Webサイトを良い状態で持続させるために必要な運用管理

Webサイトを良い状態で持続させるために必要な運用管理

エリカ

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こんにちは、ディレクターのエリカです。

ディレクター連載「いいWebつくろう〜クライアントと制作会社〜」第17回のテーマは、「運用管理に必要なことや知識」です。今回から3回に渡って、Webサイト完成後の運用管理にまつわるお話をさせていただきます。

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Webサイトの公開は完成ではない

時間と労力と予算をかけてWebサイトを制作し、ある日そのWebサイトが世の中に向けて公開されます。このときWebサイト制作というプロジェクトは完了しますが、Webサイトそのものには「完成」はないと考えています。Webサイト公開後からが長い運用期間の始まりです。

Webサイトをつくるというプロジェクトは、誰にでもゴールが見えるので意識しやすいのですが、運用をどうするかは見落とされがちです。いざ完成してみたら社内で運用できる人がいなかった、技術担当をつけられなかったなどなど、後から問題が発生することが多いと感じています。

Webサイト完成後にどのようなことが起こるのか、それに対してWeb制作会社はどのようにサポートできるのかをご紹介いたしますので、是非Webサイトを制作する前にご一読いただきたいです。
(もちろん制作中でも、完成後でも遅くはありません!)

Webサイト公開後に何が起こるか

Webサイト公開後に制作会社がよく相談をうける事項をご紹介します。個別の詳細については次の連載記事を参照いただくとして、この記事ではチェックリストとして見ていただければと思います。

ドメイン、サーバーの更新

それぞれ契約期間が決まっているため、適宜更新をおこないます。
もし、更新を忘れて有効期限が切れてしまうと、Webサイトが見えなくなってしまうので、くれぐれもお気を付けください。自動更新にすることもできますが、担当者が変わったために情報が分からなくなり困った、という相談をいただくことも少なくありません。正確な情報を維持するために、ドメインやサーバーの情報管理を保守として委託することが可能です。

SSLサーバー証明書の更新

ドメイン更新と似ていますが、自動更新がないため必ず手動作業が発生します。
ドメインやサーバーと違って、有効期限が切れてもサイトが見えなくなることはありませんが、期限切れの警告が出るため個人情報を取り扱うサイトでは致命的です。サーバーへのインストール等、技術的な作業が必要になるため、社内に技術者がいない場合はWeb制作会社に委託することになります。

CMS(WordPress, MovableType等)のバージョンアップ

CMSを導入した場合、脆弱性対応などで定期的なメンテナンスが発生します。
今どきのCMSは、ボタンひとつでバージョンアップできる仕組みがあるにはあるのですが、開発時から変化があった場合にどのような不具合が出るか分からないため、原則的にバージョンアップ後の動作保証はできません。そのためCMSをバージョンアップする場合は、テスト検証、本番適用、なにかあれば改修というフローを踏んで実行します。この一連の作業を保守として委託することが可能です。

外部連携(Twitter、Facebook、Instagram)の仕様変更

一番最近の例で言うと、Twitterのシェア数が表示できなくなる仕様変更がありました。このときは主に見た目の調整でしたが、場合によっては連携機能が使えなくなって閲覧や流入に大きな影響を与える場合があります。感覚的には、改修が必要なほど大きな仕様変更は2年に1回程度ですが、いつ何が起こるか非常に予測しにくいため、保険として保守に含めておく方法もあります。

新しい端末/ブラウザでの表示崩れ

最近の例で言うと、iPhone6 Plusの登場はインパクトが大きかったです。
iPhone5sではキレイに表示できていたのに、iPhone6 Plusで見ると崩れて表示される……というご相談を受けました。「新しい環境への最適化」はさすがに保守の範囲外かと思いますが、最低限の調整であれば検討の余地があります。

バックアップの取得

どんなに費用の安いサーバーでも基本的にバックアップ機能はあります。
が、バックアップごと消失してしまった事例も残念ながら存在します。また、「間違えて消してしまったデータ」を戻すためのバックアップを設けるとしたら、自前で構築する必要があります。バックアップ自体は自動化することがほとんどですが、バックアップが正しく取得できているかをチェックしたり、バックアップから復元する作業は保守に含まれることが多いです。

テスト環境の保持

CMSを導入した場合は、バージョンアップや改修の検証用にテスト環境の保持が必須となります。作業が発生した場合、まずテスト環境に実施して悪影響がないかを検証し、問題がなければ本番環境へと反映します。テスト環境の保持にもサーバー維持費が発生するため、基本的には保守費用の中に含まれています。テスト環境を保持しない方が維持費が安くなると思われるかもしれませんが、そうすると作業のたびにテスト環境を構築する作業も発生し、テスト環境を保持するよりもトータルの費用が高くなる場合もあります。

運用保守するしないチャート

前述のように、Webサイト公開後には、頻度も難易度も異なるさまざまな作業が発生します。事前にリストアップして、下記のように整理しておくと分かりやすいです。

基準 運用保守が適している 運用保守が必須ではない
難易度 社内で対応できない 社内でも対応できる
即時性 最速で解決する必要がある スケジュールに余裕がある
予見性 作業タイミングが読めない 作業タイミングが事前にわかる

これらの情報を踏まえながら、どこまで社内で対応するのか、外部に委託するかを切り分けて行くことになります。運用保守したときのメリットや、LIGがどんな運用保守をおこなっているかのご紹介は、次の連載記事で説明させていただきます。

運用・保守・改修の違いと支払サイクル

少し話が逸れますが、運用・保守・改修にそれぞれどんなイメージを持っていますか? 記事を書くにあたって改めて調べたのですが、非常に曖昧で、厳密に定義することは難しいようでした。また業界によってもニュアンスが変わる印象でした。

なので、この記事では暫定的に、運用・保守・改修の違いを整理いたしましたので、ニュアンスを捉える参考にしていただければ幸いです。

  • 運用
    定期的に情報を更新すること。
    ニュースやブログの更新、店舗情報の追加など。
    固定費にすることが多い。
  • 保守
    問題無く使い続けられるようにすること。
    CMSのバージョンアップや、バックアップの保持など。
    固定費にすることが多い。
  • 改修
    仕様を変更すること。追加機能開発など。
    都度見積にすることが多い。

ただし、運用や保守の内容によっては改修せざるを得なくなる場合があり、これを固定費に含めるかどうかの判断が非常に難しいところです。例えば、「CMSのバージョンアップ」を保守していたが、あるバージョンでプラグインが動作しなくなる状況があり、追加機能開発が必要になったため、保守費用とは別に開発費用が発生することになった。保守費用に入らないの? と驚いた担当者も、開発費用が出なくて泣いた開発者もたくさんいらっしゃると思います。あるあるすぎて涙が出そうです。

こういった状況に備えて、各社いろいろな対策を取っていると思いますが、ひとつ言えるのはすべてのトラブルを予見することはできない、ということです。運用保守の契約をするときは、予見できない状況が起こったときにどうするか、という内容について一度話し合ってみてください。難しいしめんどくさいと思う気持ちはよく分かりますが、話し合わないよりもずっと良いです。

そして、話し合って決まったことは契約書に記すか、エビデンスに残しましょう。運用保守は長期なので、途中で担当者が変わって詳細が分からなくなることが非常に多いため、情報を残すことで次の誰かを助けられます。次は自分かもしれないという気持ちを忘れないようにしてください。

まとめ:Webサイトの運用管理はなぜ必要なのか?

「Webサイトに完成は無い」これに尽きると思います。
事業と同じように、Webサイトを運用していけば大小さまざまなトラブルが発生します。小さいものであれば、企業側のWeb担当者自身が解決することもできるでしょう。ただ、「できる」「できない」だけで判断せずに、なにが本当に重要なことかを考えていただきたいです。

Web担当者が努力して運用保守費用を抑えようとするのは素晴らしいことですが、それによって本業に差し支えたり、作業が難しいために更新が滞ってしまうのは勿体ないことです。せっかく良いWebサイトができても、メンテナンスが不十分で台無しになってしまう……という例をたくさん見てきました。Web制作会社のひとりとして、これほど悲しいことはないです。

Webサイトを良い状態で持続させたいという気持ちは、企業側もWeb制作会社も間違いなく持っています。どこまで企業側で対応して、どのようなことをWeb制作会社に委託すれば、もっとも効率よく運用できるかを話し合ってみてください。

良いバランスを見つけられることを願っております!

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ディレクターのエリカです。趣味は美術鑑賞で、絵画や展示などたくさんの作品を眺めるのが好きです。得意料理は「鍋」です。よろしくお願いします。

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