インハウスマーケティング部の井上です。
たとえば企画や資料作成など、デスクワークをしているなかで「調べる」「まとめる」という業務はしばしば発生しがちですよね。ときには沼にはまってしまい、「時間が無限に溶けていく……」「本来やるべき業務が手につかない!」といった経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。
こんなときこそ生成AIの力が必要だ!ということで、今回はリサーチやまとめの効率化に役立つ「Perplexity AI」(パープレキシティ)の使い方をご紹介します。
※本記事の情報は2024年6月4日時点のものです。
目次
Perplexity AIとは?
▲Perplexity TOPページ ※有料プランの画面です
「Perplexity AI」(以下、Perplexity)は、元GoogleのAI研究者チームによって開発されたAI搭載の対話型検索エンジンです。
最大の特徴は、検索をベースにした生成AIツールという点。ChatGPTなどの生成AIツールでは基本的に言語モデルが学習したデータをもとに回答が生成されますが、Perplexityはリアルタイムで検索した結果にもとづいて回答を生成してくれる点が大きく異なります。
Perplexity AIの使い方【1ステップ完結】
使い方はものすごく簡単で、公式サイトにアクセスして、検索窓に質問を入力するだけ。サインアップ不要、無料で使えますが、「Perplexity Pro」という有料プランも提供しており、検索機能の強化や言語モデルの選択が可能な点などで違いがあります(のちほど詳しく説明します)。
例として「2024年に東京にオープンする注目の施設を3個教えてください。」と質問してみました。
するとこんな感じで、リアルタイムで検索した情報をもとにおすすめの施設をピックアップしてくれます。
ページ上部の「ソース」というところに表示されているのが、回答のもとにしたWebページです。ここをクリックすると各ページにアクセスできるようになっているので、「もっと詳しく知りたい」「情報が正しいか確認したい」という場合も即チェックできるのが大きなメリットといえます。
Perplexity AIの特徴
ここからはより具体的にPerplexityの特徴を紹介していきます。
自動で関連質問の作成や要約をしてくれる
さきほど試しに今年オープンする注目施設を聞いてみたのですが、ソースを確認していくといくつかの記事をベースにして要約した内容になっていました。こんな感じで基本的には調べる→要約の2ステップをデフォルトでおこなってくれるので、要点をすぐ知りたいときに大変役に立ちます。
また、一番下の方に「関連」という欄にいくつか質問が出ていました。Perplexityには関連する質問を自動で提案してくれる機能があります。
自分がまったく知らない分野を調べていく場合、「どうやって深ぼればいいのか分からない」と困ることも少なくなるのではないでしょうか。検索体験が変わりそう……!
検索に利用するソースを指定できる
ネットには膨大な情報があり、間違った情報源をソースにしてしまうリスクもやはりつきものです。特に生成AIを利用する場合はできるかぎり信頼できる情報を参照したいところですよね。
そこで朗報です。なんと、Perplexityでは回答のソースにする情報源を以下の6つから選択できます。
- All:ネット全体から検索
- Academic:公開されている学術論文のみに絞って検索
- Wolfram|Alpha:数学や科学などに特化した計算知識エンジンで検索
- YouTube:YouTube上にある動画を検索
- Reddit:アメリカ最大の掲示板サービスから検索
- Writing:検索はせず、言語モデルによる回答生成に特化
専門的な知識が必要な学術論文からエンタメ・動画まで網羅しているため、あらゆる職種・職能で活用できそうですね。
GPT-4oやClaude 3 Opusが使える(有料プラン)
テキスト生成AIには言語モデルが不可欠で、Perplexityにも大規模言語モデルが活用されています。無料で使用する場合はPerplexity側のAIを使用するようになりますが、有料プランの「Perplexity Pro」に登録すると、GPT-4oやClaude 3 Opusといった最新言語モデルが使用できます。
本記事執筆時点で使用できる言語モデルは以下の通りです。
- デフォルト(Perplexity AIでの検索に最適化したGPTモデル)
- Sonar Large 32K
- GPT-4o
- GPT-4 Turbo
- Claude 3 Opus
- Claude 3 Sonnet
なお、Perplexityでは画像生成も可能で、ProプランではPlayground2.5、DALL-E 3、Stable Diffusion XLの3種類のモデルが選べます。ただし画像生成AIツールとしてPerplexityを使う機会はほとんどないかと思いますので、今回は詳しい説明は割愛させていただきます。
Web記事が簡単に作れる(有料プラン)
2024年5月30日に発表されたばかりの新機能「Perplexity pages」を使えば、Web記事がめちゃくちゃ簡単に作れます。現在は有料プランのみで使えますが、段階的に無料プランでも提供していく予定とのことです。
ChatGPTを使った記事作成方法も多くのメディアでも紹介されていますが、Perplexityの新機能は初心者でも簡単に記事を作成できると感じました。使い方を紹介します。
まずは左側のメニューにあるライブラリをクリックして、「ページ」をクリックしてください。
ページの編集画面に遷移するので、上部の欄に作りたいページのタイトルを入れましょう。
なお、タイトルを入れる前に赤枠部分をクリックすると、想定ターゲットを設定して文章レベルを調整できます。AIライティングツールでは文章のトンマナや知識レベルを設定できるものも多いですが、汎用的なツールで搭載されているのは画期的だなと個人的に感じました。
タイトルを確定すると、こんな感じで自動で記事を生成してくれます。
一通り生成を終えたあとでも、セクション(見出し)の追加が可能です。載せたいことを一言送れば自動で内容を生成してくれます。画像赤枠の部分から、文章の粒度も調整可能です。
画像の追加もワンクリックでできます。見出しと本文のあいだにある「メディアを追加」をクリックすると、Web上からぴったりな画像を探して当てはめてくれます。
※作ったページはWeb上で一般公開もできますが、画像を使用する際には著作権に注意しましょう(今回の記事でもスクショで例を見せられるとよかったですが念の為控えております)。
なお、「メディアを追加」から画像生成も可能なのですが……
画像生成だけはなぜかトピックに関係ない画像が出てくるなど著しく精度が低いのがネックなのです……。そのためさきほども画像生成機能については割愛しました。ここは今後の改善を期待ですね!
Perplexity AIの無料版・有料版の違い
Perplexityはサインアップ不要・無料でも使えますが、「Perplexity Pro」という有料プランも提供しています。無料プランでは使える機能が一部制限されているので押さえておきましょう。
プラン | 料金 | 言語モデル | ファイルアップロード | 画像生成 | プロサーチ* |
---|---|---|---|---|---|
有料プラン | 月額20ドル(年払い200ドル) | GPT-4o、Claude 3 Opusなど5モデル | 無制限 | 可(DALL-E3、Stabele Diffusion XL、Playground v2.5から選択) | 有 |
無料プラン | 無料 | デフォルトのみ | 制限あり | 可(Playground2.5のみ) | 1日5回まで |
*プロサーチ:より複雑な検索を可能にする対話型検索機能のこと
Perpleityを使いこなすポイント
プロサーチをうまく使う
Perplexityにはクイックサーチ、プロサーチという2種類の検索方法があります。
無料プランでは基本的に「クイックサーチ」のみですが、1日5回だけプロサーチを利用できます(有料プランでは常時プロサーチを利用可能)。
それぞれどのような違いがでるのか、実際に検索を試してみましたのでご覧ください。
▼シンプルな検索で比較
プロサーチの結果
クイックサーチの結果
まずは「野球選手イチローの功績をプロ入りから引退まで年表形式でまとめてください。」というシンプルなプロンプトを与えてみました。
一部抜粋してみましたが、これだけでもプロサーチのほうがより情報を網羅的に拾っているのがわかるかと思います
▼複雑な検索で比較
プロサーチの結果
クイックサーチの結果
続いて、条件を指定して旅行先の候補を3つ挙げさせたうえで、それぞれのスポットでおすすめの宿も教えてもらうような少し複雑な対話を試してみました。
▲プロサーチの検索結果
プロサーチでは指定した条件ひとつひとつに対して検索をかけて調べて、それらをまとめたものを回答として提示してくれました! 指定した条件により近いスポットを抽出してくれていますね。
▲クイックサーチの検索結果
クイックサーチの方もそれらしい回答をしているように見えますが、ソースをよく確認すると指定した条件とまったく関係ないページを見ています。参考になるとはちょっと言い難い結果ですね。
よって複雑な条件をつけて検索する場合は、プロサーチを使うことが前提になるかと思います。無料プランでも1日5回使えるのでうまく活用してみてください。
明瞭に、具体的に指示する
すべての生成AIの使い方でいえることですが、「何を」「どうしてほしいのか」を可能な限り具体的にプロンプトに盛り込むほうが、精度の高い回答が得られやすいです。
さきほど複雑な検索で比較した際も、条件やターゲットを細かく指定していました。可能であればアウトプットの形式も指定してあげるとなおよいです。
プロンプトの作り方については、以下の記事で紹介していることも応用できます。PerplexityではClaude 3の各モデルも使えるので、ぜひ取り入れてみてください。
GPT-4とClaude3で使い分けを!プロンプト作成のコツを解説
さいごに
ChatGPTのような対話型生成AIとは異なり、リアルタイムの検索をベースにアウトプットを生成するPerplexityはリサーチに特化したサービスといえます。
プロンプトや検索範囲を工夫することで、専門的な領域のリサーチや業務での利用にも非常に有用かと思います。ぜひ今回の記事を参考に一度使ってみていただけるとうれしく思います。
生成AIを社内で活用したいとお考えの方へ
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AI事業の顧問として、生成AIやXRの第一線で活躍している梶谷健人氏を迎え入れ、常に最新のナレッジを社内でシェアしており、AIを活用した新規事業の創出や社内の業務改善を総合的に支援しています。
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