ー 最後に。Web界隈へメッセージはありますか?
2点あります。
ひとつは「テレビや雑誌がネットに進出してきたときに勝てる準備をしておけ!」。極端な話ですが『ONE PIECE』が紙をやめて、Webに完全移行するとかになったらどうするか? 多少大げさでも、それくらいの危機感は持つべきです。もし集英社が本気でネットに乗り出してきたら、Webメディアはかなり危機的な状況になるでしょう。その対策は練っておかなければなりませんよね。
もう1点は「訴訟をなめるな。裁判に備えとけ!」。Webメディアが増えすぎた結果、「編集経験のない編集長」が増えてきて危なっかしいのが気になります。「ネットだから何かあれば取り下げればいいや」「ソースとかネット検索でいいや」と、リスクヘッジのことを何も考えていない。でもそんなの絶対ダメです。
Webだろうと何だろうと、メディアを運営するからには裁判に備えないといけません。訴訟が起きると仕事どころじゃなくなるんですよ。顧問弁護士がいるならば、今まで公開した全コンテンツを、いや、それは難しいので、少しヤバそうなものを全てチェックしてもらった方が良いでしょう。特にネットってずっとコンテンツが残ってるから、いつどんな訴えが来るかわからないので。
たとえば、今日のインタビューはたしかに俺もノリノリでやりました。でもある日突然「LIGに現場で全裸を強制された。だから和解金よこせ」とか、俺が言い始めるかもしれない。失業してお金に困ったら、やる可能性はゼロじゃないですよ。誰かを扱った場合、それらすべてが将来の“訴訟のタネ”になると思っていた方が身のためです。
メディアのリスクヘッジっていうのはね、どれくらいやっても慎重になりすぎるってことはありません。リスクを考えるなんてダサいみたいなこと言う人もいますが、とんでもない。目先のことやスピードばかり考えず、様々なリスクにちゃんと目を向けましょう!
まとめ
Hagexさん、やまもとさんに続き、中川さんにも貴重なご意見をいただき、「LIGブログの課題」が浮き彫りになりました。
ネットの世界で長く活躍されるお三方とLIGブログの決定的な差は
「読者のことをどれだけ考えているか」だったと思います。
LIGブログが本格稼働してから、約3年。ありがたいことに多くの方にご覧いただけるようになった一方、読者の皆さんを置き去りにしたコンテンツが増え続けていることは事実。急激なメディアのスケールに伴い、マネタイズやPVといった数字を追うことばかりに目がいっていたことが原因です。
本来私たちが一番に考えるべきは「LIGブログを読んでいただいている皆さんに何を提供するか」であり、数字はその先にあるものです。今回のインタビュー企画を通して、その事実に改めて気づくことができました。だからこそ
LIGブログはこれから変わります。
メディアを運営していく以上はマネタイズやPVなどの指標はどうしても必要にはなりますが、それは最優先すべきものではありません。読者の皆さんに、これまで以上に価値あるコンテンツを提供し続けられるよう、全力で頑張ります。
中川さん、本当にありがとうございました。
- ゲスト:中川淳一郎さん
インタビュアー :永田優介(ナッツ)
企画:ツベルクリン良平、菊池良、森川芳樹
撮影協力:板井仁