでしょうか?
▲ヤマハコーポレートサービス ICT事業部 寺井様
寺井:はい、今回の訪問や1on1の対話を通して、オンラインでは掴みきれない「興味の向き」や「どこで力を発揮したいのか」が伝わってきました。
対面で話すと、言葉だけでなく反応や雰囲気から、仕事に対するスタンスやモチベーションの方向性が見えてきます。
そのなかでも、Keeferさんは脆弱性監視やTerraformを用いたインフラ構築など、これまであまり踏み込んでこなかった領域にも意欲的に挑戦しようとしている姿が印象的でした。
一方で、Stevenさんはパイプライン処理やスクリプトによる自動化といった、業務改善・効率化につながる領域に強い関心を示しており、チーム全体の生産性向上に寄与してくれる可能性を感じました。
こうした「興味の源泉のような部分」を直接感じ取れたことは、今後どの領域を任せるかを考える際の大きなヒントになりました。
――強みを活かした役割分担をされているという点、その背景についてお聞かせいただけますか。
寺井:私自身、得意とはいえない領域を突発的に任されてモチベーションが下がる経験がありました。だからこそ、メンバーには自分が力を発揮しやすい領域で取り組んでほしいと思っています。
また、CODYさんを「外部ベンダー」ではなく「同じチームの一員」として捉えていることも大きいですね。これは弊社小山※からの言葉でもあり、今でも大切にしている価値観です。
※ヤマハコーポレートサービスICT事業部グループIT推進部 部長。オフショアプロジェクト推進を担当しており、前回インタビューにもご出演いただいた。
▲LIG Global事業部 永井
――「同じチームの一員」として捉えていただけるのは本当にありがたいです。今回の訪問のなかで、特に印象に残った場面はありますか?
寺井:方喰さん(※CODY所属の日本人テクニカルディレクター)から、AWSの新しいアーキテクチャやEFSの課題について、現場目線で共有していただいたことです。私はSaaSの利用経験が長く、AWSの最新構成にはあまり触れてこなかったため、とても勉強になりました。
CODYさんの新しい知見が今回のプロジェクトに加わることで、改善の幅が広がると感じました。
――技術面での考え方や知見を交換できたことは、CODYとしても大きな学びになりました。CODYに対して信頼いただいている点があれば、教えていただけますか。
寺井:「積極的に提案してくれること」です。セキュリティや構成面で「どうすればより良くできるか」を常に考えて動いてくださる点は、本当に心強いです。
――ありがとうございます。今後の期待や改善点などはありますか?
寺井:まずは現行環境をしっかり理解しながら、サービス品質を維持していってほしいというのが直近の期待です。
そして長期的には、オフショアを導入した目的である「体制強化」をより進めていくためにも、サービス価値向上につながる改善提案をこれからも期待しています。
CODYメンバーのコメント

今回の寺井様の訪問を通じて、プロジェクトの理解だけでなく、チームとしての信頼関係も大きく深まりました。
ここからは、参加したCODYメンバーたちに、寺井様の訪問をどう感じたのか、率直な声を紹介します。
方喰(テクニカルディレクター)
今回の訪問に向けて、事前にプロジェクト資料を読み込み、関連する過去プロジェクトとのつながりも整理したうえで参加しました。
そのおかげで、当日は本質的なポイントに集中した議論ができ、非常に有意義な時間になったと感じています。
特に印象的だったのは、寺井さんがメンバーそれぞれの特性をしっかり把握されていたことです。CODY側でもエンジニアの得意分野を踏まえてアサインを行いましたが、その意図を理解して前向きなフィードバックをいただけたことは、チームとして大きな自信につながりました。
また、メンバーが少しずつ打ち解けていき、自然と質問や提案が増えていったのも良い雰囲気づくりにつながったと感じています。今回得られた「やり取りのテンポ」や「連携の感覚」は、今後のプロジェクト進行に確実に活かせると思っています。
Keefer(エンジニア)

寺井さんが現地に来てくださったことで、対面ならではの「その場で疑問を解消できるスピード感」を強く実感しました。
オンラインだとどうしてもタイムラグが発生しますが、今回のセッションでは理解がどんどん深まり、立ち上がりに必要な情報が一気に整理されたと感じています。
また、ヤマハ全体のインフラ構成を踏まえながら、丁寧に説明してくださった点がとても印象的でした。
資料も非常にわかりやすく、プロジェクトを進めるうえで長期的に頼れる内容になっていました。
Steven(エンジニア)

今回の寺井さんの訪問では、プロジェクトを進めるために必要な情報がその場で整い、作業フローがとても明確になりました。
詳細なマニュアル、プロセス手順、AWSやTeamsといった各種アクセスの整理を同時に進めていただけたおかげで、「まずどこを確認すべきか」がすぐに理解できるようになりました。
また、共有いただいたドキュメントが非常に充実しており、長期的に参照できる「知識の基盤」が一気に整備されたと感じています。
LIGが大切にしていること:「会う」という選択

LIGでは、オフショア開発パートナーの皆さまにCODYへお越しいただく機会を大切にしています。
- メンバーの雰囲気や働く環境を肌で感じてもらう
- オンラインでは難しい深いコミュニケーションを図る
- 文化や前提のズレを早い段階で解消する
オフショア開発において、「リアルで会う」ことはコミュニケーション投資だと考えています。距離を越えて同じ方向を向くための、大切な文化です。
ヤマハコーポレートサービス様との取り組みは、「発注先と発注元」を超えた、一つのチームとしての関係へと進化しています。距離を越え、共に成長し、より良いサービスづくりを目指していく——その姿勢をこれからも大切にしていきます。
セブ現地視察に興味がある企業様は、お気軽にお問い合わせください。