こんにちは、カリカチュアアーティストの田中ラオウです。
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私はこのような顔を誇張した人物画「カリカチュア」を描いています。
カリカチュアについてのご紹介はコチラの記事をご覧ください。
当連載「それいけ!カリカチュア帝国」はカリカチュアの世界チャンピオンである僕、田中ラオウの「日本にカリカチュアを広めたい」という切実な願いを叶えるため、渾身の筆圧をもって執筆させて頂いている連載です。
今回のテーマは背景
人物を描いたとき、その後ろには何らかの背景が必要になることが多いです。背景と一口に言っても単に色を塗るだけのものから、緻密な風景を描き込むものまで様々ですが、今回は特に「色の効果」にフォーカスしてみます。
とは言っても、色についての論理的な解説は特にありません。あくまでも直感的にその違いを感じていただけるように、実際に僕が描いた絵の画像をご覧いただきながら解説したいと思います。色の構造や視覚効果について学術的な理論にご興味のある方は、是非その手の専門書をご覧ください。ご自身で絵を描かれる方もそうでない方も、色について学ぶことはとても良いことだと思います。
描いてみた
今回の解説用にモンスターを一体描きました。このモンスターが背景色によってどんな印象になるか、実際に見てみましょう。
イエロー系
黄色は、ヒマワリや太陽のような印象を与えるとてもハッピーな色です。笑顔が印象的な人や好奇心旺盛な人の背景に似合います。黄色だけだと少し明るすぎて浮かれた印象にも見えるかもしれませんね。この絵のモンスターは今にもホームパーティに誘ってきそうなイヤな勢いがあります。
イエロー系アレンジ
集中線を加えることで、天井知らずのハッピー感を演出しました。
ピンク系
ピンクには女性らしさの象徴のようなイメージがあります。ビビットなピンクだと芯が強そうな印象が出ますし、淡いピンクだと少し幼い印象になります。この絵からは少しスケベっぽい印象も受けますね。
ピンク系アレンジ
白のドット柄でキュートさを加えました。
赤系
赤はとても刺激的な色です。インパクトが強すぎるので女の子向けのキャラクターなどで赤が使用される際は、絵の中の何割かに白を取り入れて赤の強さを中和させている場合が多いように思います。逆に赤色だけで構成されているキャラクターは男の子向けの商品に多いように感じます。赤は場面によっては攻撃的、挑発的と受け取られてしまう可能性もありますね。この絵からも人を呼ぶとき必要以上に大きい声で「カマァーンッ!」と叫びそうな印象を受けます。
赤系アレンジ
白のハート柄で赤の強さを少し中和し、絵にラブリーさを加えました。
青系
青は落ち着いた印象や知的な印象を与えます。戦隊ヒーローモノでも青は頭脳派のキャラクターが多いです。この絵はキャラクターの存在感と背景とのギャップが大きく、心に闇を抱えつつ無理して明るく振る舞うモンスターのような印象を受けます。
青系アレンジ
色のトーンを落としつつ背景スペースを広く取ることで寂しげな印象を強調し、孤独感を演出しました。辛い生い立ちで塞ぎ込みがちだったモンスターが、ダンスとの出会いをキッカケに徐々に前向きさを得ていく、そんなドラマチックな想像ができなくもないと思います。
緑系
緑は調和の色だと思います。穏やかな印象を与えます。お茶や自然を連想してしまいますね。
この絵はキャラクターの肌の色と背景の配色が合っておらず、体つきの不気味さが際立ってしまっていますが、髪の毛の一部は緑系なので頭部分だけを見れば合っている気もします。背景色をキャラクターの中にある色から選ぶというのも良い方法です。
緑系アレンジ
思い切った柄パターンを使用してみました。緑の葉を連想させるデザインにハッピーな印象を与える黄色も入っており、南国を感じさせる陽気な絵になりました。
まとめ
同じ絵でも背景の色を変えるだけで、かなり印象が変わることがご覧いただけたと思います。今回はデジタルならではの彩度の高い色を紹介させていただきましたが、同じ色相でも彩度を抑えたり、明度を調節することで様々な印象を狙えます。
クリエイターにとって、とても初歩的な色の話で恐縮ですが、いろんな背景色をキャラクターに当てはめて並べてみるのも違いが分かりやすくておもしろいかと思います。人物を引き立たせながらテーマを感じさせるような背景づくりを心掛けていきたいですね。
田中ラオウ 動物画展示情報
2017年4月1日~30日まで、渋谷スクランブル交差点のカフェREBECCAにて動物画の展示をします。田中ラオウのカリカチュアとは別の画家としての絵の展示になります。ご興味がある方は是非休憩がてら渋谷REBECCAにお越しください。※カリカチュアと似顔絵の展示はありません。
お店情報>>Bar&Grill REBECCA
カフェでの展示のため入場は無料ですが、ドリンク一杯でも飲んで行っていただけるとラオウの顔が立ちます(笑)。ラオウの常駐日はFacebookなどで随時告知させていただきますので宜しければそちらもチェックしてみてください。
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田中ラオウ監修 似顔絵販売 「似顔絵制作ドットコム」