エンジニア採用が難しい3つの理由。成功のポイントや事例を紹介

エンジニア採用が難しい3つの理由。成功のポイントや事例を紹介

くま

くま

LIGのくまこと久松です。

最近では採用のみならずエンジニアの定着や活躍の文脈でウェビナーを開催していますが、お陰様で様々な企業様からご相談をいただいています。

なかでも「どうすれば採用ができるのか」というご質問は多くいただきます。今回はエンジニア採用を難しくしている背景や採用を成功させるためのポイント、さらには採用に成功した会社の取り組みを紹介します。

エンジニア採用に苦戦している方はぜひご覧ください。

【前提】2015年、2021年に加速・変化した採用市場

正確にはエンジニア採用が難しいのではなく、経験者エンジニア採用が難しい状況です。

以前中堅エンジニアが居ないことを嘆いたnoteを投稿したところ、共感を持って拡散されていきました。ご覧いただいた方も多いかも知れません。

採用市場に中堅エンジニアがほぼ居ない/どこに行ったのか目撃情報を集めてみた

予算が青天井のようにすら見える採用強者の登場や、フリーランスといった働き方の変化は採用市場を大きく変えていきました。

エンジニア採用の潮目はこの10年で大きく変わりました。

2010年代前半は不景気もあり、スマホアプリ開発者を除くとまだまだ買い手市場。

2015年、アベノミクスにより景気が上向いてくると、新卒エンジニア採用シーンから変わり始めました。ハッカソンが広がり、各社がこぞって実施。夏休みである8-9月は各社が採用を目的としたハッカソンや会社体験イベントを企画し、就活生のカレンダーを黒く埋めていきました。

2018年〜2019年前半がこうした売り手市場が狂気の領域に突入します。この頃の新卒採用では、学生時代にIT企業でプログラミングをしていた即戦力層や、AI・機械学習人材を中心に過剰な採用合戦が発生しました。

学生に内定承諾を求めるために一部企業では「寿司」「焼き肉」「キャバクラ」「外車オープンカーによるドライブ」などの過剰な接待が行われました。これを私は「オモテナシ採用」と呼んでいます。

こうした状況を利用し、なかには交通費支給をうまく組み合わせる猛者が登場しました。A社の交通費(往路)を使って地方から都内に移動し、そのまま2-3社見てから、またA社の交通費(復路)を利用して帰るというサイクルを組み合わせて、安く就活を進めている学生です。各社採用イベントページをスクレイピングし、交通費・宿泊費支給インターンのまとめサイトをつくっている学生もいました。

そして2020年のコロナ禍、オンラインでの採用手法に四苦八苦する企業が多い中、柔軟な企業が採用に成功。2021年にはリモートワークが前提となり、未経験・微経験フリーランスも多くなりました。

採用する側の企業としてはこうした変化を察知し、柔軟に意思決定をしていく必要があります。2015年以前の採用市場観で採用を継続していると、これらの節目に徐々に追従できなくなっていきます。

エンジニアの採用が難しい3つの理由

売り手市場の結果、ITエンジニアの目が肥えた

採用合戦が売り手市場にシフトし始めた2015年から5年以上が経過した採用市場では、過剰な採用合戦も当たり前になってきました。

テックブログがきちんと運用されているか、自社エンジニアによる技術イベントが開催されているかどうか、自社負担で海外カンファレンスに渡航できるかどうかなどが新卒・中途問わず会社選びの1つになってきました。

他にも高スペックなMacBookProが支給される、MacBookProのキー配列について希望が通る、専門書の購入負担がある、アーロンチェアが割り当てられる、といった実務に直結するところは基本的な会社選びの基準に。副業OK、リモートワークOKといった項目も差別化になりました。

2020年のコロナ禍では働き方の基本がリモートワークに変化。出社を求めた企業からはエンジニアが離れました。また、「会社のディスプレイを自宅に送れ」「会社の椅子を自宅に送れ」「電気代を負担しろ」という声も起き、交通費と相殺する形で「在宅手当」を支給する企業も多くなりました。そして緊急事態宣言が一時的に緩和された際に「やはりオフラインで」と切り出した企業からもまた、エンジニアが離れるように。

オフラインだからこそできた勧誘合戦や、イベント、出社してこそ意味のあるオフィス投資はリモートワークが前提となったからこそ「無駄な投資」「給与に還元して」という思想にシフトしてしまいました。

大まかに変遷を解説しましたが、「オモテナシ」され続けた結果、ITエンジニアの目は非常に肥えました。情報を扱う職業であるがゆえに世間の流れに敏感な人が多いです。このポイントを理解しないと、採用はできません。

エンジニアの指向性がよく変わる

働き方についての志向性も大きく変わってきました。いくつか代表例について触れていきます。

「顧客の声が聴きたい」の変化

2010年代の自社サービスでの採用では「顧客の声が聞きたい」という理由でSIerやSESから転職する人が多くいました。今でも0ではありませんが、少なくなっています。

現在起きているパターンとしては、最初は「顧客の声が聴きたい」と語っていた候補者も、採用強者から現年収の1.25倍以上を提示された段階で給与ありきで意思決定をする傾向にあります。残念ながら志は曲げられてしまうようです。

自由

20代から30代前半の企業からの人気が高い経験者エンジニアでは、フリーランスやSeed期スタートアップへの転身や転職が1つのムーブメントになっています。

これらを支える風潮が「自由」です。そこには様々な「自由」があり、働く場所や働く時間といったものから、評価、給与設定、社内制度をシガラミと捉えたものもあります。

経験者エンジニアが買い手市場となった結果ではありますが、一般的な中小企業でのマネージメントについても著しく難易度が高くなっています。

技術的負債

サービスがローンチされ、ユーザーがついてくるとそれに伴った改修や各種施策の追加や削除が発生します。なかには初期設計では想定しなかった対応も迫られるため、システムはツギハギに。

主にツギハギになったシステム、自身の設計ポリシーと反してメンテナンスしにくくなったシステムのソースコードやデータベース構造を指して「技術的負債」というエンジニアが多くいます。

以前は長期に渡って運用されている複雑化した巨大システムについて「技術的負債」と呼んでいましたが、今は誕生して数ヶ月の小規模なものであっても「技術的負債」と呼ばれる傾向にあります。

この技術的負債を回避していくと「自分達で作ろう」となるのです。制約がなく技術選定も自由な0からスタートできるSeed期のスタートアップに人気が集まり、運用フェーズの1-10や10-100のサービスからは人が離れていきます。

地方創生

コロナの影響でリモートワークが前提となり、採用のチャンスと期待されたのが地方人材です。弊社でもトライしましたが、結果が出たかと言われると自信満々にコンテンツにできるほどでは無いのが実情です。

遠くの東京の会社より、近くの有力企業のほうが強いという印象です。

東京から地方に移り住んだ面々に話を聞くと「地方に在住するからには、その拠点に納税したい」とのコメントが聞こえてきます。コロナ禍の影響で財政出動が著しい地方自治体にとってもこの話は歓迎で、お試し移住や企業誘致に力を入れています。地方人材採用がうまくいっている企業では、ターゲットエリアに支社を作っているのが1つの共通点です。

エンジニア採用の心構え

エンジニア採用手法は巷に溢れていますが、もっとも基本的なことは何かについてお話します。

なぜエンジニア採用したいのか?

経営層はエンジニアを採用することで何を達成したいのかを明らかにする必要があります。

他社が採用をしているからでしょうか? 大手企業がエンジニア採用したらイノベーションが起きると話していたのを聞いたからでしょうか? 外注に比べると安いと思っているからでしょうか?

これまでお話してきたように、エンジニア採用というのは非常に贅沢な行為になっています。トレンドも変わるため、継続して使える成功パターンはありません。上記のような理由で望むほどエンジニア採用は安くありませんし、環境の整備なくして定着や活躍もないでしょう。

大型投資を乗り越えてもなお、採用したい理由をはっきりとさせておくべきです。

過去の成功パターンに拘らない

「昔は採用できたのに、今は採用できない」と嘆く方々とお話をしていると、かつての成功パターンをずっと繰り返していることが多いです。

採用市場には同じ集団がずっといるわけではありません。素人の魚釣りのような発想は捨て、今採用したいターゲットはどういったことを好み、どのあたりにいるのかを情報収集し続けることが必要です。

個人的な見解ではエンジニア採用のトレンドはシーズンごとに変わります。不人気と言われた往年の採用メディアが再び盛り上がることもあれば、鳴り物入りで参入してきたサービスが数ヶ月で廃れることもあります。

2年いてくれたら十分定着してくれたという感覚

採用手法が高度化し、熱を帯びた結果として、入社後の定着や活躍がおざなりになっているケースを散見します。人材が流動的な現在では、数年前と比べてもカジュアルに半年以内離職が発生します。

また、雇ったら定年までいてくれることも全くありません。情報感度が高い人材であれば、感覚としては2年定着してくれたら祭だと捉えています。正社員のアタリマエの認識を改め、新しい経験を継続的に提供する必要がある他、採用予算だけでなく離職予算を算用に入れて計画していく必要があります。

エンジニア採用を成功させる2つのポイント

ここからはエンジニア採用を成功させる2つのポイントについて紹介します。心構えができたあとは、実践あるのみです。もちろん、この2つを行うだけで必ず成功するとは言い切れませんが、成功率は格段に上がるでしょう。

どんなエンジニアがほしいのかを明確にする

人事担当者の方はどんな人材がほしいのか、を現場とすりあわせておく必要があります。細かい方法にこだわるよりは、このような基本的なことをしっかりと行いましょう。エンジニアと一言でいっても、フロントエンドやバックエンド、さらにはデータサイエンティストなどさまざまな職種があります。

それらをまとめて「エンジニア」と呼ぶのではなく、どのエンジニアがほしいのかを明確にしておきましょう。また、同じ職種でも使う言語はそれぞれです。そのため、プログラミングスキルが高い人材がほしい、と漠然と解釈しておくのではなく、どういう理由でどういうスキル(プログラミング、論理的思考力、コミュニケーション能力)を持ち合わせている人材がほしいのかを明確にしておきましょう。

自社のエンジニアに協力してもらう

現場の人とすりあわせることも一つですが、人事や面接担当者がスキルを持ち合わせていない場合は、一緒に面接をすることにも効果があります。

いわずもがな、これは現場と人事でのミスマッチを減らすために行うものです。現場で求められるスキルや応募者がどれくらいスキルをもっているのかは現場の人しかわからないことも多いでしょう。そのため、書類選考や面接を一緒に行うことが有効と考えられます。

エンジニア採用でやってはいけないNG行動

特にエンジニア採用で気をつけてほしいことは、レスポンスです。今や売り手市場となっているエンジニアは引く手あまたの人材。そのため、多くの会社からオファーがかかっている状態といえるでしょう。

レスポンスが遅いと面接辞退をされる可能性が高くなります。メールやチャットのレスポンスはできるだけ早めに行うようにしましょう。また、面接日程も自社都合で決めるのではなく、応募者都合で決めるのが良いとされています。

エンジニア採用を成功させた企業事例

ここからは実際にどのようにしてエンジニア採用を成功させたのか、企業事例を紹介していきます。

株式会社コーボー

株式会社コーボーは社員15名と少ないながらも1年半で4名の採用に成功しました。同社は受託開発/SESを主に行っていますが、それらは案件によって業務内容、稼働力、労働環境が変わるものです。

そのマイナスイメージを払拭するために、元請けの案件の獲得や高稼働の企業や炎上が多い顧客とは取引を控えるようにしました。そのようなエンジニアを大切にする風土を発信し始めてからはエンジニア採用が成功するようになったのです。

株式会社LIG

エンジニア採用に成功したというのは恐縮ですが、上手くいっていると思うので、弊社の取り組みも紹介します。

弊社はエンジニア採用をやったことがない人事が採用をはじめました。応募者の不安をできるだけ拭うために記事の作成や社員が実際に書いた記事を応募者やスカウト時に送ったり、エンジニア採用が豊富な人事の採用などを行った結果、エントリー数、面談数はおよそ2倍、内定数は1.3倍になりました。

詳しい取り組みについてはこちらの記事で紹介しているので、エンジニア採用未経験の人事の方はぜひご覧ください。

それでもエンジニア採用をしますか?

採用も難しければ定着も難しく、活用するのも難しいのが日本人エンジニア採用です。エンジニア採用の労力は右肩上がりになっています。また、定着も怪しいとなると組織の維持も大変です。

事業を前に進めるという企業のゴールを考えると、エンジニア採用や内製化は贅沢品といえます。内製化する理由は何かを企業として考え、その内容次第ではパートナー企業や海外拠点を活用することに振り切ったほうが時間もお金も有効利用できるでしょう。

弊社ではITエンジニアの採用・定着・活躍に関するコンサルを実施している他、上流工程も踏まえた開発ソリューションもご提供しております。お気軽にご相談ください。

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くま
くま テクノロジー部 マネージャー / 久松 剛

2000年より慶應義塾大学村井純教授に師事。動画転送、P2Pなどの基礎研究や受託開発に取り組みつつ大学教員を目指す。博士(政策・メディア)。2012年に予算都合で高学歴ワーキングプアを経て株式会社ネットマーケティング入社。Omiai SRE・リクルーター・情シス部長・上場などを担当。2018年レバレジーズ株式会社入社。開発部長、レバテック技術顧問としてITエンジニアのキャリアに向き合う。2020年より株式会社LIGに参画。エンジニア資源を最大化するために研究をしていたら教育システムに行き着く。noteも更新中。