【ワークショップ開催事例】生成AI時代のメディア戦略を考える|パーソルキャリア様(doda)

【ワークショップ開催事例】生成AI時代のメディア戦略を考える|パーソルキャリア様(doda)

Kazuya Takato

Kazuya Takato

こんにちは、づやです。

株式会社LIGでは、企業の生成AI活用をご支援する「生成AIコンサルティング」を提供しています。

この度、LIGでは採用・経営支援などの総合人材サービスを手掛けるパーソルキャリア株式会社のマーケティングチームの皆さまに向けて、生成AI時代のメディアの戦略を考えるワークショップを開催しました。

このワークショップでは、生成AIの最新動向についてレクチャーしつつ、転職サービス「doda(デューダ)」のメディアコンセプトを参加者全員で議論しました。dodaが目指すべき方向性や生成AI時代のメディアの強みの”再定義”を目的としました。

今回は、そのワークショップの様子を少しご紹介いたします。

「生成AI時代にどのようにメディアを運営していくべきか?」「自社メディアの魅力や優位性は何か?」など、気になる方はぜひご覧ください。

ワークショップの内容

ワークショップの目的

 
今回のワークショップの目的は、「時代を捉え、ユーザー行動を予測し、自社のメディアが選ばれ続ける理由を再発見すること」。生成AIの普及によってメディア運営の在り方が変わりつつあるなかで、dodaが提供すべき価値を改めて見直し、他のメディアとの差別化を図ることを目指しました。

ワークショップの流れ

ワークショップは以下の手順で行いました。

  1. 生成AIの“今”を知る(レクチャー)
  2. dodaのWill・Can・Mustを知る(ワークショップ)
  3. コンセプト作成・発表
  4. ネクストアクション

1.生成AIの“今”を知る(レクチャー) 

まず本題のワークショップを行う前に、生成AIの“今”を整理したレクチャーを行いました。

レクチャーでは、生成AIの進化やそれらを取り巻く環境、社会への影響、注目の生成AIプロダクトなどといったマクロな視点で解説しました。

また、パーソルキャリア様にとって身近なキーワードである「キャリア」と「メディア」の各領域において、生成AIの活用事例をご紹介しました。

▲【レクチャー資料の一部①】キャリア領域における生成AIの活用事例

▲【レクチャー資料の一部②】メディア領域における生成AIの活用事例

LIGのワークショップでは、生成AIのトレンド共有だけではなく、お客様と関連性の高い業界や領域での生成AI活用例や動向もまとめてお伝えいたします。

2.dodaのWill・Can・Mustを知る(ワークショップ) 

レクチャーの後は、いよいよ本題のワークショップを行います。

今回のワークショップでは、『時代を捉え、ユーザー行動を予測し、「doda」が選ばれ続ける理由を再発見すること』を目的に、最終的なアウトプットとして、以下の空欄を埋めたメディアのコンセプトをつくりました。

▲ワークショップでは「who」「what」「how」「strong point」を埋めていく

コンセプトはシンプルで、「どんなユーザー(Who)」に対して、「何(What)」を「どうやって(How)」伝えるのかをまとめます。また合わせて、ChatGPTやGeminiとは違った「自社の強み(Strong point)」もアウトプットしていただきます。

実際のワークでは、各空欄を発見するための発想方法として、dodaの①Will、②Can、③Mustの3つのテーマでパーソルキャリアの皆様にアイデアを書き出してもらいました。

各テーマの進め方は、「個人ワーク(7分)」→「チームシェア(10分)」→「全体シェア(10分)」のサイクルで行いました。

①Will

まず、「Will」では、「dodaが目指すべき理想のメディア像」、つまり「こんなメディアにしたい!」という理想を自由に書き出してもらいます。

【目的】
dodaが目指すべき理想のメディア像を書き出すこと

【例】

  • ユーザーにどんな価値を提供したいか
  • 自社にとってどんなメディアにしたいか
  • どんな記事を作りたいか

②Can

次に「Can」では、「生成AIでできること」と、「doda(パーソルキャリア)でできること」の2つを洗い出してもらいました。

【目的】
生成AIやdoda(パーソルキャリア全体)の強みや活かせるものを洗い出すこと

【例】

  • 生成AIだからできること(企画案のブレスト、検索結果画面の調査、記事内画像の自動生成など)
  • doda(パーソルキャリア)だからできること(現在のユーザー像、過去の実績、市場からの認知、他社との差別化ポイントなど)

③Must

最後に「Must」では、dodaを通して「ユーザーに提供すべきこと」や「ユーザーが求めていること」を書き出してもらいました。

【目的】
ユーザーのニーズを改めて整理すること

【例】

  • 転職希望者が普遍的に困っていること・知りたいこと
  • 現在の転職希望者が困っていること・知りたいこと
  • これからの転職希望者が困りそうなこと・知りたそうなこと
  • いままでたくさん読まれたコンテンツ

このWill、Can、Mustの3つのテーマを通して、生成AI時代にdodaがやるべきことや強み、ユーザーが求めることを整理できます。

▲アイデアはポストイットを使って自由に書き出してもらいました

3.コンセプト作成・発表

最後にWill、Can、Mustをもとに、各コンセプトの空欄を埋めていきます。こちらも個人ワーク→チームシェア→全体シェアの順で行いました。

全体シェアでは、各グループからWill、Can、Mustのアウトプットを発表。

驚くことに、細かな言い回しの違いはあれど、「AIでは実現できないdoda特有の“寄り添い”」や「リアルな転職体験」などの共通した価値観が各グループから発表されました。

dodaのチーム全体で同じ方向を向いていることがわかり、結束力が高まる全体シェアでした。

4.ネクストアクション

コンセプトがまとまったら、最後にdodaが「これからやっていきたいこと」を書き出していきます。

ネクストアクションの書き出しでは、「まずは自分が生成AIをしっかり活用していきたい」とおっしゃる方が多くいました。

今回のワークを通して、dodaの強みを再認識することができたことで、生成AIでできることをまずはしっかり活用して、自分たちの強みを発揮する意識を持っていただけました。
 
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パーソルキャリア様にインタビュー

今回は、実際にワークショップにもご参加されたパーソルキャリアの平尾さま、山崎さまにインタビューをさせていただきました。ワークショップを実施した背景やご感想などをお伺いしました。

【パーソルキャリア株式会社 平尾 千晶さん】
2019年からdodaのコンテンツ企画に携わる。部署内で顧客理解を推進する役割も担う。
【パーソルキャリア株式会社 山崎 雅子さん】
2007年からdodaのコンテンツ編集を担当。職務経歴書の書き方など、転職活動ノウハウの記事がメイン。

ーー今回、生成AIのワークショップの実施を考えたその背景について教えてください。

平尾:dodaはさまざまなコンテンツを扱っていますが、そのなかでも私と山崎のチームでは、「履歴書の書き方」や「職務経歴書の書き方」といった転職活動中に必要なノウハウのコンテンツ制作・運用を担当しております。

主にSEO集客をミッションとして運営しているのですが、昨今AIやSGE(※)といったAIを活用したサービスが台頭するなかで、私たちがやっているようなノウハウコンテンツの制作・発信は、AIサービスに淘汰されるんじゃないかといった危機感がありました。

また、ノウハウコンテンツの領域だけではなく、職務経歴書をAIが自動生成するサービスなどといった求職者を支援する様々なサービスが昨年あたりから生まれていて、doda全体で考えていくべき課題として昇華させたいと思っていました。

山崎:そんなことを考えていたなかで、「AIでSEOやメディアは今後どうなっていくのか?」に近いテーマのセミナーを探していたのですが、なかなか見つかりませんでした。なので、オリジナルの勉強会を社内で企画するか、もしくはパートナー様のお力をお借りする方向で考えていました。

※SGEとは、「Search Generative Experience」の略称で、ユーザーの質問に対して自動生成AIを用いて解答を行う機能

ーーそのなかでありがたいことに弊社を選んでいただいた理由を教えてください。

平尾:11月に御社が開催していたAIセミナーに山崎が参加したことが一番最初のキッカケでした。ちょうど社内で生成AI時代のメディア方針をタイムリーに考えていた時期で、先駆者としてそういったAIセミナーをやっていたLIGさんと目線がすごく合っていると思いました。

山崎:ワークショップのご相談は、LIGさんを含め複数の会社様にお声がけさせていただいたのですが、各社とお話をさせていただいたなかで、LIGさんは実際の業務にも生成AIを活用していることもあり、一番解像度が高かったです。

あとは、御社の生成AI戦略顧問である梶谷さんのお考えも、LIGさんのフィルターを通して知ることができることにも魅力を感じました。

ーー実際にワークショップを実施してみていかがだったでしょうか?

平尾:各グループごとに最終的なコンセプトを落とし込みましたが、「一次情報を生かしたコンテンツ作り」「ユーザーに寄り添った情報発信」「熱意を持ったメディア運営」などdodaの35年の歴史のなかで積み重なってきた重要なキーワードが、各々の共通事項として挙げられたことがすごく印象的でした。

実はdodaのコンセプトを、全体で言語化する機会を普段なかなか持てず、2018年のリブランディングで一度整理したのが最後でした。公の場で言語化する機会がなかったなかで、全員が同じ方向を目指しているのか不安でした。

でも、ワークショップを通して、チームメンバーのなかにきちんとそれらの価値観がちゃんと根付いてることがわかって安心しました。

山崎:もちろん、SEO施策として何をやるのかという目線合わせはこれまでやってきたのですが、「その先に何があるのか?」という視点での議論の機会はありませんでしたね。このタイミングで、その部分の目線を合わせることができてよかったです。
 
ーーワークショップを今後どのように生かしていきたいとお考えでしょうか?

平尾:dodaのコンセプトは見えたので、今は担当領域ごとにネクストアクションを考えていて、施策として実行していくつもりです。

山崎:具体的に何をやるかについては、これからじっくり考えていくつもりです。ただ、ワークショップを通じて感じたことは、これらの議論を深めていく上で、「生成AI時代にdodaはどのようにAIと共存するのか、差別化を図るのか」という上段の議論と、「生成AI時代にどんなコンテンツを作るのか」という足元の議論があると思っています。

今後AIの活用を考えていく上で、「今、どちらを議論しているのか」を明確にして進めていく必要があると思っています。

ーーこれから社内での生成AI活用を推進していきたいと考えている企業に対して何かアドバイスがあればぜひおしえてください。

平尾:今後拒絶せずにAIを活用していくことももちろん大事ですが、今回私たちが抱いたような危機感を持ち、生成AI時代に人が介在する価値やサービス戦略を考え抜くことが大事だと思います。

山崎:もちろん、ネットで調べたりセミナーに参加したりなど情報のインプットは必要ですが、それだけではなく「自分で手を動かすこと」が重要です。

そして、実際に手を動かすことで「なんか使いづらいなぁ」と悩むことも大事だと思います。一切触らずに、想像だけで「AIってこんな感じでしょ」と思い込むのは勿体無いと思いますし、ズレた方向に解釈してしまうことも多々あるので、まずは触ってみることが大切だと思います。

さいごに

パーソルキャリアのみなさん、ありがとうございました! 以上、株式会社LIGが提供しているワークショップをご紹介いたしました。

LIGでは、生成AIのワークショップ・勉強会やChatGPTをはじめとする各種生成AIの導入コンサルティングをおこなっております。

AI事業の顧問として、生成AIやXRの第一線で活躍している梶谷健人氏を迎え入れ、常に最新のナレッジを社内でシェアしており、AIを活用した新規事業の創出や社内の業務改善を総合的に支援しています。

今回のような企業様のニーズにカスタマイズしたワークショップや勉強会も開催しておりますので、「AIを活用したいけど、どう進めたらいいのかわからない」などのお悩みをお持ちの方は、ぜひ以下よりお問い合わせください!

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1983年生まれ。SIerとしてのキャリアをスタートし、JavaやC#を中心に多岐にわたる開発プロジェクトにエンジニアとして参加。その経験を活かし、LIGを創業。バックエンドおよびフロントエンドエンジニアとしての深い知識と経験をもとに、多様なプロジェクトに従事。2023年7月には社長室室長に就任にし、社内の体制やルールの最適化、AI技術の推進など、経営戦略の一翼を担っています。

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