本当はもっとやりたいことがある|デジハリ
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2016.05.27
LIG PR
#47
働き方インタビュー(経営者編)

101%以上で初めて価値がある。「BIRDMAN」がクリエイティブである4つの秘訣

小田直美

こんにちは、ライターのおだんです。エンジニア好きが高じてWeb業界專門のライターをしています。

まずはなにも聞かずこのサイトを見てください。ひとつの作品のように作り込まれたユニークな世界観。最先端のインタラクティブ広告を制作する「BIRDMAN」のコーポレイトサイトです。

BIRDMAN   バードマン   The Interactive Company
 
オカモトゼロワンのプロモーション「LOVERS研究所」、キリン「氷結Ⓡ あたらしく☆画たろう!!!」など話題のプロモーションサイトを多数制作。斬新なアイディアとクリエイティブは国内外で高く評価され、カンヌライオンズ、広告電通賞、Code Award、スパイクスアジア、アドフェストなど130以上の賞を受賞しています。

なぜBIRDMANはクリエイティブでありつづけられるのか? その秘訣を取材しました。

【お写真】BIRDMAN代表 人物紹介:株式会社BIRDMAN 築地ROY良氏
1973年生まれ。1998年に来日しグラフィックデザイナーとして活動後、インタラクティブ制作を始め2004年にスパイス・グラフィックスを立ち上げる。2009年にBIRDMANに社名を変更し現在に至る。国内外にて100以上のアワードを受賞。

BIRDMANがクリエイティブである4つの秘訣

テクノロジーの進化により、デジタル広告のあり方も変わってきた昨今。そのなかで注目されるクリエイター集団・BIRDMANの代表である築地氏にお話を伺いました。

1. お金以外のメリットがあるかどうかで仕事を選ぶ

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―BIRDMANで受ける仕事のほとんどはプロモーションだそうですが、具体的にはどのような依頼でしょうか?

本当に出来るの?と思ってしまうような企画の相談が多いです。「ドローンを使って芸人さんにタライを落としたい」ってむちゃくちゃな企画とか。(笑) 企画の段階から入って、自分たちが面白いと思うものを作ります。

「会社にやらされている」と思うような仕事はスタッフにさせたくないんですよ。だから仕事がきたらまず全員にメールで案件の情報を共有して、やりたいと手をあげた中からアイディアが採用された人を担当にします。

 
―長期的にサイトを更新するような、運用の仕事はしないそうですね。

しないですね。そういう仕事を受けるときは、サイトができた段階で外部のパートナー会社にお願いすると初めからクライアントに伝えます。長期的な更新案件は社員のモチベーション維持が難しいので、あまり得意としていません。

「興味をもてるかどうかで選んでいる」と言うとエラそうに聞こえるかもしれません。(笑) だけど昔から「食べるための仕事」はしたくないと思っていて。うちは社員数を40人以上に増やさないようにしているんですが、その理由も人数が多くなるとクオリティの維持が難しくなることと、その人数を維持するためにどんな仕事でも受けざるを得なくなるからです。

クリエイターのモチベーションを保てるような仕事を選ぶために、お金以外のメリットがあるかどうかで判断します。新しい技術を試せるか、新しいチャレンジがあるか、賞が狙えるかなどですね。

 
―クリエイターのモチベーションはお金で保てないということですか?

好きな気持ちがあるとより良いものが作れるんですよ。誰かに言われてやると、言われたことしかやらないじゃないですか。でもみずからやりたいって気持ちや、自分の作品になるという自覚があると、もっとこうしたいってアイディアが膨らんでくる。

それに自分たちが面白いと思えない仕事を他の人たちが面白いと思ってくれるわけないんですよ。「これ面白くねぇんじゃないの?」っていうものを作っても共感してくれる人は少ないですからね。それならBIRDMANでやる意味はないです。

2. クリエイターに仕事の金額を言わない

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―クリエイターのやる気を上げるために他に気をつけていることはありますか?

クリエイターには、5万円の仕事だろうが1000万円の仕事だろうが金額は言わないようにしています。社員には仕事の金額感を覚えさせるべきだって考えの会社もあるかもしれないけど、クリエイターは値段の大小に関係なく、自分が納得のいくものを作るべきです。

「これ5万の仕事だからこのぐらいのクオリティでイイっすよね」って言い出して、自分のスキルをお金で換算するようになったらクリエイターとして終わりだと思う。モノを作る以上、自分が納得できるものを常に作るべきだし、経営陣はそれをできる環境を作ってあげるべきだと思う。

 
―なるほど。高いクオリティを求められる環境だと、リリース直前までテストや修正に追われるエンジニアの負担が大きくなってしまうのでは?

エンジニアのモチベーションを保つために、企画の段階からエンジニアにも入ってもらいます。デザインもエンジニアがいないとできません。企画してデザインしてコーディングする流れでいくと、エンジニアの作業って最後じゃないですか。デザインまでの段階でモヤモヤしていると、ケツを拭くのはエンジニアになってしまうので。

 
―エンジニアとデザイナーがいる現場では「忙しそうで声をかけられなかった」といったコミュニケーションの壁問題をよく耳にしますよね。

以前うちでもその問題を抱えていました。ディレクターとデザイナーが「彼らは作業があるから優先させてあげよう」と企画の打ち合わせに呼ばなかったことがあって。企画とデザインが終わって「デザインまでできました。このコーディングを月曜までにお願いします」と言われたエンジニアはもうハァ?ってオペレーターのような作業に不満が爆発寸前でした。

良かれと思って声をかけなかったにせよ、彼らのモチベーションは結果的に下がってしまった。だからどんなに忙しくても、エンジニアには少しの時間でも打ち合わせに同席してもらって、企画から入ってもらうのが重要だと思っています。

3. コミュニケーションのきっかけづくりをする

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―社員がストレスを溜めないよう色々な工夫をされているそうですね。最近では業務用のピザ窯を入れたとか。

月に一度「おつピザ会」っていうのを(以前はおつカレー会でカレーでした)やっていまして。メンバー4、5人が1つのチームになって、全員分のピザを作って振る舞います。その日はお酒もタダで好きなだけ飲んでいい。仕事が落ち着いている人は、そのまま夜中まで飲んでいることもあります。(笑) 基本19時以降は1杯100円で飲んでもいいのですが、木金の19時以降はハッピーアワーと称してビールなどのお酒はタダです。

それ以外にも月2回、会社で注文したケータリングやお弁当が無料で食べられる「フリーランチ」があります。みんなで一緒にお昼を食べることで、普段は
あまり話さない人とコミュニケーションをとるきっかけにもなるかなと。

 
―社員同士のコミュニケーションを増やすコツってありますか?

増やすコツは……お酒ですかね。(笑) といっても、みんな大人だし「コミュニケーション取りなさいよ!」と世話を焼くことはできない。付き合い方は人それぞれだから「何でも話せよ!」なんて無理強いもできませんしね。

会社って、人生の半分以上の時間を過ごす場所じゃないですか。それなのに居心地が良くないって最悪ですよ。いっそ家よりも居心地の良い場所じゃないといけないと思っているくらいです。「早く帰りたいー!」って思うような会社なら辞めたほうがいい。

あとは、チームでの飲み会や勉強会をやるときはちゃんと会社からお金を出すようにしています。特にプロジェクトが終わったあとの打ち上げは、ディレクターに仕切るように伝えていて。みんな苦労して仕事しているので「ほんっとお疲れ!」と労う時間を大事にしたいんです。

ディレクターとエンジニアのあいだで生じるわだかまりも、会社が打ち上げをやることで「また頑張ろうぜ」ってチームの士気を上げるきっかけになると思ってます。

 
―素晴らしい取り組みですね。「会社として社員を労わないといけないんだな」と考えるようになったのはなにか転機があったんですか?

社員数が15人くらいになったとき、コミュニケーションが足りなくなって「昔は良かったのに」って人がたくさん辞めていきました。7、8年前に5人でやっていたときは、仕事が終わると飲みにいって「みんなで有名になろうぜ!」って高みを目指していました。

それが15人、20人と増えていって頻繁にみんなで飲みに行くということも減り、人が増えて行くに連れてコミュニケーションが取りづらくなっていったんです。
 
―阿吽の呼吸だったスモールチームが組織的なコミュニケーションに変化したんですね。避けては通れない会社の成長痛をどう乗り越えたのでしょうか?

少人数で固まって同じゴールに向かっていくような、あのときの雰囲気をチーム単位で再現することにしました。そのためにオフィスの屋上も整備して、夏はバーベキューやパーティーをやったりして。

リーダーとか同僚への「ちょっと今悩んでいて」って話も、ピザやビールがあれば言いやすいじゃないですか。そういった小さなコミュニケーションってすごく大事だと思うんです。端的に言うと結局社長は、社員みんなに楽しく仕事をしてほしいし、そして幸せでいてほしいと心から願ってるんですよ。すごく浅はかな言葉に聞こえるかもしれないけど。(笑)

その延長線上で色々社員には還元していて、月2万の住宅手当があったり、タバコ吸わないひとには月3000円の健康手当を出したり、子どもができた女性社員には時短で働ける環境を作ったり、一人あたり1万円の子ども手当を出したりと福利厚生も充実させるようにしています。ちなみに今現在子どもがいて時短で働いている女性社員は3名います。

4. 前に通った道とは別の道に行く

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―クリエイターが最大限の創造性を発揮できる環境づくりに努めているんですね。クリエイティブの世界で活躍するにはどんなスキルが必要だと思いますか?

つねにチャレンジしつづける心構えだと思います。会社にいると同じような仕事がくるときって必ずありますよね。それを前回とまったく同じようにするかどうかは、自分次第なんですよ。

例えばエンジニアがiOSのアプリを作るとして、前回はC++だったけど今回はSwiftを使ってみようと勉強する。新しい言語を使うと自分に負荷がかかるけど、そこで頑張れば引き出しが増えて肥やしになる。エンジニアであれデザイナーであれ、新しいプロジェクトが始まるときは何かしら1つ、小さいことでもいいから自分なりのチャレンジを入れてほしいとメンバーには言うようにしています。

ゴールに到達するには前回と同じ道を行けば一番速いと経験則でわかっている。でも、あえて別のルートに行けば新しい発見や学びがあるかもしれない。そりゃあ自分にとって厳しい道を選べば思った以上に苦労するかもしれない。でもチームが全力でサポートするし、乗り越えたらめちゃくちゃ成長します。

 
―BIRDMANのクリエイターは、みなさん元から才能があって努力する必要がないようなすごい人ばかり集まっているイメージがあります。

それは違いますね。うちに入ってくる人は、元々デキる人よりも「俺で大丈夫なんだろうか」って感じでみんな入ってくるんですよ。そこから案件をこなして、短期間でどんどんスキルが上がっていったスタッフばかりです。

BIRDMANのクリエイターに求められるのは、チームとしてクオリティが出せるかどうかです。最初は誰しも自信がないゼロの状態から始まって、チームが一丸となってスキルを上げていっしょに成長していくんです。

 
―いま募集している職種はフロントエンドエンジニアと、マークアップエンジニアの2つということで、応募してほしい人へのメッセージをお願いします。

BIRDMANに限った話ではありませんが、仕事に100%で応えるだけでは自分の価値は出ません。101%以上やって初めて、自分の価値と存在感が仕事に表れます。頼まれた仕事にプラスαで自分の思考や工夫を入れることで「君に頼んでよかった」「次も君を指名したい」と言われるようになるんです。

頼まれた仕事を100%こなすのは当たり前。そこにクリエイターとしてのチャレンジやオリジナリティーをいかに入れていくのかをつねに意識する人であってほしいと思います。

インタビューを終えて

納得がいくまで追求する。BIRDMANのクリエイターが最先端でユニークな広告を次々とつくりだす秘訣は、ROY氏自身のクリエイター精神にあることがわかりました。

広告の新しいあり方を生みだし、テクノロジーの力で世の中を驚かせるBIRDMANのクリエイターがこれからどんな羽を広げていくのか目が離せません。

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