こんにちは! フロントエンドエンジニアのほりでーです。
デザイナーやエンジニアといった仕事は、成果物の出来を見れば一目でその人の優劣が分かってしまう、とても実力主義の傾向が強い職業です。逆に、上手く自分の実力を具体的な実績を使ってプロモーションできれば、たとえ未経験でも自分の能力を正当に評価してもらえるチャンスに恵まれているとも言えます。
今回は、デザイナー・エンジニアといったクリエイティブ職をターゲットに、自分の実績を効果的に発信し続けるためのセルフプロモーションの手法について考察してみたいと思います。
目次
何のためにセルフプロモーションを仕掛けるのか
この記事におけるセルフプロモーションとは、オンラインやオフラインの活動を通じて、自分の個人的な実績・プロフィール・アイデアや意見などを世の中へアピールすることと定義します。
その目的は様々で、何となく作ってみたものを見てもらいたい、という理由で自由にやってみるのも楽しいでしょう。
しかし、基本的に業務外での活動が必要となるため、貴重なプライベートの時間を割くことになります。具体的な目的や実利を意識すると、投入する時間や労力をより効率的に使えるようになるかもしれません。
実力をアピールし、選択肢を増やすため
若手・中堅・ベテラン全ての領域で人材不足が叫ばれており、スキルがあることを証明できる人にとっては、選択肢が広がっている状況だと考えています。
特にIT関係では、企業の採用担当者が自社にマッチしそうな人材を探して直接SNSから声かけをするダイレクトリクルーティングという活動が行われていることもあります。優れた実績をインターネットで公開していれば、自分の選択肢を増やしたり、新しい顧客を獲得する上で有利に働くのは間違いないでしょう。
しかし、守秘義務などもあるため、なかなか自分の業務での実績をインターネットでは紹介できないというのも実情です。どんなに優れたイラストやソフトウェアを実務の中で作れたとしても、それを証明する実績が紹介できなければ、セルフプロモーションには使えません。
そのため、実力をアピールするための実績を本業とは別の場所で作り、自由に自分のために使う、というのは悪くない自己投資と言えます。そういった実績を持っているというのは、ライバルから抜きんでるための強力な武器なのです。
実務でできないことを試し、自分の可能性を広げるため
実務で必要とされていることと、自分が本当にやりたいことがマッチしていないのは珍しいことではありません。
- 本当はもっと尖ったことをやってみたいけど、業務では堅実なデザインしか求められない
- 最新のフレームワークを使ったアプリケーションを作りたいけど、業務では枯れた技術しか使えない
- 色々な運用改善施策を試してみたいけど、顧客の所有物なので自由にできない
実務の中で成果を出すのが一番強力な実績なのは間違いありませんが、それが無理であれば、業務ではないところで自由に試してみるのも良い自己投資です。具体的な実績があれば、やりたいことを仕事で任せてもらえる可能性も高まりますし、評価においてもプラスに働くでしょう。
ただし、本業をおろそかにしないとうのが前提とはなりますが……。
運が良ければバズるかもしれない
自分では大したことのない作品だと思っていても、世の中何が受けるかは誰にも予想できません。セルフプロモーションを続けていれば、思わぬところで自分の活動が一躍注目を浴びたり、評価をされたり、ということは十分にあり得ることです。
- はてなブックマークなどの有力なランキングサイトで紹介される
- 何かの拍子に大量にリツイートされる
- 著名人から自分の作品についてコメントをもらう
- 特定の検索ワードで自分のコンテンツが上位に出るようになる
バズ自体は発生してもすぐに収束してしまいますが、それをきっかけに自分の活動を継続的にチェックしてくれるユーザーは確実に増えます。そういったユーザーが増えれば、より自分の作品が評価される機会も徐々に増えていき、より自分の影響力・発信力を高めていくことができます。
このように、プロのクリエイターとして食べていく上で、情報発信力や自分の知名度を高めようとするプロモーションは、自分のキャリアにとって有利に働くことでしょう。
ただ有名になることだけを目的にするのは、自己承認欲求や自己顕示欲の発露とも見なされがちですが、大切なのは自分の発信する作品や情報を通じて周りの人にベネフィットをもたらすことです。
良いコンテンツを発信する人のまわりには自然と情報や人が集まります。そこから新しい人間関係が生まれたり、ビジネスに繋っていくこともあるでしょう。
かつてLIGに在籍していた菊池良さんは、特にセルプロモーションが成功している例だと思っています。コンテンツを発信しない人に比べて、様々な機会を自分にもたらしてくれるのがセルプロモーションなのです。(企業のコンテンツマーケティングとほとんど同じですね!)
セルフプロモーションのリスク
すぐに効果はでない
自分のサイトやSNSアカウントを作って自分ではウキウキしていても、その段階ではまだ誰もあなたのコンテンツを見にきてはくれません。あなたがすでに有名人である場合を除き、ほとんどの場合は検索流入や口コミによって地道にアクセス数を増やす型となるでしょう。短期的な効果を狙うのではなく、長い目線で見ていきましょう。
炎上リスクがある
Webを使った活動では、不用意な発言などによって炎上してしまうリスクは常にあります。特に、デザイナーなどにとって、不正なライセンスによる素材の盗用を指摘されたりするのは絶対に避けたいことでしょう。
また、特定の属性を差別する発言、またはそのように捉えられかねない発言には慎重になるべきです。ツイッターなどでは前後の文脈と切り離した引用ができてしまうため、内容が一人歩きしかねない発言には注意が必要です。
セルフプロモーションの手段
セルフプロモーションを展開するには、何らかの作品と、その作品を発信するための媒体が必要です。その媒体はオンライン・オフラインを問いませんが、中心になるのはオンラインのメディアとなるでしょう。デザイナー、エンジニアであれば以下のような手段が挙げられるでしょう。
- 自分のWebサイトを作る
- 作品をSNSで公開する
- ノウハウをブログ記事にして公開する
- LT会や勉強会などのイベントで登壇する
- オープンソースソフトウェアのコミュニティに参加する
おすすめなのは、まず自分の実績やノウハウを掲載するWebサイトを作り、その更新情報をSNSへ発信することです。
Webサイトを作るのが面倒な場合は、既存のブログサイトやSNSのマイページを使って作るのも良いでしょう。
デザイナーのセルプロモーションの例
- 自分のWebサイトに制作実績をまとめる
- 作品を作り、SNSを通して公開する
- 参考になるニュースやWebサイト、自分のブログの更新情報などをSNSで発信する
- 制作のノウハウをブログ記事として公開する
- 便利なデザイン素材やテンプレートを作り、ブログで公開する
- デザインやイラストの制作風景を録画し、YouTubeやニコニコ動画などで教材風にして公開する
- LT会や勉強会に登壇し、勉強会を通して自分のサイトやブログの宣伝もする。使ったスライドをSlideShareで公開し、登壇実績も自分のWebサイトへまとめる
エンジニアのセルフプロモーションの例
- ブログを作り、技術記事を発信する
- 参考になるニュースやWebサイト、自分のブログの更新情報などをSNSで発信する
- ライブラリやアプリケーションを作り、GitHubで公開する
- 自分が好きなOSSコミュニティに参画し、開発に協力する
- LT会や勉強会に登壇し、勉強会を通して自分のサイトやブログの宣伝もする。使ったスライドをSlideShareで公開し、登壇実績も自分のWebサイトへまとめる
自分の場合は……
最後に私の場合ですが、現在は以下のようなポリシーでセルフプロモーションの展開をしています。
- 自分の実績や技術記事以外のブログを公開するためのサイトをGitHubPageとHugoで運用
- 技術記事をQiitaとLIGブログで公開し(自分のサイトよりもより多くの人に見てもらえるため)、リンクを自分のサイトにも載せる
- 興味のあるニュースをTwitter/Facebookで発信
- 社内勉強会での発表を公開できる内容に修正し、SlideShare/SNS/自分のWebサイトへ公開
優先順位もあるため、あまりプライベートでの活動にはリソースを割いておらず、更新頻度は高くありません。しかし、サイトは一度作ってしまえば24時間365日見てもらえる可能性があるため、ある程度時間をかけて納得のいくものを作る価値があったと思っています。