LIGブログにダメ出ししてください!第3回ネット編集者・中川淳一郎さん

ナッツ


LIGブログにダメ出ししてください!第3回ネット編集者・中川淳一郎さん

こんにちは、LIGブログ編集長・ナッツです。

昨今は多数のWebメディアが誕生し、日々無数のコンテンツが生み出されています。この状況を、「ネットの有識者」や「ご意見番」と呼ばれる方はどう見ているのか? そしてLIGブログをどう思っているのか? お伺いしてみたいと思います。

題して

「LIGブログにダメ出ししてください」

第3回のゲストは、ネット編集者の中川淳一郎さんに来ていただきました。

 
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ー 中川さん、本日はよろしくお願いいたします。

よろしくお願いします。

03a 人物紹介:中川淳一郎さん
編集者。1973年東京都立川市生まれ。博報堂、無職、フリーライター、フリー編集者を経て現在NEWSポストセブン等複数のWebメディアに携わる。今回はお願いしたら、ノーギャラで来てくれた。
著書に『ウェブはバカと暇人のもの―現場からのネット敗北宣言』 (光文社)、『ネットのバカ』(新潮社)など多数。

LIGブログにダメ出ししてください!第3回ネット編集者・中川淳一郎さん

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ー LIGブログはいつ頃からご覧いただいているんですか?

そうですね、紳さんの秒速結婚からでしょうか。あの記事を見たときに「俺たちロートルは退場だな」って思いましたね。一社員があんな風に体を張っている記事って、当時はあまりなかったじゃないですか。

 
ー 「秒速結婚」以降、LIGブログもかなり変化しているのですが、印象はいかがでしょう?

あ! 広告増えましたよね。でも、それが健全だと思ってます。だって広告がないとメディアは成り立たないでしょ。

本当に広告がムカつくのって、テレビだけなんですよね。番組の中で数分ずつ流れがぶった切られるから、ウザがられるのも頷けます。でもWebは少しスクロールすればすぐコンテンツが見れるから、本当はそこまで嫌われてないんじゃないかと。

だから、俺も今後は広告に力を入れようと思ってるんですよ! それを広告業界への“最後のお勤め”にしようと画策中です。

LIGは、もっとダサくなれ!

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ー 以前、全裸対談をやられていたときは「ありのまま」がテーマだったそうですが、LIGも「LIGらしさ」をテーマに模索しています。その点で何か思うことはありますか?

まぁ「LIGらしさ」は十分出てるんじゃないの? とは思います。ただ、ここでいう“LIGらしさ”って結局“世間の抱いている新進気鋭のWeb制作会社っぽさ”でしかないと思うんですよ。イケてるクリエイター集団ならやりそうなサイト的な。ちょっと面白いネタとかも、初期の『デイリーポータルZ』や『バーグハンバーグバーグ』みたい、という意味で面白がられてるだけじゃないかな。

これを俺は、「マイノリティのマジョリティ化」と呼んでいます。「らしさ」を世間のイメージに求めるあまり、みんな一緒になっちゃっててつまらない。

だから、ナッツさんみたいにイケてる感を全面に出すのを目指すだけじゃなく、菊池くんとかヨシキさんのようなどうしょうもない“ダサさ”を出すことも重要だと思っています。

あとは、あえて「課長」とか「課長補佐」みたいな古臭い役職を作ってみるとか、1ヶ月スーツで出勤してみるとか。そういう旧社会の理屈を知ろうとするのって意外に大事なんです。

 
ー 旧社会の理屈ってどういうものですか?

主任とか補佐とか代理とかで、どれが格上とか。そういうウザったい会社の論理を分かっていると、座席の気遣いとか細かいプレイができるようになって好ましい。

嘘だと思うかもしれないですが、役所とかは課長が来るまでずっと立って待っていたり、上司の機嫌を損ねないことを最優先に資料作りしたり、今の時代じゃ考えられないようなことが現実に残っているんですよ。結局あと10年くらいはそういうおっさんが金を握ってる社会なんだから、「おっさんに可愛がられる」というのも大切なんです。

 
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ー 中川さんから見て、可愛いと思うクリエイターはいらっしゃいますか?

AOLの恩納さんとかですね。アイツ、可愛くってね。「今、俺がこうやってられるのは全部、中川さんのおかげっす! だから奢りたいんすよ!」って、1人1800円くらいの安くてボロい居酒屋に連れていってくれて……そんなことされたら可愛いに決まってるじゃないですか! 今の若い人はそういうことやった方が絶対得なんですよ。

 
ー 若手に対してはダメ出ししたりはなく、遠くから俯瞰して見ているような感じですか?

そうですね。それこそ、そこにいるツベルクリンさんとか、「らふらく」のタクスズキさんとか。頑張ってるなーって思う。あとは、ブロガーのゆきびっちさんや、最近イケダさんの弟子になった人も良いなと思いますね。でも、彼らに対して何か口を出すのっておこがましいじゃないですか。

 
ー いろいろな情報は、どうやって仕入れているんですか?

SNSと2ちゃんねるが中心ですね。あとはライターさんとか企業の広報さんとか、色々なところから情報が来ることも多いです。

でも、やっぱり情報の中心って未だ2ちゃんねるだと思うんですよ。2ちゃんねらーってテレビが大好きなのですが、ネットニュースもそれを知っているからテレビの情報を拾ってくる。結果、それが拡散されるんです。

テレビ側も制作費が全然ないので、ADがネットから情報拾って企画してるような時代なんですよ! そうやって作られたネタが、またネットに戻ってくる。だから、2ちゃんねるを押さえるのは正しいんです。

テレビがネットに進出してくる?

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ー テレビ業界がネットに進出してくることはあるのでしょうか?

アメブロの芸能人ブログがネットのかなりの部分を占めてたような時代を覚えていますか? それに近しいことが起きるのでは、と思っています。

最近もテレビの作り手が、ネットで受けそうなことを芸能人に言わせる番組が増えてきているんです。フジテレビ系の『ワイドナショー』とか、毎週記事になっているじゃないですか。彼らが本気でネットに進出してくると既存のWebメディアは全て駆逐されてしまうかもしれない。

 
ー Webメディアはそれに、どう対抗すれば良いでしょうか。

その対抗策は一つ。知的分野への進出しかありません。芸能人は確かに魅力的なコンテンツですが、あの業界は既得権益でズブズブなので、それをネットで安定供給するのは無理があります。

それよりもポッキーのルーツが大阪の串カツだった! とか、発泡酒を出さないって言ってた某メーカーが割とすぐ出しちゃった話! とかの方が面白い。ネットユーザは「無料、または低価格」で、「自分に身近なもの」を好む傾向にあるので、誰もが知っている有名商品は芸能人に匹敵する良コンテンツなんです。こういう商品は結局のところ企業のサラリーマンが作っているから、取材するときも俺たちメディア側の人間と共通言語が多く、やりやすいのも良いですね。

LIGブログには「大人の影」が必要

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ー そういう情報を持っている企業担当者や個人の方は、どのように見つけるのでしょうか?  Webメディアに理解がないと取材も難しそうですが。

Webメディアに理解ある人を見つけるには、広告業界の人に聞いたり色々な雑誌のインタビューから見つけるべきだと思います。それで、「インタビューみました! 感動しました! 会ってください!」って申し込んでみる。そしたら大体、会えるものです。

なんなら部下も連れていって、「お前も感動しただろ」「はい!」って上司・部下プレイをやってみるのも良いでしょうね。人は褒められたら絶対悪い気がしないものなので。

 
ー LIGはそういう記事、少ないですね。

そうですね! LIGブログのように社員が顔出しして新鮮なのは「大人の影がない」からだと思っていて、それが良くも悪くもある。

30代前半までの読者は面白がるかもしれないですが、正直言って50代とかはついていけないんですよ。広告宣伝部の決裁者が50代なら、絶対ピンと来ていないはず。若い担当者が、「これ面白いんですよ」って言っているだけでは決裁できないでしょ。

だから、幅広い年齢やジャンルとの接点を作ることは重要な戦略なんです。たとえば、新聞社とか文藝春秋とか新潮社とか講談社みたいな会社が、一言コメントを取って記事に使ってるような識者にきちんと内容確認をすれば“コタツ記事”だって立派な記事になると思いませんか? その一手間をやっているのがJ-CASTニュースなワケです。

 
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ー そうなったとき「これまでのLIGと違う」と批判の声が出るかもしれません。

何言ってるの! どんなものだって変化は必要ですよ!

はじめは読者や社内からの反発も起こるかもしれない。でも、やり続ければ何でも「これまでメディアとしてやってきたことの延長」として、好意的に受け止められるようになると信じています。

そのように、挑戦すること自体に「LIGらしさ」を求めればいいのでは?

 
ー 最後に。Web界隈へメッセージはありますか?

2点あります。

ひとつは「テレビや雑誌がネットに進出してきたときに勝てる準備をしておけ!」。極端な話ですが『ONE PIECE』が紙をやめて、Webに完全移行するとかになったらどうするか? 多少大げさでも、それくらいの危機感は持つべきです。もし集英社が本気でネットに乗り出してきたら、Webメディアはかなり危機的な状況になるでしょう。その対策は練っておかなければなりませんよね。

もう1点は「訴訟をなめるな。裁判に備えとけ!」。Webメディアが増えすぎた結果、「編集経験のない編集長」が増えてきて危なっかしいのが気になります。「ネットだから何かあれば取り下げればいいや」「ソースとかネット検索でいいや」と、リスクヘッジのことを何も考えていない。でもそんなの絶対ダメです。

Webだろうと何だろうと、メディアを運営するからには裁判に備えないといけません。訴訟が起きると仕事どころじゃなくなるんですよ。顧問弁護士がいるならば、今まで公開した全コンテンツを、いや、それは難しいので、少しヤバそうなものを全てチェックしてもらった方が良いでしょう。特にネットってずっとコンテンツが残ってるから、いつどんな訴えが来るかわからないので。

たとえば、今日のインタビューはたしかに俺もノリノリでやりました。でもある日突然「LIGに現場で全裸を強制された。だから和解金よこせ」とか、俺が言い始めるかもしれない。失業してお金に困ったら、やる可能性はゼロじゃないですよ。誰かを扱った場合、それらすべてが将来の“訴訟のタネ”になると思っていた方が身のためです。

メディアのリスクヘッジっていうのはね、どれくらいやっても慎重になりすぎるってことはありません。リスクを考えるなんてダサいみたいなこと言う人もいますが、とんでもない。目先のことやスピードばかり考えず、様々なリスクにちゃんと目を向けましょう!

まとめ

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Hagexさん、やまもとさんに続き、中川さんにも貴重なご意見をいただき、「LIGブログの課題」が浮き彫りになりました。

ネットの世界で長く活躍されるお三方とLIGブログの決定的な差は

「読者のことをどれだけ考えているか」だったと思います。

LIGブログが本格稼働してから、約3年。ありがたいことに多くの方にご覧いただけるようになった一方、読者の皆さんを置き去りにしたコンテンツが増え続けていることは事実。急激なメディアのスケールに伴い、マネタイズやPVといった数字を追うことばかりに目がいっていたことが原因です。

本来私たちが一番に考えるべきは「LIGブログを読んでいただいている皆さんに何を提供するか」であり、数字はその先にあるものです。今回のインタビュー企画を通して、その事実に改めて気づくことができました。だからこそ

LIGブログはこれから変わります。

メディアを運営していく以上はマネタイズやPVなどの指標はどうしても必要にはなりますが、それは最優先すべきものではありません。読者の皆さんに、これまで以上に価値あるコンテンツを提供し続けられるよう、全力で頑張ります。

 
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中川さん、本当にありがとうございました。

ゲスト:中川淳一郎さん
インタビュアー :永田優介(ナッツ)
企画:ツベルクリン良平、菊池良、森川芳樹
撮影協力:板井仁
ナッツ
この記事を書いた人
ナッツ

4代目広報担当

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