テレビがネットに進出してくる?
ー テレビ業界がネットに進出してくることはあるのでしょうか?
アメブロの芸能人ブログがネットのかなりの部分を占めてたような時代を覚えていますか? それに近しいことが起きるのでは、と思っています。
最近もテレビの作り手が、ネットで受けそうなことを芸能人に言わせる番組が増えてきているんです。フジテレビ系の『ワイドナショー』とか、毎週記事になっているじゃないですか。彼らが本気でネットに進出してくると既存のWebメディアは全て駆逐されてしまうかもしれない。
ー Webメディアはそれに、どう対抗すれば良いでしょうか。
その対抗策は一つ。知的分野への進出しかありません。芸能人は確かに魅力的なコンテンツですが、あの業界は既得権益でズブズブなので、それをネットで安定供給するのは無理があります。
それよりもポッキーのルーツが大阪の串カツだった! とか、発泡酒を出さないって言ってた某メーカーが割とすぐ出しちゃった話! とかの方が面白い。ネットユーザは「無料、または低価格」で、「自分に身近なもの」を好む傾向にあるので、誰もが知っている有名商品は芸能人に匹敵する良コンテンツなんです。こういう商品は結局のところ企業のサラリーマンが作っているから、取材するときも俺たちメディア側の人間と共通言語が多く、やりやすいのも良いですね。
LIGブログには「大人の影」が必要
ー そういう情報を持っている企業担当者や個人の方は、どのように見つけるのでしょうか? Webメディアに理解がないと取材も難しそうですが。
Webメディアに理解ある人を見つけるには、広告業界の人に聞いたり色々な雑誌のインタビューから見つけるべきだと思います。それで、「インタビューみました! 感動しました! 会ってください!」って申し込んでみる。そしたら大体、会えるものです。
なんなら部下も連れていって、「お前も感動しただろ」「はい!」って上司・部下プレイをやってみるのも良いでしょうね。人は褒められたら絶対悪い気がしないものなので。
ー LIGはそういう記事、少ないですね。
そうですね! LIGブログのように社員が顔出しして新鮮なのは「大人の影がない」からだと思っていて、それが良くも悪くもある。
30代前半までの読者は面白がるかもしれないですが、正直言って50代とかはついていけないんですよ。広告宣伝部の決裁者が50代なら、絶対ピンと来ていないはず。若い担当者が、「これ面白いんですよ」って言っているだけでは決裁できないでしょ。
だから、幅広い年齢やジャンルとの接点を作ることは重要な戦略なんです。たとえば、新聞社とか文藝春秋とか新潮社とか講談社みたいな会社が、一言コメントを取って記事に使ってるような識者にきちんと内容確認をすれば“コタツ記事”だって立派な記事になると思いませんか? その一手間をやっているのがJ-CASTニュースなワケです。
ー そうなったとき「これまでのLIGと違う」と批判の声が出るかもしれません。
何言ってるの! どんなものだって変化は必要ですよ!
はじめは読者や社内からの反発も起こるかもしれない。でも、やり続ければ何でも「これまでメディアとしてやってきたことの延長」として、好意的に受け止められるようになると信じています。
そのように、挑戦すること自体に「LIGらしさ」を求めればいいのでは?