こんにちは、メディアコンサルタントの太田です。
オウンドメディア運用のノウハウをお伝えしている私の記事ですが、今回は「競合サイト分析」について解説しています!
私もふだん、業界研究も兼ねて競合サイト分析を必ずおこなっています。この記事をご覧のみなさんも、たとえばなにかはじめてのことに挑戦するとき、事前に他社の事例を調べたりしたことがあるのではないでしょうか。それも一種の競合分析です。
というわけで今回は、プロ目線での競合サイト分析の方法を紹介します! 分析時に意識したいことについてもお話しするので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
そもそも競合サイト分析とは?
“競合サイト”の定義
一概に「競合」というと、いわゆる同業他社のような形で、自社と類似するサービスや商品を展開する他企業を指します。
しかしWebサイトにおいては、これが少し異なります。
Webサイトにおける競合とは「狙う顧客が近い需要を持つサービスや商品」です。この「近い需要」は、ターゲット設計によって異なります。
讃岐うどんのECショップを展開する架空企業「LIG製麺」を例に出して考えてみます。
うどんのECショップの競合と考えると、他の製麺会社が競合ということは間違いないでしょう。ただし、これが「香川県のお土産」という広い視野で考えると、他の名産品を扱う製麺企業以外の企業も競合に属しますよね。これは獲得したいユーザーが「讃岐うどんが欲しい」か「香川のお土産をオンラインで買いたい」のどちらに設定するかで、競合が変わります。
このように、ターゲット設計によってWebサイトの競合も大きく変わることを意識しましょう。また、それぞれのターゲット設計ごとに競合サイトを比較して、どのターゲットが狙いやすいか、という視点で考えることも大切です。
競合サイト分析の重要性って?
余談ですが、中学生の頃に母へケータイをねだっても「他所はよそ! ウチはうち!」と言われて買ってもらえなかった記憶があります。このときにも競合調査として、友達のケータイの普及状況だけでなく、活用方法までしっかりとプレゼンテーションしていたら、もう少し違う結果だったかもしれません。
要するに、判断軸がひとつだと、本当に正しい判断なのかどうかという評価が難しくなります。別の基準値を設けることで、より判断の妥当性が上がっていくわけです。
このように競合サイト調査はとっても重要です。自社内の数値の動きだけでなく、競合各社の数値の動きや状況を把握することで、自社の現在地や目指していく数値の仮説を立てていきましょう。
競合サイトを分析するメリット
それでは競合サイト分析をするメリットをいくつかご説明させていただきます。
現在のユーザーニーズを把握できる
今、検索で上位に表示されているWebサイトはすでに検索エンジンから一定の評価を受けているWebサイトです。つまり、それだけユーザーから求められているコンテンツでもあります。
あなたが欲しいユーザーがどのような情報を求めているのか、すでに上位に上がっているWebサイトをまとめて確認するだけでも、大まかな傾向を掴むことができます。
施策を進める上での目標ができる
競合サイト調査に着手するのは、Webサイト立ち上げの段階や、まだまだこれから成長していくフェーズであったりするケースが多いです。
その状態からいきなり競合に勝つのは相当なハードルの高さがあります。とくに検索ボリュームが大きいキーワードに関しては、各社上位を獲得するために何度もPDCAを回し続けてきたでしょうし、今もなお順位をキープするために日々地道な施策をおこなっていることでしょう。
あくまであなたはチャレンジャー。「競合サイト」ではなく「目標サイト」として、評価されている要因になっていそうな施策を参考にする、そして自社ならではの差別化ポイントを見つけてそこで勝ちに行く、ということを意識しておこないましょう。
コンテンツ施策のアイデアを集められる
さまざまな競合サイトを観察していると、ひとつの需要に対して各社さまざまなアプローチをしていることがわかります。
難しい説明には図式を入れる、詳しい情報についてはホワイトペーパーに遷移させる、特定のキーワードのみ強化をおこなっている……など三者三様の施策を見ることができます。
それをひとりのユーザーとして体験し、良いコンテンツは参考にする、好ましくないコンテンツはなぜ好ましくないかを言語化して自社コンテンツの改善に役立てる、といった施策展開ができます。
このように競合サイト分析は、競合サイトの状況を把握するだけでなく、自社サイトのあるべき姿について考えるきっかけを与えてくれるものになります。
身も蓋もないことをお伝えしますが、Webマーケティングは後出しジャンケンです。ユーザーの需要やGoogleのアルゴリズムといった評価軸はどんどん変わり続けていくので、つねに変化を追いながら良い戦略を考えることが重要です。より良い勝ち筋を見つけて自社に反映するためにも、継続的に競合サイト分析をおこなっていきましょう。
競合サイトの見つけ方
それではどのように競合サイトを見つけていけば良いのでしょうか? いくつかの方法をご紹介させていただきます。
ビジネス上のリアルな競合を定める
メリット:競合先がイメージしやすい。社内的にもモチベーションが高まりやすい。
デメリット:競合先の状況によっては、あまり参考にならない場合がある。
まずひとつの方法は、貴社のビジネス上での競合他社を、競合サイトとして設定してしまうことです。
この方法は、Webサイトの文脈に限らず、競合のデジタルマーケティング戦略として比較する形になるので、より具体的な考察がしやすくなります。
またよく見知った競合であれば、社内の他のメンバーや上層部からの理解も得やすく、モチベーションも上がりやすいでしょう。
一方で、リアルな競合がデジタルマーケティング上での露出が多いとは限りません。競合サイト調査としてみたけどあまり参考にならなかった、なんてこともとくに地方の企業だと起こりがちです。
現時点で検索上位のサイトから定める
メリット:手軽に実施できて、顧客と同じ視点でコンテンツを確認できる。
デメリット:想定したキーワードからでないと調査できず、調査の幅を広げにくい。どうしても感覚に頼りがちな分析となってしまう。
続いてもっとも一般的な「検索上位のサイトから定める」方法です。複雑なツールを使うことなく調べられる方法で、検索エンジンを使って狙いたいキーワードの上位表示サイトを確認していきます。
検索上位サイトでチェックすべきポイントは以下のとおり。
- コンテンツの中身や記載されているキーワード
- まずはひとりのユーザーとしてコンテンツそのものを評価しましょう。
- 記事が表示されていた場合は、記事内リンクや関連記事なども確認して、どのような回遊性を持たせているかも確認しましょう。
- Webサイトの会社概要/ビジネスモデル
- 貴社のビジネスと直接的な競合となるのか、地域や規模の違いはあるが業態が似ているなど競合となる要素はあるか、はたまたまったく違う業種なのかを確認しましょう。
- 検索表示ページの最終目的(コンバージョン)
- 検索で表示されたページ(ランディングページ)は、顧客にどのような動きをさせることを目的にしているのか確認しましょう。
ツールを使って確認してみる
メリット:表面上ではわからない細かいデータを短時間で取得できる。
デメリット:ツールによっては金銭的なコストが発生する。
最後に、競合サイトを確認するために作られた便利なツールを用いた方法です。専用ツールを使うことで、競合サイトがほかにどのようなキーワードで上位を獲得しているのか、どの程度の流入を得ているのか、どの程度の被リンクを獲得しているか、などの細かな情報を短時間で得ることができます。
のちほど競合調査におすすめのツールをいくつか紹介させていただきます。
競合サイト分析の方法(調査〜活用まで)
それでは、競合サイトを見つけてから実際の施策に落とし込むまで、どのようなステップで調査をしていけばよいのでしょうか。
大きく以下の項目が確認できると良いでしょう。
- 検索流入キーワード
- 着地ページ
- 流入数
- 流入経路
- ページの目的
なぜそれぞれが必要なのか、順番に解説していきます。
1. 検索流入キーワード
SEOのキホンのキとも呼べるポイントでしょう。競合サイトがどのような検索キーワードで上位表示をしているのか確認します。
おそらく競合サイトと定めたからには、すでに貴社と近いキーワードを獲得していることは間違いないでしょう。それ以外にどのようなキーワードで獲得しているのかを確認し、そのキーワードも自社のキーワードと競合するのか、別事業との関連性はどうかなどを考察していきましょう。
2. 着地ページ
いわゆる「ランディングページ」とも呼ばれる訪問者が最初にアクセスするページです。
競合サイトの検索流入キーワードがわかったら、そのキーワードの着地先がどのようなページかを確認しましょう。オウンドメディアの記事ページなのか、それとも商品ページなどの下層ページか。トップページの可能性もありますよね。
その流入ページを上回るコンテンツを作らないと、なかなか検索順位は上がってこないことが考えられます。今後の施策の反映のためにもしっかりと調査しましょう。
3. 流入数
競合サイト全体や、2で調査したページの流入数を確認しましょう。その数値はひとつの目標数値となります。
流入数を調べる際には、自然検索の流入数とPV数全体を比較して、自然検索による流入の割合が全体PVのどれくらいを占めているかの確認ができると良いでしょう。
たとえば自然検索の流入の割合が3割程度の場合だと、サイト内の回遊や外部サイトなどからも大きな流入があることが考えられます。その場合はドメインパワーが非常に鍛えられていることも考えられるため、長期戦になることが事前に推測されます。
4. 流入経路
さきほどの流入数の説明でも触れましたが、どのような経路でページに流入しているかを確認することも大切です。
どうしてもSEO対策と考えると自然検索からの流入ばかりに目がいってしまいますが、Webサイトとしては全体の流入数自体がサイト評価を測る指標となります。
たとえば外部リンクの流入が多い場合は、そのページで挙げられている内容に対する引用が多くついており、コンテンツ自体が評価されている状況になっていることも考えられます。自然検索だけでなく、全体の指標を確認するようにしましょう。
5. ページの目的
最後は一切ツールなどは関係なく、あなたの経験値をもとに出す指標です。そのページのKPIとKGIをなんとなく推測してみましょう。
たとえばオウンドメディアに着地して記事の最後にホワイトペーパーのダウンロードがあった場合、KGIはホワイトペーパーのダウンロード数(いわゆるコンバージョン数)でしょう。すると、KPIは流入数や滞在時間、GA4の指標でいうとエンゲージメント率も考えられますね。
そのようなわかりやすい指標がない場合は、次の記事へのクリック数や、新規ユーザー数なども目標値として考えられます。
要するに、同じような施策を続けている各社がどのような状況の顧客を狙っているかを推測しましょう。まだ需要が遠い潜在顧客への認知向上、直近の問い合わせに期待が持てる顕在顧客の問い合わせ獲得、どちらを狙っているかを考えるだけでも非常に有意義です。
競合サイト分析のおすすめツール
ここからは、競合サイト調査におすすめのツールをいくつか紹介させていただきます。
SimilarWeb
画像出典元:https://www.similarweb.com/ja/
- ▼無料版でできること
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- 大まかなWebサイトの流入数値の確認
- 訪問ユーザーの興味関心の確認
- 訪問ユーザーの流入チャネルの割合
- 代表的な流入キーワード
- 推測される競合サイト
WebサイトのURLを入れるだけでWebサイトの流入状況を素早く確認することができます。有料会員になることで、より多くの数値を確認することができますが、無料プランでも十分な数値を確認できます。
今回はLIGのWebサイトを見てみました。
このような形で無料版では前月分のざっくりとした流入状況を確認することができます。
ちょっとした流入数(トラフィック)の数値変化も確認できますね。
このような流入ユーザーの関心を出してくれるのは、自社サイトの分析にも役立ちそう。
流入チャネル(マーケティングチャネル)の推移もあります。広告流入は取っているのか、自然検索が中心か、といった施策の確認にも使えそうです。
代表的なキーワードが中心とはなりますが、検索キーワードも確認が一緒にできるのはありがたいです。
ほかにも推測される競合サイトの一覧なども表示してくれるので、無料で使えるツールとしてはぶっちぎりのおすすめサービスです。
パワーランクチェックツール
画像出典元:https://www.ispr.net/tools/power-rank-check
- ▼できること
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- ドメインパワーの計測
- ドメインパワーの評価軸ごとの総評
- ドメインが作られた推測される日付
※未登録で1日3回まで、無料登録で1日10回まで
続いてのこちらのツールは、ドメインパワーを計測することに便利な無料ツールです。URLを入力して計測ボタンを押すと……
こんな形で指標をざっくり出してくれます。
ちなみにこの表の下には簡単な総評や用語の説明も入っているので、そのまま施策を考えることができたりします。
諸々の指標については、このツール元の基準値から算出されているので、ここでは自社サイトだけでなく、競合サイトの複数社も同時に出してみましょう。7種類の評価軸それぞれで見比べると、各社の得意領域など大まかな傾向を掴むこともできますよ。
Page Speed Insight
画像出典元:https://pagespeed.web.dev/?hl=ja
- ▼できること
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- PCとSPそれぞれのページ読み込み速度
- ページのレイアウト指標
- 総合的なWebサイトのパフォーマンス診断
- 診断を通した改善箇所の提案
Webサイトの表示速度を計測してくれるGoogleが提供する無料ツールです。読み込み時間が長かったりすると、ユーザーの離脱に繋がったり、そもそもSEOの評価も下がってしまう要因になってしまいます。
とくにオウンドメディアはたくさんの画像を掲載することも多いため、画質を適度に落としていないと表示速度が悪くなる要因となってしまいます。
このツールでは、スコアが低い要因も洗い出ししてくれるので、そのままWebサイトの改善にも役立てることができます。また、表示順位が高いサイトの数値と自社の数値を比較しながら、どのような差があるかを確認してみる方法も良いかもしれませんね。
Keywordmap
画像出典元:https://keywordmap.jp/
- ▼できること
-
- 競合を含めた流入指標のサマリー
- 推奨キーワードと検索ボリューム
- 共起語などキーワードを起点としたニーズ調査
- 広告データ調査
最後に紹介するKeyWordmapは有償のツールです。競合サイト調査を含めたSEOに関するデータを一括で簡単に確認することができます。
とくにKeywordmapが優秀なのは、競合各社の状況を自社と比較できることはもちろん、ユーザーの検索意図を洗い出す機能も豊富に用意されている点です。
競合サイトの流入状況を把握し、自社の対策ポイントを考察し、そのためのコンテンツの方向性も確認できる。競合サイトに対する一連の分析と、施策への実行がひとつのツールで行うことができることが非常に大きなメリットです。
有償のSEO分析ツールはさまざまありますが、オウンドメディアの運用を前提に考えるのであれば、Keywordmapのようなコンテンツの企画まで考えることができるツールがおすすめです。
【最後にこれだけは伝えたい】競合調査するときに意識してほしいこと!!
さて、ここまで競合サイト分析の方法についてお伝えしてきました。最後に競合サイト分析をするにあたって意識していただきたい点をお伝えします。
どうしても「競合」と表現してしまうと、ライバルであったり、目の上のたんこぶであったり……奥歯がキリキリしてしまうような存在と考えてしまいますよね。もちろんビジネスをする上では「競合他社に負けられない!」という気持ちは絶対に持つべきですが、デジタルマーケティングではすでに上位に存在している「事例」や「目標」として見ていきましょう。
とくにオウンドメディアに関わっている方であればご理解いただけるかと思いますが、ひとつの記事の掲載順位を上げていくためには、多くの試行錯誤を経なければなりません。それは各社の担当者様の知見が詰まったひとつの「成果」でもあります。
あくまでWebサイトは企業活動の道具に過ぎず、その裏には必ず施策を戦略的に実行している「人」がいます。
その成果を参考にしながら、成果に至る「過程」をツールを使って推測し、自社の施策に反映していくのです。冒頭でもお伝えしたとおり、変わり続けるWebマーケティングの世界で結果を残すためには、自社の判断基準だけでは難しい部分があります。
ぜひ他社の事例も見ていきながら施策を反映し、ゆくゆくは競合各社から理想として捉えられるような存在になることも、ひとつのゴールともいえるでしょう。さまざまなツールや日頃の活動から競合サイト分析を続けて、ひとつでも多くの事例を探しましょう!
LIGでは、貴社の競合サイト分析はもちろん、分析内容をもとにした戦略策定やコンテンツ制作まで幅広く対応する「伴走型支援のメディアコンサルティング」をご提供しています。ご興味がある方はお気軽にお問合せください。