こんにちは、カリカチュアアーティストの田中ラオウです。
まずはこちらをご覧ください。
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私はこのような顔を誇張した人物画「カリカチュア」を描いています。
カリカチュアについてのご紹介はコチラの記事をご覧ください。
当連載「それいけ!カリカチュア帝国」はカリカチュアの世界チャンピオンである僕、田中ラオウの「日本にカリカチュアを広めたい」という切実な願いを叶えるため、渾身の筆圧をもって執筆している連載です。
上手い絵とはどういう絵のことを言うのか
僕は写実性の高さがひとつの上手さだと考えています。上手い絵かどうかと、良い絵かどうかはまた別の話だとは思いますが、写実性の高い技術を持つことは作品に説得力を与える上で非常に有効な手段だと考えます。
今回は、日本のイラストレーション界隈でクリエイターから熱い支持を受けるTooのカラーマーカー「コピックスケッチ」の超ハイレベルな使い方を皆さまにご紹介します。超ハイレベルとはつまり、広い面を綺麗な発色で塗る一般的なマーカーの使い方よりも更に踏み込んだリアル描写のことです。
一般的にマーカーは、発色が明るく力強いイメージで、写実的な絵との相性は悪い印象かもしれません。ですが、コピックマーカーの場合は豊富な色数に加えて、Too独自の太い筆ペンの様なブラシが採用されており、これが今までのマーカーの描き味を超越した繊細かつ大胆な塗色を可能にしてくれます。
※このブラシの製造には技術者の英知が結集されておりTooの中でもかなり原価率が高い商品だそうです。
では実際に私がコピックスケッチを使って描いた作品をいくつかご紹介します。
発色の綺麗さを活かしたファンタジックな配色のイラストレーションです。
8割をコピックスケッチで描き上げ、仕上げに色鉛筆を使ったカリカチュアです。
世界大会で描いた作品を含め、私が今まで制作した作品の7割以上はコピックスケッチを使用して描かれています。
製品情報はこちら >> 株式会社トゥーマーカープロダクツ
※コピックは(株)Tooの登録商標です。
作画手順公開
それでは私がコピックスケッチを実際にどの様に使っているのかを手順を追って解説していきたいと思います。
- 【今回のモデル】LIG社長 ゴウ氏
弾ける笑顔でいかにも良い人そうなので、今回はそれを信じて思い切り誇張しちゃいましょう。
色ぬりの前段階として最暗部にはコピックのインクを重ねても滲まない黒を入れてあります。
1. 最暗部から塗る
まずは黒に一番近いところから色を入れていきます。コピックスケッチは塗り重ねにより色と色がなじむので濃い色の輪郭を薄い色であとからぼかすように塗ると自然な仕上がりになりやすいです。
- 使用色:E19、E15
2. 赤みが強い部分を塗る
皮膚の中でも特に赤みが強い部分を塗っていきます。先ほどと同様に赤も発色が強い色なのであとから薄い色で肌になじませます。ハイライトに向けてブラシを払うような塗り方をするとよりグラデーションが自然に描けます。
- 使用色:R22、R20、R11
3. 中間色で全体を塗る
肌の最も明るいところだけを残すつもりで全体に中間色を塗っていきます。先に入れてある濃い色の上から塗り重ねるようにして自然なグラデーションを作っていきます。ブラシのストロークは立体に沿った方向で塗ると良いでしょう。
- 使用色:E13、E11
4. 明部を塗る
肌の中でもっとも光が当たっている部分を塗っていきます。肌の細かなディテールも意識しながら描いていきます。この時肌に白いハイライトを残しすぎると軽い仕上がりになってしまいます。実際は顔の中に白はほとんどありません。一番薄い色で全体を軽くぼかす様に塗ると色と色の境目がなじみ、グラデーションがより綺麗に描けます。
- 使用色:E50、E00
5. 背景を塗り、明暗のバランスを見る
コピックスケッチの発色の素晴らしさを際立たせるために背景は黒にしました。また、現実世界では顔の輪郭が黒い線でかたどられていることはありませんので、リアルな仕上がりを目指す場合は最初から輪郭線を黒では描かない方が良いでしょう。今回は背景を黒で塗りつぶす計画だったため、わかりやすく全体を黒の主線で描いてから塗り始めました。
6. 髪の毛や歯、服の色を塗り、仕上げる
- 使用色:T-5、T-3、C-7、W-2、W-5
完成はこちら
本人に渡しに行きました
ゴウさんこんにちは。
ラオウじゃん、どうしたの?
ジャジャーン!!
「ぐわーーーっ!!!」
「これヤバい、かっこいい」
とても気に入ってくれました。
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【結果】ゴウさんは写真通りの良い人でした。
イラスト講座を開催します!
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みなさんは老若男女の描き分けは自信ありますか? かなり著名な漫画家さんでも子供を大人っぽい顔に描いてしまっていたり、女の子が少しゴツく見える描き方をしてしまっているという失敗をよく見かけます。絵のタッチに関わらず、キャラクターを描き分けるための理論とコツというのが明確に存在します。僕は今まで似顔絵とカリカチュアを合わせて3万人以上の人物を描いてきました。世の中に同じ顔が存在しない以上、その3万人のそれぞれの違いを描き分けて来たとも言えると思います。その経験の中で確信を深めてきた描き分けの理論を人物を描く機会が多いイラストレーターや漫画家の方、絵の職を目指している方々、イラストに携わる方々にシェアしたいと思います。中にはセンスが良く、感覚で出来てしまっている方もいるかと思いますが、この機会に改めて描き分けの理論を学び、ご自身のキャラ描写にさらなる安定感を加えて頂ければ幸いです。
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田中ラオウ監修 似顔絵販売 「似顔絵制作ドットコム」