こんにちは、ライターの久松です。普段は、テレビの番組構成やアニメのシナリオ、商業誌の編集・執筆をやっています。
さて、買い物するときに値段を比べたり実際に購入したりする、多くの方が利用する通販サイト。いまでは、持ち運びづらい電化製品や家具だけでなく、スーパーで買うような日用品までネットで購入する時代です。
通販サイトでは、購入ボタンの色など、ちょっとした差でユーザに商品を買ってもらえるか買ってもらえないかが決まることも往々にしてあります。そして、ユーザにきっかけを作り出すプロフェッショナルの会社があります。
大手広告代理店である「博報堂」や「朝日広告社」などから制作を任せられる「株式会社CANOW(カナウ)」。クリエイティブ全般を領域とする企画・制作を行っています。社内の事業部は3つに分かれていて商品、サービス、ブランドの魅力を最大限に引き出す戦略や企画をたてる「販促ツール・広告企画」展示会プレゼンのパワーポイント資料作成を専門とする日本では希少な「展示会・プレゼン」、そして通販事業を広告宣伝、制作などワンストップのサービス提供をする「Eコマース・webプロモーション」。いずれかのグループでお客様の問題や目的が解決できるように「販促企業連合体」というグループ構想を掲げています。特筆すべきは85%という自己資本比率の高さです。
そんな会社のwebソリューション事業部でセールスプロデューサーを務める越後氏。「売上を上げるには鍵穴を開けることが大事」と話す仕事のこだわりとは? そして現在、求めているwebディレクターに求めるのはどのような人材なのでしょうか?
人物紹介:越後修一 アパレル業界にてデザイン企画営業/クーポンサイトの企画営業/WEB制作会社にて制作ディレクターを通してインターネット業界では10年の経歴。現在はECサイトの総合支援業務に従事。 |
「自分の営業の幅を広げたかった」ゼロからイチの営業力を買われてヘッドハンティング
— web制作も経験されて現在の事業部に参加されたそうですが、移動した経緯を教えていただけますか?
大阪でwebの制作をしていたグループ企業の株式会社シー・レップにいたんですが、2年半前くらいにここのマネージャーから誘われました。webの担当がいなかったので営業としてウチに来てもらえないかと。
— グループ企業内のヘッドハンティングですね。抵抗はなかったのですか?
特になかったですね。自分の営業力を買ってもらったということも嬉しかったですし。「ゼロからイチのお客様を作っていく能力」が欲しかったそうです。
ECや通販サイトの分野が得意だったので新規でそのお客様を増やしていくのもやりがいがある仕事だと思いました。
— 移動してよかったことや、自分の中での変化はありましたか?
前社の場合は正直、お客様にwebのサービスの提供しかできなかったんです。お客様からチラシの依頼を受けてきたとしても、対応できる部署がないので逆にありがたくなかったりという状態でした。しかし、弊社に移動になってからはグラフィックやプレゼンテーションなど揃っているので自分の営業の幅がすごく広がってお客様に提案できることも増えたので、すごく満足していただけるようになりました。
「お客様の売上が上がらない原因の鍵穴を見つける」徹底的に数字にこだわる提案方法
— お客様と取引が始まってから、こだわっているところはどこですか?
木を見るのではなく森を見てお客様の相談にのることですね。俯瞰的に販促を見るということですが、具体的には案件によって数字の年間計画表を作成しています。お客様の簡易売上げデータにもとづいてアクセスデータを解析して作っていく。こういうことをweb通販のコンサルの方とかは当たり前にしていると思うんですが、同業他社ではあまり出してないので。
— 年間の売上表を作成することでお客様と売上の目標を共有するということですね。
それもありますね。あと年間の計画表を作成して終わりというわけではなく、月の売上を見て、しっかりその目標に到達できるように微調整もしていきます。同業他社では具体的なツールだけを提案する会社が多く、なぜお客様にそのツールがいるのかの説明が足りないケースが多いんですね。そのために、年間計画表が必要で目標に辿り着くためにこのツールが必要です、という提案ができるのです。数字を決めてからツールに落としていく、ということですね。
— では、お客様にとっての適正かつ実現可能な目標を設定するためのテクニックはあるのですか?
テクニックというよりかは丁寧に数字を分析することですね。サイトの穴を見つけること。売上が上がらない原因は数字に現れるので、そこを重点的にとことんつきつめて分析します。僕は「鍵穴を開ける」って言っています。それをお客さんが求めるスピードで正確にできれば最高ですね。
— 自社のサービスをただ提案するのではなく数字を見てお客様に合った適確なツールを提案するということですね。仕事でやりがいを感じるときはいつですか?
自分が提案したツールやアドバイスで目に見えて数字が上がったときですかね。例えば、インテリア、食品、情報商材に多いのですがターゲットが中高年層だと思っていたけど、若い人にも受ける場合があったりするんです。他にも、特定の商品を3つまとめて買う人が多いものをバラ売りで売り続けるよりは、3個パックにして販売した方が売上が上がったり、ちょっとしたことで変わってくるんですね。そういうのは意外と自社では気付けないことなので客観的にアドバイスすることで簡単に売上を上げることができるんです。ときには、実際にお客様の商品を注文することもありますし。
— 商品を実際に購入することもあるんですね。それは購入したあと、どこをチェックされるのですか?
ここもよく勘違いされている方がいるんですけど、納品がゴールじゃないんですね。納品してからそのお客様との付き合いがスタートするわけです。だから、商品自体はもちろんチェックしますが、納品書や同封物を丁寧にチェックしています。
— 商品以上に同封物や納品書を細かく見るんですね。それで一体、何が分かるのですか?
次の商品に繋げられているかどうかですね。例えば、このチョコレートを食べて、お客様に次は何を営業するのかを同封物で伝えてられていないときはアドバイスします。商品を購入したときの同封物に次の購入につながるツールが入っているかどうかが重要ですから。納品したら終わりじゃないという営業を心がければ売上が落ちることはないし、ユーザーにとっても高い品質の商品や情報が届くので、誰もが幸せになれるはずです。
「個人に合った働き方をコミットする」男女ともに目指す幸せな働き方
— カナウは自己資本比率85%以上という安定した経営の魅力があると思うのですが、それ以外に働く環境でこだわっているところはありますか?
現在、非正規も含めて30人くらい社員がいるんですが、女性はその中の4割くらいです。クリエイティブな制作会社にしては多い方だと思っています。その理由はダイバーシティをコンセプトにしている会社だからですかね。
— 働き方の多様性を尊重しているということですね。具体的に女性にとってどんな働き方を認められているのですか?
子どもがいる女性だとお見送りやお迎えがあると思うので柔軟なフレックス体制で出社してもらったりしています。他にも、家でできるような仕事には会社でなくても在宅でしてもらうことも可能です。やっぱり、どうしても女性の場合、人生のイベントが多いですよね。結婚、出産、親の介護など。結果、会社の就業時間とミスマッチを起こしてくるのは男性より女性になってしまう。
だから、女性社員が快適に働けるように職場環境を良くすることは大切ですし、現在進行形で改良中です。もちろん、男性社員に対してもそれは同じです。つまりその個人に合った働き方を会社とコミットして、誰もがハッピーになれる就業制度を探っているところですね。
— 個人個人の状況に応じて快適な職場環境を考えていきたいということですね。では、実際に業務に関しての工夫などはあったりしますか?
目標設定シートを書いてもらっていますね。個人の1年のプロセスをしっかりたてて、ブレがなく、進行するためのシートです。自分自身の目標が分かることもそうですけど、これを僕が見て目標に達成できなかったときの原因を分析してアドバイスをするようにしています。日々の業務の中では目標に対してのブレなどに自分ではなかなか気付きづらいので、目標達成シートはすごく効果的だと思います。
— どれくらいの割合でチェックされるのですか?
1ヶ月のときもありますけど、目標設定シートは基本的に半期ごとです。3ヶ月ごとに修正していって、その結果が賞与につながっていきます。
— 目標達成シートがあることによって働いている方は安心できて、上司も進行状況や目標を把握できるということですね?
そうですね。そのシートに載っていることを守っていれば会社としては良いわけです。極端な話、多少遊んでいてもそのシートに立ち返って目標達成ができていれば会社的には問題ありません。さらに、そのシートは他のメンバーとも共有されていて、全スタッフの目標をみんなが知っている。これが賞与の基準になっているので目標設定シートは経営の透明性も含めて、人事査定の透明性を示す役割にもなっています。
「キャリアパスに一貫性があることが重要」明確な目的を持って自ら走れる人が理想
— webソリューション事業部で現在、求められている人材とはどのような業種なのですか?
現在、我々のwebソリューション事業部では攻めの営業はいるんですけど、守りである制作ディレクターさんが足りていません。今回EC系とコーポレイトサイトの2軸を請け負ってくれるディレクターに来てほしいですね。
— 制作ディレクターにもスキルに卓越したタイプとタスク管理能力に長けたタイプがいますが、一緒に働きたいのはどのような人でしょうか?
後者ですね。webに関してはそこまで高い技術を使うわけではないのでしっかり進行できて、タスク管理ができる人材の方が当社には合ってますね。さらに、コミュニケーション能力があって、指示しなくても自ら動ける人が理想です。
— 高度なスキルを持ったディレクターよりかは自走できて、チーム作りができるディレクターを求めているということですね。面接で必ずされる質問はありますか?
聞くポイントは一貫性があるかどうかですね。「あなたはなぜこの会社に入ってなぜ辞めたのか? どういう動機で次の会社に入ったのか?」その考えとキャリアを今までどう繋げてきたのかを聞けば、人となりが分かります。そして、「なぜこの会社に応募されているのか?」を聞いて、腑に落ちる方がいいですよね。志望動機を聞いて「もっとwebの視野を広げたくて」とかぼんやりした解答だと厳しいかもしれません。
最近、加わったスタッフで「事業部を作っていくフェーズに関われることはめったにないので、その起ち上げに関わる中で自分の経験とかスキルを磨いていきたいと思っています」という解答は感動しました。普通の面接者だったら自分のスキルとか経験を活かしてがんばりたいって言うんですけど、それとは違う視点ですよね。事業の起ち上げっていうのは法的に整備されていないカオスな状態の中で働くことでツラい状況なのに“めったにない機会”と捉えられることは素晴らしい発想だと思いましたね。
— では最後に一緒に働く人にメッセージをいただけますか?
制作ディレクターは僕も経験していたから分かるんですけど、ルーティンワークが続いて将来が見えなくなってくるときがあります。そうなるとモチベーションも上がらず、会社を辞めてしまうことになってしまう。だから、僕と一緒に働いている人には「あなたたちの仕事は将来に向かってこうつながっていくんですよ」と常にビジョンを明確にしてあげられたらなと思っています。
インタビューを終えて
納品してからがスタートと常にお客様とのつながりを大事にする越後氏。その姿勢は一緒に働く周りにいる社員とのつながりや幸せを大事にする会社全体にも感じられました。
「常に社員が働くビジョンを明確にする」会社だからこそ、個人個人に合わせた働き方を提供できて、誰もが幸せになれる職場を作っていけるのでしょう。