LIGブログ編集長代理のMakoです。
現在LIGは「DX with Global Team」を掲げ、グローバルな開発体制を活かしたDX支援をおこなっています。今回は海外拠点の責任者を務める執行役員COOの村田と代表大山に、LIGの海外ビジネスの現状と展望を聞きました。
なぜLIGは海外で勝負するのか。海外で勝負 “しなければならない” のか。ぜひご覧ください。
人物紹介:株式会社LIG 代表取締役社長 CEO 大山 智弘新卒にて株式会社ユナイテッドアローズ入社。イギリス留学を経て、株式会社リクルートに入社。その後、ベトナム法人EVOLABLE ASIA Co., Ltd代表取締役社長に就任。退任後は株式会社リンクバル入社。IPOを経験後、株式会社ケアクル創業。2017年より株式会社LIGに参画。2021年10月より代表取締役。 |
人物紹介:株式会社LIG 執行役員 DX事業本部 本部長 COO 村田 浩二新卒で入社したエン・ジャパン株式会社にて、事業責任者を歴任後、ベトナムで最大手の求人メディアを買収後赴任し、戦略的な事業管理をおこない、新規事業開発・APACでの事業開発後、インドへ赴任。買収した子会社のPMIを実施しながら、4000名規模のIT企業の買収の成功。2020年にGOKIGEN株式会社を創業。2021年よりLIGに参画。2021年10月より現職。 |
2013年、ベトナムにて
―― 2021年に村田さん(以下コージさん)が入社して以来、LIGの海外ビジネスは加速していますよね。まずは大山さんとコージさんの出会い〜LIG参画までの経緯を教えていただけますか。
大山:コージさんとの出会いは2013年のベトナムです。当時僕はエボラブルアジアの代表取締役としてベトナム拠点の立ち上げをやっていて、百名規模でエンジニアを採用しなければなりませんでした。そこにエン・ジャパンさんで働いていたコージさんが求人メディアを提案してくれて、お仕事をご一緒したのが最初の接点です。
村田:2013年に前職がベトナム最大手の求人メディアを買収して、そこに1人目として赴任したばかりでした。英語もベトナム語も話せないままどうやって成果を出そうと考え、徹底的にベトナム進出している日系企業にアプローチをしていて、そのなかで大山さんにお会いしました。
当時の売上記録を塗り替え現地法人の取締役にまで昇進できたのは、間違いなく大山さんのご発注のおかげでしたよ。ただ、採用目標が高く、仕事はめちゃ大変でしたけどね(笑)。
大山:僕からの発注がそんな貢献をしていたんですね(笑)。そのあと僕は日本へ戻り、コージさんはインドへ渡ったのでコミュニケーションをとる機会はしばらくありませんでしたが、「コロナ禍で日本へ帰ります」というコージさんのFacebook投稿を機に、久々に連絡をとりました。
これからLIGが海外ビジネスに注力していくためには、コージさんのようにすでに海外で活躍している人材の参画が欠かせないと考えていたので、真っ先にお誘いしましたね。経営者の経験や人材採用に関する知見もお持ちなので、とても魅力を感じました。
―― コージさんがLIGからのオファーを受けたのはどうしてですか?
村田:ベトナムやインドでの7年半にわたる海外経験を活かしながらも、いままでにない新たなチャレンジができるおもしろい会社だと思ったからですね。
他社にもいくつかオファーをもらっていましたが、どこか前職の仕事に近く、自分が担う業務領域が定まっていることが多かったんです。それに対してLIGは事業の幅が広く、自由度も高い。現に入社後すぐに提案したベトナム進出の提案も受け入れてもらえました。
「やりたい」じゃない、やらなきゃいけない。
―― コージさんが海外ビジネスを軸足にし続けるのはなぜでしょうか。
村田:海外ビジネスを「やりたい」というより、「やらないとヤバい」という感覚なんですよ。30年前は世界1位だった日本の国際競争力はいまや31位です。2020年時点の生産年齢人口は7,400万人、2050年には5,300万人に減ってしまう。残念ながら日本のマーケットはもう伸びません。いままでは国内に収まる仕事でもなんとかなってきたかもしれませんが、国境を越えて仕事をしていかなければ、いよいよ未来はありません。
それにインドや中国の部長職の平均年齢が29歳に対し、日本は44歳です。部長の平均年収は既にタイに抜かれています。見ているものも感じているものも、エネルギーも全然違う。僕は2013年にベトナムに赴任したときからずっとそう感じてきました。海外の人たちと当たり前のように仕事をしていかないと、日本に生まれ育っていく僕らの娘息子世代は豊かな人生を送れないんじゃないか? という危機感もあります。
大山:僕もベトナム駐在中に「勢いがまったく違う」と感じましたね。僕が経営していた会社のベトナム人メンバーの多くは、エンジニアとして働きながら終業後に語学の勉強に励んでいました。そんな姿勢が日本にあるだろうかと振り返ってみると、あまりないように思います。
コージさんの言うとおり、今後は日本だけでビジネスをおこなっている場合ではありません。LIGは2015年にフィリピン・セブ島に拠点を設けて以来少しずつ海外ビジネスを拡大させてきましたが、これからもっと加速させたいですね。
―― お二人が海外ビジネスに懸ける思いと強い危機感、しっかり伝わってきました。
2つの海外拠点のリアル
―― 現在LIGが構えているフィリピン・セブとベトナム・ホーチミンの開発拠点について、それぞれの現状を教えてください。
村田:フィリピンには約100名、ベトナムには約25名のエンジニアが在籍しており、日本人スタッフも駐在のうえ徹底したプロジェクトのクオリティ管理をおこなっています。
フィリピンは大手EC企業様の開発〜保守運用実績を筆頭に、6年間でさまざまな企業様のお手伝いをしてきました。最近は現地で開発だけではなく、デザインやディレクション、設計までできるような体制構築を進めており、オフショアで担える領域を広げている最中です。
ベトナムは2021年に立ち上げたばかりですが、ありがたいことにプロジェクトが増えており、組織拡大を予定しています。ベトナムは多くの日本企業が進出していることもあり、「こういう言語に対応した人材がほしい」「こういうデータベースに触れたことがある人材がほしい」といったご要望に応えやすい傾向があります。特に強みがあるのはWeb3.0、ブロックチェーンやNFTの領域です。
―― 今後、海外拠点は増やすのでしょうか?
村田:ぜひ増やしたいですね。ただし小さな拠点をたくさん立ち上げてしまうと運営コストばかり増えてお客様をスピーディーにご支援できないため、まず注力するのはベトナム国内の拡大と、セブだけでなくフィリピン全土への拡大です。その後、ハノイやダナンに展開して同商圏内でさらに規模を広げる可能性はあります。あとAI領域は圧倒的にインドが人材豊富なため、お客様のAI活用を推進していくためにインド進出をおこなう可能性は十分にあると考えています。
Globalリソースを活用して提供できる価値
―― こうした海外リソースを活用し、我々LIGはどんなお客様のどんな課題を解決しているのか、改めてお話しいただけますか。
村田:さまざまな企業様の経営課題の解決に伴走しています。いくつか具体例を挙げますと、「手元にデータはあるものの活かし方がわからない」という課題に対しCRM導入や基幹システム構築をお手伝いしたり、「ECの売上を伸ばすためにカスタマイズ性の高いShopifyへ移行したい」という要望に対して、データマイグレーションプロジェクトを任せていただいたりしています。
IT人材不足に悩む日本では、どれだけ高額な報酬を提示してもエンジニアを採用できない状況に陥っていると感じます。これに対し、LIGは国内と海外をミックスしたエンジニアチームを組んでご支援するため、お客様が理想とする品質や規模感にマッチする提案ができると考えています。
LIGとしての強みは開発メンバーの豊富さだけではありません。大手コンサルティングファーム出身のコンサルタントが要件定義などの上流工程を担うため、大規模なプロジェクトであっても一気通貫でご支援できます。よって既存のお客様もすべて下請けではなく、直接お取り引きさせていただいていますね。
―― たしかに、大規模なプロジェクトを直接ご発注いただく機会が増えていると私も感じます。
国外に広がるビジネスチャンスを掴め
―― 最後に、これからLIGが海外でチャレンジしたいことをぜひ教えてください。
大山:今後注力したいのは、日本の企業からお仕事を受けて海外のチームと一緒に支援するだけでなく、海外の企業から直接お仕事をいただくことですね。現状まだ実現できていないので、コージさんを中心にこれから本気でやっていきたいと思っています。
村田:大山さんのおっしゃるとおり、フィリピンやベトナムの開発力を活かして外貨を獲得をしていけば、これからの日本においても生き残れる会社になれると思いますね。
ただし、あらゆる国の企業様とお仕事をしていくとなると、各国の情勢や法律を理解したプロセスが求められますし、プロジェクトの規模が拡大するにつれて相応のガバナンスを効かせる必要があります。そのため僕自身はまず、デリバリーの型化を進めて品質を上げることにコミットしたい。お客様から信頼してプロジェクトを任せていただけるよう全力を尽くしていきたいですね。
―― LIGの海外ビジネスが加速するよう、編集部としてもしっかり情報発信していきます。お二人とも本日はありがとうございました!