サイトの目的を言語化するコツとは?制作側が意識すべきコミュニケーション術

サイトの目的を言語化するコツとは?制作側が意識すべきコミュニケーション術

Web Designing 編集部

Web Designing 編集部

要件定義」という言葉、耳にしたことがあるという人は多いと思います。

では、要件定義とはそもそも何か、具体的にどうすればいいか答えられますか? 本連載では、Webサイト制作の要ともいうべき要件定義について掘り下げていきます。

第3回目のテーマは「サイトの目的を言語化するコツ」。

発注者とのコミュニケーション不足が招くトラブルを防ぐために、制作会社が心掛けていることをご紹介いたします。

本記事の監修者

ico 株式会社LIG デジタルマーケティングコンサルタント 楓 綾香Web制作会社から広告代理店を経てLIGに入社。制作ディレクションからプランニング・営業・広告運用まで、ブランディングを含むWebの下から上まで一通り経験し、デジタルプロモーションの企画やデジタルマーケティング上での課題解決を得意とする。
ico 株式会社LIG Webディレクター 因幡 祐香Webディレクター歴12年。システム開発を伴うプロジェクトの要件定義やディレクション、長期にわたる安定運用と事業展開を想定した情報管理や体制構築を得意とする。Webディレクター・PM向けのセミナーも実施するなど、メンバー教育にも力を入れている。

サイトの目的を言語化するコツ

登場人物

ico 新米Web担当者 徳山 和康(発注者)中堅日用品メーカーのWeb推進部所属。長年いた営業部から異動したばかり。Webサイトの企画や運用を任される新米Web担当者として頭を悩ませる日々。
ico 新人ディレクター 本田 若丸(制作者)Web制作会社で働く新人ディレクター。Webデザインの専門学校を卒業後、ディレクター経験を積むべく現職に。最近は担当案件が増えて忙しすぎるのが悩み。

 
 
~ 発注者・徳山のオフィスにて ~

icoでは、コーポレートサイトのリニューアルをしたいと。どのように変更しましょうか?
icoあー、強そうなのがいいですね。天下取れそうなヤツでお願いします。
icoえーと……具体的には、どんなコンテンツを入れたいとか、CMSをどうしたいとか、ご希望はありますか?
icoWebのことはあまり詳しくないんですよ……。だから、「いい感じ」でお任せします
ico社内の打ち合わせで、なにか要望が出たりは……?
icoああ、社内ミーティングをしようかって思っていたんですよ。やっぱり、したほうがいいですよね?
ico社内ミーティングはしたほうがいいと思います。とりあえず今日は……どうしましょうね?
ico……どうしましょう?

Web制作におけるコミュニケーションの重要性を理解しよう

▲不十分なコミュニケーションが原因で、公開直前に大幅な修正が必要になることもあります。こうしたトラブルは、スケジュールの遅延だけでなく、その後の両社の関係性にも深刻な影響をもたらします。

コミュニケーションはどんな仕事でも重要ですが、Web制作ならではの課題というものも存在します。

1つは、用語に対する認識のズレが起きやすいことです。たとえば「CMS」というよく聞く言葉だけでも、人によって具体的に何ができるかや使い勝手のイメージが異なるかもしれません。専門的な用語に頼らないコミュニケーションを意識する必要があるでしょう。

Web制作におけるコミュニケーション不足は、しばしば公開直前に表面化します。ギリギリになってつくり直しが発生しスケジュールに大幅な狂いが生じるなど、さまざまなダメージにつながっていきます。

今回は、そうならないためのコミュニケーションのコツをご紹介していきます。

まず大前提として、発注側は発注するだけ、制作会社は注文を受けるだけといった線引きをなくすことが肝心です。言われたことだけを淡々とこなしても、課題解決の手段として不十分なケースもあります。

「なんで事前に指摘してくれなかったの?」と言い合いになるのは、お互いにとって不幸なことです。「どうしたらプロジェクトを成功に導けるか」を同じ目線で考えていく意識が、成功の第一歩です。

会話の「芯」を探りながら、プロの視点で目的達成に導こう

▲発注者の言葉をそのまま受け取ってしまうと、本質を見失ってしまう可能性があります。相手の言葉の「芯」がどこにあるのかを見極めながら話を進めるといいでしょう。

発注側の話を聞くときは、言葉をそのまま受け取るのではなく、「芯」を探ることが肝心です。

相手の要望の奥にある本当の目的はなんなのか……。そこを見極めなければ、ビジネスの課題解決につながらないからです。なかには、達成すべき目的と要望にねじれが生じているケースもあります。そんなときも「芯」がつかめていれば、より良い手段を提案できるでしょう。

また、打ち合わせの席で相手に質問を投げかけても、すぐに回答してもらえるとは限りません。持ち帰って社内で検討してもらったり、ゆっくり考えてもらう時間をつくることも重要です。要件定義に長めの期間を設定する理由は、相手の考える時間を確保する意味もあるのです。

さらに、コミュニケーションとは、単に要望を聞き取ることだけではありません。制作会社側も、伝えるべきことは伝え、理解してもらう必要があります。

たとえば、提案する施策はメリットだけでなくデメリットも伝えるデザインの意図を理解してもらうあとから変更が効かない範囲をしっかりと伝える、といったことです。「お客さんが急に別の要望を言い出した」という話もよく聞きますが、もしかしたら、これもコミュニケーション不足が原因なのかもしれません。

本記事は、マイナビ出版が発行する雑誌「Web Designing 2023年8月号(6月16日発売)」を元にしています(編集・執筆:小平淳一)。本誌では、2人のキャラクターが登場し、発注側と制作側の双方の視点でノウハウを解説。Web Designing編集部が運営する『つなweB』では、「発注側の視点」の記事を公開中です!

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2001年創刊のWebマーケティング/デザイン専門誌。偶数月18日発売の雑誌では、Web制作・運用に関わるすべての人に向けて、毎号さまざまな特集をお届けしています。Webメディア「つなweB」も運営中です。

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