オフショア開発の品質は低いって本当?現役ブリッジエンジニアが実体験をお話しします!

オフショア開発の品質は低いって本当?現役ブリッジエンジニアが実体験をお話しします!

山口 菜月

山口 菜月

こんにちは! セブ支社・ブリッジエンジニアのなつきです!

年末に日本に一時帰国した際、冬の寒さに心が折れました。セブは今日も今日とて暖かいです。

それはそうと、エンジニア不足や人件費の高騰を解決できるオフショア開発、導入を検討しているお客様も多いのではないでしょうか。でも、オフショア開発を導入するにあたって、心配なのはそう、品質ですよね……。

この記事では、日本のシステム開発会社からオフショア開発の現場に転職した私が、オフショア開発の品質について、実体験を元にお話しします!

オフショア開発とは

コストを抑えるために開発業務を海外で行うことを指します。開発の拠点としては、人件費が安くIT人材が豊富なベトナムやインドなどのアジア諸国が主になっています。もっと知りたい方はこちらの記事をどうぞ!

オフショア開発の品質に対する世間の声

Googleで「オフショア開発」と検索するとチラホラ見受けられるのは、「品質が良くない」という声。具体例としては、こんなものが挙げられていました。

  • 仕様の認識が違う
  • 成果物が正常に動かない
  • 指示した覚えのない機能が追加されている

こんなの見ちゃうと「大事なうちのプロダクト、オフショアに任せて大丈夫かな?」と不安が募りますね……。正直なところ、私もセブに来るまでオフショア開発の品質にあまり良いイメージはありませんでした。

実際のところどうなの?

あくまで個人の感想として率直に申し上げますと、思っていたより品質は安定していました。

上記で書いたようなオフショアのネガティブな側面ばかりを事前にネットで見てきたせいで、どんなカオスが待ち受けているのかとハラハラしていたのですが、ほとんど杞憂でした。フィリピンのエンジニアは優秀で、ちゃんと仕様通りに動くものがレビューの段階であがってきます。ただ、やはり適切なコミュニケーションができていないとすれ違いが発生し、結果として品質に影響する場合もあります。以下に具体例を交えつつ詳細を書いていきます。

エンジニアが優秀

私が現在関わっているフィリピンのエンジニアたちはとても優秀です。

もちろん個人の能力にバラつきはあるのですが、みんなベースのスキルが高いため、こちらの要求をスムーズに理解して実装してくれます。「仕様とぜんぜん違う」とか「コードが動かない」といった事態には、今のところほとんど遭遇していません。

初めて私の設計をエンジニアに実装してもらったときは、設計時に想定していたものより洗練されたコードに仕上がっており、感動したのを覚えています。最近では私の設計漏れを見つけて指摘してくれたり、「こうしたほうがいいんじゃない?」と提案してくれることもあります。むしろ私がいつも彼らに助けられています。

「よしなに」は禁物

【よしな‐に】
[副]うまいぐあいになるように。よいように。よろしく。
引用元:goo辞書

日本だったら日常でもビジネスシーンでも使える魔法のことばです。細かいことを言わなくても、「よしなに」の一言で、なんとなくうまくいっちゃう。とても便利な「よしなに」ですが、フィリピンでは通用しません。

フィリピンでは、はっきりと要望を伝えないと期待したアウトプットは得られません。具体例でいうと、テストのエビデンスがそうでした。日本でエンジニアをしていた頃、テストのエビデンスを細かく指定されたことはなかったですが、よしなにやっていれば結果的にそれでOKでした。この経験則から、フィリピンでも同じ感覚でエンジニアにテストを依頼した結果、提出されたエビデンスは私の感覚だと「ちょっと物足りないな……」と感じるものでした。それ以来、テストのエビデンスは下記のように明確に指示するようにしています。

例)
  • 実行前の画面
  • 実行後の画面
  • SQLのSELECT結果(実行するSQLも指定)

日本人の上司に対する心理的な距離

タスクの進捗が芳しくなさそうなエンジニアに「調子どう?」とこちらから話しかけると、そのタイミングでたくさん質問されることがあります。これが深刻化するとスケジュールの遅延や納品物の品質低下に繋がることは容易に想像できますね。

「すぐに聞いてくれればよかったのに!」と言ってみたら、エンジニアから申し訳なさそうに「会議で忙しそうだから聞けなかったんだ……」と返され、お互いしょんぼりしたこともありました。

実はフィリピン、上下関係を重んじる文化があり、「もっとフランクでいいのに」と思うほど気を遣ってくれます。セブに来るまでフィリピンにそういうイメージはなかったので意外でした。フィリピン人同士ならまだしも、彼らにとってみれば私は外国人ですから、余計に話しかけづらいのかもしれません……。

聞きにくいならこちらから聞こうホトトギス(字余り)ということで、エンジニアから仕様やテスト方法に関しての質問を受け付けるミーティングを実装開始前に設けています。

オフショア開発の品質を高めるためには

上記で述べたように、フィリピンのエンジニアは優秀で、高品質のアウトプットができる力を持っていますが、文化や言語の違いにより日本側の期待値とのギャップが生まれてしまうこともあります。

イマイチなコミュニケーションのせいでエンジニアの能力を生かせていないとしたら、すごくもったいないですね。いかに円滑なコミュニケーションを行うかがオフショア開発の品質を大きく左右するのです。オフショア開発の品質向上のために心がけたいことを以下にまとめてみました。

仕様書はわかりやすく

エンジニアに作ってほしいものをドキュメントに落とし込む段階から勝負は始まっています。仕様書や定義書に使う言葉はなるべく簡素で平易になるよう心がけます。長文になりそうなときは箇条書きにするとスマートかつ、翻訳もしやすいです。

仕様やスケジュールの話をするときはハッキリていねいに

「これくらいなら言わなくてもわかってくれるだろう」という甘えは捨てます。上記で挙げたテストのエビデンスの例のように、やってほしいこと・やってほしくないことを具体的にわかりやすく伝えます。伝えたあとは、念入りに共通認識ができているか確認することも大切です。

違う文化で育った者同士が、お互いに母国語でない言語でコミュニケーションするというのは、非常に高度なことです。日本人なら一言で伝わる事柄も、フィリピン人に英語で伝えるのは容易ではありません。

例)
日:牛丼大盛りつゆだく
英:Beef…bowl…large…tsuyudaku…?

上記のように頑張って英語で伝えても、「OK! ビーフシチューね!」とまったく違うものとして解釈されている場合があります。こちらの意図が正しく伝わっているかどうかは相手の反応を見ながら都度たしかめたほうがよいでしょう。

疑問や懸念を気軽に話してもらえる関係性の構築

言いたいことを言えない・聞きたいことが聞けない状態を放置すると、結果的に品質に影響しますし、職場の雰囲気も悪くなります。質問を受け付けるミーティングを設定するなど仕組みとして策を講じることも大切ですが、やはり日々のコミュニケーションの積み重ねによって話しかけやすい雰囲気と信頼関係を作っていくのが大切です。

さいごに

以上、私の実体験を元にオフショア開発の品質についてお話させていただきました! これからも試行錯誤を繰り返しながら、お客様により良い品質をご提供できるよう、精進してまいります!

わたしたちLIGは「BiTT開発」という名前でオフショア開発を提供しています。現地フィリピンに日本人のブリッジエンジニアやディレクターが常駐するため、コミュニケーションがとりやすいことが強みです。ご興味あればぜひお気軽にお問い合わせください!
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「BiTT開発」についてもっと詳細を知りたい方は、ぜひこちらの記事もご覧くださいませ!

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山口 菜月
山口 菜月 テクニカルディレクター / Yamaguchi Natsuki

前職ではSEとしてスマートフォンゲームアプリや業務系webアプリの開発に携わる。2019年にLIGにジョインし、セブ拠点でテクニカルディレクターとして従事。産休・育休を経て復帰し、母親業をこなしつつ現在は上野本社にて鋭意勤務中。

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