ブランディングの基本的な考え方とフレームワークについて学ぼう!

ブランディングの基本的な考え方とフレームワークについて学ぼう!

ゆうこ

ゆうこ

こんにちは。デザイナーのゆうこです。突然ですが、「ブランディング」という言葉を聞いたことはありますか?

以前、私たちLIGがデザイン面でブランディングのお手伝いができることについて、記事を執筆しました。

では、ブランディングそのものはどう行えばいいのでしょうか。

ブランディングを行うには、ブランディングの定義について知る必要があります。また、定義だけでなく、わかりやすい事例をとおしてブランディングの全体像を知ることも大切です。

ブランディングの定義と全体像を把握することにより、なぜブランディングを行うのか、いまどのような状態にあるのかが整理されて、すべきことが明確になります。そうして、よりスムーズにブランディングを進められるようになります。

先日LIGでは、ブランディングをする上での基本的な考え方について理解することを目的に「ブランディング勉強会」を開催しました。勉強会の講師には、ブランディングウェブ戦略研究家の草間淳哉さんを招待しています。今回は、ブランディング勉強会の様子を用語の説明とともにお届けします。

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ブランディングとは?

そもそもブランディングとは何のことを指すのでしょうか。

ブランド」には「魅力」があります。その魅力をどんなターゲットに対し、どんな独自の価値を提供するかを明確にし、浸透させ、守り続けていくことが「ブランディング」です。

ブランディングは「マーケティング」と深い繋がりがあります。マーケティングとは、企業が顧客やマーケットに商品やサービスを届け、逆に顧客やマーケットは企業に対してお金を支払うこと、つまり「価値を届ける活動」のことを指します。

ペットボトルが並んでいる画像

たとえば、飲料を選ぶ際に、私たちはペットボトルの色や形を見て味を想像します。どのペットボトルも同じ色や形だと、どれを選べばいいのかわからなくなってしまいますよね。

顧客が迷うことがないようにきちんと価値を届けるためには、他社と違う価値観を明確にし、顧客に選びやすくしてあげる必要があります。そのためにブランディングを行うのです。

ブランディングには、顧客やマーケットの「ブランドイメージ(こう思う)」と、企業の「ブランドアイデンティティ(こう思われたい)」があります。そして、スタッフの対応やWebサイトを見る「ブランド体験」や、ロゴやキャッチコピーの「ブランド要素」をとおして、ブランドイメージとブランドアイデンティティをより近づけていきます。

ブランディングの手法として、顧客やマーケットに向けた「アウターブランディング」と、社内やパートナーに向けた「インナーブランディング」が存在します。

講師紹介

今回ブランディング勉強会の講師をしていただいた草間淳哉さんについてご紹介します。

昨年11月に開催されたCSS Nite LP65「ブランディングという切り口は、ビジネスとしてのウェブ制作において福音となりうるのか?」に草間さんが登壇者として参加していたことをきっかけに、私たちLIGメンバーと出会い、イベントを開催することになりました。

今回草間さんには、実際にブランディングを担当した事例として、某老舗旅館のブランド構築ステップについて解説していただきました。

ブランディングウェブ戦略研究家 草間 淳哉さん

株式会社ウェブエイトCEO。清泉女学院短期大学 非常勤講師。関わってきたWebサイトは17,000以上。ビジネスセミナー、企業研修など、年間130回以上講義。目的を明確にしたマーケティング戦略、ブランディング戦略、ウェブ戦略によって、業績アップした中小企業多数。モットーは「ひたすら楽しく優しく分かりやすく」

著書:『自分1人、1日でできる パーソナルブランディング』(同文舘出版)
ブログ:ブランディングウェブ戦略研究家 – 草間淳哉オフィシャルブログ

 

某老舗旅館のブランド構築ステップ

突然ですが、老舗温泉旅館の支配人からの質問を、一流のコンサルタントになったつもりで考えてみてください。

団体客の宿泊はキープしながら個人客を増やしたい。Webでなんとかできない?

さて、あなたなら何とアドバイスしますか?

歴史と背景

某老舗旅館のある別所温泉は、日本書紀や古事記にも登場する信州最古の温泉です。

825年ごろ(平安時代)から明治時代までは30軒を超える宿があったそうです。しかし、温泉全体の利用客が減少し、現在も別所で営業を続けている温泉はわずか18軒になってしまいました。

NHK大河ドラマの撮影地になった影響で、長野県の観光客は増加したものの、問い合わせのある顧客は団体客ばかり。個人客はお断りすることもあったそうです。

さらに、当時の旅館の社内環境には下記のような問題があったそうです。

□ 支配人、若女将、従業員間でのビジョンの相違
□ 若女将の任務が不明確
□ スタッフに主体性・当事者意識がなく、自発的に業務に取り組めていない

これらの課題を解決するために、草間さんたちが掲げたミッションは下記でした。

□ イベントなど外部環境に左右されないブランドづくり
□ 若女将が旅館の顔となり、お客様に満足いただける仕組みづくり
□ 自分たちの旅館だけでなく、温泉地全体を元気にし、活気を取り戻すこと

ミッションに対し、「ライフサイクル理論」「アンゾフの成長マトリクス」「PEST分析」「3C分析」といったさまざまなフレームワークを用いて現状を把握し、なにをするべきかを明確にしていきます。

実際にどのようなことを行ったのか見てみましょう。

ライフサイクル理論

ライフサイクル理論

ライフサイクル理論とは、いま自社が置かれている状況を分析するために使うマーケティング戦略の一つです。ライフサイクル理論は、どんな商品やサービスでも、「導入期」→「成長期」→「成熟期」→「衰退期」のステージをたどるという原理に基づいています。

自社が扱っている商品やサービスが、いまどこのステージにいるのかを分析することによってリソースの割き方が変わってきます。リソースの最適化が経営の肝といわれますが、リソースとはいわゆる「ヒト・モノ・カネ」のこと。企業は、人材も、資源も、お金も潤沢にあるわけではありません。そのため、自社の商品やサービスがどこにいるのかを分析し、自社の戦略を絞り込むことが大切です。

導入期

導入期では、商品やサービスを始めたばかりで、まだ市場で認知されていません。商品やサービスを広めるためには、まず市場で認知してもらう必要があるのですが、広告を出してもなかなか期待どおりの効果を得ることが難しく、そもそも広告にかける費用もないことが多いです。

そのため、営業を行ったり、SNSを利用するといったお金をかけない販促から始めて、商品やサービスを市場へ拡大させることが有効的です。

成長期

成長期は、商品やサービスが市場で認知されて売上が上がっていく時期、つまり人気が出てきたことを指します。市場で人気が出たがために競合が現れ出します。

この時期に広告を出すと反響があり、急速に市場が拡大していくため、新規顧客を増やすのに適した時期です。

成熟期

成熟期は、商品やサービスが充分に市場で認知された時期で、それ以上の成長が難しい時期ともいえます。この時期は成長期のように売上が伸びにくく、広告の反響も徐々に減ってきます。成長期で参入した競合によって、市場の収益が減少してしまう場合もあります。

収益を保つために成長期に獲得した既存顧客にリピートを促し、次の衰退期に備えて別の事業の準備をすることが必要です。

衰退期

衰退期では、商品やサービス売上が下がっていき、成熟期よりさらに広告の反響がなくなっていきます。市場が縮小してしまうため、事業の継続を諦めて撤退する企業も出てきます。

この時期は、ほかの地域での市場獲得を目指すなどの多角化経営を行うか、成熟期で準備していた新規事業を推進する必要があるのです。

今回の場合、旅館はすでに「衰退期」に差し掛かっており、業績も伸び悩んでいました。そのため、新サービス開発や新市場開拓、多角化経営といったいまの経営とは違う経営を行う必要があることがわかりました。

アンゾフの成長マトリクス

アンゾフの成長マトリクス

アンゾフの成長マトリクスとは、「製品・サービス」と「市場・顧客」を軸としたマトリクスのこと。それぞれのマスを「市場浸透戦略」「新市場開拓戦略」「新商品開発戦略」「多角化戦略」として、どの戦略を取るかを決めます。

業績が伸び悩み、これからなにをすれば良いのかわからない企業が、いま足りないことが何なのか現状を整理・把握することで、今後すべきことを明確にしていきます。

市場浸透戦略(既存顧客×既存サービス)

市場浸透戦略とは、現在の製品やサービスのまま、現在の市場(顧客やマーケット)に攻める戦略のことです。

量を増やしたり、ディスカウントしたり、インセンティブを出したり、接触回数を増やしたりと、顧客との接点を最適化します。

今回の場合、既存の顧客は年配夫婦、団体客、小学生・中学生の子どもがいるファミリーです。既存サービスはネットや旅行代理店を通した宿泊予約、早割りプランなどの宿泊プラン、家族風呂などの施設、会席料理や信州の旬な食材の料理、女将出迎えや浴衣などのサービスがあり、それらを継続しつつアピールしていくことになりました。

製品開発戦略(既存顧客×新規サービス)

製品開発戦略とは、現在の市場(顧客やマーケット)のまま、新しい製品やサービスを開発し、提供する戦略のことです。

既存市場の求めている商品やサービスを深掘りしていきます。今の製品のさらにプレミアム版を出してみたり、またはライト版を出してみたり、付属商品を付けてセットで買いやすくしてみたり、まれに一から新しく商品を開発したりすることもあります。

今回の場合、これまでなかった「退職祝いプラン」や「還暦祝いプラン」など新規プランの追加や、「還暦ちゃんちゃんこ貸出」や「ケーキや花束プレゼント」など新規サービスを追加することになりました。

市場開拓戦略(新規顧客×既存サービス)

市場開拓戦略とは、現在の製品やサービスを、新しい市場(顧客やマーケット)に投入する戦略のことです。

未開拓の市場に対して新しいサービスを提供する戦略のため、地域や属性を変える発想も必要とされ、これまで上がった戦略よりもリスクが高くなってきます。地元の物を都会で売ったり、海外にシフトしたり、女性用の物を男性にも展開したり、シニア向けのものを敢えて若者に展開したりすることもあります。

今回の場合、既存顧客の年配夫婦、団体客、小学生・中学生の子どもがいるファミリーに加え、これまで市場の対象ではなかった「親子三世代」「外国人」「一人旅」「20〜30代のカップル」も、今後は視野に入れることになりました。

多角化戦略(新規顧客×新規サービス)

多角化戦略とは、新しい製品やサービスを、新しい市場(顧客やマーケット)に投入する戦略のことです。

企業にとって未開発の市場のためリスクを伴いますが、理念やVISIONを照らし合わせることで、これまでになかった高い効果が期待できる戦略です。製品開発戦略や市場開拓戦略をしっかりと練ることで、自ずとやるべきことが見えてきます。

今回の場合、市場開拓戦略で挙がった「20〜30代のカップル」に向けて、新規サービスである「ブライダルプラン」を追加することが決まり、それを現実にするために宿泊予約をネットや旅行代理店に加えて「ブライダル雑誌」も導入することになりました。また、地元の神社と提携し、神社で挙式を挙げた後に旅館に滞在するプランも新たに実現しました。

PEST分析

PEST分析

PEST分析とは、「Politics(政治)Economy(経済)Society(社会)Technology(技術)」の4つの頭文字を取ったフレームワークのことです。

いま現在や将来「PEST」が事業にどのような影響を与えるかを把握・予測することを指し、PEST分析を行うことで企業が世の中の景気や流れといった外部環境にどのように対応するべきかが明確になります。

今回の場合、PEST分析によるプラス要因は下記のようになりました。

プラス要因
□ 少子高齢化 → 祖父母世代が孫にお金をかける
□ 東京ー金沢間「北陸新幹線」が開通 → 首都圏からの観光客増加
□ NHK大河ドラマの放送 → >大河ドラマによる全国からの観光客増加
□ 東京オリンピックが開催される → 海外からの観光客増加
□ 20~70代までスマホが普及している → オンライン予約が容易

これらのプラス要因が当てはまる企業は旅館だけでなくたくさんありそうです。

プラス要因に対し、マイナス要因は下記のようになりました。プラス要因で上がったことは、マイナス要因にもなり得ることがわかります。

マイナス要因
□ NHK大河ドラマの放送 → 恩恵を受けるのは数年で団体客は減る
□ 東京ー金沢間「北陸新幹線」開通 → 首都圏からの観光客が北陸へ行ってしまう
□ 消費税が上がること → 外泊が少なくなる

いま現在や将来「PEST」が事業にどのような影響を与えるかを把握できたところで、次は顧客のニーズを明確にしていきます。

3C分析

3C分析

3C分析とは、「Company(自社)Competitor(競合)Customer(顧客)」の3つの頭文字を取ったフレームワークのことです。

自社と競合それぞれの「強み」と「弱み」を「ヒト」「モノ」「コト」別に洗い出し、それらを顧客の「欲求」と「不安や困りごと」に照らし合わせることで、「他社にない自社の強み」を明確にします。

今回の場合、どのようなことが挙がったのか見ていきましょう。

Company(自社)

自社の「ヒト」における「強み」として、「スタッフの心配りが行き届いていること」や、「女将がお出迎え・見送りしてくれること」が挙がりました。旅館にとって「ヒト」は自信を持ってお届けできるサービスのようです。

また、「モノ」における「強み」で、「全館畳敷き、素足で歩けること」「小さな子どもも安心して館内を歩き回れること」「ほとんど段差がないこと」「貸切風呂があること」が挙がったため、自社の強みが「安心して過ごせること」で認識が一致しました。

Competitor(競合)

実際にある宿泊施設をいくつか例に出して、それらについて分析します。

競合の「ヒト」における「弱み」は、「スタッフの教育が行き届いていないこと」「愛想が悪いこと」が挙がったため、自社に比べるとサービスの質が低くなる印象があるようです。

また、「モノ」における「弱み」で、「部屋に化粧品アメニティがないこと」や、「コト」における「弱み」の「食事処で一人旅への配慮がないこと」「館内の移動距離が遠い・階段・段差が多いこと」が挙がったため、自社の「安心して過ごせること」とは対照的な様子が伺えます。

Customer(顧客)

顧客の「欲求」と「不安や困りごと」について洗い出していきます。3C分析をする前にアンケートを取っておくと、より正確に顧客のニーズを知ることができます。

顧客の「欲求」として「日常の生活を忘れてゆっくりすること」「記念日にサプライズプレゼントすること」「親子三世代での旅行すること」が挙がりました。顧客は家族でゆっくりできるサービスを求めているようです。

顧客の「不安や困りごと」として「高齢の両親、館内の段差はないか」「お風呂で子どもが転んで怪我しないか」「館内の車椅子移動は可能か」「荷物が多くて観光できるか心配」「食物アレルギー」が挙がりました。旅行中は心配をすることなく、安心して過ごしたいですよね。

ブランドアイデンティティ

「ブランドアイデンティティ」とはブランドの「個性」のことを指します。

自社、競合それぞれの「強み」と「弱み」、顧客の「欲求」と「不安や困りごと」を整理し、「他社にない自社の強み」を明確にします。

今回の場合、他社にない自社の強みは、家族みんなが安心してゆっくりできるサービスと空間を作ることだとわかったため、ブランドアイデンティティは「親子三世代でゆっくり安心して泊まれる宿」に決まりました。

セグメンテーション・ターゲティング

「セグメンテーション」とはターゲットとなる顧客層を決めるために、顧客をグループ分けすることを指します。

これまで「アンゾフの成長マトリクス」「PEST分析」「3C分析」を行い、課題や目標が明確になったので、セグメンテーションに基づいて何をしていくかを明確にします。

ここで大切なことは、「ターゲットを絞ること」です。

顧客層を絞ることが難しくても、「ターゲットを絞らない商品やサービスは、結果誰からも必要とされない」というマーケティングの考え方を理解して、ターゲティングを行う必要があります。

今回の場合、「親子三世代でゆっくり安心して泊まれる宿」というブランドアイデンティティから、ふだん離れて住む両親・子どもと、ゆっくりできる温泉旅行を計画している「子どものいる主婦」と、年に二回しか孫たちに会えず、娘たちが計画してくれている温泉旅行を心待ちにしている「祖父」の二名がペルソナになりました。

子どものいる主婦の例を見てみましょう。

ペルソナ例:子どものいる主婦

セグメンテーションは、性別、年代、居住地、世帯収入、職業、家族構成、趣味など、イメージしやすいようできるだけ具体的に設定します。

ブランディング実践

旅館のブランドアイデンティティ「親子三世代でゆっくり安心して泊まれる宿」を実現するために、セグメンテーション・ターゲティングによって設定したペルソナを基に具体的に何をしていくべきか明確にします。

ブランド体験

ブランド体験とは、顧客に商品やサービスに触れてもらい、ブランドの持つ価値を理解してもらうことを指し、具体的にはスタッフの対応やWebサイトを見ることが挙げられます。

これまでのフレームワークで出た顧客の「不安や困りごと」を、ペルソナに置き換えて、より具体的に考えます。例を見ていきましょう。

洋子:レトルト離乳食は嫌だし料理が食べられないことが不安……」

ペルソナへの解決策:食べ物は事前相談で、持ち込みOKにする。アレルギーや苦手なものも把握し、離乳食も完備する。

洋子:子どもと一緒に大浴場に入るのは少し気が引けてしまう……」

ペルソナへの解決策:周りを気にせず家族水入らずで入れる貸切風呂があることを打ち出す。赤ちゃん用ボディーソープやベビーバスなど、赤ちゃん用のお風呂グッズを充実させる。

洋子:食事中子どもがうるさくて周りに迷惑をかけないか気になる……」

ペルソナへの解決策:個室で食事できることを打ち出す。赤ちゃん用イスやスタイなど、赤ちゃん・子ども用アメニティを完備する。

洋子の子ども:「家からお気に入りの本を持って行きたい!」

ペルソナへの解決策:幼児用・小学生向けの本を取り揃えた「ちいさな図書館」を設置する。部屋への持ち込みもできるので就寝前の家族団欒のひとときに。

洋子の子ども:「子どもと一緒の旅行は荷物が多くなって大変……」

ペルソナへの解決策:かさばって荷物になるオムツやタオルを完備し、手ぶらで来られるようにする。

さまざまなフレームワークを使用しながらブランディングを行ったことで、現状を把握でき、今何をするべきか具体的に明確になりました。これらの解決策を実現できれば、ペルソナの「不安や困りごと」が解消されて、ゆっくりと安心して温泉を楽しむことができそうです。

ブランド要素

ブランド要素とは、他の商品やサービスとの違いを明確にするための要素のことを指します。 ブランド名や、ロゴ、シンボル、キャラクター、スローガン、ジングル、パッケージなど、ブランド要素は多岐に渡ります。

今回はその中で、キャッチコピーキャラクターの例についてご紹介します。

ブランド要素:キャッチコピー

これまでのフレームワークで出た顧客のニーズ「親子三世代でゆっくり安心して泊まれる宿」から、キャッチコピーは下記の4つになりました。

  • 親子三世代で過ごす大切な記念日は、何にも代えがたい宝物
  • 家族との思い出。10年後も、その先も、いつまでも永遠に…
  • 全室畳敷き。どこにいても心がほっとする。
  • 展望風呂から見渡す塩田平。夜にはきらめく星空と夜景を。

どのキャッチコピーもこれまでのブランディング戦略で出た顧客のニーズに合っていて、どんな独自の価値(=魅力)があるかが伝わってきます。これらのキャッチコピーは全て採用され、サイトのメインビジュアルにスライドで掲載されることになりました。

ブランド要素:キャラクター

今回のキャラクターは、ちょうど若女将が女将になるタイミングだったこともあり、女将に決まりました。

今回のブランディングで一番変わったことは、女将の「女将」という立場への意識と責任感だったそうで、「お客様が故郷に戻ってほっとするような気持ちになっていただきたい、人とのつながりを大事にして真心がこもったサービスを届けたい」という想いがより一層強くなったそうです。

そんな想いから、2017年4月のブログ開設以来、現在もほぼ毎日ブログを更新され、徐々にアクセス数を延ばし、宿泊客から女将ブログを見ているという声も聞くようになったそうです。

ブランディングを行い企業が自社の魅力を再確認することで、企業にいるヒトが変わり、結果企業が変わることに繋がりました。

ブランドの浸透

こうして、草間さんたちが掲げたミッションは無事クリアとなりました。

某老舗旅館はブランディングを行ったあと、明確になった具体的な解決策を実現したことで、顧客の反応や口コミが向上し、宿泊予約サイト「楽天」の「楽天トラベルブロンズアワード」を二年連続で受賞したそうです。

情報化社会のいま、顧客が安心して商品やサービスを購入したくても、情報が溢れて迷っています。そのため、ブランディングを強化し、顧客が選びやすいように情報を整理することも、商品やサービス提供側の大切な役割です。

まとめ

草間さんには、今回のブログでは紹介しきれていない別の事例も、実際にワークショップを行いながら説明していただきました。内容が濃く、参加した方々から好評いただき私自身も非常に勉強になりました。草間さん、ありがとうございました!

Web制作の現場では、クライアントから課題をヒアリングして解決する「課題解決」をよく目にします。しかし、クライアントが課題としていることを解決するだけでは、もしかすると本当の意味での解決にはなっていない場合があるかもしれません。クライアントから挙げられた課題を解決するだけでなく、本当はいまなにをすべきなのかを明確する「課題発見能力」も今後必要になってくるのではないでしょうか。

私も課題を発見する手段や戦略を身につけて、よりクライアントに満足してもらえるようになりたいと思います。

この記事がこれからブランディングを行おうと考えている方の参考になれば嬉しいです。

以上、ゆうこでした!

LIGはWebサイト制作を支援しています。ご興味のある方は事業ぺージをぜひご覧ください。

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デザイナーのゆうこです。LIGでわくわくするために広島からやってきました。旅と写真が好きです。変な格好で写真を撮っている写真をよく撮られます。カメラはずっと入門機です。よろしくお願いします。【2021年追記】SONY α7 III 買っちゃいました。

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