異国の地・カンボジアに住んで考えること

異国の地・カンボジアに住んで考えること

まっち

まっち

ご無沙汰しています。

カンボジアではたらくまっちです。

世間は今コロナの影響で慌ただしいですが、この記事が出る頃には収束に向かうことを願いつつ、カンボジアに住んでいて日々考えること、感じることを書き綴っていこうと思います。

▼前回の記事はこちら

カンボジアの経済事情

カンボジアは(今はまだ)内需が少ないため、国策として外貨獲得に力を入れています。そのため、自国通貨であるリエルと同じ感覚でドルも日常生活で当たり前に使うことができます。たとえば、弊社の給与もドル払いですし、ローカル店舗を除いてお店のメニューの表記も基本はドルです。

また、最近は中国への依存が顕著で、それに伴いたくさんの中国人がカンボジアに住むようになりました。去年は中国人の旅行者数だけでも200万人に及び、どのお店でも英語と中国語が併記されるようになりました(カンボジアの母国語であるクメール語の方が小さく書かれていたり、ないこともしばしば……)。

 

ローカルの中華料理屋さんのメニュー。なんと3ヵ国語表記。ローカルの中華料理屋さんのメニュー。なんと3ヵ国語表記。

もちろん、国外から人がたくさん訪れること自体は経済的に良い面が多いのですが、そのぶんビザ取得や入国審査が他国に比べてゆるいこともあり、日本人含めて素行が良くない不良外国人(単刀直入に言うと犯罪者)も多く入ってきているのが現状です。

特に、去年まではカンボジア第二の都市であるシアヌークビルに未許可の闇営業を含めたカジノが乱立し、現地のカンボジア人たちが追い出されるケースもありました。

※ なお、去年末にカンボジア政府が闇カジノ運営者を一斉摘発したため、多くの闇カジノが潰れ、その影響でカジノのお客をメインにサービス提供していたホテルや商店、レストランまでもが潰れ、結果多くの労働者が路頭に迷うことになりました。

それくらい、今のカンボジアは中国との結びつきが強く、そしてそれは外交においても如実に現れてきます。

プノンペンで運営許可されている唯一のカジノ。中で写真撮るとまずいので外から。プノンペンで運営許可されている唯一のカジノ。中で写真撮るとまずいので外から。

外交策が国民に及ぼす影響

先日、武漢から始まったコロナウイルスの流行は、世界中に広がってしまいました。

中国をはじめ、ウイルス感染者が多く出現した国からの渡航を禁止する動きも、各国で活発になってきています(残念ながら、日本も複数カ国から渡航禁止国として指定されたようですね。。)。

そんななかで、カンボジアは武漢含めた中国からの渡航者を制限なく受け入れたり、日本含め数カ国から立ち入り拒否されたことで話題になったクルーズ船「ウエステルダム」の入港も許可したりと※1、他国からの要望にかなり寛容的な態度をとっています。

もちろん、そのスタンス自体は素晴らしいことで、全面的に否定する気はないです。しかし、カンボジアは現在急成長中といえど、日本やその他先進国と比べたら医療技術やウイルスに対する知識、防護策で劣るところがあります。この決断は地球規模で俯瞰的に見たら、もっと適切な受け入れ国・地域があったのではないかと、この国にいると思えてしまいます。

加えて、上記の対応はカンボジアという国としての見え方は良いですが、果たしてその決断は国民の総意であるかというと疑問が残ります。ちなみに、現在カンボジアは世界の政治腐敗度が180カ国中同率162位とASEANの中で最下位(アジアで見ると北朝鮮に次ぐ2位)となっています※2

このデータだけで今回の事例を判断するのは早計ですが、実際にこちらに住んでいると、トップが国民の声を聞くことはあまりないように感じてしまいます。

カンボジアの街自体は不穏な空気を全く感じないほど平和(ただし、ひったくりには要注意)。カンボジアの街自体は不穏な空気をまったく感じないほど平和(ただし、ひったくりには要注意)。

EUからの経済制裁

去年の終わりにカンボジアという国の不穏さを感じた出来事がありました。11月9日にカンボジアの独立記念日があったのですが、その際にフランス亡命中の元最大野党党首サム・レンシー氏がカンボジアに戻ってくるということで大騒ぎになりました※3。もともと、政敵であるフンセン首相に不当に逮捕状を出され、国外追放されフランスに亡命した経緯があります。

その日、サム・レンシー氏はフランスからタイ経由でカンボジアに戻ろうとしたところ、パリの空港でタイ航空から不自然な形で搭乗を拒否されてしまいました(詳細について表に出ることはないでしょうが。。)。さまざまな方法を試みましたが、結局彼はそのタイミングで母国に足を踏み入れることはできませんでした。

上記のような人権侵害が疑われる事件が積み重なり、EUからもEBA適用※4の取り消しといった経済制裁がカンボジアに与えられました。

※4 武器以外の全品目に対する無関税、数量制限なしの原則(Everything But Arms:EBA)
武器以外の全品目(数量制限なし)のEU域内への輸入関税を撤廃する制度

そのため、カンボジアは今までよりさらに中国に依存した経済成長戦略になっていくことが予想されます。

繰り返しになりますが、外貨獲得の経済戦略自体は国を成長させる上で絶対に必要だと考えています(日本でも至るところでインバウンド戦略がとられています)。しかし、その戦略・施策のために、本来救うべきはずの国民が不幸になることがある事実も忘れてはなりません。

自分自身まだカンボジアに来て1年ちょいですし、カンボジア国民からしたらただの外国人であり、いつか帰ってしまうよそ者です。それでも、この国の仲間と働く身として国で暮らす人たちのことを考えながら、それがわずかな影響でもこの国にとって良い影響を与えられるよう頑張っていきたいと思います。

 

カンボジアの首都プノンペンにあるイオンの風景。普段は日本と同じようにみんな生活しています。カンボジアの首都プノンペンにあるイオンの風景。日本と同じような日常です。

……とまあ堅苦しい感じになってしまいましたが、他国で生活することで、日本にいるとあまり考える機会がない国際政治について頭を巡らしたり、地球規模で良い道を考えるきっかけができたりと、自然と思考の幅が広がるのは良いなと思っています(ポジティブ)。

また、同様の考えや思想を持った世界各国の人がカンボジアには集まりやすい傾向があり(NPOやNGOなどの職員が多いため)、彼らと話すのも楽しいです。

このように、まだ海外に出たことがない人にこそ知ってほしい話はたくさんあるので、興味ある方はぜひご連絡ください!

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元Webディレクター・まっちの途上国スタートアップ奮闘記 | 9 articles
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