離職率40%から「1%」まで引き下げたセブ拠点長が凡事徹底していること

離職率40%から「1%」まで引き下げたセブ拠点長が凡事徹底していること

Mako Saito

Mako Saito

LIGブログ編集長のMakoです。

2023年現在、弊社LIGのフィリピン拠点(CODY Web Development Inc. 以下CODY)には約90名のエンジニアが在籍しています。人材の流動性が高いIT業界にもかかわらず、今期の離職率はなんと1%前後。これは驚異的な数字です。

しかしそんなCODYもつねに順風満帆だったわけではありません。数年前までは離職率40%前後の不安定な組織でしたが、2021年よりCODYを統括している岩田の活躍によってチームの結束力がグッと高まっています。

そこで今回は、岩田本人に現地での取り組みについて詳しく話を聞きました。エンジニア採用に携わっているみなさん、海外メンバーのマネジメントに携わっているみなさん、ぜひご覧ください。

ico CODY Web Development Inc., / COO / 岩田 憲昭楽天株式会社に入社後、広告事業にて営業を担当。全社MVPを3度受賞する等して、当時事業史上最年少でリーダー・マネージャーへ昇格。2017年にメディア事業へ異動し事業責任者に就任、シンガポールに渡星した後アドロール株式会社とのJV立ち上げを機に帰国。 その後株式会社ファーストリテイリングに入社、グローバルECに関するPMとして様々なプロジェクトの担当を経て、2021年株式会社LIGに参画。

リファラルで「採用単価3万円」を実現

―― はじめに、現在のCODYのエンジニア採用状況について教えてください。

岩田:今年度は現時点でエンジニアを10名採用していますが、1人あたりの採用費は12,500PHP(フィリピン・ペソ)、日本円に換算すると約3.1万円です。

この採用単価は、フィリピン国内で比較してもかなり安いほうだと思います。というのも、他の開発会社はおもに求人広告や人材紹介を使ってエンジニアを採用しているんですよ。人材紹介を使えば、1人採用するのにかかるお金は30〜90万円です。

※フィリピンのITエンジニアの年収相場60〜120万PHP × 紹介会社の仲介料20〜30% = 12〜36万PHP

一方、CODYは基本的に人材紹介を使わず、その大半をリファラルで採用しています。過去3年間で約70名ほど採用していますが、そのうちの約6割がリファラル経由での採用となっています。

このリファラル比率の高さこそが、採用単価をおさえられている秘訣です。ちなみにリファラルの紹介料は1〜3万PHPに設定していて、シニアクラスのエンジニアを採用しても日本円で約7.5万円です。

―― 日本国内ではありえない採用単価ですね。CODYの採用力の高さを感じます。

岩田:今後採用ペースを上げることになったとしても、まだまだ打てる手はたくさんあります。たとえば、首都マニラにサテライトオフィスを設ければ、リーチできる層が広がります。マニラはセブよりも平均給与が1.3〜1.5倍ほど高く採用単価が上がるでしょうが、それでも人材紹介を使うよりはマシです。

それに地方都市で採用する、という選択肢もあります。現在はフルリモート社員を積極的に受け入れていないため採用エリアを広げていませんが、将来的には検討したいですね。

離職率を下げるために取り組んだこと

―― リファラルが増えたのは岩田さんがCODYのCOOに就任してからですよね。いったいどんな改革をおこなったのでしょうか?

岩田:リファラル採用を増やすために取り組んだことって、実はないんですよ。僕が意識的に取り組んできたのは、「従業員満足度を高めて離職率を下げること」です。リファラル採用が増えたのは、離職率低下の副次的な効果だと思っています。

いままでCODYの離職率は毎年40%前後でしたが、今年度においては期初に在籍していた85名のうち、離職者はたったの1名。離職率1.2%です。

―― 劇的に数字が改善していてとても驚きました。離職率を下げるためにどのような取り組みをおこなったのか、ぜひ教えてください。

岩田:まずは活躍している社員にヒアリングをおこない、「フィリピンのエンジニアって仕事になにを求めるの? 職場をどう決めるの?」を徹底的に調べるところからスタートしました。

彼ら彼女らの働くモチベーションは、大きく3つに分かれます。1つめはシンプルに「稼ぎたい」。……残念ながらお財布は限られているため、給料の大幅UPは容易ではありません。

2つめは、「自由な働き方をしたい」。フルリモート勤務を希望する社員が一定数いましたが、これには僕が反対しました。フィリピン人は日本人よりも比較的のんびりしているので、管理者の目がないとパフォーマンスが落ちる危険性があると考えているからです。

そのためCODYでは3つめの、「心理的安全性の高い職場で気の合う仲間たちと一緒に働きたい」というニーズに精一杯応えようと決めました。

現在は月に一度、全社員で集まる交流イベントを開催しています。毎回人事が企画すると同じようなコンテンツになってしまいがちなので、幹事は持ち回り制です。イベントが終わったら必ず参加者アンケートをとり、改善ポイントをまとめて、次の幹事へ引き継ぐようにしています。

▲「Fiesta」というフィリピンで神へ感謝や祈りを伝える儀式をモチーフにしたイベント

▲ハロウィンイベント

岩田:この方針は「飲み会が好き」「お祭り騒ぎが好き」というフィリピンの国民性にもマッチしていると感じています。それにCODYはオフィスがワンフロアなので、わいわい大人数で集まりやすいんですよ。そのおかげで「集まっても集まらなくてもどっちでもいい」という中間層も輪に入りやすい空気が生まれていると思います。

また、こうした集まりが得意ではない社員ももちろん若干名います。こうしたメンバーには、「どんなアクティビティだったら参加したいと思う? みんなで集まりたいからぜひ教えてほしい」とヒアリングをおこなうようにしていますね。

―― 全社イベント、想像以上に本気で取り組んでいらっしゃるんですね。徹底ぶりに驚きました!

加えて、成長機会と働きやすさを

岩田:あとは、高い給料を出すことは難しくとも「成長機会」や「働きやすさ」であればまだまだ提供できると考えています。

いままでは完全にプロジェクトありきで、納品するために必要なスキルを身につけてもらっていました。しかし最近はその人が「どんなキャリアを描きたいのか」にあわせて、必要なスキルを身につけられる環境作りを心がけています。

たとえば、「プロジェクトマネージャー」「テクニカルディレクター」といったエンジニア以外の職種を社内公募したり、 学び放題の研修サービスを福利厚生として導入したり。それに「これらでカバーできないトレーニングがあれば積極的に僕へ提案してほしい」とも伝えています。

また、「働きやすさ」を担保するために「結婚・出産お祝い金」を用意したり、授乳中の社員にはフレックス制度を適用したりと、こうした細かな改善もおこなっていますね。

―― どんどんと改革を進めていらっしゃいますね。新しい制度を取り入れるうえでの「判断基準」はなんでしょうか?

岩田:まず、その制度を取り入れることによってハッピーになる社員が全体の何%なのかを考えます。たとえば一見全員にとってポジティブな「結婚・出産お祝い金」制度も、すでに結婚・出産しているメンバーからすれば「もっと早く導入してほしかった」とネガティブに映る可能性がありますよね。こうしたバランスまで確認します。

もう一つは、競合他社と比較したときに優位性があるかどうかを検討します。どんなに魅力的な制度を整えたとしても、他にもっと魅力的な会社があれば人材は流れてしまうじゃないですか。マーケットにおける自分たちのポジションを俯瞰したうえで、その制度を導入しなければ競合に劣ってしまうのか、あるいはその制度を導入することで競合より優位になるのかを整理します。

これらを踏まえながら、最終的には費用対効果が見込めるかどうかで判断していますね。

シンプルに、耳を傾けること

―― 最後に、離職率を下げリファラル採用を促進するために岩田さんがもっとも大切だと思うことを教えてください。

岩田:オフショア拠点においては、当然のことながら日本の当たり前が当たり前ではありません。そのため、とにかくメンバーの声にひたすら耳を傾けるしかない。シンプルですが、文化や価値観の違いをきちんと理解した上でLIGとCODYの良い部分をマージするためにも、やっぱりこれがもっとも重要ではないかと思います。

ただし本当に全社員の声を聞いてしまうと「あれもやってほしい」「これもやってほしい」と収集がつかなくなってしまいます。なので「この人は視野が広くてまっとうな意見を持っているな」と思える社員をピックアップしてヒアリングすることをオススメしますね。

また、声を聞いたからには「その結果どう判断したのか」をきちんと説明する責任があります。出した意見がその後どうなったのかがわからないと、「声をあげてもどうせ組織は変わらない」「アンケートやヒアリングに協力するのは面倒くさい」と思われてしまいますからね。そのため僕は意思決定の背景を社員にすべてフィードバックするよう心がけています。

―― 声を聞くこと、さらにその結果どう意思決定したのかを丁寧にフィードバックすること、大切ですね。ここまでのお話、非常に参考になりました。ありがとうございました!

おわりに

当取材には、組織作りにおいて徹底すべきことがぎっしり詰まっていたように感じます。

CODYの取り組みはLIG本社にとっても多くの学びがありました。ぜひみなさんにとっても、職場環境作りのヒントがあれば幸いです。

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CODYではお客様のDX支援をおこなっています。オフショア開発に興味があるみなさん、ぜひ気軽にお声がけください。

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Mako Saito
Mako Saito LIGブログ編集長 / 人事部長 / 齊藤 麻子

1992年生まれ。2014年九州大学芸術工学部卒業後に採用コンサルティング会社へ新卒入社。法人営業から新規事業推進、マーケティング業務に従事したのち、2018年にLIGへ。2023年にLIGブログ編集長、2024年に人事部長に就任し、現在は自社のマーケティング・人事業務を担う。副業ではライターとして活動中。あだ名は「まこりーぬ」。著書『デジタルマーケの成果を最大化するWebライティング』(日本実業出版社)

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