クリエイター特化の転職エージェント「LIGエージェント」の山口です!
日々クリエイターの方から相談をいただく中で、特に未経験の方から「ポートフォリオに載せる作品がない」というお悩みをよくお聞きします。
結論からお伝えすると、作品数が少なくても、採用担当者に評価されるポートフォリオは作れます。実際に、私が支援した方の中にも、ゼロからポートフォリオを作り始めて、制作会社への転職を成功させた未経験者もいらっしゃいます。
今回は数多くの採用担当者とやり取りしてきた転職エージェントの視点で、未経験者が作品不足を乗り越えて内定を勝ち取るためのポートフォリオ戦略を解説します。
目次
採用担当者はポートフォリオの「どこ」を見ているのか
具体的な戦略紹介の前にまず知っておくべきなのは、採用担当者がポートフォリオで実際に何を評価しているかです。ここを理解せずに作品を増やしても、的外れな努力になってしまいます。
作品数よりも「思考プロセス」が重要
多くの未経験者が誤解していますが、重要なのは作品の「数」ではなく、「質」と「思考プロセス」です。
「キレイなデザインが作れる」ことよりも、「なぜそのデザインにしたのか」を論理的に説明できることのほうが評価されるのです。
採用担当者が見たい情報とは
採用担当者がポートフォリオで確認したい情報は以下の通りです。
| 見たい情報 | 理由 |
|---|---|
| 作品のビジュアル | デザインの基礎力を瞬時に判断できる |
| 制作の目的・課題 | 課題解決能力を評価したい |
| 担当範囲 | どこまで自分でやったのかを知りたい |
| 使用ツール・技術 | 即戦力性を判断したい |
| 成果・効果 | ビジネス貢献度を評価したい |
これらすべてがポートフォリオ内にきちんと載っていて、ご自身でも論理立てて説明できるかが重要です。
チームで制作した場合、自分はどこからどの部分を担当したのか、どんな背景がありなぜそのアウトプットにしたのか……。デザインのプロセスや背景を明確に説明できるようになることが重要だと、ぜひ覚えていただければと思います。
「同じようなデザイン10件」より「意図が伝わる2件」
以前インタビューさせていただいたレバテックキャリアの青木さんは、ポートフォリオの作品数についてこう語っています。
数ではないと思います。同じようなデザインフォーマット10件よりも、ちゃんと意図が伝わる1〜2件のほうが良い、という話はよく聞きますね。
引用元:【デザイナー転職】採用されるポートフォリオとは?プロが徹底討論!
作品数を増やすことに焦るあまり、似たようなテイストの作品ばかり並べてしまうと、「デザインの幅がない」「考えて作っていない」という印象を与えかねません。
無理に作品数を増やすことに固執せず、デザインの考え方を磨くことに集中するのも有効な手です。
【作成前に必読】評価されるポートフォリオの構成
こちらも重要なので、ポートフォリオ作成を始める前に必ず確認してください。具体的にどういった部分に気をつけてポートフォリオを構成すればよいのか解説していきます。
構成で意識すべき3つのポイント
私自身も多くの採用担当者の方とお話をしてきましたが、評価されるポートフォリオの特徴は以下の3つに集約できます。
| ポイント | 具体的な内容 |
|---|---|
| ①伝えたいことが明確か | アウトプットの理由が端的に伝えられており、納得感がある |
| ②重要情報→詳細の順になっているか | サービス内容、担当範囲、使用ツールを先に。詳細プロセスは後から |
| ③見る人にとって分かりやすい構成か | 忙しい採用担当者も「ひと目で」わかる構成で、要点が掴みやすい |
抜けがちな視点ですが、ポートフォリオ自体もひとつの作品と捉えると、上記のようなポイントを自然に意識できるはずです。採用担当者の方が見たときにどう思ってほしいか、どんなポートフォリオだと見やすいと思ってもらえるかを意識しつつ、デザインを考えてみてください。
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作品詳細ページに必ず書くべき項目
特に作品数が少ない方は、1作品あたりの情報量を充実させることが重要です。たとえば以下のような項目が考えられます。
- 必須項目
-
- プロジェクト概要:どんな案件か一言で
- 課題・目的:何を解決しようとしたか
- 担当範囲:自分が担当した部分を明確に
- 使用ツール:Figma、Photoshop、HTML/CSS など
- 制作期間:どのくらいの時間をかけたか
- アプローチ・工夫:なぜこのデザインにしたか、AIの使用箇所など
- 成果・効果:数値で示せる場合は必ず記載
- 💡あると差がつく項目
-
- 制作プロセス:ワイヤーフレーム、デザインカンプの変遷
- クライアントの声:実案件の場合
- 反省点・改善点:自己分析能力をアピール
作品数が少ない未経験者向け!ポートフォリオづくりの戦略4選
採用担当者の視点を理解した上で、具体的にどう作品を作ればいいのか。作品数の少ない未経験者の方向けのポートフォリオづくりの戦略を4つご紹介します。
①知人・友人のサイトやバナーを制作する
まずは身近な人に協力してもらい、サイトやバナーを制作できないか考えてみてください。
未経験の場合は架空のクライアントを想定して制作を行う場合もありますが、実在するサービスや企業・お店に納品する作品を制作する経験がとても重要です。
さらに架空案件では自分の都合でデザインを決められますが、知人の案件では「クライアントの要望に応える」という制約が生まれます。「私はこうしたいけど、クライアントの要望と違うかもしれない」「どうすれば納得してもらえるかな」というジレンマを乗り越える経験は、面接でも強力なアピール材料になります。
- 🤝制作を依頼できる身近な人の例
-
- 友人が経営するお店のWebサイトやチラシ
- 知人のSNS用バナーやアイコン
- 家族の名刺やショップカード
- 副業をしている友人のサービス紹介ページ
さらに、知人であれば案件完了後に感想やフィードバックをもらいやすいのもポイントです。「依頼して良かった点」「改善してほしかった点」を聞いておくと、次の制作に活かせるだけでなく、ポートフォリオに「クライアントの声」として掲載することもできます。
②デザインコンペに参加する
デザイン制作の協力をしてもらうのが難しい場合は、デザインコンペや公募に参加し、その作品をポートフォリオに活用する方法もあります。
- 👀参加できるコンペ・公募の例
-
- koubo(グラフィックデザインやWebサイトの公募あり)
- 地方自治体のポスター・ロゴ公募
- 企業主催のデザインコンテスト
- クラウドソーシングサイトのコンペ形式案件
コンペのメリットは、「与えられたお題に対してデザインで応える」という実務に近い経験ができることです。クライアントの要件を読み解き、制限のある中で最適なアウトプットを出す力は、実務でも求められるスキルです。
応募した作品もポートフォリオに掲載できます(もし採用された場合はクライアントに必ず確認しましょう)。採用されなかった作品でも、「なぜこのデザインにしたのか」「もし改善するならどこを変えるか」を説明できれば、十分にアピール材料になりますし、入賞や採用という結果が出れば、それ自体が大きな実績になります。
③スクール課題をブラッシュアップする
Webデザインスクールや独学で作った課題も、ブラッシュアップすれば十分にポートフォリオに載せられます。
- 💪ブラッシュアップのポイント
-
- 制作時からの成長を踏まえて改善点を見つける
- 制作意図やプロセスを改めて言語化する
- レスポンシブ対応やアクセシビリティを強化する
- 講師からもらったフィードバックを反映する
スクール課題をそのまま載せるのではなく、「ブラッシュアップした」という事実自体がアピールポイントになります。「制作当時はここが課題でしたが、その後〇〇を学び、△△に改善しました」という説明ができれば、成長意欲と自己改善能力を示すことができます。
また、弊社のデザイナーからも成長の度合いを示すために、学び始めと直近で同じ作品を作ってみるのもよいというアドバイスがありました
参考記事:【デザイナー転職】採用されるポートフォリオとは?プロが徹底討論!
複数の課題がある場合は、無理にすべてを載せるのではなく自信のある2〜3作品に絞り、それぞれの情報量を充実させるのも効果的です。
④クラウドソーシングで小さな実績を積む
ここまで紹介した方法が難しい場合は、クラウドソーシングを活用して案件を獲得する方法もあります。
最初はバナー制作やSNS用画像など、少額の案件から始めましょう。単価は低くても、要件のヒアリング、デザイン案の提案、修正対応、納品といった一連の流れを経験できることはとても価値が高いです。
ただし、クラウドソーシングで案件を獲得するためにも、ポートフォリオの作り込みが大切になります。載せる作品数が少ない場合は、これまでに紹介した方法で制作を進めてみてください。
また、案件完了後にクライアントからレビューをもらえれば、それ自体がポートフォリオでアピールできる材料になります。契約内容によっては納品時に著作権がクライアントに帰属するため、ポートフォリオへの掲載許可は必ず事前に取りましょう。
未経験者が陥りがちな「NG」パターン
採用担当者と日々やり取りする中で、「これはマイナス評価になってしまうな」と感じるポートフォリオのパターンがあります。作品を作る前に、まずはNGパターンを避けることが重要です。
架空案件の課題が不明瞭
未経験者がよくやってしまうのが、課題やペルソナを設定せず、とりあえず架空サイトを作成してしまうことです。
架空サイトを作ること自体は問題ないのですが、どのような課題を解決するためのサイトなのかを詰めきれていないと、厳しい評価を受けることがあります。そうならないためにも、以下のようなポイントを押さえて制作してください。
- 👀架空案件で見られるポイント
-
- クライアントの課題やサイトの目的をちゃんと説明できるか:デザインの意図を論理的に説明する必要あり
- 目的や意図が「自分の都合」になっていないか:自分の得意な業種業態の作品ばかりだと、課題解決能力を正しく評価しづらい
- 志望度の高い会社と制作物にギャップがないか:制作会社はtoB案件(コーポレートサイト、サービスサイト)が多く、カフェや美容室などtoC案件とはミスマッチが起きる可能性あり
「担当範囲」を曖昧にしない
チームで制作した作品や、スクールの課題を載せる場合、自分が担当した範囲を明確にしないのは大きなマイナスです。
- デザインは自分、コーディングは別の人
- ワイヤーフレームから担当したのか、デザインカンプからなのか
- 素材(写真・イラスト)は自作か、フリー素材か
これらが曖昧だと、「本当にこの人のスキルなのか」と疑問を持たれてしまいます。何をどこまで手掛けたのか、役割は明確にしておきましょう。
ポートフォリオ以外で差がつく3つのポイント
未経験者の採用はポートフォリオの作品だけで決まるわけではありません。採用担当者が見ている3つの重要なポイントとして、行動力、人柄、志望度があります。
【行動力】どんな活動をしてきたかポートフォリオから伝わる
未経験でも採用される人の共通点として、多くの担当者が口を揃えて言うのが「行動力」です。
以前レバテック株式会社のお二人とLIGのデザイナーが対談した記事でも、「Webデザイナーを目指してどんな活動をしてきたのか」が見えるポートフォリオが、未経験者の評価を左右するという話がありました。
自らクライアントを見つけて最後まで完遂できるような「行動力」が見えるポートフォリオがいいです。
短い時間でどれだけ勉強してきたかの「行動量」を示せるといいと思います。
行動力を示すためには、やはり自分で案件を獲得してクライアントワークを経験することがおすすめです。知人・友人のサイトやバナーを制作する、クラウドソーシングを活用するなど、主体的に動くことが大切です。
【人柄】スキルよりも「カルチャーフィット」を重視する企業が多い
未経験者のデザイナーはポテンシャルを見られることがとても多いです。教育コストがかかる未経験者だからこそ、長期就業できるかどうかは企業にとって重要なポイントです。
そこで大切になるのが、スキル面よりも自社のカルチャーにマッチしているかという視点です。この先デザインを勉強し続けられそうか、やりたいことが実現できるか……。このように中長期的なビジョンや人柄も含めて、採用担当者は評価を行います。
【志望度】なぜその会社なのかを語れる
志望度の高さは面接での話や履歴書の志望理由欄だけではなく、ポートフォリオの構成や作品の選び方でも伝えられます。
- 志望企業のテイストに近い作品を冒頭に配置しているか
- 志望企業の事業内容を理解した上で、関連性のある作品を作っているか
- 上記のようなポイントが分かりやすく伝わる構成になっているか
「どこでもいい」ではなく「御社だからこそ」という姿勢を、ポートフォリオでも示してみてください。
よくある質問
作品は何個あれば十分ですか?
明確な数の基準はありません。大切なのは数ではなく、一つひとつの作品で「なぜそのデザインにしたのか」を説明できることです。3作品でも、それぞれの制作意図やプロセスを詳しく説明できれば十分評価されます。逆に10作品あっても、説明がなければ「量産しただけ」と思われてしまいます。ただ、もし制作会社を目指す場合は、制作物のジャンルの幅をアピールするために6作品くらいを目安にしてみましょう。「こういう案件のデザインを任せるとこの人ならこういうアウトプットができるのか」と、採用担当者がポテンシャルを見極められます。ターゲットや商材を複数提示すると、入社後の活躍イメージを沸かせることができます。
ノーコードツールで作ったポートフォリオでも大丈夫ですか?
職種と志望企業によります。Webデザイナー志望で、デザイン力をアピールしたい場合は、ノーコードでも問題なし。コーディングもできることをアピールしたい場合は、自作したほうが有利。UI/UXデザイナー志望の場合は、情報設計能力を示すため、自作が望ましいなど。時間がない場合は、無理にコーディングせず、作品のクオリティに集中するほうが良いでしょう。
模写した作品を載せてもいいですか?
模写(トレース)はあくまでトレーニングの一環です。たとえばボディビルの大会で、ステージ上で筋トレをする人はいないですよね。デザイナーも同じで、模写などのトレーニングを基に、デザイン力がどれだけ研磨されたのかを作品で証明するのがポートフォリオです。どうしても載せたい模写があれば、制作プロセスのひとつとして模写によって得られた気づきを記す程度であればやや有効ですが、作品としての掲載は評価には値しないと認識しましょう。
PDFとWebサイト、どちらがいいですか?
ポートフォリオサイト自体も作品のひとつとして掲載できるので、「掲載できる作品数が少ない」「コーディングスキルも評価してほしい」という方はWebサイトで作りましょう。ただし、サイトの設計や使いやすさもチェックされる点に注意。使いづらいサイトはかえってマイナス評価になることもあります。一方で、PDFのポートフォリオの場合は自己紹介や作品をプレゼンテーションする形式になるので、採用担当者に最初から最後まで見てもらえる可能性が高いというメリットがあります。「ポータブルスキルや制作プロセスを抜かりなく見て欲しい」という方はPDFで作りましょう。ただし、プレゼンテーションの導線が甘く、読み手を惹きつける力がないと、途中で離脱されるリスクもあるので構成力が試されます。
まとめ
作品が少なくても、採用担当者が何を見ているかを理解し、それに応えるポートフォリオを作れば、内定は十分に勝ち取れます。「作品がない」と悩んで立ち止まるのではなく、採用担当者の視点に立ちながら、作品づくりを始めてみてください。
LIGエージェントでは、クリエイター専門の転職支援を行っています。ポートフォリオの添削や、採用担当者に刺さるアピール方法のアドバイスも可能です。転職活動でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください!
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