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【東京宝島体験レポート】父島編(前編) 片道24時間かけて父島に行け“なかった”ので、江戸川橋で父島を体験してきた

ころも

こんにちは、LIGメディアディレクターのころもです!

私は今、東京宝島の一つである「父島」にお邪魔して……いません。

えっ???

取材依頼をいただき、実は2月に東京・竹芝からフェリーに乗って父島に行く予定でした。でも行けなくなりました。例のアレで(コロナです)。

ガイドブックも買って、めちゃくちゃ楽しみにしていたので「少しでも父島を感じたい!」と近場で関連スポットを探したところ、父島在住の方から1軒のレストランを紹介されました。

それが東京都文京区・江戸川橋にある「ボニンアイランドシェフ」です。ボニンアイランドとは、英語で小笠原諸島のこと。ここなら食を通して父島を感じることができるかもしれない!

ということで今回は「父島編・前編」としてボニンアイランドシェフ訪問記をお届けします!

※以下、記事上の演出により登場人物はマスクを外しておりますが、感染拡大防止に努めて撮影・取材しています。

そもそも「東京宝島」とは?

東京宝島とは、東京にある11の島(大島、利島、新島、式根島、神津島、三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島、父島、母島)の総称。これらの島々には、素晴らしい自然景観や海洋資源、特産品、歴史・文化という“宝物”があります。その魅力を広く発信するため、それぞれのブランドコンセプトに基づいて取り組みを進めています。

父島のブランドコンセプトは「ありのままにいのちが輝く、別世界を生きる島」。

「父島」ってどんな島?

▼「父島」とは
東京から南に約1000㎞の太平洋上にある小笠原諸島の島の一つ。母島とは約50㎞離れている。父島にも母島にも空港がないため、来島手段は週1便の定期船「おがさわら丸」のみ。東京の竹芝桟橋から父島の二見港まではおよそ24時間かかる。

島の面積は約24k㎡で千代田区の約2倍。約2,100人が暮らしている(2021年時点)。緯度は沖縄とほぼ同じ。年間の平均気温は23℃で、気温の変化が少なく過ごしやすい。

豊かで独特な生態系の価値が国際的に認められ、父島を含む「小笠原諸島」は2011年にユネスコ世界自然遺産に登録された(父島では集落などを除いた陸・海の一部が世界遺産区域)。

さっそく“江戸川橋のボニンアイランド(小笠原)”で父島を堪能!

やってきました「ボニンアイランドシェフ」。地下鉄有楽町線「江戸川橋駅」からすぐ、地蔵通り商店街の一角にあり、鮮やかなブルーのドアが目を引きます。

ではではお邪魔します!

濃厚なトマト、巨大なオクラ。父島の自然の中で育った食材を使ったアレンジ料理に舌鼓

ころも:こんにちは〜! 本日はよろしくお願いします。

ヤスさん:いらっしゃいませ。

人物紹介:ヤスさん
「ボニンアイランドシェフ」オーナー兼シェフ。22歳のときに父島に移住し、レストラン「チャーリーブラウン」でシェフとして勤務。40歳で島を離れ、2013年7月に「ボニンアイランドシェフ」をオープン。

ころも:さっそくですが、いろいろあって現地に行けなかったので、食から父島を感じたいんです!父島産食材を使った料理をお願いできますか?

ヤスさん:もちろんですよ。今日はこれらの食材を使います。オクラ(ピューレ)、島レモン、プチトマト、アカハタ(アカバ)です。

ころも:トマトって夏が旬のイメージがあるんですが、父島はこの時期でもとれるんですか?

ヤスさん:普通は春から夏だと思いますが、父島では12月からゴールデンウィークごろまでとれますね。太陽の力で味が濃く甘くなるので、初めて食べたお客さんは大体びっくりしますよ。サラダに入れて出すとテーブルで取り合いになっているのをよく見かけます(笑)。

ころも:色も濃くて見るからにおいしそうです。

ヤスさん:まずはサラダを作りますが、島レモンとお酢を混ぜた液で青パパイヤをマリネします。島レモンは9〜11月ごろが旬で、香りがいいんです。今の時期はないんですが、シカクマメという野菜も人気ですよ。オクラはピューレ状にしたものをお好み焼きにしていきます。

ころも:オクラのお好み焼きですか!? 山芋のお好み焼きはよく居酒屋メニューで見かけますが、オクラバージョンは初めてです。でもオクラってこっちでも売っていますよね。

ヤスさん:父島のオクラはサイズが大きいんですよ。20センチくらいはあるかな。普通、オクラは大きく育てると筋が硬くなって味が落ちます。でも父島だと太陽のパワーで一気に育つので、大きいのに柔らかいんです。

ころも:20センチってめちゃくちゃ大きいですね。味も違うんですか?

ヤスさん:中の密度が高いので濃厚で、粘りが強いのが特徴です。だからお好み焼きの生地に使うと、小麦粉を入れなくてもちゃんとまとまるんです。

販売は6〜10月ごろなので今はピューレしかありませんが、シーズン中は天ぷらにして出すこともあります。食べるまでオクラと気づかないお客さんもいますね。

ころも:天ぷら、気になる……。絶対夏にまた食べにきちゃいます(笑)。アカハタはどんな料理にするんですか?

ヤスさん:アカハタは白身魚で淡白なので、野菜と一緒にガーリックバターソテーにします。父島ではアカバと呼ばれていて味噌汁や唐揚げで食べるのが定番ですね。でもちょっとクセがあるんですよ。

ころも:魚の生臭さですか?

ヤスさん:いえ、珊瑚を食べているからなのか、独特の風味があるんです。人によっては苦手かもしれません。でもお酒好きの方は「このクセがたまらない」と言いますね。

ころも:珊瑚のクセ! なんか想像がつきません。

ヤスさん:小笠原の魚だと秋にとれるメカジキも人気ですね。

ころも:絶対おいしいやつですね。食材は父島から直接買い付けているんですか?

ヤスさん:ええ。定期船が週1便なので、1〜2週間に1回、父島の農協などから買っています。

ヤスさん:これで完成ですね!「小笠原オクラの海鮮お好み焼き」「島魚のガーリックバターソテー」「島野菜のサラダ」、ドリンクは「魅惑のジョンビーチ」です。

ころも:おぉ〜。初体験のお料理ばかり。大人気というミニトマトからいただきます!

ころも:ほんとだ! 甘い! フルーツトマトみたいです。私のプチトマトの概念を打ち破ったかも……。パパイヤのマリネも控えめなレモンの酸味が合う。

ヤスさん:お好み焼きも熱いうちにどうぞ。

ころも:もうフォークを入れた瞬間から粘りがすごい(笑)。ふわっふわですね。食感が軽いから一皿ペロッと食べられそうです。これ絶対女性に人気ですよね?

ヤスさん:アタリ。

ころも:アカハタは身がしっかりしていますね。気にしてみると、確かに独特の風味はあります。でもそれはそれでおいしい。私は好きですね。

プチトマトもオクラもアカハタもこっちでも食べられますが、育つ環境が違うだけで、こんなにも大きさや味に違いが出るんですね。うまみがギュッと濃縮されている感じがします。

ヤスさん:太陽の力かもしれませんね。父島の食材はどれもとてもおいしいですよ。

ころも:そういえば式根島に行ったとき、島寿司を食べました。お寿司にカラシをつけるのは初めてだったんですがすごくマッチしていておいしかった。確か父島でも食べられるんですよね?

ヤスさん:そうですね。ちなみに刺身単体で食べるときは、鷹の爪で食べるのが小笠原流ですよ。でも小笠原って島の歴史が浅いので、あまり名物料理ってないんですよね。ガイドブックに載っているのもアカハタの味噌汁、島寿司、カメの煮込み、カメステーキくらい。だからウチでは主に島の食材を使った「アレンジ料理」を出しています。

ころも:でもどれも父島産食材のうまみが生きていて、ほんとおいしいです。舌から父島を感じられた気がします。

ドラマチック!父島産食材を扱うレストランの開業は、ある小学生との出会いがきっかけだった

ころも:「ボニンアイランドシェフ」はいつごろオープンされたんですか?

ヤスさん:2013年の7月ですね。その前は15年ほど父島にある「チャーリーブラウン」というレストランで働いていました。

ころも:ボニンアイランドって英語で小笠原のことですよね? ということは最初から小笠原をコンセプトにするつもりだったんですよね。

ヤスさん:それが逆なんですよ。先に名前が決まったんです。それで「ボニンアイランドとつけるなら、小笠原に絡めないと」と思って、父島産食材を使った料理を提供することにしたんです。

ころも:え、そうだったんですか!? 「父島大好きなオーナーが、小笠原の味をみんなに知ってもらおうと開いたレストラン」だと勝手に思い込んでました(笑)。でもなぜこの名前にしたんですか?

ヤスさん:実は店の名前を考えたのは僕じゃないんです。15年ほど前、僕がまだ父島にいたころ、たまたま家族旅行に来ていた小学5年生の男の子に出会いました。彼は父島をとにかく気に入って「誕生日プレゼントもクリスマスプレゼントもいらないから、父島に行きたい!」と親に頼み込んで、一年に一回、一人で島に来るようになりました。

ころも:すごい行動力ですね。彼をそこまで惹きつけるものがあったんでしょうね。

ヤスさん:彼は父親の知人の家に滞在していたんですが、いつからか僕がお店のランチタイム後の空き時間に、彼を海やドライブに連れ出すようになりました。

その彼が、あるとき手紙をくれたんです。その中で僕に「ボニンアイランドシェフ」というニックネームをつけてくれて……すごく感動しました。それで「いつか自分のお店を開くときは、絶対にこの名前にしよう」と決めました。

ころも:なんかもう、ドラマになりそうなお話ですね。

ヤスさん:一応、実話です(笑)。そのときの手紙ではありませんが、メニューの裏に彼からの手紙のコピーを入れています。

ころも:ほんとだ! 彼はこのお店のことを知っているんですか?

ヤスさん:ええ。もう社会人になっているのですが、何回か食べにきてくれましたね。

お店の名前がボニンアイランドになったので、「だったら小笠原の食材を扱わないと」ということになり、父島から野菜や魚を仕入れて料理を提供するようになりました。

ころも:彼はこのお店の運命を左右したといっても過言じゃないですね。いや、ほんとドラマにしましょう(笑)。

独立するなら島外に。愛してやまないレストランを離れ“小笠原っぽい”江戸川橋へ

ころも:今度はヤスさんご自身についてお話を聞かせてください。いつごろ、どういう経緯で父島に移住されたんですか?

ヤスさん:高校を卒業した後、調理師学校を経て日比谷のレストランで3年ほど働きました。でもいろいろうまくいかず、遠くに行きたくなって……。海外も検討したんですが飛行機ですぐに帰ってこられるので、船でしかいけない父島に行くことにしたんです。

ころも:そっか、確かに海外よりアクセスは限られているかもしれませんね。

ヤスさん:22歳のときに父島に移り、「チャーリーブラウン」というレストランに出会いました。そこは海沿いに立地していてテラス席があるんですが、その外観が中学生のときに思い描いていた「未来の自分のお店」のイメージそのものだったんです。それでオーナーに頼み込んで、働かせてもらいました。

ころも:これまた運命的な出会いですね。

ヤスさん:仕事は忙しかったけど、楽しかったですね。でも27歳のとき、ここでこのまま30歳になってはいけない気がして……。それで3年間という期限をつけて島を離れ、新宿のレストランで働きました。そこで料理の腕を磨き、ケータリングパーティーのやり方などを学び、30歳のときにチャーリーブラウンに戻りました。

ころも:チャーリーブラウンで生かせる知識とスキルをつけて帰ったんですね。でも戻りたいと思える大好きなお店だったら、そのままずっと父島に住んで働き続けるという選択肢もあったんじゃないですか?

ヤスさん:やっぱり自分のお店を持ちたかったんですよね。でも父島で新しくレストランをやるという選択肢はありませんでした。僕にとってはチャーリーブラウンで働くことが父島に居続ける意味なんです。だから独立するのであれば、父島以外の場所と決めていました。それで40歳のときに辞めて、こちらに引っ越してきました。

ころも:お店への愛があるからこその選択だったんですね。

ヤスさん:1年半ほどお店の場所を探し続けたとき、たまたまテレビで江戸川橋が紹介されていたんです。それで来てみると、すごく小笠原っぽかったんです。

ころも:小笠原っぽい?

ヤスさん:ここは商店街の中で地域の人、近くの会社の人、通りがかりの人、いろんな人が日々行き交います。それが地元の人や移住者、観光客など多様な人がいて、どんな人でも受け入れてくれる父島に似ている気がしたんです。

竹芝桟橋の近くであれば、小笠原に関係する人も来やすいかもしれません。でもここは竹芝桟橋から電車に乗らなければ来られない。それも逆にいいと思いました。

「父島はチャンスを与えてくれる場所」。誰でも受け入れて、応援してくれる

ころも:私は父島の方に紹介されてここを知ったんですが、小笠原の関係者の方はよく来店されるんですか?

ヤスさん:そうですね。転勤で数年間小笠原に住んでいた人などが集まるときによく利用していただいています。小笠原村の村長もこっちに来たときには立ち寄ってくれます。僕は別に小笠原をプッシュしているつもりはないんですけどね(笑)。

ころも:先ほども、店の名前が先に決まったから小笠原の食材を使った料理を出しているとおっしゃっていましたもんね。

ヤスさん:そうなんです。でもなぜか小笠原にゆかりのある人たちが集まってきて、それぞれが自分の小笠原をここで披露するんです。そのおかげか、小笠原の空気を感じるとよく言われます。

ころも:「それぞれの小笠原」っていいですね。みなさん別々の経験をして、それぞれ小笠原への思いがある。そして、ここではそれを心置きなく語れるんですね。

ヤスさん:昔、小笠原で一緒に過ごした人がこのお店で偶然再会することも結構あるんですよ。「再会できたのはここのおかげ」なんて言われると、そのときは平静を装いますが、帰り道で一人感激の涙を流しています(笑)。

ころも:ヤスさんから見て、父島はどんな場所ですか?

ヤスさん:「チャンスを与えてくれる場所」ですね。父島は誰でもウェルカムです。でも自分で切り拓かなければ、生活はしていけません。一方で挑戦する気持ちがあれば、みんなが応援してくれる。だからこそ働くチャンス、幸せになるチャンス、いろんなチャンスがあるんです。

父島に移住したとき、僕は人生がうまくいかないのは周りの人のせいだと思っていました。でも全部自分のせいだったと気づけた。父島は僕に生まれ変わるチャンスをくれたんです。

ころも:父島への移住は、大きな転機になったんですね。短い時間でしたが父島の味、空気、人に触れられた気がします。本日はどうもありがとうございました!

あ、ちなみに父島のおすすめスポットってありますか?

ヤスさん:ダイビングはぜひしてほしいですね。あとは中央山という山は、360度海が見えるので、デートにはおすすめです(笑)。

ころも:有益な情報ありがとうございます(笑)。

食材から父島を感じ、いつか本場の地へ!

父島の味とオーナーのお話を通して、まだ見ぬ父島を感じることができました。
そしてやはりお話を聞いて、「いつか直接行ってみたい」という思いは募るばかりです。

「父島に行きたいけど長い休みがとれない」「父島の食材を食べてみたい」という方はぜひボニンアイランドシェフをチェックしてみてください!そこで小笠原を感じ、1000キロ離れた父島に思いを馳せるのも通ですよ!

さて後編は「父島みらい会議」というプロジェクトにフィーチャーし、父島の環境のこと、プロモーションビデオ制作の取り組みについてお聞きしています。そちらもご覧ください!


父島についてもっと知りたい方はこちら
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