UXデザイナーのキャリアって?最前線で活躍する先輩たちの話を聞ける「CREATIVE X night #2」に行ってきました!

UXデザイナーのキャリアって?最前線で活躍する先輩たちの話を聞ける「CREATIVE X night #2」に行ってきました!

たびちん

たびちん

LIG広報室のたびちんです。

すっかり馴染み深くなってきた「UXデザイン」という言葉……。しかし、そのUXデザイナーとしてのキャリアはどのように形成されていくのでしょうか?

先日、UXデザイナーとしてご活躍されている2名の方のキャリアについてのお話をじっくり聞ける機会があると聞き、「CREATIVE X night #2」に行ってきました……!

私個人としても、今関わっている編集の仕事とUXデザインが非常に近いと感じていることもあり、とても興味があるテーマでした。

今回はSpeeeさんにて開催された、「UXキャリア夜会」当日の様子をお伝えしていきます。

「僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る~UX獣道のススメ〜」


スピーカー:反中 望さん株式会社リクルートテクノロジーズ プロダクトデザイン本部 マネージャー
東京大学大学院学際情報学府修了。UX・デジタルマーケティングのコンサルティングを経て、2015年1月よりリクルートテクノロジーズへ。リクルートグループ横断のUXデザイナーとして、「SUUMO」「ゼクシィ」「カーセンサー」「タウンワーク」等のサービスにおけるUX改善や戦略立案を担当。また、グループ内のUX人材育成、ナレッジ流通の促進にも尽力中。

反中さんは、UXデザインは「つなぐ」「翻訳する」仕事とおっしゃっていました。

「つなぐ」にも2種類あります。ユーザーニーズとビジネスニーズをつなぐ、そして、「世界観」と「実装」をつなぐことで、実装できる言葉を作り出し、実現まで持っていく……。まさに別々の文化の橋渡しとなるような、翻訳をしていく仕事としています。

その翻訳をする際に、もともと持つスキル、たとえばユーザーリサーチができる・テクノロジーのつなぎこみができるといった得意分野を活かし、価値を発揮すればよいとおっしゃっていました。

 

UXデザインは「思想」であり「態度」であって、スキルそのものではないとのこと。違う世界をどうつなぎこんでいくか、どのような職種でもこれから求められてくるように思いました。

反中さんの紆余曲折のキャリアが、エンジニアだったときの肌感覚が役立っていたり、もがきながらも自分のスタイルを確立できるか見極める機会になったり……、UXデザイナーとしてのキャリア形成のダイナミックさを教えていただける貴重なお話でした。

そんな、気づいたらある意味先端に来ていたご自身のキャリアのありかたを、「川下り型キャリア」と称していました。

 

「最先端を行っている人がいるのではなく、それぞれの人がそれぞれの道を歩いているので、それぞれの獣道を歩いているのではないか」ともおっしゃっていて、私個人としては、「今ここでやりきる」ということの重要さを感じました。

 

印象的だったのは「UXデザインも、ビジネス成果にコミットするからこそ」「面白い仕事は人の縁が持ってきてくれる」とこのプレゼンを締めくくっていたこと。ビジネスへの貢献、そして目の前にいる人への貢献を考えて仕事をしていこうと、気合が入りました。職種問わず、不確実な社会を乗り越えていくために必要なキャリアのつくり方・とらえ方を教えていただいたように思います。

10年いた会社から転職して感じた、UXデザイナーの価値とこれから

スピーカー:楽天株式会社 源 賢司さん楽天株式会社 プラットフォーム戦略本部 UXデザイナー/成安造形大学 客員准教授

獨協大学外国語学部ドイツ語学科卒。前職DMM時代にUXを軸とした既存事業改善、新規事業企画/立ち上げなどに従事。2019年より楽天に入社し、エコシステムに関わるポイントエンゲージメントやサービスクロスユースなどの施策において戦略からデザイン設計までに関わる。

UXデザイナーの仕事とは

UXデザイナーとして2社目の源さん。前職では10年近く務め、転職を期に新たな環境で同じくUXデザイナーとして働きだして感じたUXデザイナーの仕事は、2つあると語ります。

 

一つは、ユーザー要件とビジネス要件の交差点と「作る」こと。もう一つは他領域の理解を深めつつ、自領域では実力と責任を持つこと。

 

UXを説明するベン図ではユーザー要件とビジネス要件がすでに重なった状態で説明されることがありますが、どの場面でもそれらの領域は重なっているとは限りません。UXデザイナーという立場から、その2つの領域を近づけ、重なるポイントを作り出せる力となれるかが大切だとのお話がありました。

その文脈の中で、「デザイン経営」宣言をご紹介いただきました。

「デザイン経営」宣言とは
経済産業省「産業競争力とデザインを考える研究会」が提言したデザインによる企業の競争力強化に向けた課題整理と対応策をまとめた報告書。

「デザイン経営」宣⾔(PDFが開きます)

デザイン経営宣言の読み解きで大切なのは「デザイン」を重要な経営資源の「一つ」として扱うということ。経営判断の軸は多くあり、その軸の一つにデザインが追加された、ということです。そのため他の経営判断の軸についても理解しなければ、ビジネス要件への交差点も、他領域への理解もすすみません。

そんな中でキャリア形成をしていくときに必要な能力はなんなのでしょうか。源さんは、抽象と具象の行き来が重要としています。

 

UXデザイナーという職種においては、現場に最適化された具体的なスキル/知識も大切である一方で、それらを抽象化した認識は広い場面で再利用できることから、双方を身につけることが大切であるとおっしゃっていました。インタビュースキルひとつとっても、ユーザーから引き出せる種類は幅広いだけではなく、ユーザー以外にも応用は効きます。

UXデザイナーだからこそ多様な場面で多様な対応を求められることが多く、手持ちのスキルを効果はそのままに、上手くカスタマイズしながら活用するためには、一旦スキルを抽象化して身につける必要があるとのことでした。

そんなUXデザイナーがこれまで歩んできた道、これから歩む道とはなんなのでしょうか。

 

同じく登壇されていた反中さんをはじめ、現在UXに関わっているベテランは、最初からUXデザイナーになると決めて将来を歩んでいくぞ! と考えていた人は少ないのでは、とのこと。

確定的なキャリアをストレートに歩むのではなく、少し先を具体的に、さらに先はうっすらと見据えるくらいで経験を積んだほうが、変化の強い時代を生き抜きやすいのではないかという考え方です。

では、一歩先のキャリアを考えるときに何をしたらよいのでしょうか? そこで源さんが行っているのは、「ポートフォリオ思考」。

 

自身のポートフォリオを定期的に作り、今の業界や3年後、5年後の社会で自分が戦っていけるかを検診していくというやり方。そういった形で適度な自己批判を作り、自分に足りないものを探して、身につけていく。

私のような非デザイナーなら職務経歴書を定期的に作成する、というのもよいかもしれませんね。

 

スポンサーセッション、そしてトークセッションへ

スポンサーセッション:不破 昌代さん株式会社リブセンス 転職ドラフトプロジェクト

お二人のキャリアについてのお話のあと、今現在デザイナーのキャリアを創り出す機会を提供する「デザイナードラフト」から、不破さん、通称まさよふさんが登壇しました。

デザイナーニーズが顕著に高まり、かつ、UXデザイナーの指名年収も上がってきているのに、UXデザイナーは転職市場において潜在的な問題を抱えているとのこと。

たとえば、ポートフォリオが地味になりがちだったり、きれいな見た目にすることだけがデザインだと誤解されたり……。

デザイナードラフトさんのように、目に見えるものだけがデザインの対象ではなく「デザインに関する論文」や「人間中心設計(HCD)専門家・スペシャリストの認定試験の成果」などもデザイナーの評価対象としていくような軸が複数用意されていれば、さらにUXデザイナーと企業とのマッチング率も高まりそうですね。

 

トークセッションでは、UXデザイナーとデザイナーの違いや、今まさに直面している課題など、さまざまなトピックについてお話を聞けました。

印象的だったのは、反中さんが抽象と具象の行き来の実例をおっしゃっていたこのエピソード。

ゼクシィというアプリを作った際に、編集部が作ったいろんなコンテンツをAIでパーソナライズして届けるという機能があったそう。そのとき、編集部では「きゅんっ」というときめきがキーワードだったが……エンジニアは「きゅんっ」をどう実現して良いかわからない(笑)。そうなると、その「きゅんっ」を一回翻訳し、どういう体験をしてほしいのかエンジニアサイドに伝えつつ、その体験のパーソナライズの仕組みを考えるための指針を作って方向性を決めていったとのこと。それが、花嫁を「きゅんっ」とさせられるアプリ実現への橋渡しとなったそうです。

また、源さんのキャリアのターニングポイントの話も、非常に興味深かったです。

ユーザビリティという言葉が当時のwebの業界でも広がったことが大きいターニングポイントだったとのこと。ユーザビリティという概念が入ってきた前と後では全然違った、ユーザビリティはデザイナーの次の武器となり、UXという概念の入り口にもなったともおっしゃっていました。

ユーザビリティという言葉が来る前は、言われたものを作っているだけで、ワイヤーに従って配置し、色も関係者の感覚で置いて……、という仕事のありかた。そこからまずはユーザビリティという切り口で、ターゲットユーザーとUIデザインが合っているのか、など、戦略側と建設的に話し合えるようになったそうです。業務における役割が違っても互いに理解できるような、共通言語ができ、ビジネスを広げることができた、とのこと。デザイナーの仕事の先にはユーザーがちゃんといる、サービスを届けるところまで責任を持つべきだ、という環境の転換があったのはかなり大きかったそう。

このお話を聞き、共通言語をもつことの大事さ、そしてユーザー起点で考えることで、新たな価値を生み出したことに感動しました。

おわりに

非デザイナーの私でもとてもわかりやすく、また、貴重な機会でした。登壇していたみなさんが、自分の頭で考え、そのときのベストを尽くしながらも、自分のことを俯瞰して捉える抽象度の高い思考を持つことで、今のポジションに来た方々なのだな、としみじみと思いました。手段だけが先行するでもなく、また地に足のつかない抽象論だけでもない、バランスのとれたUXデザイナーのキャリアについて理解を深めることができました。

また次回のCREATIVE X night、そしてCREATIVE X本編を心待ちにしています……! それではまた! たびちんでした。

LIGはWebサイト制作を支援しています。ご興味のある方は事業ぺージをぜひご覧ください。

Webサイト制作の実績・料金を見る

この記事のシェア数

広報と編集を担当します若旅(わかたび)です。北海道生まれ、京都にある大学に通い、就職のため上京。気がついたら7社目。人事コンサル・英語研修・外国人ボイスアクターキャスティング・企業広報冊子制作・画像加工・ITなどを扱う多種多様な企業で、バックオフィス中心に制作進行や採用担当などバリエーション多めのOLとして生きてきました。一つの場所で2年以上勤めたことのある人は無条件で尊敬します。趣味はDJ。ドラムンベースが好きです。家ではアニメやゲームを楽しみながら2匹の猫を撫で回しています。

このメンバーの記事をもっと読む
デザイン力×グローバルな開発体制でDXをトータル支援
お問い合わせ 会社概要DL