ノーコード開発とは?注目される理由やローコードとの違いを解説

ノーコード開発とは?注目される理由やローコードとの違いを解説

Michitoshi Kudo

Michitoshi Kudo

テクノロジー部部長の工藤です。

ノーコード開発とは、ソースコードの記述をおこなわずに、GUIベースの操作でアプリケーションやWebサービスの開発をおこなう開発手法のことです。

非エンジニアでも開発ができると近年注目されていますが、「スクラッチ開発と比較してどんなメリット・デメリットがあるか知りたい」「ローコード開発との違いは?」など気になる方もいらっしゃるかと思います。

そこで、この記事ではノーコード開発の特徴やツール例なども含めて解説いたします。

ノーコード開発とは?

ゼロからコーディングをおこない開発するスクラッチ開発と違い、ノーコード開発では基本的にコーディング不要で開発をおこなえます。

各開発プラットフォームが用意しているパーツを使い、ドラッグ&ドロップで配置してUIを作っていくため、プログラミングの経験や知識がなくてもアプリやWebサービスを開発できるのが特徴です。

注目されている理由

出典:ITRがローコード/ノーコード開発市場規規模推移および予測を発表

近年はbubbleやFlatterFlowといったノーコードツールを活用している開発企業が増えつつあります。ITR社の調査によると、ノーコード・ローコード開発の市場規模は年々上昇しており、2025年には1,000億円を突破する見込みです。

注目されている要因のひとつが、IT人材の不足です。経済産業省の発表によると、2030年には約79万人のIT人材が不足すると予測されています。ノーコードはプログラミングが不要で非エンジニアでも開発ができるため、DX推進のキーワードとしても今後ノーコードがより注目を集めるとみられています。
参考:参考資料 (IT人材育成の状況等について)

ノーコードとローコードの違い

ノーコード開発と似た手法としてローコード開発があります。ローコード開発もGUIベースで操作できるツールを使いながら開発を進めますが、その名の通り最低限のコーディングが必要なのが大きな違いです。

それぞれの特徴について簡潔にまとめました。

ノーコード ローコード
プログラミング知識 なくても開発可能 基礎的な知識は必要
拡張性 プラットフォーム側が用意したパーツを使用するため制限有 コーディングを前提としているため、ノーコードより自由度が高い
開発スピード 複雑なアプリでなければスピーディに開発可能 コーディングが必要な分、ノーコードよりは劣る傾向

ただし、上記はあくまでも一般的な特徴であり、要件によって変わるという前提に注意してください。たとえば社内にある既存システムと連携したい場合はノーコードだけでは対応が難しいです。

外部企業に依頼する場合、企業によってはその部分だけスクラッチ開発をおこなうなどハイブリッド型開発にも対応可能です。しかし、ノーコードツールだけで開発するよりも開発スピードも遅くなり、コーディングが必要な分、人件費も高くなってしまいます。一概に「ノーコードは安い・早い」というイメージだけを持たずに、拡張性の限界などデメリットも理解しておきましょう。

ノーコード開発のメリット

ソースコード不要で開発できる

ソースコードの記述なしで開発できるのが、ノーコード開発最大の特徴です。プラットフォーム側が用意したパーツをドラッグ&ドロップで配置していくため、専門的な知識がなくても直感的にUIをデザインできます。

開発工数を削減できる

ゼロからコーディングを進めるスクラッチ開発と異なり、ノーコード開発ではプラットフォーム側の既存パーツを使い、コーディングはおこないません。

したがってスクラッチ開発と比較すると、リリースまでのスピード感も大幅に早くなります。

開発コストを削減できる

アプリ開発やシステム開発にかかる費用はほとんどが人件費です。ノーコードなら開発工数が少なくなるため、開発にかかる人件費も削減できるというメリットがあります。

ただし、独自のプラグイン開発や自社システムとの連携など、ノーコードツールだけで実現が難しい要件の場合はコーディングが必要です。コストもその分あがってしまうので注意しましょう。

ノーコード開発のデメリット

拡張性に制限がある

ノーコード開発は原則としてそのプラットフォームにあるパーツを使って開発していくため、ノーコードツール単体で開発できる範囲は限られています。外部サービスも連携できるものが限られているなど拡張性に制限があるため、、大規模なシステムや複雑な要件の開発には不向きといえます。

ノーコードだけで開発が難しい部分は独自のプラグインを開発したり、一部をスクラッチ開発するなどハイブリッド型開発で解決できる
場合もあります。ただし、開発工数や費用もその分増えてしまうというデメリットがあるので注意しましょう。

ベンダーロックインのリスクがある

ノーコード・ローコード開発は特定のベンダーが提供するツールを使うため、一度開発を進めると他のツールに乗り換えたいと思っても変更が難しいという問題点があります。これをベンダーロックインといいます。

ソースコードをエクスポートできるようなツールもありますが、リプレイスをおこなう場合は追加で工数や費用が必要になるなど、リスクも把握しておく必要があるでしょう。

未経験でいきなり開発するのは難しい

ソースコードを書かずにアプリ開発ができるとはいえ、各ツールの使い方を学ぶためには相応の時間が必要です。開発にあたってはデータベースの知識など、プログラミングの基本的な要素を学ぶことも求められます。

アプリの内製化を目的にツールを導入する場合、どのように社内教育をおこなっていくのかも含めて考えなければいけません。また、代表的なツールのベンダーは海外の企業のため、サポートを受けるために英語スキルが必要な点も注意が必要です。

ノーコードツールの例

bubble

bubbleはノーコードツールのなかでも世界的に利用されている人気ツールです。さまざまな外部サービスと連携できたり、プログラミング言語を記載できたりと、他のノーコードツールと比較すると拡張性が高いのが特徴といえます。

ただし、ノーコードツールのなかでは学習難易度が高く、基本的なプログラミングの知識も必要です。未経験から開発できるようになるまでは相応の期間がかかるなどデメリットもあります。

FlutterFlow

FlutterFlowはGoogle社が提供しているノーコード型モバイルアプリケーション開発サービスです。

作成されたアプリはFlutterというプログラミング言語で構築され、単一のコードベースでiOS、Android、Web、およびデスクトップ向けアプリケーションを開発できます。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

Google Appsheet

こちらもGoogle社が開発したノーコード開発サービスです。データソースとしてGoogle Spread Sheets、 Microsoft Excel、Salesforceなど、多彩なサービスを選択できます。

データベースからワンクリックで自動的にアプリを生成してくれ、テンプレートも豊富に用意されています。

以下の記事で詳しく解説していますので、参考になさってください。

開発会社の選び方

ノーコード開発を外部の企業に依頼したい場合は、以下の3点をチェックしてください。

  • 自社にあったツールに対応している会社を選ぶ
  • 導入実績・サポート体制を確認する
  • 見積もりは複数社にとる

ノーコードツールで開発できる機能は、プラットフォームに大きく依存します。したがって予算や納期だけでなく、ビジネス上の課題も整理したうえで、適したツールに対応した会社を絞り込みましょう。

また、過去の開発実績やサポート体制も必ずチェックしましょう。とくに自社と同じ業界・業種での導入実績があるかどうか、開発後のサポートはどこまでおこなってくれるのか、保守運用には対応してくれるのかなど、開発後のことについても事前に確認しておきましょう。

そのうえで複数の会社に見積もりをとり、比較検討することが大切です。ノーコード開発は費用や納期を抑えられるのがメリットではありますが、企業によって価格は異なります。費用が適正価格かどうか判断するためにも、複数の企業から見積もりを取ることをおすすめします。

さいごに

ノーコード開発はアプリやWebサービスの開発を内製化したい場合にも有効ですし、外部に開発を依頼する場合も開発期間やコストを削減できるなどのメリットがあります。一方で開発できる機能に制限がある点、ベンダーロックインのリスクなどデメリットを把握しておくことも重要です。

大規模な開発では基本的に使わないなど、ノーコード開発には向き・不向きもあります。自社の課題や要望に適した開発手法を検討しましょう。

なお、おすすめのノーコード開発会社が知りたい方は以下の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。

ノーコード開発に強い会社8選を紹介

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アクセンチュア株式会社にて、スクラッチ・パッケージ開発のデリバリー部隊に所属。100人規模のSIプロジェクトを多数経験。SI経験15年以上。経験領域はアプリ、IF、データ基盤、インフラ。クライアントファーストを信条にソリューションの提案からデリバリーまで幅広く実施。

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