こんにちは、カリカチュアアーティストの田中ラオウです。
まずはこちらをご覧ください。
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私はこのような顔を誇張した人物画「カリカチュア」を描いています。
カリカチュアについてのご紹介はコチラの記事をご覧ください。
当連載「それいけ!カリカチュア帝国」はカリカチュアの世界チャンピオンである僕、田中ラオウの「日本にカリカチュアを広めたい」という切実な願いを叶えるため、渾身の筆圧をもって執筆させていただいているブログです。
今回は日々進化を遂げるモバイルデバイスの作画アプリを使ったドローイングをご紹介します。
描いてみた
↓↓まずはこちらの画像をご覧ください。↓↓
↓↓続いてこちらをご覧ください。↓↓
これらの画像はどちらも僕が同じモチーフを描いたデッサンなのですが、実は片方はiPad Proで描いたデジタルドローイングです。どちらがデジタルか分かりますか?
ディテール
↓↓1枚目のディテール↓↓
↓↓2枚目のディテール↓↓
わかりましたか?
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正解はこちら。
【デジタル作画環境】 デバイス:iPad Pro、Apple Pencil
使用アプリ:Adobe Photoshop Sketch http://www.adobe.com/jp/products/sketch.html |
昨今の作画アプリの手書き感は本当に凄いですよね。特にこのAdobe Sketchには感激しました。ブラシのインク量から紙のテクスチャまで緻密に再現されています。開発者はなぜこれほどまでに手描きの再現に躍起になっているのでしょうか。ここまでくるともういっそのこと手描きでいいんじゃないでしょうか。
アドビにお話を伺いました
Adobe Sketchが一体どんな目的で作られたのか、デジタルデバイスで手描き感を表現することの意味などを率直にお聞きすべくアドビさんにお邪魔しました。
今回僕の素朴な疑問に答えて下さるのはこの人。Adobe Creative Cloud エバンジェリストの仲尾さんです。見るからに優しそうなので不躾な質問をしても許されそう。
人物紹介:仲尾 毅
Creative Cloudエバンジェリスト。2012年、Creative Cloud登場と共にアドビ入社。Creative Cloudの伝道師として、アドビの最新技術・製品・サービスの訴求と移行促進に従事。クリエイターにとってメリットのある最新情報をいちはやく伝える。Twitter @tsuyon |
早速質問してみた
仲尾さんこんにちは。Adobe Sketchはなぜこんなにリアルな手描き感が出るんですか?
Adobe Sketchの目指すところがまさに手描きだからです。昨今モバイルデバイスのテクノロジーの進化で筆圧感知やレイテンシー(手のスピードについていく能力)の精度上がってきており、タブレットなどでも細密な絵が描けるようになりました。
アドビは、パソコン上での作画に定評があるPhotoshopを持っていましたから、このPhotoshopのブラシ機能をモバイルデバイス用に最適化できれば手描きのような描き味が再現できるのではないかという発想でAdobe Sketchが開発されました。
正式名称もAdobe Photoshop Sketchと言うんですよ。
そうなんですね。でもこれだけリアルな手描き感を再現されると僕なんかは最初からアナログで描けば良いのではと思っちゃうんですが、デジタルで手描きを目指すことのメリットはどこにあるんですか?
ははは。もちろんアナログが究極だと思いますが、デジタルのメリットもすごく沢山あると思いますよ。例えばレイヤー機能。Adobe Sketchは下書きレイヤーもドローイングレイヤーも好きな数だけ持つことができます。
あとは取り消し機能。アナログだといくら消しゴムをかけても何かしらの痕跡は残ってしまうものですが、デジタルだと完全な消去が可能なので書き損じも無かったことにできます。
確かに。完全に取り消せるならペン入れで緊張する必要もなくなりますね。
あとは画材そのものをデジタルで実現していて、それをカスタマイズできますので、まぁ言ってみれば画材を買うお金がかからないということですかね。
いやぁそれは大きいですね。あと画材持ち運びの手間が省けますよね。手描きの絵って描いた後の片付けが意外とめっちゃめんどくさいんですよ。絵に集中力を使い切ってるんで片付けは誰かやってくんないかな、という感じで。アクリル絵の具なんかサボるとカピカピになって一式が再起不能になりますから。
このブログの読者のなかにはイラストに興味がある方やイラストレーターを目指している方も多いと思うんですが、アドビが例えば何かの仕事でイラストレーターを募集することはあるんですか? イベントなり、何かの製品のモニターなり、コンテンツのアイキャッチとしてのイラストを募集など。
直接募集することはないのですが、クリエイターが作品をショーケースするBehanceを Creative Cloud のサービスの一環として提供し ています。
オンラインポートフォリオコミュニティサービスですね。
はい。例えばデスクトップアプリ起動時の画面は、実際にクリエイターさんがBehanceにアップロードした画像、あるいはそういったクリエイターさんにアクセスして描いてもらったものを使用しています。
ということはBehanceに作品をあげるとアドビの目にとまる可能性があるということですか?
アドビの目というよりも、アーティストやアート作品の起用を検討している企業へのアピールになります。特にいいね!(評価)をたくさん獲得している作品は目にとまりやすいと思います。
なるほど。いいね! を獲得するコツなどがあれば教えて下さい。
Behanceはひとつのプロジェクトに対して何枚でも画像を紐づけられます。完成作品だけじゃなく、そこに至るまでの制作過程や、どのようなものから着想を得たかなどが解説してあると、見る人も作家のマインドが想像しやすく、結果的にいいね! が付きやすい傾向にあります。
ただ完成画像をポンと置くだけではなく、作品をプレゼンする感じでしょうか?
そうですね。あとはBehance以外でもDESIGN JIMOTOやCreative Jamなどクリエイター向けのイベントも開催してますので、ぜひ参加していただければと思います。
イベントの開催情報はどこで確認できますか?
最後インタビューっぽく締めたいので若いクリエイターに向けたメッセージなどをください。
ははは。なんだろう。先入観とか偏見を持たずに色々チャレンジしてください、という感じでしょうか。鉛筆が最初に発明されたときは「こんなもので絵を描くなんて邪道だ」とアート業界で言われてたかもしれないですよね。アナログじゃなきゃダメとかデジタルこそがという先入観を捨てた方が可能性は広がるんじゃないかなと思います。
うわー。鉛筆が邪道なんて考えもしなかったですが、確かに最初はそうだったかもしれませんね。なんだか視野が広がった気がします。仲尾さんありがとうございました。
まとめ
今回作画アプリについてうかがう目的でお邪魔したんですが、思いがけず若手クリエイターにとって有意義な情報もお話しいただけました。特にこれから名前をあげていきたいと考えている人にとって以下はすぐにでも無料で実践が可能ですのでチャレンジしてみる価値があると思います。
・ブログやTwitterなどで最新情報をフォローする
・Behanceに作品をアップする
・競技型のキャンペーンにエントリーしてみる
仲尾さんはクリエイターからのSNS上でのメッセージなども受け入れているそうで(返信のお約束はできないとのこと)、イベント会場などでも見かけたら気軽に声を掛けてくださいとおっしゃっていました。Behanceでも他のクリエイターとのコメントのやり取りなどができます。世の中何がきっかけになるかわからないので何事も積極的にチャレンジしていきたいものですね。
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みなさんは老若男女の描き分けは自信ありますか? かなり著名な漫画家さんでも子供を大人っぽい顔に描いてしまっていたり、女の子が少しゴツく見える描き方をしてしまっているという失敗をよく見かけます。絵のタッチに関わらず、キャラクターを描き分けるための理論とコツというのが明確に存在します。僕は今まで似顔絵とカリカチュアを合わせて3万人以上の人物を描いてきました。世の中に同じ顔が存在しない以上、その3万人のそれぞれの違いを描き分けて来たとも言えると思います。その経験の中で確信を深めてきた描き分けの理論を人物を描く機会が多いイラストレーターや漫画家の方、絵の職を目指している方々、イラストに携わる方々にシェアしたいと思います。中にはセンスが良く、感覚で出来てしまっている方もいるかと思いますが、この機会に改めて描き分けの理論を学び、ご自身のキャラ描写にさらなる安定感を加えて頂ければ幸いです。
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