こんにちは、人材紹介サービス「ReNew by LIG Agent」の大澤です。
企業が優秀な人材を確保するために利用する人材紹介サービス。しかし、「手数料が高い」「料金体系が複雑でわかりにくい」と感じる採用担当者や経営者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、人材紹介の手数料の仕組みや費用相場、適切な人材紹介会社の選び方について詳しく解説します。
目次
人材紹介における手数料の仕組み
人材紹介における手数料は、大きく分けて2パターンあります。
- 成功報酬型:初期費用はなく、候補者が入社したタイミングで手数料が発生する。
- サーチ型(リテーナー型):候補者を探す段階から手数料が発生する。
人材紹介の手数料として一般的なのは「成功報酬型」です。初期費用となるイニシャルコストはなく、採用した求職者が入社をして初めてコストが発生します。
対して一部の人材紹介会社では、候補者探索時点で発生する「サーチ型(リテーナー型)」も存在します。
「成功報酬型」の手数料と相場
成功報酬型の手数料は、候補者の選定から選考の調整、内定出し後の労働条件の調整と内定承諾までの対応、入社日までのフォローといった企業の採用担当者が行う業務を委託するぶんの手数料となります。
採用者の理論年収※に対して一定の割合(手数料率)を乗じて算出されます。企業や職種により異なりますが、一般的に以下の範囲が相場とされています。
- 成功報酬型の手数料の相場:理論年収の25%〜35%
「サーチ型(リテーナー型)」の手数料と相場
サーチ型は、高度な専門人材や役職者の採用時に多く利用され、候補者探索の段階で手数料が発生します。採用手法でよく耳にする「スカウト」や「ヘッドハンティング」がサーチ型といえます。
一般的には、契約時・候補者のリスト提出時・採用決定時の3段階で支払われることが多いです。
- サーチ型の手数料の相場:理論年収の35%〜50%
理論年収とは
採用者の基本給、賞与、各種手当を含む年間の総支給額を指します。具体的には、基本給に加えて、業績賞与、インセンティブ、住宅手当、通勤手当などの固定・変動手当が含まれます。
見込み残業代を含む給与提示の場合は、残業代も込みで計算され、固定残業制度がある場合には、その金額も理論年収に含まれるとご認識ください。
企業によっては、ストックオプションや特別インセンティブなどが報酬に含まれる場合がありますが、これらが手数料の算出基準に含まれるかどうかは、契約内容によって異なります。そのため、契約前に報酬構造を確認することが重要です。
理論年収に含まれる | 理論年収に含まれない | 契約による |
---|---|---|
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手数料のモデルケースを紹介(理論年収別)
ここでは手数料のモデルケースをご紹介します。
一般的な手数料と未経験者採用、ハイレイヤー採用の手数料それぞれご参照ください。
※実務未経験者の年収は400万円まで、ハイレイヤーは800万円以上で算出しています。
理論年収 | 一般的手数料(35%) | 未経験者紹介の場合(25%) | ハイレイヤー紹介の場合(40%) |
---|---|---|---|
300万円 | 105万円 | 75万円 | – |
350万円 | 122.5万円 | 87.5万円 | – |
400万円 | 140万円 | 100万円 | – |
600万円 | 140万円 | – | – |
800万円 | 280万円 | – | 320万円 |
900万円 | 315万円 | – | 360万円 |
1,000万円 | 350万円 | – | 400万円 |
手数料は2種類の方法で算出
人材紹介会社の手数料についてもう少し深堀りしていきましょう。手数料には、主に以下の2つの計算方法があります。
- 届出制手数料による算出
- 上限制手数料による算出
基本的に方式そのものを企業が選ぶわけではなく、各紹介会社が事業運営上選択している料金体系となります。
企業ができることは、届出制を採用している紹介会社を使うか、上限制を採用している紹介会社を使うかを選ぶことです。複数の紹介会社と比較検討する際に、どちらの方式を採用しているかを確認することで、料率を比較することができます。
それぞれの算出方法について詳しく説明していきます。
算出方法①:届出制手数料による算出
届出制手数料は、人材紹介会社が独自に決めた料率を厚生労働省に届け出て、その料率に基づいて計算する方法です。通常、求人票や契約締結時に明示されるため、企業側は事前に費用を把握できます。
同じ年収帯の人材でも、紹介会社によって手数料が変わってくる可能性があるため、複数社の比較検討が重要になります。
算出方法②:上限制手数料による算出
上限制手数料は、厚生労働省が定める上限を超えない範囲で設定される料金体系です。求職者の年収に応じて手数料の上限(7.5%~11.0%)が決められる仕組みであり、企業にとって予測しやすいコスト体系となります。とくに、採用コストの透明性を重視する企業に適した方法といえます。
この方式のメリットは、過度な手数料設定を防ぎつつ、適正な範囲内で人材紹介サービスを利用できる点にあります。しかし、企業によっては、上限設定により希望する人材の紹介を受けにくくなるケースも考えられるため、求める人材のレベルや採用条件を慎重に検討する必要があります。
上限手数料を選ぶ人材紹介会社は少なく、ほとんどの人材紹介会社が届出制手数料を使っています。
職種やスキル、経験によって手数料率は異なる?
依頼をする人材紹介会社によりますが、先ほどお伝えした届出制手数料となる場合、職種によって人材紹介の手数料率が異なるケースがあります。
クリエイターやエンジニアといった専門職の中でも、採用がとくに難しい職種やハイレイヤー層(管理職)は手数料率が高めに設定されることがあります。
逆に、実務未経験者の場合は手数料を低く設定されている場合もあります。
適切なコストで人材紹介会社を選ぶポイント
ここまで人材紹介の手数料の仕組みについてお伝えしてきましたが、基本的には人材紹介会社ごとに異なる手数料を設定しているため、自社に最適なサービスを見極めることが重要です。
いくつかポイントをお伝えしますのでご確認ください。
自社に合った紹介手法か確認する
人材紹介サービスは、質を重視したマッチングが強みです。求める人物像を正確に理解し、それに合った候補者を厳選して紹介できるかどうかが成功の鍵となります。
企業の採用ニーズを丁寧にヒアリングし、効率的に最適な人材を紹介してくれる紹介会社を選ぶことで、採用工数の削減と高い費用対効果を実現できます。
理論年収をすり合わせる
人材紹介会社と事前に理論年収の定義を共有し、認識のずれをなくすことが重要です。1人あたりの採用費用が大きいぶん、手数料は慎重に確認しておきましょう。
各社の手数料実績を見る【2025年4月から公表】
厚生労働省の方針により、2025年4月から人材紹介会社の手数料実績が公表されるようになります。企業はこの情報を基に適正な料金でサービスを受けられるか判断することができます。
早期退職時に手数料返還されるか確認する
多くの人材紹介会社では、採用者が一定期間内に退職した場合、手数料の一部または全額が返還される制度があります。契約前に返還ポリシーを確認することが大切です。
一般的には3ヶ月以内の退職を対象としていますが、中には6ヶ月まで期間を延長している企業もあります。もちろんリスク回避のためにとなれば理解できますが、そのぶん紹介会社側が慎重になり紹介のハードルが上がる可能性もありますので、双方にとってバランスの取れた条件を検討されることをおすすめします。
人材紹介とその他サービスの比較
コスト比較
人材紹介 | 求人媒体 | 自社採用(自社サイト、リファラル、SNSスカウトなど) | |
---|---|---|---|
求人広告費 | 0円(成果報酬型) | 30万~100万円(媒体による) | 0~20万円(自社サイト運用やSNS広告など) |
人事・面接官の工数 | 10万~30万円(面接のみ) | 30万~80万円(応募者対応含む) | 50万~100万円(全プロセスを社内対応) |
候補者の質 | 高い(事前選考済みの厳選人材) | 中程度(応募者の質にばらつき) | 中~高(リファラルは質高いが、母数は少ない) |
採用後のミスマッチリスク | 低い(マッチ度の高い候補者を紹介) | 中程度(自己応募のため適性判断が難しい) | 中程度(社風理解は高いが、スキルマッチに課題も) |
採用までの期間 | 短~中(1~3ヶ月) | 中~長(1~6ヶ月) | 長期(3~6ヶ月以上) |
1名採用時の費用総額 | 150万~200万円(年収の30~35%) | 80万~150万円(広告費と工数の合計) | 50万~100万円(工数中心だが母数確保に苦労) |
メリット・デメリット比較
上記の表からそれぞれのメリットとデメリットをまとめてみました。
人材紹介のメリット
- 採用決定まで広告費が発生せず、成功報酬型のため失敗リスクが少ない
- 人事・面接官の工数が最小限(面接のみ)で済み、業務への影響が少ない
- 採用後のミスマッチリスクが低く、定着率が高い傾向にある
- 採用までの期間が比較的短く、1~3ヶ月程度で人材確保が可能
- 市場に出ていない優秀な潜在候補者とマッチングできる可能性が高い
人材紹介のデメリット
- 採用成功時の手数料が高額(年収の30~35%程度)となる
- 自社の採用ニーズや企業文化を担当者に正確に伝えないとミスマッチが生じる
- 人材紹介会社のネットワークや担当者の質により紹介される人材のレベルに差がある
求人媒体のメリット
- 一度の広告出稿で複数の採用ができる可能性がある
- 広い範囲に求人情報を発信でき、多くの応募を集められる可能性がある
- 人材紹介会社と比較して全体的なコストを抑えられる(80万~150万円程度)
- 応募者を自社で直接評価できるため、採用の判断基準を細かく設定できる
求人媒体のデメリット
- 初期費用として30万~100万円の広告費が発生する
- 応募者対応を含む社内工数が大きい(30万~80万円相当)
- 応募者の質にばらつきがあり、選考プロセスが非効率になりやすい
- 採用までの期間が中~長期(1~6ヶ月)となる可能性が高い
- 適性判断が難しく、採用後のミスマッチリスクが中程度ある
自社採用(自社サイト、リファラル、SNSスカウトなど)のメリット
- 求人広告費が最小限(0~20万円程度)で済む場合が多い
- 企業文化や求める人材像を直接的に伝えられる
- 採用プロセスを完全に自社でコントロールできる
- とくにリファラル採用では、社風に合った質の高い候補者を獲得できる可能性が高い
- 長期的に見れば採用ノウハウが社内に蓄積される
自社採用(自社サイト、リファラル、SNSスカウトなど)のデメリット
- 全プロセスを社内対応するため、工数がもっとも大きい(50万~100万円相当)
- 採用までの期間が長期化しやすい(3~6ヶ月以上)
- 応募母数の確保に苦労するケースが多い
- 社風理解は高くても、必要なスキルとのマッチングに課題が生じることがある
- 採用専門のノウハウがない場合、効果的な選考が難しい
まとめ
いかがでしたか? 人材紹介サービスを活用することへハードルを高く感じていた採用担当者の方には、人材紹介のメリットを感じていただけたのではないでしょうか。
もちろん人材紹介だからといって必ず成功するとは限りません。多少工数はかかりますが、人材紹介会社側と密に連携を取ることで、担当者も貴社の解像度が上がり、より企業に合った人材を紹介してもらえるようになります。担当者をしっかりとグリップしておくことも人材紹介を活用するポイントの一つです。ぜひ参考にしてみてください!
この記事をとおして、貴社に合ったパートナーが見つかりますように。採用活動の成功をお祈りしております!
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