ノーコード開発ツール「AppSheet」とは?開発事例や使い方を解説

ノーコード開発ツール「AppSheet」とは?開発事例や使い方を解説

Ryoko Kodera

Ryoko Kodera

こんにちは、Technology部の小寺です。

今回はGoogleが提供するノーコード開発ツール「AppSheet」について紹介します。

Appsheetを活用すれば、専門的なプログラミング知識をもっていない人でもブラウザ上で簡単にアプリを開発できます。この記事では実際にAppSheetで開発した社員管理アプリをサンプルに、具体的な使い方も解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

AppSheetとは

AppSheetは、Googleが提供するノーコード開発ツールです。データソースとしてGoogle Spread Sheets、 Microsoft Excel、Salesforceなど、多彩なサービスを選択できるのが特徴です。

メリット、デメリットについて

まずはAppSheetのメリット、デメリットを簡潔に整理してみました。

▼メリット
  • データベースからワンクリックで自動的にアプリ生成してくれる
  • ノーコードで直感的に操作が可能
  • テンプレートが豊富(2023年9月時点で67種類)
  • 公式でドキュメントが提供されており、動画付きで使い方が見られる
  • 各種Googleサービスとの連携が簡単
  • セットアップ不要のクラウド型開発環境
  • 容易にデプロイが可能
▼デメリット
  • 大規模開発には向いていない
  • 日本語非対応
  • 作成するアプリ上のUIの細かい変更ができない
  • AppSheet自体のアップデートが頻繁に変わり、編集画面の仕様も変わることが多いので、ネット上の記事が参考にならない場合がある

以上のことから、Appsheetは大規模な開発ではなく、在庫管理やタスク管理、案件管理など社内の業務管理ツールとして使われることが多いツールです。

どのようなアプリが開発できるか、開発事例を紹介している方もいらっしゃるので、ぜひ参考にしてみてください。

サインアップ方法

Appsheetは無料から利用できます。サインアップ方法は下記の通りです。

Appsheetサインアップ方法の説明1
公式ページ内の「Get started」をクリック/タップしてください。

Appsheetサインアップ方法の説明2
GoogleやMicrosoft、Dropboxなど、さまざまなクラウドストレージのアカウントでサインアップできます。普段自分がよく使用するものを選び、共有を許可すればサインアップ完了です。

料金プラン

Appsheetの料金プラン

Appsheetによる開発は全て無料の範囲で可能です。11人以上に共有したい場合や、デプロイ時には有料プランへの加入が必要となっています。

各プランの違いは公式ページ内に詳しく記載されていますので、ご覧ください。

Appsheetでアプリを開発してみた

ここからは実際にAppsheetを使った開発事例を紹介します。社員一覧アプリの開発をサンプルとし、以下の3つのステップにわけて解説していきます。

  • データのインポート
  • インポートしたデータから、AppSheet上でアプリを作成
  • 管理者権限の設定

データのインポート

まずはアプリで使用するデータをAppsheet上にインポートしましょう。今回はスプレッドシートのデータをインポートし、アプリ作成をおこなっていきます。

1.ホーム画面のCreateボタンをクリックする

Appsheetへのデータインポート手順1

2.App→Start with existing dataからアプリを作成する

Appsheetへのデータインポート手順2

3.アプリ名を入力する

Appsheetへのデータインポート手順3

App nameに任意のアプリ名を入力しましょう。

4.カテゴリーを選択する

Appsheetへのデータインポート手順4

カテゴリーは上記画像の一覧から選べます。今回はアプリ名を「New App」、カテゴリーを「Inspections & Surveys」としました。

5.Choose your dataをクリック

Appsheetへのデータインポート手順5

Choose your dataをクリックすると、ソースデータのアップロード画面に遷移します。

6.使用するデータを選択する

Appsheetへのデータインポート手順6

データを選択し、Selectをクリックしましょう。

7.インポート完了

Appsheetへのデータインポート手順7

これでデータのインポートは完了です。
なお、データのインポート方法や画面の見方などは、下記の記事でも詳しく解説されています。

インポートしたデータから、AppSheet上でアプリを作成する

さきほどインポートしたデータを使用して、AppSheetの基本的な使い方やUIについて解説しながら、実際にアプリを作成する手順をご紹介します。

エディターの各セクションについて

Appsheetの開発手順1

エディター画面の左側にタブ、中央にテーブル編集画面、右側に実際にアプリとして実装された画面が表示されます。

View画面のUIを編集する

Appsheetの開発手順2

まずは左のタブからViewsを開き、UIを編集します。

ここではView画面で表示するものを追加、削除できます。各パーツの配置はあらかじめ決まっており、それぞれの場所に何のデータを当てるかを選択可能です。

たとえばこちらの動画では、Secondary headerをHireDateからEmailに変更しています。

編集をしたら、右上のSaveから保存を忘れずにしましょう。

データベースの編集

テーブルを変更したい場合は、データベース本体から編集します。AppSheet上ではテーブルやカラムの追加、削除はできません。

今回は、レコードにBobを追加、カラムにDepertment, Image, Websiteを追加しました。

Spreadsheet等のデータベースを変更した場合は、Regenerate Schemaでアプリに反映させてください。

詳細画面のUIを編集する

詳細画面のUIを編集するにはViewsタブを開き、SYSTEM GENERATEDからDetail画面を開きます。

Use Card Layout をオンにし、カード型のレイアウトに変更しました。

View画面同様、各パートに何のデータを当てるかを選択していきます。上の動画では、Headerの画像レイアウトを変更し、Emailを非表示にしました。

フォームからデータの中身を編集する

レコードやカラム自体の編集はフィールドの中身は、アプリ上のフォーム画面で編集できます。こちらの動画ではIvyの画像を追加しています。

Appsheetの開発手順

アプリ上で編集すると、変更した内容は自動的にデータベースにも反映されます。

テーマカラーを変更する

SettingsのTheme&Brandからデザインのカスタマイズができます。

完成

これでアプリが完成しました。Appsheetはモバイルサイズ、デスクトップサイズのレスポンシブが自動で生成されるのも特徴です。

管理者権限の設定

ここからは管理者、ユーザーなど、メンバーの区分によって編集権限を変える方法について説明します。

1.スプレッドシートに、「ユーザー管理」のタブを作る

Appsheetの権限管理

今回はメールアドレス、氏名、区分のカラムを作りました。

2.Appsheetの編集画面でユーザー管理のデータをインポートする

Appsheetの権限管理

3.ラベルを氏名にし、EmailのPIIのチェックを外す
Appsheetの権限管理

4.Actionsタブを開き、「名簿」の「Edit」内のBehaviorから編集権限を設定
Appsheetの権限管理

5.BehaviorのOnly if this condition is true欄に関数を記入

Appsheetの権限管理

以下の関数を記入し、SAVEします。

"ステータス"=ANY(SELECT(シート名[ステータスのカラム名],[メールアドレスのカラム名]=USEREMAIL()))

▼記入例

"管理者"=ANY(SELECT(ユーザー管理[区分],[Email01]=USEREMAIL()))

6.確認

Appsheetの権限管理

Preview app as の欄にメールアドレスを入力すると、管理者では編集ボタンが表示され、ユーザーでは編集ボタンが表示されず、管理者にのみ編集権限が付与されていることが確認できます。

管理者権限の設定については下記の動画で詳しく解説されています。
【Appsheet】在庫管理アプリ(トレサビ対応ver)④ フォルダ指定・編集権限の付与

さいごに

Appsheetの登録方法から開発例までひと通り紹介しました。AppsheetはGoogle や Microsoftなどのアカウントを持っていればすぐに登録でき、プログラミング知識のない人でも直感的に利用できるノーコードツールです。

既存のデータをソースとして手軽にオリジナルアプリが作成できるので、個人やチームの業務改善・効率化のためにうまく活用してみてはいかがでしょうか。

 

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2023年4月新卒でLIGに入社。ブリッジディレクターとして海外エンジニアとの英語でのコミュニケーションをサポート。また、テクニカルディレクターとしてUX/UIデザイン、ノーコード開発等に従事。

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