こんにちは、転職エージェント「ReNew by LIG Agent」でクリエイターのキャリアデザインを担当している大澤です。
昨今デザイナー採用は完全なる売り手市場が続いており、採用できないというだけではなく、採用コストも高騰しているのが実情です。
弊社もデザイナー採用をしているからこそ理解できるこの実情から、この記事では、デザイナー採用の難しさの理由や、成功させるための具体的な手法やステップについて徹底解説します。
デザイナー採用が難しい3つの理由
弊社も受託型のWeb制作を行なっていることもあり、日頃からデザイナー採用をしていることから、デザイナー採用の難しさを実感しております。
デザイナーの採用市場として企業の規模や状況はさまざまだと思いますが、どこの企業からも耳にする主に3つの理由をまとめてみました。
競争激化による人材不足
デザイン需要が急速に拡大している一方で、優秀なデザイナーの数は限られています。IT企業や広告代理店だけでなく、他業界もデザイナーを必要としており、採用競争が激化しています。
レバテック株式会社が発表した「ITエンジニア・クリエイター 転職/フリーランス市場レポート(2023年12月)」では、現在即戦力デザイナーの有効求人倍率が7.4倍で、1名を7社で取り合っている採用市場になっているという現状です。
エージェントに頼らず、自身でリサーチして転職先を「指名」で選ぶ傾向もあり、エージェントにもクリエイターが少なく、希少価値が高いとも言われています。
採用コストの高騰
上記とおり人材不足という点から、大手の囲い込みが激化しデザイナーの希少価値が高まり、採用コストが高騰しています。
成功報酬型のエージェントを活用した際に、年収の50%を手数料と提示されたこともあるのではないでしょうか。
ポテンシャルの高い未経験者の採用にスイッチされている場合ですら、エージェントを活用すると採用手数料として年収の35%を出さなければ人材を確保が難しい実情もございます。
スキル・適性の見極めの難しさ
デザイナーの採用では、ポートフォリオの評価だけでなく、クライアントやチームとのコミュニケーション力や時間管理能力など、さまざまな要素を総合的に見極める必要があります。
とくに制作会社では、クライアントの要望を理解し、期待に応えられるデザイン力が必要不可欠です。しかし、面接や課題制作だけでは、実務での対応力を正確に把握することが難しく、採用後のミスマッチが起きるリスクがあります。
おすすめのデザイナー採用手法
苦しい採用市場の中でも多くの企業が工夫を凝らしながら採用をされていますので、いくつか手法をご紹介します。
デザイナー特化型エージェント
デザイナー採用に特化したエージェントを活用し、専門的な知見と豊富な求職者ネットワークを通じて採用活動を進める手法です。業界や職種に特化しているため、より正確な市場把握と候補者とのマッチングが期待できます。
給与相場やトレンド、候補者が重視するポイント(スキルアップの機会、柔軟な働き方など)について的確なアドバイスも得られるため、採用戦略自体を最適化できます。
また、専門性の知見を持ったエージェントが候補者の経歴確認やスキルチェックを事前に行っているため、ミスマッチ等の採用リスクを大幅に軽減可能です。
ちなみに、特化型のエージェントの中でも紹介の量で勝負をしている場合、大量に求職者を紹介されるケースもあります。
書類選考の時点でリソースが奪われてしまうこともあるため、求める人材像にマッチした人材をピンポイントに当てて紹介をしている中小規模のエージェントを選択すると、よりタイパ良く適性な求職者と出会える可能性も高まります。
- こんな企業におすすめ!
- 採用計画を早急に進めたい企業や、採用リソースが限られている企業に最適です。
ダイレクトリクルーティング
LinkedInなどのビジネス向けSNSや人材プラットフォームのスカウト機能を活用して、企業が直接候補者にアプローチする採用手法です。求める経験やスキルを持つ候補者に対して、個別にスカウトメッセージを送ることができます。
優秀な人材にリーチできる有用な方法ではありますが、スカウトを打つためには適性な人材の絞り込みや実際にスカウトを打つ手間は発生しますので、リソースの確保は重要です。
また、良いと思える人材はどの企業もスカウトを打っていると考えるのがセオリーです。
いかに注目をしてもらえるかを考え、スカウト時には企業としての売り文句や特質してアピールできるポイントをまとめて配信するようにしましょう。
- こんな企業におすすめ!
- 欲しい人材像が明確で、ピンポイントでアプローチしたい場合に有効です。
リファラル採用
社員の紹介による採用方法で、既存の従業員のネットワークを活用して新たな人材を見つける手法です。社員が自身の知人や元同僚などを推薦し、採用につなげていきます。
信頼があるからこそ、長期での就業も見込めるため非常に効果的な手法となります。
また、企業によっては紹介をしてくれた社員に対して対価で還元することもあります。ある意味、広告費やエージェントへの手数料よりも圧倒的にコストを抑えて採用できる可能性もあります。
- こんな企業におすすめ!
- 社内ネットワークを活用して信頼性の高い候補者を集めたい場合に向いています。
SNSの活用
XやInstagram、noteなどのソーシャルメディアを活用して、企業の魅力や文化、デザイナーの活躍を発信し、興味を持った求職者からの応募を促す採用手法です。
採用コストをかけずに採用を行うことができるメリットがある一方、誰でも応募ができてしまうこともあり、求める人材像とはかけ離れた求職者からの応募もあるかもしれませんので、情報発信内容を精査する必要はあるかと思います。
- こんな企業におすすめ!
- SNSを活用し、企業のPRを発信し求職者の応募まで運用ができる企業に適しています。
デザイン系イベントの活用
デザインカンファレンスやセミナーなどのイベントを通じて、実際のスキルや考え方に触れながら候補者と出会う採用手法です。オフラインでの直接的なコミュニケーションも可能です。
実際のスキル感を可視化することができるため、準備は大変ではありますが効果的な施策となり得るかと思います。
- こんな企業におすすめ!
- イベントでのネットワーキングや、受賞歴を持つデザイナーを採用ターゲットにしたい企業に最適です。
デザイナー採用の成功企業が実践する3つのポイント
ここまでの内容でさまざまな手法をお伝えしてきましたが、最終的に採用が成功するかどうかは何よりも「企業努力」が重要です。
企業規模や状況によりけりかと思いますが、リスクなくしてこの戦国時代的な採用市場の中で成功するとは正直難しい実情を認識する必要もあります。そこで、実践すべき3つのポイントをお伝えします。
デザイナーが共感する企業ブランディングを行う
企業のミッションやデザインに対する姿勢を明確に伝え、共感を得ることが重要です。
「この企業で働きたい」というマインドを求職者が持つことができれば、規模や条件に関係なく、ファーストステップとしての応募に繋げることができるはずです。
改めて、企業としての採用におけるブランディングを設計することをおすすめします。
ポテンシャル層の採用
即戦力だけでなく、潜在能力の高い若手デザイナーを採用することで、長期的な成功につなげられます。
たしかに教育にかかるコストに加え、育成後の早期離職リスクを考慮すると、未経験者採用に踏み切れない企業の事情も理解できます。しかし、採用が滞ると社内のリソース不足が深刻化し、既存社員の離職を招く負のスパイラルに陥りかねません。
どれだけ努力しても即戦力のデザイナーを採用できないのであれば、多少教育コストをかけてでも未経験からポテンシャルのある人材を確保していくフェーズにスイッチすべきです。
弊社のデザイナー育成スクールには月間100名近い方々が学びに来られており、多様な経験を持ち、マルチに活躍できる可能性を秘めた人材が数多く存在しています。実際に、育成を前提とした採用で成果を上げている企業も増えてきました。
デザインを重視する弊社でも未経験者採用を積極的に行っており、実践の場で活躍する人材が育っています。ポテンシャル人材の価値に気づいていない企業が多い今こそ、むしろチャンスだと捉える企業も出てきています。
選択肢のひとつとして、ポテンシャル人材にぜひ目を向けてみてください!
採用への投資について
採用コストについては慎重な判断が必要な難しい課題です。さきほどコストのかからないSNS等の手法も紹介しましたが、採用活動への適切な投資も重要な要素の一つといえます。
必ずしも多額の費用をかける必要はありませんが、採用活動にまったく投資をしない場合、求職者との接点が限られてしまう可能性があります。
戦略的な試行錯誤や準備、人的リソースの配分など、さまざまな形での投資が考えられます。現在の採用市場では、適切な投資が新たな出会いのチャンスを広げることにつながっているといえるでしょう。
各企業の状況に応じて、必要な投資のバランスを見極めることで、より効果的な採用活動が実現できるのではないでしょうか。
デザイナー採用成功へのロードマップ!4ステップで紹介
ここまでの内容を踏まえつつ、デザイナーを採用するまでのロードマップを簡単にご紹介します。
ステップ① 採用計画を立てる
必要なスキルや人物像を明確化し、計画的な採用プロセスを構築します。
人物像の明確化には人事や経営者だけで検討するのではなく、第一線で貢献している現場の管理者であるマネージャー等にも意見を仰いでみましょう。
ステップ② 候補者を集めるためのアクションを取る
ターゲット層に合わせた広報活動や採用手法を選定します。
とくに即戦力となる人材をしたい場合には、エージェントや媒体の特徴を把握し、必要であれば複数選択をすべきです。
ポテンシャルの高い未経験者人材を確保するためには、育成スクールと連携をした弊社のようなエージェントや媒体がおすすめです。担当者をしっかりとグリップすることで、解像度高く企業にマッチングした人材を紹介してもらえる可能性が高まります。
ステップ③ 選考プロセスを設計・実施する
ポートフォリオやスキルだけでなく、チーム適性も評価します。
スキルだけ尖ったものがあっても、やはり企業の文化や価値観、とくに一緒に働くチームのカラーと合っていなければ、早期離職にも繋がってしまいます。
選考の中でも現場社員を選考に絡ませ、必要であれば求めるスキル感の基準値設定や人柄も、面接の中で見てもらうことができると良いかと思います。
ステップ④ 内定・採用後の定着支援も
内定スピードを重視し、入社後のサポート体制を強化します。
「良い人がいたら採用したい」と考える企業であればあるほど選考プロセスが長い傾向にあります。せっかく見つけた良い人材を他企業へ逃してしまう恐れもあります。
内定承諾をもらえる可能性を高めるためにも、1回ごとの選考を充実させるなどして、できる限り選考ステップを短縮しましょう。
また、早期離職のリスクを回避するためにも、現場社員と協力して入社後のサポートも考えておく必要があります。
よくある質問
これまでの多くの企業からいただいた質問をいくつかご紹介します。
新卒採用と中途採用どちらをすべき?
新卒採用はフレッシュさだけでなく新たなトレンドに合わせたアイデアの獲得も見込めることもあり、組織の活性化につながります。
一方、中途採用は即戦力になるというのはもちろんのこと、これまでの経験を生かして社員の教育や組織としての発展、さらには事業内容の発展にも寄与する力を持っています。
どちらか片方に偏ってしまうと、何かしらの企業成長をストップさせてしまう恐れもあります。できればその時々の状況に応じて両方をバランスよく採用することをおすすめします。
フリーランスや副業デザイナーを採用するのはどうですか?
フリーランスや副業デザイナーの採用は、短期間のプロジェクトや特定のスキルセットが必要な場合に非常に有効です。
ただし、長期的な業務やチーム内での連携を重視する場合は、正社員としての採用を検討する必要があります。
契約形態に応じた管理や社内のコミュニケーション体制を整えることが求められるため、コスト等を総合的に勘案して選択すると良いかと思います。
採用に時間がかかりすぎています。どう改善すれば良いですか?
採用プロセスが長引くと、優秀な候補者を逃してしまうリスクがあります。
改善のポイントとしては以下が挙げられます。
- 明確な採用基準を設け、スクリーニングを効率化する
- スピーディーに進めるため選考プロセスを簡略化する(例: 一次面接と二次面接を統合)
- 採用活動をリソースに応じてアウトソースし、迅速な進行を目指す
リファラル採用を成功させるコツは?
リファラル採用を成功させるには、以下のポイントが重要です。
- 社員が気軽に候補者を紹介できるよう、インセンティブ制度を設ける
- 社員に、どのようなスキルや人物像が求められているかを明確に伝える
- 紹介された候補者への対応を迅速かつ丁寧に行い、紹介者の信頼を高める
地方でデザイナーを採用するにはどうすれば良いですか?
地方では採用競争が激化している都市部と異なるアプローチが必要です。
- リモートワークやハイブリッド勤務を採用条件に加える
- 地方特化型の採用イベントや地元ネットワークを活用する
- 地方での生活の魅力(自然環境、コストパフォーマンスの良さなど)を訴求する
デザイナーの定着率を上げるためには?
デザイナーの定着率を上げるには、以下を実施しましょう。
- 定期的な1on1ミーティングでキャリア目標や悩みを相談できる環境をつくる
- スキルアップの機会を提供し、成長をサポートする
- フラットでクリエイティブな意見が出しやすい職場環境を整える
まとめ
いかがでしたか? シビアな採用市場だからこそ、デザイナー採用を成功させるためには「企業努力=労力」が欠かせません。
ただし、何よりも大切なのは、制作会社ならばクライアントの期待に応えること、事業会社であれば自社のブランド価値向上やプロモーションに貢献することかと思います。
その大切な目的を達成するために「採用」は重要な企業課題だと思います。
優れた採用成果を得るためには、それなりのリスクを伴う企業努力が必要不可欠です。「企業努力」という言葉はさまざまな形で表現できますが、最終的にはそれが目指す成功へとつながっていきます。
デザイナー採用の難しさを十分に理解した上で、効果的な採用手法を実践することで、優秀な人材を確保し、組織のクリエイティブ力を高めることができます。これこそが、現代のデザイナー採用において重要なポイントといえるでしょう。
この記事をとおして、貴社に合ったパートナーが見つかりますように。採用活動の成功をお祈りしております!
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