ユーザビリティ向上!「ユーザーテスト」でWebサイトを見直そう

いさしき


ユーザビリティ向上!「ユーザーテスト」でWebサイトを見直そう

はじめまして。ナイル(旧:ヴォラーレ)という会社でWebアナリストをやっている伊佐敷(いさしき)と申します。よろしくお願いします。

「集客はそこそこできているがコンバージョンが増えない……」
「アクセスデータ上で数字が悪いことは把握しているが、なぜかわからない……」

皆様も同じような悩みを抱えていませんでしょうか。
そしてこの悩みの原因を突き詰めると、往々にして次の壁にぶち当たります。

「ユーザーの姿が見えない」

リアルな店舗とは異なり、Webサイトではお客様の行動・表情・気持ちを見ることができません。それゆえに、ユーザーのニーズに合わないサイトにしてしまったり、ズレた施策をおこなってしまったりして、結局成果が出ない……ということがよくあります。

しかし、Webだからしょうがないと諦めてしまうのは早いです。Webサイトを使っているユーザーの行動や心理がわかる手法が実は存在するのです。

今回は、ユーザーの心理を引き出しWebサイトやアプリの課題を明らかにする調査手法「ユーザーテスト」を紹介します。

ユーザーテストってなに?

ユーザーテストとは、実際のユーザー(に近い人)にWebサイトやアプリを利用してもらい、その行動や発話を観察する調査手法です。

(例)飲食店検索サイトのユーザーテストの流れ

テストの流れ①

テストの流れ②

テストの流れ③

テストの流れ④

テストの流れ⑤

このように、実際の利用状況を想定した上でサイトを利用し、その際に思っていることを発話してもらうことで、ユーザーの行動と心理を同時に把握することができます。

ユーザーテストでどんなことがわかるの?

ユーザーテストで得られる発見は、大きく2つあります。
「サイトやアプリを利用する際のユーザー心理」「サイトやアプリの課題」です。

サイトやアプリを利用する際のユーザー心理

サイト利用中のユーザーがどんなニーズを持っているのか、何を不安や疑問に思っているのかといった心理を引き出すことができます。

「なぜ」がわかる

アクセス解析ではユーザーの行動の傾向はわかりますが、「なぜ」その行動をしたのかという理由や心理はわかりません。「なぜ」を知ることができるのがユーザーテストの大きな特長です。

なぜ:アクセス解析

アクセス解析だけではユーザー心理がわかりませんが、

 
なぜ:ユーザーテスト

ユーザーテストをおこなうことで、行動理由が把握できます。

「そのときの気持ち」がわかる

また、「サイトやアプリを利用しているまさにそのときの」心理を得られることも大きな強みです。アンケートやインタビュー調査を用いればユーザー心理に関する発見を得ることもできますが、サイトやアプリを利用している最中の心理を知ることはできません。

サイトやアプリの課題

そしてユーザー心理がわかることに伴い、サイトやアプリにどのような課題があるかがわかります。

ユーザーテストをおこなうと、ユーザーがサイト内のさまざまな箇所で行き詰まってしまったり、意欲をなくしたりしてしまう場面に多く直面します。ユーザー心理を踏まえてその原因を考察することで、

  • 機能の使いにくさ (UI上の課題)
  • 必要な情報の不足やわかりにくさ (コンテンツ上の課題)
  • 情報の見つけにくさ (情報設計上の課題)

などの、サイト課題を抽出することができます。

サイトの課題は、専門家によるヒューリスティック評価(経験則に基づく評価)でもある程度把握できますが、ユーザー心理に基づいて課題を把握することができるのはユーザーテストだけとも言えます。

ユーザーテストをやってみよう

詳しい方の中には、「とは言っても、ユーザーテストって時間もお金もかかるんじゃないの……?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、準備から実施・分析までしっかりやろうとするとかなり時間もかかりますし、専門会社に外注すると数百万円以上のコストがかかる場合もあります。

しかしユーザーテストそのものはシンプルなので、コツを押さえれば誰でも実施することができます。身近な人に協力してもらい、30分程度で簡易なユーザーテストをおこなってみるだけでも、有益な発見を得られるはずです。その簡単なやり方をご紹介します。

※少し長めの説明となりますので、お忙しい方は「あとで読む」ということでこちらまで読み飛ばしていただいても大丈夫です。
※ユーザーテストの進め方についてより詳しく知りたい方は、次の記事をご参照ください。

【準備編】ユーザーテストで課題を発見するための基本的な考え方と5つの準備プロセス
【実践編】ユーザー心理とサイト課題を明らかに。ユーザーテストの進め方と観察のポイント

必要な人・モノ

簡易なユーザーテストは、次の人員とモノがあれば実施できます。

  • PCやスマホなどのデバイス
  • 被検者(なるべくターゲットユーザー像に近い人。1回のテストにつき1人。3~5人程度に実施できるのが理想)
  • テストの進行者(1人)

ユーザーテストの流れ

ユーザーテストは次のような流れでおこないます。

1. 事前にサイトのゴールを明確にしておく

テスト実施前に、改めて「このWebサイトで、誰のどんなニーズを満たし、何を実現するか」を定義しておきましょう。これを明確にしておくことで、より成果に繋がりやすい発見が得られやすくなるはずです。僕がユーザーテストをおこなう場合は、最初にこのような表を埋めるようにしています。

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家電通販サイトのコンセプト整理の例。実際はより詳細に記入します。

2. ユーザーの行動やサイトの課題を想像しておく

「ユーザーはどのような心理で、どんな行動をするのだろうか?」「現状のサイトにはどこに課題があるのだろうか?」などを予め仮説として持っておくと、更に発見の質が上がります。テスト実施時はそれらの仮説を検証するつもりで進めるのがポイントです。

ユーザーの行動や心理は簡単な「シナリオ」として想像しておくとより良いです。

3. なるべくターゲットユーザーに近い人を集める

ターゲットユーザー像に近い被検者を集めます。身内や知り合いに該当者がいるのであればそれでも大丈夫です。モニター会社を利用すれば、費用は掛かりますが身の回りにはなかなかいないような条件に合う被検者が見つかることもあります。

ピッタリな人は集められないかもしれませんが、簡単な条件を満たす人でも大丈夫です。
例えば、歯医者の情報サイトであれば「歯医者をインターネットで探したことがある人」、不動産賃貸サイトであれば「賃貸物件の比較をインターネットでおこなったことがある人」などの条件を満たす人を探してみましょう。

被検者は、3人~5人ほど集められるのが理想です。この人数でも、十分有益な情報を得られるはずです。

4. タスクを考える

ユーザーテストの基本的な流れは、「ユーザーにタスク(作業)を実行するように依頼し、ユーザーがタスクを実行する過程を観察する」というシンプルなものです。

タスクの一例
  • 飲食店情報サイトの場合:「宴会幹事の前提で、20人が集まる宴会の会場を探して予約してみてください」
  • 求人サイトの場合:「転職活動をおこなっているつもりで、自分が一番興味をひかれる求人を探して、見つかったらお問い合わせをしてください」
  • 通販サイトの場合:「◯◯なスペックのPCを買おうとしているつもりでPCを探してみてください。気に入ったものがあれば購入を進めてみてください」

タスクの設計は最初はなかなか難しいものですが、次の2つのポイントを守れば発見に繋がりやすいタスクを作れるはずです。

ポイント1. サイトの目的・ユーザー行動のゴールを意識する

1つ目のポイントは、「サイトの目的やユーザー行動のゴールを意識したタスク」にすることです。

例えば、通販サイトで「自由にサイトを使って感想を教えてください」などをタスクにしても目的のない行動になってしまい、有益な発見は得られません。「このサイトで◯◯を探して、気に入ったものがあれば購入に進んでください」といった、サイトのゴール(この場合は商品購入) を前提としたタスクにすることで、ユーザーはどこでつまづくのか、なぜモチベーションを下げてしまうのかなどの発見が得やすくなります。

ポイント2. 被検者に合わせてカスタマイズできるようにする

2つ目のポイントは、被検者が「実際の利用状況に近い形で自然に利用できるようにする」ことです。

例えば家電通販サイトのテストにおいて、炊飯器が欲しいと感じていないユーザーに「好きな炊飯器を探して購入してください」といったタスクを設定しても、普段のユーザー行動になりにくくなります。

この場合は、テスト開始前に「最近欲しい家電はありますか?」などの事前ヒアリングをおこない、その答えに応じて、「では、その家電が買いたいと思っているとして、この通販サイトで商品を探してみてください」などのカスタマイズしたタスクにすると、被検者の行動もよりリアルになり、テストの質も高まるはずです。

このように、タスクはガチガチに決めるのではなく、被検者に合わせて調整できるような柔軟性を持たせておきましょう。

5. テスト環境をセッティング

テスト環境は、「実際のユーザーの利用シーン」に近づけるのが理想ですが、限界はあるので普段のオフィスやカフェなどでも大丈夫です。

PCやスマホを利用する被検者の横でテストの進行と観察をするようにします。可能であればビデオカメラなどで録画・録音しておくと、後の振り返りや共有に役立つはずです。また必須ではありませんが、記録のみを担当する人を用意しても良いでしょう。

テストセッティング

ユーザーテスト実施時の配置例です。

6. ネットの利用状況や趣味嗜好を事前にヒアリング

ネットを普段どのくらい利用するか、どんなサイトを見るかなどのヒアリングをおこないます。その際に、タスクを決めるためのヒアリングもおこないましょう。先述したように、家電通販サイトのテストをおこなうのであれば、「今欲しい家電は何ですか?」などを聞きましょう。

ヒアリング

7. タスクをお願いし、サイトを利用してもらう。思考発話をしてもらう

事前のヒアリング内容を踏まえてタスクをお願いし、被検者にサイトを利用してもらいます。

タスク

お願いする前に、次の2点を伝えておきましょう。

「できるだけ普段通り使うようにしてください」

実際のユーザーの普段の行動を観察することが目的なので、被検者には気楽にいつもどおり使ってもらうように伝えておきましょう。

「思っていることを口に出して言ってください」

「サイトを利用しているときの心理」を知るために、被検者には思っていることを都度ひとりごとのように発言(思考発話)してもらうようにします。

8. 適宜質問し、心理を引き出す

思考発話が難しい被験者もいるかと思いますので、適宜「今何を考えてますか?」「今何を探してますか?」「○○を見たのはなぜですか?」などの質問をかけて、心理を引き出していきましょう。

質問

このような流れでユーザーテストは進めていきます。重要そうなユーザーの行動や発言ははメモしておきましょう。

事前に仮説を持った上でユーザーテストをしてみると、「こんなところでつまずいてしまうのか!」「見てほしいものが全然見られてない!」など、さまざまな発見が得られるはずです。

リモートユーザーテストサービスを使ってみよう

「わりと大変そうだな……。被検者集めも難しそう」と思った方もいらっしゃるかと思います。そんな方におすすめなのが、オンライン型のリモートユーザーテストサービスです。

最近では、安価でお手軽に実施できるリモートユーザーテストサービスも増えています。リモートゆえの制限などはありますが、まずはここから実施してみることもおすすめします。

リモートユーザーテストサービスの一例

ユーザーテストの発見点事例

「で、実際にどんな発見が得られるの?」というのは気になりますよね。実際にユーザーテストを実施して得られた発見点の一部を、次の記事で紹介しています。

「いぬのきもち ねこのきもち」ユーザーテスト(行動観察)を活用した潜在的課題の発見事例 | 株式会社ベネッセコーポレーション

また、リモートユーザーテストサービス「ユーザテストExpress」を提供している株式会社ポップインサイトさんのサイトでは、さまざまな種類のサイトの発見点事例をわかりやすく説明しています。更にユーザーテストのイメージがしやすくなると思いますので、ぜひご覧ください。

ユーザテストの発見点例 | ポップインサイト

さいごに

ユーザーテストの大まかなイメージはわきましたでしょうか?

ちょっと敷居が高いと感じられるかもしれないユーザーテストですが、実施してみると、本当に色々な発見が得られます。「なんとなくそうじゃないかな……」とうすうす感じていた仮説が明確になったり、「ユーザーがそんな行動を取るなんて思いもしなかった!」というような新発見が得られる場合も多々あります。

そして、ユーザーテストの意外なご利益として、「チームが同じ方向を向ける」ということも挙げられます。各々が自分の考えに従ってバラバラに動いていたサイトやアプリの運営チームでも、ユーザーテストの結果が共有され、ユーザー視点からの課題を痛烈に突きつけられることで、進むべき方向が明確になる、そんなことも多くあります。

皆様も、リモートユーザーテストや、身近な人に使ってもらう程度の簡易なユーザーテストから始めてみることをおすすめします。あなたのサイトのパフォーマンスが一気にあがるきっかけになるかもしれません。

おまけ:セミナー開催のお知らせ

最後におまけです。僕の所属するナイル株式会社にて

2015/12/15(火)14時~19時

という、休憩を挟んで合計4時間のセミナーが開催されます。
弊社のSEO設計での成功事例についてと、コンテンツマーケティングについての成功事例をそれぞれ2つのセミナーにしました。
11/16までにお申し込みいただくと割引価格で参加できます! お申し込みはお早めに。

成果に結びつけるSEO設計とコンテンツマーケティング事例セミナー ナイル株式会社主催 SEOセミナー2015

それでは、また!

いさしき
この記事を書いた人
いさしき

外部ライター 東京

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