アノテーション代行・支援に強い会社一覧【得意分野別に紹介】

テクノロジー部部長の工藤です。

機械学習を用いたAIシステム開発において、AIの精度を高めるためにアノテーションは不可欠な作業といえます。しかし、膨大なデータの処理や専門的なスキルが要求されるため、リソース確保が難しいという課題もつきものです。

そこで今回は、アノテーション代行・支援ができる会社・サービスをご紹介します。各社の実績・特徴を2024年3月時点の最新情報で調査し、得意分野別にまとめました。会社選びのご参考になれば幸いです。
 

アノテーション代行・支援ができる会社まとめ

まずは今回調査したアノテーション代行・支援ができる会社やサービスを比較しやすいように、表でまとめました。
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実績豊富な大手アノテーション会社

株式会社ヒューマンサイエンス

出典：株式会社ヒューマンサイエンス

ヒューマンサイエンス社はGoogle、Apple、Microsoftなど数々の大手企業のアノテーション代行をおこなっており、データ作成実績は4,800万件以上にものぼります。

医療支援、自動運転開発といった難易度の高い領域に対しても支援をおこなっており、自然言語処理を筆頭に画像アノテーションや音声認識など、幅広い分野に対応できるのが強みです。

また、オンサイトでの対応やクライアント拠点への常駐など、セキュリティ面を考慮した対応も可能です。

アッペンジャパン株式会社

出典：アッペンジャパン株式会社

AI開発におけるリードカンパニーであり、全世界にオフィスを抱えるアッペングループの日本法人。世界170カ国、100万人以上のクラウドワーカーによる、コストパフォーマンスに優れたアノテーション代行をおこなっています。

クラウドワーカーを利用する場合は品質基準が不安視されがちですが、同社では品質を担保しつつ短納期を実現するために、プロジェクトマネージャーが管理をおこなっています。

対応できるデータの種類も幅広く、特に各国の作業者の言語・方言スキルを活用したデータを作成できることが強みです。

データ収集・データ作成から依頼できる会社

Datatang株式会社

出典：Datatang株式会社

Datatang（データ・タング）社は、これまで1,000以上の企業や研究機関へのデータ提供実績を持つ、AI学習用データサービスのプロバイダーです。

同社は多様な学習データセットを保有・提供しているため、学習用のデータが社内にない場合も相談可能です。たとえば表情識別用のデータは約2万6千人分のさまざまな人種のデータを保有しています。

アノテーション処理に特化したクラウドプラットフォームも提供しており、データ収集から納品までの一連をワンストップでおこなえるのも特徴です。

コンピュータスペック株式会社

出典：コンピュータスペック株式会社

コンピュータスペック社では、データ収集やアノテーション代行サービスをおこなっています。Web上からデータを集めるだけでなく、人物や公道、駐車場などを実際に撮影することも可能です。

もともとソフトウェア開発やシステム開発事業をおこなっており、そのノウハウを生かしてアノテーション作業に必要なツールも制作しています。

また、オンプレミス環境で作業をおこなうため、機密事項を含むデータも依頼可能です。

harBest（株式会社APTO）

出典：株式会社APTO

「harBest」はAPTO社が提供するアノテーション支援サービスです。独自プラットフォームを通して、クラウドワーカーを利用した画像、音声、テキストなどのデータ収集や分類を簡単におこなえます。

harBestは独自のユーザー評価システムを導入することでクオリティの低下を防いでおり、データ品質を担保しています。

納品前にはharBestの品質管理スタッフによるチェックも通しており、徹底した品質管理を追求しているのが特徴です。

ANNOTEQ（株式会社ユニメディア）

出典：ANNOTEQ

ユニメディア社のアノテーション支援サービス「ANNOTEQ」は、「マイクロタスク型」のクラウドソーシングモデルを採用しています。簡単なデータ入力など、誰でも取り組めるレベルにタスクを細分化することで多くのサンプルを得られるのが特徴です。

実働100万人以上のクラウドワーカーを活用して単価を抑えつつ、データ納品までにトリプルチェックをおこなうことで高品質なデータを提供しています。

データ収集の段階からサポートしてくれ、画像や動画、手書き文字などに対応可能。物体検出や領域抽出などの画像アノテーションや、スペシャリストに難易度の高いアノテーションをおこなってもらうこともできます。

自然言語分類が得意な会社

株式会社川村インターナショナル

出典：株式会社川村インターナショナル

川村インターナショナル社は工業、医療、法律など、専門性の高い分野における技術翻訳に強い企業です。翻訳事業で35年以上培ってきたノウハウを活かして、さまざまな言語のテキストデータを取り扱えます。

機械翻訳にもいち早く取り組んでおり、AI・アノテーションを活用した用語集やデータ作成サービスも提供。翻訳の品質を向上させてコスト削減を図るために、機械翻訳を活用した用語集の作成や翻訳メモリの作成などを支援しています。

その他、自社開発の翻訳ツールやローカリゼーションなどもおこなっており、言語に関するさまざまな課題解決をサポートできるのが強みです。

NLPアノテーションサービス（株式会社pluszero）

出典：NLPアノテーションサービス

国内AI研究開発において多くの成果を上げているpluszero社の「NLPアノテーションサービス」は、日本語NLPに特化したデータの作成代行をおこなっています。

作業者はクラウドワーカーやオフショア人材ではなく、就労継続支援事業を運営している「ミンナのミカタぐるーぷ」に依頼。200事業所、4000人の作業者を特定した管理システムを構築しており、データによってチェック体制を使い分けるなど品質管理にこだわっています。

pluszero社のサポートのもと難易度の高いデータ分類も可能で、幅広い用途で利用しやすいのが特徴です。

画像分類が得意な会社

株式会社マクニカ

出典：株式会社マクニカ

半導体や電子デバイスを軸とした事業で日本のものづくりをリードしているマクニカ社。幅広い事業から得たノウハウをグループ内で生かし、AI、IoTといった先端技術にも注力しています。

主に画像に関するアノテーション代行も行っており、静止画像への2Dアノテーションだけでなく、LiDARから得られる三次元点群データへの3Dアノテーションにも対応してるのが特徴です。

株式会社クレスコ

出典：株式会社クレスコ

東証プライム市場に上場しているクレスコ社は、ベトナムに専属のチームをおいて高品質・低価格なアノテーションサービスを提供しています。

特筆すべきは品質管理を徹底している点です。実作業はベトナムの専属チームの作業者がおこない、現地リーダーのチェックを経て現地品質管理者がチェック。さらに、検品専門のチームによるチェックも通したうえで納品されるため、トリプルチェック体制を構築しています。

セマンティック・セグメンテーションやバウンディングボックスなど、ニーズに応じた技術を用いてデータ処理をおこなってくれるほか、動画データにも対応してくれます。

株式会社ブライセン

出典：株式会社ブライセン

ベトナム、ミャンマー、カンボジアにアノテーションセンターを持ち、コストパフォーマンスの良いサービスを提供しているブライセン社。案件継続率は95%と高水準な点からも、満足度が伺えます。

トリプルチェック体制による品質管理だけでなく、作業端末のインターネットアクセスの禁止など、オフショアならではのカントリーリスクも考慮したセキュリティ構築にも注力。要望があれば現地視察にも対応しています。

また、アノテーションだけでなくデータ収集やデータセットの販売もおこなっており、課題に応じて柔軟な対応ができるのも魅力です。

専門性の高い業界に対応できる会社

J-Brain Annotation（株式会社ジャスト）

出典：株式会社ジャスト

「J-Brain Annotation」は、株式会社ジャストが提供している建設業界に特化した教師データセット作成サービスです。

同社は年間3,000棟以上の構造物の検査・調査・診断をおこなっている、建築・土木におけるプロフェッショナルです。自社のノウハウを生かし、データサイエンティスト、ビジネスコンサルタント、建築土木専門家を含む高度なスキルを持ったチームが、高品質な教師データ作成をおこなってくれます。

データ収集にはドローン、1億画素の高精細カメラ、赤外線カメラなど、実際の現場で活躍する会社ならではのデバイスも利用。難易度が高い課題にも柔軟に対応してくれます。

株式会社Surg storage

出典：株式会社Surg storage

Surg storage（サージストレージ）社では、外科手術ロボット開発・ナビゲーションや医療機器開発をおこなっている企業を対象に、手術動画データやアノテーションデータを提供しています。

自社で大量の手術動画データベースを保有しており、術具や手術シーンなど要望にあわせたデータが提供できる数少ない企業といえるでしょう。さらに、医師の監修が必要なセグメンテーションデータやクラシフィケーションデータの作成にも対応してくれます。

アノテーションのコンサルができる会社

株式会社LIG

出典：株式会社LIG

弊社LIGでは生成AIやXRの専門家である梶谷健人氏を顧問に迎え、社内のAI専門チームを中心としたAIコンサルティングサービスを提供しています。アノテーションのコンサルティングだけでなく、AIを活用した事業戦略の相談からプロトタイプ作成、商用開発、保守運用まで、ニーズに応じて一気通貫で支援可能です。

また、弊社のメンバーには数々の世界的なWebデザインアワードの受賞経歴があるデザイナーやエンジニア、SEO対策に長けたメディアコンサルタントなど、各専門領域のメンバーが在籍しています。各社の課題に応じたチームを組み、柔軟にソリューションを提供できるのが弊社の強みです。

ご興味のある方はぜひ下記ページからお問い合わせください。
 
LIGの生成AIコンサルティングについて詳しく見る

FastLabel株式会社

出典：FastLabel株式会社

Fastlabel社は大手企業をはじめ100社以上にAIを活用したビジネス課題解決を支援した実績のある企業です。具体的にはデータ収集・販売やアノテーション、LLMデータセット作成、コンサルティングなどのサービスを提供しています。

アノテーションサービスは日本語LLMデータセットや音声、画像、動画など多岐にわたるデータに対応しており、実作業だけでなくマニュアル作成の段階から支援してくれます。

会社選びのポイント・注意点

サポートしてほしい領域を明確にする

アノテーションはあくまでもデータの分類に過ぎず、分類が完了したデータセットをどう扱うかは自社に委ねられています。

自社に知見がないのであれば、システム開発に必要なモデル構築やデータ活用方法など、コンサルティングまでしてもらえるか事前に確認しておくのがおすすめです。

また、自社が十分なデータを保有していない場合は、データ収集が可能な会社やデータセットの提供をおこなってもらえるかもあわせてチェックしてください。

依頼したい内容に近い実績があるか確認する

アノテーションと一言でいっても、取り扱うデータは画像や動画、テキストなどさまざまです。

データの種類によっては対応できない場合もあるため、自社が依頼したい案件と同様のプロジェクトを手掛けた経験がある会社を調べることをおすすめします。

セキュリティ体制を確認する

アノテーションには自社が独自に収集したデータなど、機密性の高いデータが関わることがあります。万が一、情報漏えいしてしまうと事業の存続にも関わる問題となってしまうため。セキュリティ面でも信頼できる会社を選ぶことが不可欠です。

たとえば、クラウドではなくオンプレミス環境での作業は可能か、オフショア人材やクラウドワーカーを利用する場合のデータ管理方法はどうなっているかなど、チェックすべきポイントはさまざまです。リスクを最小限に抑えるための体制やルールが整っているか、複数の会社を比較しながら見極めましょう。

アノテーション代行の費用・相場

アノテーション代行の費用・相場は、プロジェクトの規模や複雑さ、作業に必要なスキルレベルによって大きく異なります。適正価格かどうかを判断するためにも、複数の会社から見積もりをとることをおすすめします。

あくまでも参考ですが、単純な画像分類は1件5円前後、セグメンテーションなど少し複雑なものでは1件50円前後と言われています。

ただし、取り扱うデータが高度な専門知識を必要とするものであれば、1件あたりの単価が大幅に上昇する場合が多いため注意しましょう。

また、代行会社がクラウドソーシングを利用している場合は単価が安くなる傾向がありますが、セキュリティを重視する必要がある場合はデータ管理体制など十分に確認しておくべきです。

さいごに

アノテーションはAIの精度を向上させるために重要な作業ですが、単純作業を大量にこなす必要がある分、自社リソースを割きづらいという課題があります。

今回ご紹介したような代行会社やサービスをうまく活用すれば、効率的に開発を進められるでしょう。今回の記事がご参考になれば幸いです。