GPT-4とClaude3で使い分けを!プロンプト作成のコツを解説

GPT-4とClaude3で使い分けを!プロンプト作成のコツを解説

Hiroaki Inoue

Hiroaki Inoue

インハウスマーケティング部の井上です。

LIGでは部署を問わず生成AIの活用に注力しており、私も日々の業務効率化に活用しています。

最近は3月に登場したAnthropic社の「Claude 3」(クロード)が話題になっていますね。個人的にもよく使用していますが、各モデルの性能を比較しているサイト「Chatbot Arena」でもGPT-4を抜き1位の座を獲得した経歴がある優秀なモデルです(※2024年4月11日現在は僅差でGPT-4が1位になっています)。

そんなClaude 3ですが、公式ユーザーガイドを見るとGPT-4とは異なるプロンプト作成のコツがあるようです。今回はClaude公式ページで公開されているプロンプトエンジニアリングのポイントをまとめ、より効果的な結果を得るためのプロンプト作成のポイントを紹介します。

コーディングにおけるGPT-4とClaude 3の性能を比較した記事もぜひご覧ください!

Claudeのプロンプト作成のポイント

Claudeの公式ユーザーガイドで紹介されているプロンプトエンジニアリングのなかでも、以下3つは注目すべきポイントかと思います。順に解説していきます!

XMLタグを使う

公式ガイドによると、ClaudeはモデルのトレーニングにXMLタグを使用しており、XMLタグでプロンプトの重要な部分を囲むことでよりプロンプトを理解しやすくなるのだそうです。
※XMLタグ:タグで囲んだデータの意味を表して構造化するもの。HTMLタグと違ってレイアウトやデザインに影響はなく、タグの内容も自由に決められる。

XML tags are a powerful tool for structuring prompts and guiding Claude’s responses. Claude is particularly familiar with prompts that have XML tags as Claude was exposed to such prompts during training. By wrapping key parts of your prompt (such as instructions, examples, or input data) in XML tags, you can help Claude better understand the context and generate more accurate outputs. This technique is especially useful when working with complex prompts or variable inputs.
引用元:Use XML tags

GPTでもマークダウン記法を使うなど似た方法がありますので、「ClaudeはXMLタグ推奨!」と覚えておけばよいかと思います。

例として、SEO記事の制作方法について説明した弊社記事の一部を要約させ、その内容をもとにキーワードのユーザーニーズを調査する作業を指示してみました。


 
>>プロンプトと出力全文はこちら

Claudeはリアルタイムでネットに接続はできないものの、学習データを使ってユーザーニーズを割り出してくれました。内容も指定したフォーマットに応じてきちんと出力してくれていますし、ずれたことは言っていませんね!

長文を扱うなら最初に文章、最後に指示を書く

僕はChatGTPだと最初に指示を書いて、参照する文章はそのあとに書くようにしていました。一方、Claudeでは長文を扱う場合、最初に参照する文章、最後に指示を書くことで、応答の質が大幅に向上すると公式が発表しています(まったく逆だ……)。

Place the question at the end of the prompt, after the input data. As mentioned, this has been shown to significantly improve the quality of Claude’s responses.
引用元:Long context window tips

あわせて以下2点も意識すると、なおよいとのことです。

  • 「後で質問をするので、文書を注意深く読んで」と最初に指示する
  • 質問に答える際は、文書から関連性の高い箇所を引用させて答えるようにする

こうすることでハルシネーション(当たり前のように誤った情報を生成すること)のリスクを減らすことができるそうです。
実際に以下の記事を読み込ませて、記事に関する質問に回答するよう試してみました。


▲何も工夫せず試した例(プロンプトと出力全文はこちら


▲ポイントを意識してみた例(プロンプトと出力全文はこちら

Claudeではコピペした文章の量が多いと添付ファイルとして扱われるため、公式ページの例を少しアレンジしたプロンプトにしてみました。

回答だけ見ると大きな差は感じられないかもしれないのですが、引用箇所を明示してくれるのは人にとってもありがたいと思った次第です。気になる箇所は引用をコピペして元記事を検索し、詳しく調べながら見るような使い方も便利そうですね。

そして今回は7,000字くらいの記事を読み込ませたのですが処理が速くて驚きました。GPTの場合は文量が多いと読み込み速度が遅くなったりエラーが起きたりしがちなため、この差は日常的に使っていくうえで地味に大きいかと思います。

チェーンプロンプトを使う

チェーンプロンプトとは、複雑なタスクを小分けにし、あるプロンプトで出力した結果を別のプロンプトの入力として使うことで、より正確かつ高品質なアウトプットを出せるという技です。
※参照:Chain Prompts

使いどころとしては以下のようなタスクを与えたいときです。

  • 複数のステップを踏む必要がある作業をおこなうとき
  • 指示が複雑になるとき
  • 自身の出力を再確認させたいとき
  • 複数のサブタスクに別々のプロンプトを与えたい場合

GPTでも同じようなことは可能ですが、会話が長くなると前の指示や出力を忘れることもあります。Claudeの場合はXMLタグを併用することで必要な情報を忘れず、かつ文脈も正確に抽出しやすくなるのがメリットといえます。

詳しくは公式ガイドのChain Promptのページをご覧ください。

今回は複数のステップを踏む必要がある作業における活用例を作ってみました。たとえば、旅行におすすめのスポットをテーマにブログ記事を作成する場合、以下のようなステップがあるかと思います。

  1. スポット案を考える
  2. どのスポットがいいか選ぶ
  3. 構成案(企画)を作る
  4. 執筆する
  5. 推敲・校正する

この作業をすべてAIにまかせてみましょう。

まずは違いを見るために、作業を全部ひとまとめにしてClaudeに依頼してみました。

>>プロンプトと出力全文はこちら

最初の出力では執筆と推敲・校正を省略されてしまいました。再度指示してみたものの、内容は薄い感じがしますし、推敲もあまり意味を成していません。

続いて、チェーンプロンプトを使ってもう一度記事を書かせてみます。

>>プロンプトと出力全文はこちら

タグをつけすぎた気もしましたが、問題なく読み取ってくれましたね。まとめて指示をした場合に比べて、チェーンプロンプトを使った記事は情報量も読みやすさも明らかに上回っているのが分かるかと思います(推敲・校正もしっかりやってくれてました)。

GPTとClaude共通のポイント

以上、Claude特有のポイントをご紹介してきましたが、公式ガイドには他にもさまざまなポイントが記載されていました。GPTと似ている部分も多かったため、基礎的なテクニックとして一部をご紹介いたします。

明確かつ具体的に指示する

When interacting with Claude, providing clear and direct instructions is essential for achieving the best results. Think of Claude like a smart but new employee who has no context on what to do aside from what you explicitly tell them. Just as when you instruct a human for the first time on a task, the more you explain exactly what you want in a straightforward manner, the better and more accurate Claude’s response will be.
引用元:Be clear & direct

Claudeに限らず、AIに指示をするときは何をしてほしいのかを具体的に明示することが重要です。Claude公式ガイドの原文を引用すると、「賢いが指示されたこと以外はどうしたらいいか分からない新人だと思って伝える」ことが重要です。

たとえば自分の中で思い描いている出力フォーマットのイメージがあれば、それが具体的にどのような形なのか、プロンプトの中に例を提示してあげましょう。

役割を与える

言語モデルが自身の役割を理解するために、役割を与えるという方法が有効な場合があります。SEOについて専門家から意見がほしいのであれば、「あなたは優秀なSEOマーケターです」などの役割設定が考えられますね。

役割は常に必要なわけではありませんが、専門的な技術に関して回答させる場合により精度が高くなる場合があります。また、「小学生でもわかるように」「クレーマーのような口調で」など、出力のトーンを調整したいときにとても便利です。

ステップ・バイ・ステップで考えさせる

とりあえず「ステップバイステップで考えて」とプロンプトに付け加えておこう、みたいなハックがGPTでも流行りましたね。特に数理的な処理を必要とするような複雑な質問やタスクにはいきなり答えさせずに、論理的に考えさせたうえで回答させるのが有効です。

より精度を高めたい場合は、どのように思考していけばよいのか具体的な例をできるだけ多く提示することで、高品質な出力につながる可能性があります。

さいごに

「ClaudeとGPTどっちがすごい?」という議論もよくありますが、両方使ってみた結果、長文を扱うのであれば圧倒的にClaudeがおすすめです。Claudeは最大200k(20万)トークンのテキスト処理が可能とされていて、GPT-4 Turboの128kトークンよりもかなり多いです。今も両方使っていますが、GPTでは読み込めないような長文もClaudeならほぼ読み込んでくれます。

一方でClaudeはUIが微妙だったり、ネット検索ができなかったりと弱点があるのも事実です。できることなら両方使ってみて、自分の業務や使い心地に適したほうを見極めるのがよいでしょう。

また、弊社LIGでは生成AIを業務や事業で活用したい方を対象とした、生成AIコンサルティングサービスをおこなっています。生成AIやXRの専門家である梶谷健人氏を顧問に迎え、AI専門チームによるAIを活用した戦略策定からプロトタイプ作成、システム実装まで一気通貫で受託しております。

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※4月17日追記:一部ファイルのリンク先が誤っていたため、修正いたしました

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Hiroaki Inoue
Hiroaki Inoue In-house Marketing / SEO Marketer / 井上 寛章

愛媛県の出版社で、地域情報誌の編集者として6年半勤務。グルメ、レジャーなどライフスタイルに関わる雑誌・WEBアプリの記事制作や、広告制作を行う。2020年にLIGへジョインし、クライアントのオウンドメディア運営支援を経験。その後、LIGブログのPR記事制作ディレクターとなる。

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