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【実践事例あり】地方でゼロから町を盛り上げる手法を大公開!

ケン

みなさん、こんにちは。LAMP豊後大野支配人のケンです。

大分県豊後大野市に移住して4年。これまでに豊後大野の情報メディア「豊後大野カンケイ協会」を作ったり、アウトドアサウナ協議会「おんせん県いいサウナ研究所」を設立したり、最近では、豊後大野市が全国で初となる「サウナのまち」宣言をしたりと、町を盛り上げる仕掛けにいくつもチャレンジしてきました。

今回は、私が実践した、地方でゼロから町を盛り上げる方法をご紹介します。この方法論は汎用性が高いため、どこかの町を盛り上げることができるきっかけになると思います。地方創生に興味がある方や地域を盛り上げようと頑張っている人に届いたら幸いです。

はじめに

この話を始める前に、少しだけ私の話を。LIGにジョインする前は、出版社で働いていて、雑誌やWebメディア編集をしていました。

雑誌の編集では、自分の担当ページに加え、今回の目玉の企画は何にするかなど、編集会議で企画を持ち寄っては、あーでもないこーでもないと雑談を交えてアイデアを成熟させていくブレストを行います。

企画のアイデアが浮かばないときは、本屋に出かけ、並んでいる雑誌を見ては、この企画はどのようにして成立しているか、そして自分たちの雑誌ではどんな企画ができるかを考えていました。ときには、街で人を眺めながら人間観察をして、この人は今何を考えながら歩いているのだろうかと想像しては、企画に落とし込めるものはないかをひたらすらに考えていました。

アイデアを企画に落とし込み、形にしていく。そうして雑誌が販売され、お客様の手元に届く。その反応が、SNSや葉書(今もきっと雑誌は葉書で感想などが来るはず)を見て、企画が成功だったか、面白いものができたかを判断してくれる材料になっていました。

なぜこんな話をするかというと、

【まちづくりは、「編集」である。】というのが、現在進行形でまちづくりに関わっている私がやっている手法だからです。この「(雑誌の)企画を考える」と同様のプロセスでまちづくりに携わっています。

つまり、まちづくりを形成する、なにかの企画を立てる一つの手法として、「編集」は非常に使える手法なのです。

私が現在、豊後大野市で進めているプロジェクトは主に以下です。

 

 

地域を知る

豊後大野市は、大分県南部に位置していて宮崎県との県境にあります。人口は3万4000人で、そのうちの44%が65歳以上の高齢者と高齢者率が高い町です。

豊後大野市という名前になったのは、今から16年前の平成17年。7町村が合併して豊後大野市になりました。観光客の滞在時間は、主に0.5〜1日程度なので、観光客が素通りすることが多く、阿蘇を抜けて別府や湯布院に流れていくお客様が道の駅に立ち寄るくらいの街でした。

そして何より温泉を売りにするおんせん県おおいたにありながら、豊後大野市には温泉がありません。割と不利な条件が揃っています。

4年前に引っ越してきた私は、まずLAMP豊後大野へ来てくださるお客様に、この町を知ってもらうために町の勉強から始めました。

地域を知る、ということは「素材を集める」ということです。編集でいうところの、企画の種を探すことから編集がはじまります。

その中のいくつかの例がこちらです。



歴史、伝統、お店、食べ物、町の人たちの人柄、環境、観光、お土産品、加工品、サービス、福祉、教育…etc.

自分の興味があるものでもいいので、とにかくその町のこと、地域のことをよく知るのが重要です。これは編集でいうところのリサーチでもあります。

自分がいる町に興味がなかったら、企画も成立しないし、何よりもこの土地に来てくださる人たちが喜んでくれるわけがないので、徹底的に調べます。図書館でもいいですし、歴史民俗資料館でもいい。市役所でもいいですし、人伝いに話を聞いてもいいです。とにかく町のことをよく知ることこそ、その後で紹介する「素材を編集する」につながります。

素材を集めたら次のステップです。

仲間を集める

こちらも重要です。小さい町とはいえ、協力者がいなかったら何もできません。一人でできる範囲は限られています。ましてや、移住者であれば尚更で、地元の方々を繋いでくれる人が必要です。

同じ志の仲間を増やすには「とにかく夜な夜な酒の席で町の未来について語り合うこと」です。

ここで出た話は、空中戦も多いですが、ある意味ゴールを見定めるにはいい機会です。もちろん意見が違ってケンカをするときもありますが、この人は町についてこういう風に思っているという理解にもつながります。逆を言えば、仲間として任せられる領域が決まるのです。

町には、必ずといっていいほど地域を盛り上げたいと思う若者がいます。それぞれ思惑はあるにしても、その人とどうすればうまく関われるのかを把握しておくことはその後の一手を打つときに必ず必要になります。

加えて、日ごろから仲間にしたい人やなりたい人にとにかく言い続けることも大切です。こんなことをしたらおもしろいんじゃないか、などを人に話まくる。すると共感してくれる人が出てきて、仲間に加わってくれることが多いです。

これが私が実践した仲間を増やす方法です。

町の素材を編集する

次に、集めた町の情報をどのように編むかを考えていきます。

これはいくつか手法があると思いますが、一番わかりやすい手法は、「足す、引く、掛ける、割る」です。

こういった類のものは既にやっていることが多いです。たとえば、「温泉」x「まんじゅう」=「温泉まんじゅう」や、「北海道のご当地シャケ」+「鍋」=「石狩鍋」といった感じです。

町にある素材をどう切り取るかは非常に町のキラーコンテンツを作る上では重要です。

私の実践したものでいうと、「大自然」x「自然を活かしたサウナ」=「サウナのまち・豊後大野」です。

大自然は、どこにでも多くありますが、豊後大野市は、九州で唯一「ユネスコエコパーク(※1)」と「日本ジオパーク(※2)」の2つに登録されているほどの大自然があります。この強みは九州においても抜きん出ていますし、私たちが展開するフィンランド式サウナ「REBUILD SAUNA」だけでなく、豊後大野にある宿泊施設や飲食店が自然を活かしたサウナを5カ所で展開しています。

そうすることで、点ではなく面で戦うことができ、それぞれの特徴を活かしたサウナを展開することで、サウナが好きなサウナー(サウナに入る人)たちがどこを巡っても楽しめるような仕組みを作りました。

今まで観光客の滞在時間が、0.5〜1.0日だったのに対して、サウナを巡ることによって1.5〜2.0日まで伸ばすことに成功しています。

※1ユネスコエコパーク:豊かな生態系を有し、地域の自然資源を活用した持続可能な経済活動を進めるモデル地域。2020年10月現在国内は10地域。
※2日本ジオパーク:地球・大地(ジオ:Geo)と公園(パーク:Park)とを組み合わせた言葉で、大地の公園を意味し、地球(ジオ)を学び、丸ごと楽しむことができる場所。

そして、次のゴールまでのプロセスを豊後大野市長・川野文敏氏に話をしたところから、2021年7月18日、豊後大野市は全国で初めて「サウナのまち」宣言をすることができたのです。

競合を調べる

よくありがちな話として、同じ地域で同じことをやっている場合があります。また他の県や市でも同じことをやっていて、企画したときには二番煎じ、三番煎じだったなんてことが多々あります。

唯一無二の地域性を出すには、地域を知ることが第一歩です。他の地域ではどのようなことをやっているか、どのようなアプローチをしてアピールしているか、その企画によってどういうことがもたらされているかを知る必要があります。たとえば、それが観光であればどれくらいの観光客が来ているかなどです。

隣の芝生は基本青く見えますが、リサーチして競合がいるか、いたら自分たちはどのようにアプローチすべきなのかを考えていきます。

私たちの場合は、サウナにおいて全国各地でサウナで町おこししているところが多かったのですが、町の宿泊施設など5カ所で自然を活かしたサウナを多くやっている町はまだありませんでした。それに加えて、行政が「サウナのまち」を宣言したところはどこにもありませんでした。そしておんせん県といわれる大分県で、温泉がない町としてメリットを逆手に取り、全国初の宣言をするところに町の優位性を感じていました。

ゴールまでのプロセスを考える

まちづくりに関わるうえで、意外と抜けてしまっているのが、ゴールの輪郭をはっきりと浮かび上がらせることです。

企画の打ち手に対して、エンドユーザーがどういう体験をするか、どうして欲しいのかが重なる場所を探していきます。

そして、プロジェクト自体のゴール(つまり町の未来)がどうあるべきかを考えます。

この粒度が高ければ高いほど、打ち手もはっきりしますし、輪郭がはっきり見えていればいるほど、判断も早くなり最短で目標に向かうことができます。もちろん、短期、中長期で分けて考えることも重要です。

私たちの場合は、サウナを通したサウナのまちづくりと、町の商店街における経済活性化、未来の教育と福祉についてのゴールを直接市長に伝える機会があり(新型コロナウイルスの影響で遅れましたが)2年がかりで「サウナのまち」宣言までたどり着きました。ただ、これはゴールではなく、もっと先のゴールに向かって打ち手を打っていきます。

行政とつながる

行政とつながるのは、最後の砦だと思います。もちろん関係づくりは簡単にはできません。

私たちは、幸いなことに指定管理と移住という部分で豊後大野市とは良好な関係を築いてきたからこそ、今の関係があります。この関係性はなかなか作れるものではありませんが、その関係性だけで連携することはできません。

行政では、市にもメリットがある、市民や町経済にもメリットがある、自分たちの事業にもメリットがある(事業はあくまでその一部のメリットによるPRや宣伝的な利点として)三方よし状態でないとなかなか動いてくれないところがあります。

豊後大野市はそういう意味でいうと、フットワークが軽い町なのかもしれません。

行政と連携するために、私が実践したことの一つは、一歩を踏み出すスタートラインまで整えておくことです。

地方に蔓延る「行政頼み」や「補助金目当て」の事業ではなく、歩むべき未来に向けて市民にも、経済にも、市役所にもメリットがある未来を描けてないと、なかな難しい結果になるでしょう。

でも、これには行政側の協力者も必要なんですけどね(豊後大野市さん、いつもありがとうございます)。

さいごに

そもそもなぜまちづくりをやっているのか。僕たちの本業は、宿です。しかし、宿は観光客の方々が私たちの街に足を運んでくださらない限りは、ご飯を食べていけない。待っていたってお客様が来てくださるわけでもない。だったら自分たちで観光客を増やしてLAMP豊後大野に来てくださるお客様を増やしたらいいという結論に至ったからです。

私たちだけが儲かればいいわけでもなく、私は豊後大野市に足を運んでくれる観光客も、住んでいる人たちも、子供も、若者も、お年寄りも、働く人もみんなが笑顔で幸せになる街でありたいと願っています。

今きっと豊後大野市は熱い街になってきています。移住したこの4年で大きく変わりつつあります。運良く私だけではく、同じようなタイミングで20〜30代がおもしろいプロジェクトをはじめています。

そして、行政もそれを後押しするように、教育や福祉、まちの整備の改革を始めています。大分県のなかでもマイナーでなかなか名前を覚えづらい(そもそも豊後が読めない)町がいま、おもしろい町に変わろうとしています。

そんな豊後大野へ、LAMP豊後大野へ、REBUILD SAUNAへぜひ遊びにいらしてください。

豊後大野へいこう!

M o n g o