「天然のきのこを自分で探し出して採ってみたい!」、「でもどうやって探すの!?」、「何を目印にしたらいいの!?」とお悩みのきのこビギナーの皆さん。
どうも! ガイドの遊です。
最近はDIY系のブログばかり書いていましたが、たまにはガイドっぽいことも書いてみます。
- ガイドの遊ってだれ?
- LIGが運営するゲストハウスLAMP野尻湖に併設されているサンデープラニング・アウトドアスクールの専任アウトドアガイド。ガイドのかたわらThe Saunaの制作に携わったり、LAMPのあれこれを作ったり直したりと、LAMPに関するDIY作業はだいたい担当しています。秋はきのこガイドとして週5で山に入っています。最高。
▼過去に書いたブログはこんな感じ きのこ狩りをする上で必要な安全対策まとめ【ツアーガイドが解説します】 【計算式付き】DIYで階段を作ったら、実社会での数学の使われ方を知った話
きのこを探すにあたって、闇雲に森に入ってもまずお目当てのものは見つからないでしょう。
それは「街を適当に歩いて、兄弟・家族に出会える」くらいの確率だと思います。たぶん。
目当てのきのこ(兄弟・家族)に出会うためには、そのきのこの生態(仕事やスケジュール)や生育環境(勤務地・居住地)を把握せねば、ニアミスすることすら難しいでしょう。
てことで、まずはきのこについて勉強していきましょう!
きのこの生え方を覚えよう
そもそもきのこには、大きく二つの種類があり、生きた木の根っこと菌糸で繋がって養分のやりとりをして共生する「菌根菌」と呼ばれるタイプと、倒木や切り株、落ち葉などを分解して育つ「腐生菌」というタイプに分かれます。
- 菌根菌で美味しいきのこ
-
・タマゴタケ
・ホンシメジ
・ハナイグチ
▲毒きのことして有名なベニテングタケも白樺類と共生する菌根菌
- 腐生菌で美味しいきのこ
- ・ナラタケ
・ヒラタケ
・クリタケ
・マイタケ
・ナメコ
▲倒木にびっしりと生えるナメコは、木を分解して育つ腐生菌
きのこは「木の子」とも書かれるくらい樹木と密接な関係がありますので、菌根菌だろうが腐生菌だろうが、木のないところにはきのこは生えてこないってことですね。
当たり前ですが重要なことです。
木の種類を覚えよう
木の根から栄養をもらう菌根菌と、倒木や切り株などから生える腐生菌。どちらもきのこによっては特定の木からしか生えないものも多いです。きのこにも樹木の選り好みがあるみたいです。
有名なのはマツタケ=赤松から生えるってやつですね。
針葉樹や広葉樹というふうに、あまり樹種を特定せず、ストライクゾーンの広いきのこもあります。
ある程度特定の木から生えるきのこといえば、以下のものがあります。
ハナイグチ | カラマツやトウヒ |
---|---|
マイタケ | ミズナラ巨木 |
ナメコ | シラカバやブナ |
▲ミズナラの老木の根元から生えやすいマイタケ
- ストライクゾーンの広いきのこ
- ・ナラタケ
・ムキタケ
・チャナメツムタケ
▲色んな木に生えて、色んな場所に出てくるナラタケ
つまり、採りたいきのこがあるならそのきのこが生えやすい木を探せ! ってことですね。
採れる時期を覚えよう
きのこは主に秋に発生のピークを迎えますが、種類によっては春に生えるもの(春きのこ)や夏に生える(夏きのこ)ものもあるくらい、生える時期はそれぞれバラバラです。
そして秋のなかにもさらにシーズンがあり、夏の終わりの初秋なのか、秋らしくなってきた中秋なのか、冬の訪れを感じる晩秋なのか。3つのきのこの旬があります。
- 夏の終わりの初秋が旬のきのこ
- ・タマゴタケ
・ベニテングタケ(毒)
・ヒロハチチタケ
・ヤマドリタケ
・アカヤマドリタケ
・ハナビラタケ
・マイタケ
・ヤマブシタケ
・クリフウセンタケ
▲形が特徴的なヤマブシタケ
- 秋らしくなってきた中秋が旬のきのこ
- ・ナラタケ
・チャナメツムタケ
・シロナメツムタケ
・ハナイグチ
・ヌメリスギタケモドキ
・ブナハリタケ
▲個人的に一番好きなきのこ、ヌメリスギタケモドキ
- 冬の訪れを感じる晩秋が旬のきのこ
- ・ムキタケ
・ナメコ
・エノキタケ
・キナメツムタケ
・ムラサキシメジ
・キヌメリガサ
▲中秋〜晩秋が旬のクリタケ
という感じで、時期によって採れるものがガラリと変わります。
また、初秋のきのこは種類はたくさんあるけれど、量はそこそこ。晩秋のきのこは種類はぐっと減るけれど量は爆採れ、という特徴もあります。間の中秋は、初秋と晩秋のきのこが入り混じるので一番たくさん採れる時期になります(なのでツアーが一番混む時期でもあります)。
きのこの旬を知ることで、効率的なきのこ探しが可能になります。
▲多いときは20種以上のきのこを採ることもできます
きのこが生えやすい環境を考えよう
一般的にきのこってジメジメしたところに生えているイメージですが、大半はその通り、水気のある場所を好みます。
きのこも水がなければ生きられないので、当然といえば当然ですが、水気があまりない場所を好むきのこもいます。
- 水気が多い場所
- ・川や沢のそば
・湿気がたまりやすい窪地
・滝周辺
・沼地
・日陰
▲こういった沢沿いはきのこが生えやすいポイント
- 水気が少ない場所
- ・林道沿い
・日当たりの良い広場
・風通しの良い尾根筋
・日向
▲こういった場所は主に地面から生える菌根菌狙いです
といったところでしょうか。土中の水分量はなかなかわかりづらいですが、基本的に水気が多いところを好むきのこが多いので、水際を探すのが効率が良いということを覚えておきましょう。
きのこ目を養おう
きのこ好き界隈では、きのこが生えていそうな場所を目で追い、見つけたり、気配を感じたりする能力を「きのこ目」と呼ぶことがあります。きのこレーダーと言い換えても良いかもしれませんね。
このきのこ目(きのこレーダー)が高精度で稼働するためには、ここまで述べてきた「きのこの生え方」「木の種類」「採れる時期」「生えやすい環境」の知識と経験が必要になります。この4項目が埋められばグッと探しやすくなります。
例)ブナハリタケを採りたければ
「木から生える腐生菌でナラやブナなどの広葉樹に付きやすく、9月下旬〜10月中旬に旬を迎え水気の多い場所に生える」という感じで考えて探します。
ほら。なんかグッと見つけやすくなった気がしませんか?
▲知識をもとにお目当てのきのこを見つけられたときは感動ものです
いわゆるきのこ名人さんはこれらの考え方が知識と経験によって身についているので、意識しなくてもそういう怪しい場所を自然と目で追うようになっているからこそ、たくさん見つけられるというわけです。
きのこ探しのテクニック
それではここから実際に山を歩いているときにきのこを探すテクニックをちょっとだけご紹介しましょう。
死んだ木を探せ
比較的探しやすい・見つけやすいきのこは腐生菌の類です。
腐生菌は立ち枯れの木や朽木・倒木・切り株などを分解して成長するタイプのきのこなので、要は死んでしまった木を探せば、これらのきのこを見つけやすくなります。
ポイントは立ち枯れの木(立ったまま枯れている木)と倒木、切り株と倒木はセットであるということです。
この様な上半分が折れてしまった立ち枯れの木を見つけた場合、必ず近くに折れた先の木(倒木)が転がっています。
遠目で立ち枯れの木に何もついていなくとも、倒木の側にはお目当てのきのこが生えているかもしれません。こんな木を見つけたら必ず両方をチェックしましょう。
水場を探せ
やっぱりきのこはジメジメしたところが好きです。
常に水が流れている沢筋や、湿地などはきのこが発育するための水分が得られやすく、また谷の様な地形では倒木や枯れ木なども集まりやすいので、結果的にきのこがたくさん見つけやすいポイントになります。
▲時には川を渡ってきのこを探すことも
去年見つけた場所を探せ
ぶっちゃけこれが一番あてになります。
去年見つけた場所は、木や地面に菌糸が張り巡らされている場所なので、同じところから何度も出てくる可能性があります。菌糸は根っこの様なものなので、根(菌糸)さえ残っていればまた花(きのこ)が咲きます。
▲毎年大量のブナハリタケが採れる立ち枯れの木
こういったポイントを地図に書き込んだり、GPSに落とし込んだりしておくと、翌年のきのこ探しの効率がグッと上がりますよ。
腐生菌類なら、倒木や切り株の場所を”点”で記録。菌根菌類なら、赤松林とか白樺林という感じで”面”で記録しておくと良いでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
こういったポイントを抑えながら森に入ると、しだいに周囲の景色の中からきのこが浮き出てくる様な不思議な感覚になってきます。そうなってくると、特定のきのこの色合いや、てかり具合、特徴的なシルエットなどが50m先でも捉えられる様になるので、どんどんどんどん山歩きが楽しくなってきます。
より詳しいきのこの解説が聞きたい方は、ぜひLAMPのきのこ狩りツアーにご参加ください。残念ながら今年のきのこ狩りツアーの予約は埋まってしまいましたが、来年以降も開催予定です。ディープなきのこ話をしながら私と一緒に探しに行きましょう!
また、ぜひLAMPにも遊びに来てください!
それでは! また!