こんにちは、メディア事業部のヨシキです。
皆さんはこれまでに転職を経験されたこと、あるいは検討をされたことはありますか?
最近では転職は珍しいことではなくなったとはいえ、やはりキャリアパスやそれまでの生活を一変することになるため大きな不安が伴います。
僕も転職でLIGに入社したのですが、以前から知っていた企業だったということもあり、ある程度入社後の働き方が想像できる中での転職でした。
それでも「失敗したらどうしよう」という不安は強かったですし、今もその気持ちはあります。転職の理由や志望動機は人それぞれだと思いますが、共通しているのは、やはり「失敗への不安」なのではないでしょうか。
そこで今回は、エン・ジャパン株式会社が運営する転職エージェント『エン エージェント』さんで、キャリアパートナーとして求職者の転職活動を親身にサポートし、多くの成功実績を持つ石原さんにお話を伺い、失敗しない転職活動を実現させるためのポイントを以下にまとめました。
石原 良太さん 2004年エン・ジャパン入社。営業として数百社の中途採用を支援し、営業マネージャー、営業企画を経て、現在はエン エージェント事業に関する全般を担当。 中小企業から超大手企業までの中途採用支援、自らの転職経験と複数のポジションでの勤務経験から、独自の切り口で中途採用マーケットを分析する。 |
転職を検討されていらっしゃる方は、ぜひ参考にしてください。
▼目次
転職活動に取り組む際に知っておきたい5つのポイント
転職活動を検討している人は、まずは転職の成功と失敗を左右する以下の5項目について知っておきましょう。
1. 転職活動で失敗する人の共通点
転職活動で失敗する人に共通するのは、主に以下の2点です。
志望動機が「社格」「待遇」など、「仕事」以外である場合
企業の社格や待遇ばかりを気にして自分の適性を把握していないと、面接の際も「なぜこの仕事を志望したのですか?」というような当然の質問に答えることができません。
「何がやりたいか」「なぜそれがしたいのか」については、必ず明確にしておきましょう。
妥協すべき点と妥協すべきでない点の見分けができない場合
理想の転職条件を完全に満たすような仕事は、現実的に考えて恐らく存在しません。そこで「妥協していい項目」「なるべく妥協したくない項目」「絶対に妥協できない項目」という3項目を設定し、自身の希望条件を以下のように整理してみましょう。
-
- 妥協していい項目
収入、就業環境
- なるべく妥協したくない項目
業務が面白そう、会社が成長ステージにあり組織が完成されてない、結果を求める方法が自由で裁量が大きい
- 絶対に妥協できない項目
一緒に働くメンバー(配属部署の雰囲気やメンバー構成)
これができれば、自身が転職先で働くうえで重視したいポイントに、優先順位が付けられるようになります。転職面接での志望動機が明確になるのはもちろん、転職後に「失敗したな」と思うようなリスクも軽減されます。
2.転職したほうがいい場合、転職しないほうがいい場合
転職による一番わかりやすいメリットは、待遇改善や環境の変化、活躍の機会の拡張など、目下の課題が解決される可能性があることです。
しかし転職の理由がポジティブなものでもネガティブなものでも、退職すること自体に迷いがある状況なら、転職はやめたほうがいいでしょう。
転職には迷いや後悔が必ずついて回るものなので、現状に可能性が見出せるのであれば、現職へのモチベーションはいずれ復活します。
転職に明確な目的がないのであれば、在籍したままのほうがキャリアパスとしてもリスクは少ないと思われます。
それらを踏まえたうえで、転職したほうがいい場合、しないほうがいい場合をまとめると以下のとおりとなります。
転職したほうがいい場合
- 自身のやりたいことが、この先もできない状況にある場合
- やりたいことに対する能力が身につかないと感じる場合
- 業界自体が縮小傾向にあり、生活が危ぶまれるように思われる場合
- いわゆるパワハラ、セクハラの状況にある場合
- ライフイベント(結婚、介護など)発生に伴う場合
- 転職によって、自らの成長が実現できる(ことが期待できる)場合
転職しないほうがいい場合
- やりたいことが不明瞭で、労働条件に対する不満しかない場合
- 自らの努力不足が原因である場合
- 目下の課題からの「逃げ」の転職の場合
- 転職しようとしている会社が明らかに格下もしくは待遇が下がる場合
なお、人間関係の不和が動機となっている場合は、少し判断が難しいところです。転勤が頻繁におこなわれる企業であれば、もう少し耐えてみることも選択肢に入れたほうがいいかもしれません。
なぜなら、どこに行っても必ず人間関係が完璧な組織は存在しないからです。
3.転職活動を円滑にすすめるためのポイント
転職活動を円滑にすすめるためのポイントは、現在在職中か退職後か、それぞれの状況で異なります。
在職中の転職活動の場合
在職中の転職活動であれば、思い切って上司に相談してみることも1つの方法です。状況によっては上司の理解や支援が得られるかもしれません。
上司に相談しづらい、あるいはできない状況であれば、現職に支障が無い範囲で転職活動をおこなうようにしましょう。(例えば、就業時間が18時までなのであれば18時以降に面接を設定するなどの最低限の配慮をしましょう。)
もちろん時間的には面接を受けられる企業数も限られてくると思います。土日には面接可能な企業を幅広く受けて面接慣れをしておき、平日にどうしても受けたい企業だけを絞り込んで受ける、というような方法もいいかもしれません。
退職後の転職活動の場合
退職後の転職活動はスケジューリングの意識を持ちづらくなります。「○月末までに内定を貰う」など、転職活動期間に対する目標は設定しておくようにしましょう。
離職期間が長いことを敬遠する企業が多いのも事実です。
4. 転職先を選ぶ際にチェックしておいたほうがいい事項
「転職先の企業での自身の就労イメージ」を持てるほど、情報を集めることが重要です。もちろん企業の特徴を転職前から正確に掴むことは難しいと思いますが、失敗しない転職を実現させるために、まずは以下のポイントをチェックしてみましょう。
- その企業が属している業界の動向
- その企業は業界の中でどのような位置づけで、今後の展開をどのように考えているのか
- 上場企業であればIRなど詳細なデータが確認できるので、売上、利益などの業績
- オーナー企業かどうか
- 経営者の著書
- 雑誌や新聞、インターネットで掲載された記事
これらの項目を知っておくことで、転職先の企業が健全な状態にあるかどうか、ある程度はチェックができるようになります。自身のキャリアパス、やりたいこと、事業内容は自身の希望と一致しているのか、などについてもあわせて確認しておきましょう。
転職先の企業で実際に働くにあたり、生活の維持とやりがいに関する事項はとても大切です。
5. 転職市場で人気が高い年齢層
転職市場では25歳、29歳、33歳あたりの3つの年齢層が特に人気です。当然、それぞれの年齢層に求められるものは異なります。
- 25歳
新卒入社の場合、既に社会人を3年経験しているため、一般的な常識やスキルは身に付いているとみなされます。業務経験が足りなくても、新卒のような社会人教育は必要ないという点と、ポテンシャルが評価されます。
- 29歳
社会人としてある程度成熟しつつも、年齢的にまだ若いためポテンシャルがあるとみなされる人材です。29歳くらいまでなら未経験職種へのチャレンジも可能です。
- 33歳
これまでのキャリアを活かした即戦力とみなされる人材です。この年齢層になると、業界未経験や未経験職種へのチャレンジは少し難しくなります。業界経験者は重宝されます。
なお、求人数でいえば20代の若手が最も多いです。特に好景気のときには実務ができる人材が求められるため、必然的にそうなります。
もちろん、企業の経営課題や、即戦力としての採用という観点から、30代も常に一定数の求人があります。
面接で失敗しないために意識しておきたい3つのポイント
次に、転職活動での面接の際は、以下の3つのポイントを意識しましょう。
6. 面接への事前準備
まずは以下の3つを意識し、しっかりと準備をすすめていきましょう。
当たり前のことをきちんと意識する
社会人として当たり前のことを当たり前におこなうことが大切です。万全の状態で面接にのぞめるよう、当たり前の準備をしっかりとおこなってください。
- 応募企業のことをしっかり調べる
- その企業で自身がやりたいこと、自身が提供できる価値をまとめる
- 自身のキャリアパスをイメージし、伝えられるようにする
- 身なりをしっかりする(TPOを意識する)
- 履歴書・職務経歴書をきちんと作成する
- コミュニケーションをとる意識をもつ
そして面接では必ず質問される「自己PR」、「退職理由」、「転職理由」、「志望動機」、「成功体験」の5つを伝えられるよう、しっかり練習をしておきましょう。
「自分は大丈夫だから」と甘く考えず、必ず1度は声に出して練習をするようにしましょう。
新卒とは違うことを意識する
即戦力の人材を募集している求人であれば、具体的にどう自分のスキルを発揮できるかを、応募企業にアピールしましょう。
未経験でも応募が可能な求人であれば、どのようにキャリアを身に付けていき、それまでの間に何を転職先の企業にもたらすことができるか、を明確にするための話し合いをしましょう。
ポテンシャルが重視される新卒採用とは状況が異なります。面接は、転職希望者と企業とが、お互いに与えることができる価値の認識をすり合わせる場だと考えてください。
「未来の話をする場」であることを意識する
当然ながら企業はこの人を採用することで、自社の事業にプラスになるかを非常に重視しています。
これまでの経験や実績を踏まえ、その企業に対しどのような貢献ができるか、その結果自らがどう成長するかという視点で回答をすべきです。へりくだり過ぎてはいけませんし、上から目線になってもいけません。常に謙虚な姿勢を保ちましょう。
7. 志望動機、退職理由として意識すべきこと
基本は、正直かつ前向きに話をしましょう。一貫性があり、話に矛盾がないこと、退職理由が志望動機とつながっていることなどが重要です。
特に退職理由については、考え抜いた結果として退職を決意する理由があったのであれば、それをしっかり伝えましょう。待遇面の改善、職場環境の悪化、業界縮小、成長が見込めない、など何でもいいと思います。
ただし、いずれの理由であっても、その背景・ストーリーがしっかりしている必要があります。単に「キャリアアップしたいからです」という回答だけでは、あまり考えていない人という印象を与えかねません。
8. 面接官がチェックしているポイント
多くの面接官がチェックしているのは、「うちの会社に合う人材なのか」「うちの会社で活躍できる人材なのか」という点です。
採用は、企業側にも責任と覚悟が必要になるため、この先に苦難が訪れても一緒に乗り越えていける人材かを見極めようとします。
また、業界・職種によって、重視するポイントがスキル面なのか人材面なのかが異なります。
たとえば、技術者の採用であれば、コミュニケーションスキルよりもテクニカルなスキルを重視する傾向にあります。もちろん営業であれば、コミュニケーションスキルがなければ難しいでしょう。
企業にマッチする人材か、募集しているポジションでパフォーマンスを発揮できる人材か、の判断をおこなう場が面接です。面接官がチェックするポイントも当然その部分になります。
転職活動で活用したい「転職エージェント」の5つのポイント
ここからは、転職活動を円滑にすすめていくうえで知っておきたい「転職エージェント」について紹介させていただきます。
9. 転職エージェントに登録するメリット
転職活動にはさまざまな方法があります。代表的なところで、
- 転職エージェント(人材紹介)
- 転職サイト(自身で企業に応募)
- ハローワーク
- 縁故や知人の紹介など、市場を通さないもの
- 企業のWebサイトなどから直接応募
- ヘッドハント
- SNSの活用
などの方法があります。
その中で、転職エージェントに登録することによって、下記のようなサポートを受けることができます。
-
- 自身の強みや市場価値を教えてくれる「キャリアカウンセリング」の実施
- 面接の日時設定や転職者の推薦文作成など、求人応募における企業との窓口対応
- 面接のアドバイスなどの情報提供
- 企業の詳細情報や面接対策などの情報提供
その他、転職に関するさまざまな相談ができるようになります。
また、転職エージェントは多くの転職者と企業情報を保有しているため、他者と比較して自身のスキルや市場価値はどうか、という相対評価・第三者評価を確認できます。
ただし、転職エージェントに最終判断まで委ねてはいけません。なぜなら転職エージェントは、転職者ではなく紹介企業から手数料をもらうビジネスであり、利益相反が起こっている可能性がゼロではないからです。
転職は人生での大きな決断であり、その決断を自身で判断できないようでは今後の成長につながりません。どの企業を受けるべきかについての判断材料を提供してくれるとともに、第三者として転職に関するアドバイスをくれるのが転職エージェント、というように認識しておきましょう。
10. 転職エージェントと転職サイトの使い分け
転職エージェントと転職サイトは、どちらか一方だけを使うというものではなく、お互いを補完し合うものです。
一般的には、以下のような使い分けをされています。
- 転職エージェント
自身のキャリアに適した企業を第三者目線で紹介して欲しい場合、自身のスキルや市場価値についてプロ目線での情報が欲しい場合、サイトに掲載されない非公開求人を探している場合など - 転職サイト
志向性や応募したい企業が明確な場合、一般的なグレードの職種の場合、2回目以降の転職でノウハウを蓄積しているため自身で判断したい場合など
転職エージェントを利用しない企業もある一方で、転職エージェントだけで採用活動をしている企業もあります。
行きたい企業が明確であれば、転職サイトだけでもいいと思います。ただ、企業には一般公開したくない求人も多数あり、転職サイトではそれらを見つけることはできません。そのような非公開の求人情報を多く持っているのが転職エージェントです。
近年は大企業を中心に、転職エージェントを利用する企業がさらに増えています。
2つを併用しながら、自身にとって適切な求人情報を探すのがベストでしょう。
11.転職先企業との交渉
基本的に、転職によって現状より満足度が下がってしまっては意味がないので、状況に応じて待遇面の交渉は転職時にも必要となります。
特に、家庭を持っていたり、月々のローンなどがある方は、毎月最低限必要な出費があるはずなので、その旨はしっかり伝えるべきです。
その条件で折り合いが付かなければ、その企業とは縁がなかったと諦めましょう。一方で、身の丈に合わない給与アップを要求するのは避けるようにしましょう。給与と連動して目標も上がるので、入社後に自身が辛くなります。
もちろん入社日に関しても、在職中の場合は周囲に迷惑がかからない日付となるよう交渉していくことが必要です。
転職エージェントは、こういった給与交渉や入社日時の調整などについても代行してくれるため、転職活動の負担が軽減されます。
12.非公開求人情報の紹介
先ほども少し触れましたが、一般的な求人情報誌や転職サイトに掲載できない求人情報が、いわゆる非公開求人情報です。
採用をおこないたい企業は、採用目的、採用したい職種、採用にかかるコスト、時間的な効率などの観点から、求人広告の出稿、転職エージェントへの求人依頼など、採用方法を複数使い分けています。たとえば
- 採用企業が新規事業を目的とした人材募集を極秘で行う場合
- ポジションに見合う人材の応募があったときに初めて採用を検討する場合
- 若干名の募集である場合
- 求人広告では採用が難しい特定の経験者を求める場合
などは、基本的に転職エージェントへ求人依頼をおこないます。
そのため、求人情報誌や転職サイトに掲載される求人情報と、掲載されない求人情報(=非公開求人情報)があるのです。
転職エージェントに登録すると、これらの非公開求人の情報提供や紹介を受けることができます。
13. 転職エージェントの複数登録と転職コンサルタントとの相性
転職エージェントは各社の特徴を理解したうえで、複数社登録すべきです。
求人情報は多いほうがいいですし、特定の転職エージェントしか持っていない非公開求人情報もあります。
そして最も重要なことは、自分を担当してくれる転職コンサルタントとの相性です。
1社だけの登録ですと、相性の悪い転職コンサルタントが担当になった場合、結果的に転職エージェント自体を利用しなくなってしまいます。それよりも、複数の転職エージェントに登録し、その中から相性の良い転職コンサルタントに転職活動をサポートしてもらうほうが、転職成功率は高くなります。
また、転職エージェントは登録直後に最も多くの求人情報が紹介されるため、1~2週間程度の間隔を空けつつ登録をしていきましょう。そうすることで、2社目、3社目の転職エージェントでは「なぜまだ転職が決まっていないのか」についての理由も一緒に考えてくれるようになるからです。
ただし、登録する転職エージェントの数を増やしすぎるのは賢明ではありません。窓口が増えすぎると自身が混乱してしまいます。多くても3社くらいが目安ではないでしょうか。
良い転職エージェントと悪い転職エージェントの違い
両者の違いを簡単にまとめると、以下のようになります。
良い転職エージェント
- 自身のキャリアにあった求人を厳選して紹介してくれる
- 数は多くなくても、質が高い求人案件を持っている
- こまめに連絡をとってくれるなど、親身に対応してくれる
悪い転職エージェント
- 案件は持っていても、ただ大量に求人票を送りつけてくる
- 何かと押しつけがましい
- 登録後は放置される
とはいえ、一番の問題は相性です。「この転職コンサルタントとは合わないな」と思ったら、別の転職エージェントへの登録も視野に入れましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
転職はキャリアパスだけでなく、日々の生活、そして人生までをも左右する大きなライフイベントの1つです。
まずは自身で「本当に転職したいのか」「なぜ転職したいのか」をはっきりさせたうえで、今回の記事などを参考にしていただきながら、志望動機や転職後のビジョンを明確化させていきましょう。
そして必要に応じて転職サイトや転職エージェントなどを活用しつつ、失敗しない、悔いのない転職活動に取り組んでください。それでは、また!