こんにちは、株式会社LIG、Webディレクターのセイタです。
さて今回は、制作したWebサイトの公開後に訪れる、保守運用について全てを徹底解説します。
「長い道のりを経て、ついにWebサイトを公開! あとは放っておけばOK!」ではないのがWebサイトを考えるうえで大切なところ。公開後にしっかりと保守運用を続けることが必須なのです。
- 株式会社LIGとは

2009年設立のWeb制作会社。年間150サイト制作。これまで国内外において30以上のWebデザインアワードを受賞。複数の海外拠点を生かしたシステム開発力も強み。
もちろん保守運用もお任せ!ぜひご相談ください
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目次
この記事は2022年に公開されたものを一部編集し、2025年12月に更新しました。
Webサイトの保守運用とは?必要な理由
目的を実現するためのWebサイトとして公開できるよう要件定義からはじまり、デザイン・実装・テストを経て、ついに公開!プロジェクトメンバーの皆さん、お疲れさまでした!これにて最高のWebサイトが完成!
とはならないのがWebサイトなのです(繰り返しになりますが)。
Webサイトの公開によってプロジェクトは完了しますが、その後もずっと使い続けることができるWebサイトとして完成はしていません。
Webサイトは住宅のように完成を迎えることはなく、変化を続けていくものです。サイトを構築している技術のアップデートに対応したり、不具合がでたら修正したりと、常にベストな状態を保っていかなければならない性質のものだと考えてます。
しかしながら目的が明確に見えている制作時とは違い、保守運用に関しては具体的にどのように実施していくか、どのような状態を保っていくのかという観点が抜け落ちがちです。保守運用を考えていなかったばかりに、公開後に問題が発生してしまうこともしばしばあります。
では具体的にどのような保守運用が必要なのでしょうか? 段階的に見ていきましょう。
Webサイトで必須の保守運用
Webサイトを公開し続けるためにマストで実施が必要な保守作業が、ドメイン・サーバーの更新とSSLサーバー証明書の更新です。
| 項目 | 更新頻度 | 注意点 |
|---|---|---|
| ドメイン | 1年〜数年ごと | 自動更新設定も可能 |
| サーバー | 月額〜年額契約 | 支払い方法や契約内容の変更に注意 |
| SSL証明書 | 1年〜2年ごと | 更新作業に技術的知識が必要 |
実施しなければWebサイトの閲覧ができなくなってしまうため、いわば公開の生命線とも言えます。
ドメイン・サーバーの更新
契約しているドメインおよびサーバーの更新です。どちらか一方でも更新が滞ると一発アウト! 期限が切れたタイミングからパタリとWebサイトが表示されなくなります。
更新は契約しているサービスとの契約内容によって期限が決まっているため、適宜更新を行う必要があります。更新期限は提供サービス内にて確認できますが、通常は更新期限が迫るとメールで通知してくれます。
そのため、登録メールアドレスは日々確認するメールアドレスで設定しておきましょう。
また、更新を忘れないように自動延長にすることも可能です。しかしながら、自動延長でなんの心配もない!ということもなく、契約内容に変更がないかなど、チェックしていくことが大切です。
これまで管理していたご担当者様が変わられた際に、後任の担当者様から情報がわからなくなったというご相談をいただくこともあります。保守に際して属人性を排除し、誰でも担当できるような体制構築にすることが肝です。
SSLサーバー証明書の更新
こちらはドメイン・サーバー更新と似た性質ですが、自動更新はできず、更新作業が必ず発生します。この作業はサーバーへのインストールなど、技術的な作業が必要になります。そのため前もって作業実施のスケジュールを確保する必要があるため気をつけなくてはなりません。
ひと昔前ではドメインやサーバーと違って有効期限が切れてもWebサイトが見えなくなることはありませんでしたが、現在では「この接続ではプライバシーポリシーが保護されません」「安全な接続ができませんでした」と、安全ではないWebサイトと見なされてエラーが表示されたり、Webサイトそのものの表示がされなくなる場合もあります。
表示の問題だけではなく、セキュリティ面にも影響があります。個人情報を取り扱うWebサイトでは一発で信用を失う致命的な事態となりかねません。
アップデートや仕様変更に関する保守運用
Webサイトの性質や状況によって都度対応が必要な保守作業には、以下のようなものがあります。
- バージョンアップ作業(CMS・PHPなど)
- 外部連携(SNS等の外部サービス)の仕様変更対応
- 新しい端末およびブラウザでの表示崩れ
対応が漏れたときに一発で閲覧ができなくなる内容ではないですが、どれも重要度は高いです。
バージョンアップ作業(CMS・PHPなど)
WordPressなどCMSを導入している場合、脆弱性への対応や利便性の向上などで不定期的バージョンアップが発生します。
バージョンアップの作業そのものはボタン押下で簡単にできる仕組みとなっているCMSも多いですが、気軽にバージョンアップを実施することは厳禁です。
CMSには便利に投稿を行える各種プラグインが導入されていることも多く、CMS本体はバージョンアップしたもののプラグインが最新バージョンに対応しておらず、不具合が発生してしまう場合も多いです。
そのため最新バージョンが配信されるたびに更新する必要はないですが、新たなバージョンではなにが改善されるのか? その改善はバージョンアップへの対応コストに見合うことなのか?と、様々な観点から検討し、実施可否の判断をすることが必要です。
そうは言っても、重篤な脆弱性に関するバージョンアップは至急対応が必要となります。しかしその場合にもテスト検証から本番適用、なにかあれば改修というフローを踏んで実行が必要となり、なかなか簡単なことではありません。
外部連携(SNS等の外部サービス)の仕様変更対応
外部サービスの仕様変更によって一部機能が利用できなくなることがあります。たとえば外部SNSのシェア数が表示できなくなったなど、UI/UXに大きな影響を及ぼすこともあります。
連携方法の変更で引き続き機能が利用できれば修正対応を実施しますが、機能そのものが廃止された場合、またはサービスが終了した際には改修が必要となってきます。
新しい端末およびブラウザでの表示崩れ
世の中には様々な端末やブラウザが普及しており、どの表示領域やブラウザに対応して表示させるかは閲覧ユーザーの属性や制作時のシェア状況によって決定し、実装されています。
しかしながら、iPhoneやiPadが登場した際のように、今後どのような端末やブラウザがスタンダードとなるかわかりません。新たな環境へと移行した際には必ず該当環境への対応が必要となります。
他社サイトでは快適に閲覧できるなか、対応していない自社サイトの視認性が著しく悪い場合、機会損失は計り知れません。
コンテンツ更新・環境保持などの保守運用
最後に、Webサイトを常にベストな状態へと維持していくための保守作業です。致命的となるものは少ないですが、いずれも意識して実施が必要な内容です。
コンテンツの更新
これは当たり前のことですが、基本のキとして。しっかりと情報を更新していくことが大切です。
定期的に訪れるユーザーへしっかりと情報発信していくことも大切ですし、Webサイト内のコンテンツを充実させていくことは検索エンジンからの流入においても効果が期待できます。
最終更新が1年も前のWebサイトだと更新コンテンツ以外の掲載情報も古くなっており、信用に値する情報とは見なされないかもしれません。Webサイトは発信していく場ですので、しっかりと更新していきましょう。
開発環境の保持
制作時に用意していた開発環境は引き続き残しておくのがベストです。なぜなら更新作業をいきなり本番環境で実施してしまうと意図しない表示崩れやエラーなどが発生した際に、以前の状態に戻すためにはどうすれば良いのかをまず考えるところから始めなくてはなりません。
自分はこの部分しか更新していないと思っていても、不幸にもほか部分を触ってしまっていたなんてことがあれば原因究明にもかなりの時間がかかってしまいます。
また、バージョンアップや機能改修時にも、まずは開発環境で影響範囲に問題がないかどうかを確認する必要があります。
バックアップの取得
「日々の更新作業のなかで意図しない操作をしてしまった。原因の予想もつかない不具合が起きてしまい、取り急ぎ前の状態に戻したい」という場合に必要なのがバックアップです
不足の事態に備えてバックアップをとっておくことで、有事の際にもベストな状態へと切り戻しすることが可能です。
サーバー監視
稼働しているサーバーに異常がないかどうか、監視します。サーバーがダウンしてWebサイトが閲覧できない状態になった際、気づくことがなければそのままとなってしまいます。
サーバーがダウンしても公開状態を続けられるよう構成を冗長化する運用もありますが、トラブルにすぐ気がつく体制であること、またトラブル発生時には迅速に対応することが必要です。
保守運用体制を事前に考えておくことが大切!
3つの段階で保守運用に必要な作業を見てきましたが、それぞれの内容と合わせてお伝えしたいことは保守運用は制作時から事前に検討し、決めておくことが大切であるということです。
Webサイト公開後に決めようと考えていると、
- 保守運用の作業を自社で実施するのか? それとも制作会社へと依頼するのか?
- 自社で実施する際のリソースはあるのか? 承認フローはどうするのが良いのか?
- 制作会社に依頼する際の価格帯は?
- 制作会社に依頼した際のフローは?
などの検討事項が多いことに気づき、方針を決定しているあいだにどんどんとWebサイトはベストな状態から遠ざかっていきます。
また、保守運用のご契約をいただいていないお客様からお困りの際にご相談いただいた場合、
- 制作時の担当者がいないため案件概要から把握する必要がある
- 対応させていただくためにお見積りの算出から必要
- 対応メンバーのリソース確認・確保が必要
などと、一刻も早く解決に向けてお力添えしたい気持ちにもかかわらず、どうしても動き出しが遅くなってしまいます。
制作時に保守運用の体制をしっかりと構築していれば、スムーズな対応が可能となり、Webサイトを常にベストな状態へと保つことができます。
保守運用契約前に確認すべきチェックリスト
最後に、保守運用を外注する際、契約前に確認しておくべき項目をリストにまとめました。
契約内容の確認
- ☐ 月額費用に含まれる作業内容を確認したか
- ☐ 追加費用が発生する条件を確認したか
- ☐ 対応可能な時間帯を確認したか
- ☐ 緊急時の連絡方法を確認したか
- ☐ 最低契約期間を確認したか
- ☐ 解約条件・解約時の引き継ぎ方法を確認したか
技術面の確認
- ☐ 使用しているCMS(WordPress等)の対応可否を確認したか
- ☐ サーバー環境への対応可否を確認したか
- ☐ セキュリティ対策の内容を確認したか
- ☐ バックアップの取得頻度・保管期間を確認したか
体制面の確認
- ☐ 担当者は固定か、窓口制か確認したか
- ☐ 担当者の技術レベルを確認したか
- ☐ 連絡方法(メール/電話/チャット等)を確認したか
- ☐ 定期報告の有無・頻度を確認したか
これらの項目を事前に確認しておけば、安心して保守運用を外注できるかと思います。
LIGでは保守運用のご依頼もお受けしております! お困りの際はぜひご相談ください。
