ヒットの確率は25%!?ユニークな人事制度を生む会社の秘訣はとにかく「考える」ことだった/IDCフロンティア

新川 五月


ヒットの確率は25%!?ユニークな人事制度を生む会社の秘訣はとにかく「考える」ことだった/IDCフロンティア

こんにちは。LIGライターズの新川です。普段はライター兼コピーライターをしています。

フルチャージ入社制度、子育てを支援するリモートワーク、インセンティブ付ウォーキングプログラムなど、世の中の変化に遅れることなく、新しくユニークな人事制度や働き方を発案し導入していくIDCフロンティア。

こうした企画の実現を大きく支えてきたのは、この4月に同社初の女性取締役に就任された土屋麻美さんです。土屋さんは「社員の心身の健康こそが企業の成長に不可欠な財産、それがお客様のビジネスを支えることにつながる」と話します。

今回は土屋さんと、話題のフルチャージ入社制度の生みの親でもある枝松成幸さんにお話を伺い、いったいどんな社風からこうしたアイデアが生まれるのか、また新たにトライアルでスタートしたリモートワークについても探ります。

idc2 人物紹介:土屋麻美
2001年ソフトバンクネットワーク(現ソフトバンク)入社。以降、ソフトバンクBB、日本テレコム、ソフトバンクIDCを経て、IDCフロンティアに参画。人事総務、事業企画管理を中心にキャリアを重ね、2011年に業務本部長(現コーポレート管理本部長)に就任。2016年4月よりIDCフロンティア初の女性取締役に。プライベートでは、アメリカ国籍のご主人が ニューヨークへ単身赴任中。毎月お互いに東京・ニューヨーク間を行き来しながら、家庭も両立しバリバリ仕事をこなしている。
idc 人物紹介:枝松茂幸
2008年IDCフロンティアの前身となる会社に中途入社。人事として新卒・中途採用、研修、労務などに幅広い領域に携わる。2015年4月より人事グループリーダーとして、自ら発案したフルチャージ入社制度、朝型勤務制度などの導入を通じ働き方改革に取り組む。

トライ&エラーから大きなヒットが生まれる

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—IDCフロンティアには、新しくユニークな人事制度がありますが、そのアイデアはどこから生まれてくるのでしょうか。

土屋麻美(以下、土屋) 当社の社風ですね。変化や変革が当たり前になってきています。ITの世界がこれだけ急激に変わっていくのですから、私たちも変わっていかなければなりません。だからIDCフロンティアは、会社としてトライ&エラーを認めています。もちろん、ただの思いつきではダメです! そこに熱い想いがあるチャレンジは、どんどんやってみればよいという社風です。

人事部門についても同じです。社員のためになる制度や施策なら、やってみればいい。常に皆にそうお願いをして、新しいものをどんどん考えてもらっています。

 

—社員の方には、そういう考え方を普段から伝えていらっしゃいますか。

土屋 「常に考えようよ」とよく言います(笑) 「普段生活しているだけで、何か気がつくことがあるでしょう」って。何事にも好奇心を持っていれば、何か思いつくものです。というのも人事部門含め管理部門では、規定や規則に沿って仕事をすることが多く、その中で保守的にならないように常日頃から声をかけるようにしています。

枝松 そんな急には出ませんが……でも、「考えよう」と言われて日々考えていると、入浴中とかひょんな時にポンとアイデアが出たりします。これは考えることが習慣になってきているから。土屋の言葉が意識付けになっています。口うるさいくらい(笑)

判断軸は「善悪」であって「損得」ではない。

—仕事で、土屋さんが一番大事にしていることはなんでしょう。

土屋 「損得ではなく、善悪で考えよう」ということです。これは10年近く前に上司から言われたことですが、これだけは絶対です。判断軸はまず善悪、その後に損得がくることはいいと思います。

枝松 僕は、以前はメリット・デメリットしか考えていなかったんですが、子どもが産まれて考えが変わりました。子どもに話して恥ずかしくない仕事をしようという心境の変化。その時、土屋の“善悪”とはこれかと腹落ちしました。

土屋 若い人は難しいですよね。どうしても損得が先に立ってしまうことがあります。何事にも見返りを求めているうちは見返りなんてないんです。不思議なことに、見返りを期待しなければ、その逆はあったりするのですが…。

 

—上司から善悪のお話を聞いたときの土屋さんは、すでにキャリアもご自身のスタイルも確立されていらっしゃいました。そういう立場で、新しい意見を受け入れるというのは柔軟だなと感じます。

土屋 私はいわゆる“国際結婚”なので、普通よりちょっと柔軟なのかもしれませんね。プライベートで日々柔軟に、文化の違いを受け入れています。例えば、日本人の「言わなくてもわかるでしょ? なぜ、わからないの?」という感覚は、夫に言わせると「どうして言わないのにわかるの? 僕、テレパシー持ってないよ」となるんです。そう言われると「なるほどね、言わなきゃわからないよね」とすぐ納得して受け入れます。本当に“目から鱗”ばっかりで、新しいことを日常的に受け入れていくことに慣れてしまっていると思います。

あと、私は上司運がよくて、心に残る良い言葉をたくさんもらいました。全く経験のない仕事を任された時、当時の上司にそう伝えると「勉強したらいいじゃん」のひと言。なるほどね、と納得してしまいました(笑)

力を発揮させる秘密は、360度から言い続けること。相手に伝わる本音とその気配り

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—現在、直属の部下の方は何人いらっしゃいますか。

土屋 直属は管理職の4名です。その管理職だけではなく、その下のメンバーとも関わるようにしています。ひとりひとりとしっかり向き合いたいので、半期ごとに3~4名ずつと関わります。

 

—土屋さんが部下の力を発揮させるために心がけていることはなんですか?

土屋 とにかく諦めずにしつこく伝えることです。私に言われていることに部下が慣れてしまうこともあります(笑)その時は別の上司も巻き込んで、本人の気づきを促します…(笑)

枝松 ななめ1 on 1(注)ですね。
(注:直属の上司ではなく、別の部門長がおこなう1対1面談のこと)

 

—土屋さんは、周囲の人も巻き込んだアプローチで、次第に相手をやる気にさせていきます。人の心を動かす部分を褒めたり、叱ったりする微妙なバランスは難しいと思うのですが、感覚的にしていらっしゃるのでしょうか。

土屋 どうなんでしょう。考えたことがないので…。

枝松 感覚的かどうかはわからないですが、僕から見ると、”気配り”だと思います。タイミングを見計らってのコミュニケーションもそうですが、資料作成ひとつ挙げても、土屋は見る側の立場にたって作っているので、すごく分かりやすかったりします。常にそういう気配りをできるところが土屋のスゴイところだと思います。たぶん、ほかの人がどうしたら気持ちよく仕事できるのかをイメージができるんだなと思いますね。要は、そういうところが部下の力を発揮させることにつながっているんでしょうね。

女性でも決して高くない取締役へのハードル

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—IDCフロンティア、初の女性取締役に就任されました。取締役としてのこれからの使命やビジョンをお聞かせください。

土屋 まず、取締役としては、「市場、お客さま、社員」を今一度意識した上で、より強い会社になるためのマネジメントをしなくてはならないと思っています。次に、女性としては、優秀な女性社員が力を思う存分発揮できるような職場環境作りですね。結婚・出産・育児などのライフステージの変化にも、会社がより柔軟に対応しなくては、と。

ちなみに、身近な女性社員には「私のあとに続いてね。」とささやいています。「こんな身近な私が役員になったのだから、そのハードルは決して高くない。さっさとなってね…」と(笑)

また、本部のメンバーにも、「私と一緒に頑張ろうね。」と、私だけではなく皆で一段上に上がるようにお願いしています。

枝松 本部のみんなの第一声は「応援しています」でしたが、頑張っていかなきゃいけないんだろうなと(笑)

土屋”One Team”なんだから、よろしくね!

世間の常識にしばられない考えを繰り返すトライ&エラー

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—これから活躍したいと思っている女性はぜひ聞きたいと思うのですが、土屋さんが家庭と仕事を両立されている秘訣はありますか。

土屋 家庭については頑張りすぎず、無理しすぎないことです。無理しすぎてしまうと、辛くなって、幸せじゃなくなりますよね。自分が幸せじゃないのに、誰かを幸せには出来ない・・・旦那さまを幸せにはできないです。だから、一般的な“家事全般は奥さん”というのは上手くごまかしながらやっています(笑)たぶん、それが仕事と両立できている秘訣だと思います。
 

—世の中のいわゆる“女性の家庭像”にしばられないということでしょうか。

土屋 これだけ世間が変わっているんですから、決まった家庭像にしばられる必要はないと思っています。最近では、育メンが普通になってきているくらいですから。

—そういう意味では、フルチャージ入社制度や、リモートワークも今までの常識にしばられていない制度だと思います。

枝松 当初、フルチャージ入社制度は2015年度の期間限定で実施したエンジニア・デザイナーに絞った中途採用制度でした。入社後1カ月の特別有休と試用期間満了後に100万円が支給されます。導入にあたり反対の声も多少ありましたが、実際これまでと違った優秀な層にアプローチできましたし、ある程度の採用数も達成できたんですね。成果が出たので、2016年4月からは全職種を対象に通年の制度としました。

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—土屋さんがおっしゃられたトライ&エラーで、思い切ってやってみて成果が出たケースですね。

枝松 そうですね。典型です。エラーしなくてよかったなとホッとしています(笑)

 

—実際にやってみて成果が出る企画は何%くらいでしょうか。

土屋 25%くらい?

枝松 4つに1つくらいなので、25%ですね。

土屋 4つなら考えてみようとなりますね(笑)

枝松 簡単に言うけど結構難しいんですよね、やっぱり(笑)

週5回出勤することが本当に正しい?

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−2016年4月からリモートワーク(社内ではFamily、Flexible、Frontierをかけて『Fワーク』と呼ばれている)もテスト導入されているんですよね。

枝松 これは育児中の社員、パパさんママさんが対象の制度です。シンプルに言うと、そもそも週5回会社で仕事をする必要はあるんだっけ? 会社に来ることが価値なんだっけ? という発想からスタートした制度。場所はセキュリティが担保されていれば、家でもカフェでもよいことになっています。着眼点は「ママさんがお迎えのために必死にダッシュしていくシーンを見て、若い女性社員がここで長く働けると思うだろうか」ですね。とはいえ、週5回をいきなりゼロにするのは難しいので、トライアルとして月2回オフィス以外で仕事をするというスタイルから始めています。

 

—今回その対象者となる社員は何人くらいなのでしょうか。

枝松 約50人です。この方々を対象にしたランチ会でのヒアリング結果、働く場所に対するニーズが一番多かったです。今回の制度は“育児”が対象ですが、今後は“介護”というケースもありますよね。現在、社員の平均年齢が30代半ばなので顕在化していませんが、将来は必ず出てくるだろうと考えています。だからこそ、先を見据え、働き方をどんどん変えていきたいなと思います。社会の変化に対応していかないと生き残れないのではないかと考えています。

 

—IDCフロンティアとして、どういう方と一緒に働きたい、またはどんな方が活躍できると考えていますか。

土屋 新しいもの好きの元気な人です。

枝松 私も土屋と似ているんですが、既成概念を取り払える発想力と、生み出すだけじゃなくて、やり抜いていく力のある人。発想を打ち破るというのは、先程の「週5出社って本当に正しいんだっけ?」と同じで、よくわからない慣習など既成概念を取り払って考えられることが重要です。

土屋 私は、社員から「これって、誰が決めたんですか? 変えたいです」と相談があったら、「それイイ! どうするの? どうやるといいの? じゃあ、1週間後ね」と言い、すぐ進めてもらいます(笑)

枝松 実際にその宿題が結構難しいんですけどね(笑)

インタビューを終えて

インタビュー中、終始笑顔の絶えないお二人に、IDCフロンティアの社内の土壌の豊かさを感じました。土屋さんの魅力的な笑顔からは「世の中がこんなに変わってきているんだから、その変化に応じて変わらなければいけない」と言いつつ、その変化を楽しんで受け入れているような印象があります。これからも、「社員の心身の健康こそがお客様のビジネスを支える」という言葉どおり、IDCフロンティアは全員が個々の能力を発揮するOne Teamとして成長していく姿が見えるようでした。

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新川 五月
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