こんにちは、カリカチュアアーティストの田中ラオウです。
まずはこちらをご覧ください。
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私はこのような顔を誇張した人物画「カリカチュア」を描いています。
カリカチュアについてのご紹介はコチラの記事をご覧ください。
当連載「それいけ!カリカチュア帝国」は、カリカチュアの世界チャンピオンである僕、田中ラオウの「日本にカリカチュアを広めたい」という切実な願いを叶えるため、渾身の筆圧をもって執筆している連載です。
今回のブログテーマは「線」
今回は、イラストを描く上で重要な要素のひとつ「線」について解説します。線が綺麗に引かれているかどうかでイラストの見映えは天と地ほどの差が出ます。ガッキーと温水洋一さんくらいの違いが出ます。
これはまったく大げさな話ではありません。ラインクオリティはカリカチュアアーティストが最初に最もこだわるポイントであり、線にはそのアーティストの技量が如実に現れます。もちろん線の重要さはカリカチュアに限ったことではなく、漫画からアニメーションまで、あらゆるイラストに通じる話だと思います。
この記事ではどなたにでも即実践していただける「ドローイングのコツ」をご紹介します。これを読んでご自身のイラストをレベルアップさせちゃいましょう。
初心者とプロの「線」の違い
今回は似顔絵初心者が描くイラストとプロである私田中ラオウのイラストの違いをご覧いただきます。
※ラインクオリティでどれほどの違いがでるかをご覧いただくために、同じ画材を使い、描く紙には予めラオウが描いた下絵を印刷してあります。
- 初心者の方が描いた線
- 田中ラオウが描いた線
いかがでしょう?
使用したペンは共にコピックスケッチの筆ペンブラシ一本のみです。最初の絵も単体で見ればおかしくは見えないかもしれませんが、並べて比較して見ると同じ絵でも見栄えが違うことがお分かりいただけると思います。
point.1 線の強弱
初心者の絵は全体的に同じような太さの線で描かれており、のっぺりとした平面的な絵に見えます。
一方、僕の線は極細〜極太までメリハリをつけており、影になる部分には太い線を用いてるため、線画ながら少し立体的に見えます。また、景色との境目となる人物のアウトラインをかなり太い線で囲むことで、人物を引き立てています。
point.2 線の始まりと終わりをスムーズに
画面にノイズ=悪目立ちする部分を作らないことがとても重要です。ノイズをなくすためには線の始まりと終わりを意識することが大切です。
- 線を滑らかにフェードイン→フェードアウトさせるイメージで先端を尖らせる(ぶつ切りにしない)。
- 交わる部分はピッタリと
線を描くときの基本は、細→太→細と滑らかに太さに強弱がつくことです。太い線が突然途切れたり、線の太さが途中で急に変わったりすると、見る人は引っかかりを感じます。
point.3 滑らかなカーブ
線がヨレヨレだとそれだけでとても素人くさく見えます。どんな角度の線でも安定して描けるよう練習するべきでしょう。特に女性を描くときは、角ばった線を描くと一気にゴツゴツした男らしい印象になってしまいます。滑らかで柔らかい線は力んでいては描けないので軽いタッチで長いカーブを描く練習が効果的です。
point.4 絵の中のルールを統一する
例えば正面から顔を描くときに輪郭を太く書いた場合、右アゴと左アゴの線の太さが違うだけでバランスが悪く見えます。線の強弱を予め、輪郭は太い線、パーツの形は中くらいの太さの線、シワなどは細い線、と大まかに設定しておくと描きながら迷うことが少なくなるでしょう。
特に複数人を一枚に密集させて描く場合は線の強弱のルールを意識しておかないと、人と人の境目の線がどこかが分かりづらくなったり、人物ごとに違うタッチで描いているように見えてしまい、絵がバラけます。
- バラバラ
- 線のルールを統一する
まとめ「うまく描くための3つのポイント」
上記のポイントを踏まえて、うまく描くためはどうしたら良いか、すぐに実践できるコツを以下にまとめます。
1. アウトラインをハッキリ太く描く
髪型や輪郭の一番外側にある線をしっかり太く描くだけで、人物がくっきりと見えます。ちょっと大袈裟なくらい太くするイメージで描くと、うまくいきやすいです。
2. 長い線は滑らかに
頭の中で、あらかじめ線の始点と終点を設定しておいて、そこをめがけて力まずに勢いよく狙った通りの線を引けるように練習しましょう。
3. はみ出さないように気をつける
絵は雑に見えるのが一番良くありません。はみ出しや線が唐突に途切れているとどうしてもガサツな絵に見えてしまいます。
上記の三つを意識するだけで絵がグッと良くなります。
僕は以前、マドリードで40年間デッサンの研究をされてきた画家の加藤力之輔先生に「絵は真剣に、丁寧に、だよ」と言う金言を頂いたことがあります。最後にこの言葉を絵を描くことが好きな全ての方とシェアしたいです。
※今回紹介した線画のコツはあくまでも簡単にクオリティを出すための技であり、イラストレーションとしての正解を示すものではありません。世の中にはあえて一定の太さの線で描いたイラストやペインティングに重きを置き線にはこだわらないタイプのイラスト、ヨレヨレの線を味わいとするヘタウマと言われるようなイラストまでごまんとありますので、自分の好みのスタイルを追求するのが上手くなる一番の方法だと思います。
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田中ラオウ監修 似顔絵販売 「似顔絵制作ドットコム」