「シンプルにすることが、人間にとっての幸福につながる」人の魂に響く体験をデザインする会社| ZEPPELIN

「シンプルにすることが、人間にとっての幸福につながる」人の魂に響く体験をデザインする会社| ZEPPELIN

タクロコマ

タクロコマ



「長い年月を経ても変わらないものは、究極のシンプルさを兼ね備えている」人の魂に響くデザインを大切に

記事文中2

組織内で価値観が共有された今、ZEPPELINが大切にしている考え方は「人の魂に響く体験をデザインすること」。では、人の魂に響く体験とは具体的にどのようなものなのでしょうか。答えは、鳥越氏が「美しさは物事を研ぎ澄ますこと」だと考えるようになった原体験にあります。

鳥越
京都に建仁寺というお寺があるんですよ。法堂には枯山水の広い中庭があって、それを囲むように床の間には畳が敷かれた広い空間がある。誰でも座ったり、寝転んだりできます。
夏の暑い日でした。そこで柱に背中を預けて目を閉じていると、クーラーがないのに非常に涼しく、風がそよそよと一定の間隔で流れてきて。ふと隣にいる奥さんを見ると、彼女も自然な感じでした。
この空間にいると、日常で涌き出てくるような思考や欲とか、こうしなければいけないという感情が一切なくなるんですね。その状況でずっと、1時間くらいそこで過ごしたんです。あの時間は、ここで死にたいと思ってしまうくらい、言葉にできない幸福感がありました。

幸福感を満たす要因は、装飾や人工物がない自然物だけの空間だからだといいます。

鳥越
和の建築物をはじめ長い年月を経て変わっていないものって、究極のシンプルさを兼ね備えていると思います。自動車なんて、誕生してからもう100年くらい経ってるわけじゃないですか。でもドライバーが2人の自動車がない。10人乗りのタイプが主流ではない。
今、当たり前にある5人乗りのタイプって、選ばれ抜かれた究極のシンプルさなんですよ。建仁寺もおそらく約1000年もの時をかけて、日本人が継承してきたもの。お寺は精神哲学上、さらにシンプルにされるので美しい。



このような価値観は、ZEPPELINの“100年続くシンプルさ”をテーマとしたデザインに表れています。

鳥越
私たちが生み出す製品やサービスは、100年後も最適な姿・形を目指しています。だから私たちは五感を意識した、人の魂に響くデザインを大切にしているんです。できるだけユーザーの五感すべてに影響があるように。そのユーザーが望んでいる心地よさを刺激するように、体験をデザインする。そういうユーザーの体験を、私たちは一つひとつ、ソフトウェアでつくっているんです。

全体の文脈をシンプルにするOSをつくる。「壮大な夢であり、ビジョンがあります」

ZEPPELIN様:記事002

設立からインターフェイスやハードウェアの製品やサービスを生み出し続けてきたZEPPELIN。同社がこれからの5年で目指していることを伺いました。

鳥越
私たちが生み出す製品やサービスがグローバルに展開されていて、その先に人々の幸せがある未来をつくりたい。これを絶対に達成したい。だから今後の5年後を見据えて、ちょうど今クリエイティブな要素を入れたZEPPELIN独自のソフトウェアを開発中です。
事例を出すと少しわかりやすくなるのかな? Googleのように世界中のあらゆる情報を集めて表示させるのは有益だし便利。じゃあZEPPELINもそういう世界をつくるのか? というと全然違うと思っていて。
既存のソフトウェアは“やりたい”と決めたことに対して100%叶えるような設計になっているじゃないですか。例えば、ボタンを押すと、何かが起こる。何か検索すると、その検索結果が出る。この設計を超えるソフトウェアをつくろうとしているんです。つまり、ユーザーが簡単なステップでアクションすると、そのユーザーがイメージすらしていなかった、創造的な出来事がサーバーから返ってきてクリエイティビティが刺激されるようなイメージですね。


さらに長期的なビジョンでやろうとしていることは、「スマホ、PC、テレビ以外の空間でインターネットにつながれる製品づくり」だと説明する鳥越氏。

鳥越
スマホはモバイルできるもので、PCは机に座って作業できるものですよね。それ以外の街中にいるときや休憩しているその瞬間に最適なインターフェイスを用意したい。それを通してコミュニケーションできるものをつくろうとしているんです。そのためにはOSをつくることが必須です。壮大な夢であり、ビジョンがあるんですよ。それができる体制を3〜5年くらいかけてつくっていこうかなと。
機器を通してのコミュニケーションが日常になった現代で、人と会う価値は増しています。昔と違って前後の文脈を用意して、文脈全体で人間がコミュニケーション取れるようになったから。Facebookを見れば、相手は最近こんなことをしているんだなあという情報も入るし、こちらから発信もできるので、いざ会ったときに会話がスムーズですよね。でも、インターネットがますます発達していく未来において、メッセンジャーを立ち上げて読んで、返信ボタンを押して文章を書いて、内容をチェックして送信するのを1日に何十回もやるのは美しくない。
複雑なところを、シンプルにしたい。簡略化することで、全体の文脈をもっと楽しく感じられたりする、いいOSにできたらと思っています。

物事を研ぎ澄ました先にあるシンプルな世界は、人を幸せにします。いつしかそのシンプルな世界には、100年続く体験のデザインが生まれているはず。

ZEPPELINの価値観を携えた製品やサービスがグローバルに展開し、一つの日本文化となる日に期待が集まります。


furture_bnr

この記事のシェア数

働き方インタビュー(経営者編) | 53 articles