みなさん、こんにちは。ゲストハウスLAMP豊後大野・スタッフの山下清です。
12 月 2 日(土)・ 3 日(日)に、大分県豊後大野市緒方町にある原尻の滝周辺にて、ふんどし一丁で神輿を担いで真冬の川を渡る奇祭『緒方三社 川越しまつり』に参加してきました。
- 緒方三社 川越しまつり
- 一年に一度、緒方町にある原尻の滝上の河原で「一宮社=仲哀天皇」「二宮社=応神天皇」「三宮社=神功皇后」が会合し二宮社で一夜するにあたり、三宮社からふんどし姿の男達が神輿を担ぎ川を渡って二宮社に届けるというもの
このお祭りは 800 年もの歴史があるにもかかわらず、過疎化や高齢化の影響で、神輿の担ぎ手不足という課題を抱えています。その課題を解決すべく、前回の記事で、一緒に神輿を担いで川を渡ってくれる男衆を 3 人募集しました。
【挑戦者求む】12月の真冬にふんどし一丁で800年続くお祭りの神輿を担ぐ強者を募集します。
お祭り 2 日前の記事公開だったので、「 1 人ぐらい集まれば良いかもなぁ」と思っていましたが、
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4人も来ました。
ありがたい! 非常にありがたい! 担ぎ手は 1 人でも多い方が助かります。
ということで、真冬の地獄の祭り『緒方三社 川越しまつり』に参加してきました。
担ぎ手に参加してくれたメンバーを紹介します
まずは参加してくれたメンバーを紹介したいと思います。
まずは 1 人目、中村允紀(なかむらよしき)さん。普段から着物で過ごし、ふんどしも身につけています。ふんどしには慣れているんだとよくわからない理由から参加してくれたようです。誰よりもテンションが高くて、ちょいちょい筋肉の自慢をしてきます。こんな祭りの担ぎ手に名乗り出てくるなんて、頭がおかしいとしか思えません。
2 人目は、梅田涼平(うめたりょうへい)さん。別府にある立命館アジア太平洋大学の大学生。このお祭りが面白そうだという理由から参加してきてくれました。川の寒さも知らずに楽しそうだというこの男も頭がおかしいとしか思えません。
3 人目は、坂口健心(さかぐちけんしん)さん。梅田さんの後輩で立命館アジア太平洋大学の大学生。募集条件を20歳以上にしたのに「19歳です!」と応募してくる、もはや話すら聞かない男です。
4 人目は、中嶋 雄士(なかじまゆうし)さん。九州に旅行で来ているにもかかわらず、「たまたまお祭り当日に近くにいるから」という理由だけで応募してきました。翌日朝イチに東京へ帰る飛行機を取っているのにお祭りに参加してくれました。この人もやっぱりどうかしている人に違いありません。
この 4 人と一緒に三宮社から二宮社まで神輿を担いで川を渡ります。来てくれて本当にありがとうございます!
絶対に守らなければいけない3つの掟
『緒方三社 川越しまつり』には、神輿の担ぎ手として守らなければならない絶対的な心得が 3 つあります。
- なにがあろうとも神輿から肩を外してはいけない
- なにがあろうとも神輿を落としてはいけない
- なにがあろうとに本ごし(神輿の重要な場所)を他の地区に譲ってはならない
これらは鉄の掟です。もしこの掟を破ったら、大変なことになるみたいです。
ひと通りお祭りの心得や注意事項を教わったら、お待ちかねのお祭りのはじまりです。
まずは神輿を担いでこの階段をくだるところから川越し祭りがスタートします。まだ服を来ていますが、「宮田仮社」という中間地点で一旦神輿をおろし、そこからふんどし姿に全員着替えて川を渡ります。
軽トラ 1 台ぶんの重さがある神輿を担いで階段をくだる大変さたるや…すでに正気の沙汰ではありません。
30分ほどかけて無病息災や五穀豊穣を祈りながら練り歩きます。
ようやく中間地点に到着しました。ここで一旦神輿を降ろします。
メインの川越し前にすでにこの有様です。かなり体力を消耗します。地域の長からは「お前は身長が高いんだから、前の方で担ぐな! 傾くだろ!」と言われました。身長が大きいことを人生で初めて後悔しています。
ここで、ふんどし姿に着替えます。
決戦を前に勇ましい姿をご覧ください。 12 月です。
宮田仮社をあとにし、再びスタートします。ここからさらに他の地区の担ぎ手が加勢して、川越しを目指します。
別の地区の人間に神輿の大事な部分を譲ってはなりません。川を渡る前に担ぎ手同士の怒号が飛び交い、担ぎ場所のせめぎ合いがあります。
たいまつを持つ前の 2 人が、足元を照らしながら歩いていきます。街灯もないので、このたいまつが重要な役目を果たします。
担ぎ手も増えて、いよいよメインの川越しへ向かいます。
いよいよ本当の川越しまつりがはじまる
エイサー! ホイサー! 夜に響く男たちの声。
時折聞こえるシャッター音と拍手。観客の視線とは裏腹にこの寒さに負けないようにと、とにかく声を出します。前にうっすら見えるたいまつの火だけを頼りに…。
気を抜いたらすぐに川に流されます。必死に先頭に食らいついていきます。ここまで来たら気合いどころか、神輿を無事に届けるという使命感だけです。
川底は藻で滑りやすくなっていて、かなり危険です。転倒する者、流されそうになる者、体力の消耗で遅れをとる者。みんなで支え合い、誰一人遅れることなく体を引き上げながら進みます。
なにがあろうとも神輿から肩を外してはいけない。なにがあろうとも神輿を落としてはいけない。鉄の掟が頭のなかで蘇ります。
必死を通り越して、もはやトランス状態です。
川を渡り終えたら、二宮社にある神輿まで届けるだけです。ここまで来るともはや何も考えられないです。鉄の掟…どこいった?
なんとか川を渡りきり鉄の掟も破ることなく、無事に神輿を引き合わせることができました。
ここで 1 日目は終了。この要領で 2 日目も同様に川を渡り、無事に三宮社へ神輿を戻すことができました。
川越しまつりが教えてくれた達成感と仲間の大切さ
2日間を通して、「人は限界を超えて目的を果たすととんでもない充実感と達成感に満たされる」ということを川越しまつりが教えてくれました。
それは参加してくれた 4 人も同じだったようで、僕らは自然と抱き合っていました。
たった2日間という短い時間を共に過ごしただけですが、初対面の僕ら 5 人には確かな友情が芽生えていました。実はいうとお祭りに参加すると決まったときは、正直気を病んでいました。しかし、担いでくれる仲間も来てくれて腹をくくって体験してみると、何にも替えがたい最高の瞬間が待っていました。
どんなことでも命をかけるほど本気になれば、乗り越えたその先には今まで経験したこともないようなすばらしい世界があるのかもしれません。『緒方三社 川越しまつり』は、身をもって教えてくれる最高のお祭りです。
地域の方からも「人を呼んでくれてありがとう! 正直どんな人が来るかもわからない中でしっかりと担いでくれるか心配だったんだ。でも、呼んでくれた方々は本当に良く担いでくれた。本当にありがとう!」と、とても感謝されたので来年も担ぎ手の募集をする予定です。
このお祭りには、体験してみないと味わえないドラマがたくさんあります。ぜひ来年、実際に見て体験しに来てみませんか。あなたの挑戦を待っています!
それではまた! 山下清でした。
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