国産ヘッドレスCMSのパイオニア「microCMS」が成長を続ける理由

国産ヘッドレスCMSのパイオニア「microCMS」が成長を続ける理由

Kazuya Takato

Kazuya Takato

こんにちは、LIGのづやです。

Jamstack構成により表示速度がはやい、コンテンツがHTMLに影響されないという特徴から、今や世界中で大きな注目を集めるヘッドレスCMS。海外で開発されているサービスが多いなか、数少ない国産のヘッドレスCMSが「microCMSです。私たちLIGもサイト制作に活用しており、そのスゴさを肌で実感しています。

今回は開発会社である株式会社microCMSさんに取材の機会をいただき、どのようにヘッドレスCMSを開発しているのか、なぜ多種多様な企業に選ばれているのか話を聞きました。

※オンラインにて取材いたしました。

「受託開発の課題」を解決するために辿り着いたプロダクト

―― まずは御社が国内でいち早くヘッドレスCMSを開発した背景を聞かせてください。

柴田和祈

柴田 和祈さん
2017年に株式会社microCMSを共同創業し、現在はCXO兼デザイン責任者。元々はWebデザイナー兼フロントエンドエンジニア。プライベートでは2児の父。ダンス歴10年。 著書「React入門 React・Reduxの導入からサーバサイドレンダリングによるUXの向上まで」

柴田:私たちはmicroCMS以前にもサービスを開発していたのですが、まったくヒットするサービスを作れなくて。スタートアップにはよくあることですが、10回以上もピボットを繰り返し、途中で資金が尽きそうになった時期も2回ほどありました。

当時は受託開発をしながら経営を続けていたのですが、その中で金融系の企業様のお手伝いをすることがあったんです。私たちがフロントエンドを担当していて、バックエンドは別の会社が担当していたのですが、社内稟議やバックエンド側とのスケジュール調整にかなりの時間が取られていました。

そこで「フロントエンドだけでサイト掲載までできるようにしたらいいんじゃないか」と思ったのがmicroCMSを開発するきっかけになりました。当時ヘッドレスCMSという概念は知らなかったのですが、結果的にヘッドレスCMSを開発することになったのです。

―― 「ヘッドレスCMSを作ろう」としたのではなく、課題を解決しようとしたらヘッドレスCMSに辿り着いたんですね。microCMSをリリースして、すぐに反応があったのでしょうか?

柴田:私たちがサービスをリリースした2019年当時は、ヘッドレスCMSという概念自体が普及していなかったため、技術的な関心の高いエンジニアが興味を持ってくれる程度でした。

それでも制作会社様を中心に徐々にお客様が増えていき、そのうち大企業にも利用されるようになって。今では企業規模に関係なく、スタートアップから大企業までご利用いただいています。

―― みなさんどのような理由でヘッドレスCMSを導入しているのでしょうか?

柴田:ヘッドレスCMSは従来型のCMSとは異なり、表示面を持たないCMSです。API経由でコンテンツを取得することができるため、最新のWeb開発技術であるJamstackと非常に相性が良く、高いセキュリティ・ページ読み込み速度が早い・SEOに強いなどハイパフォーマンスなサイト構築ができることで選ばれる企業様が多いですね。

また、コンテンツ更新にかかる工数やコストを削減したいとお考えのお客様も多くいらっしゃいます。従来のCMSですと、サイト全体をCMS化する必要がありますが、ヘッドレスCMSは既存のサイトやアプリケーションの中に部分的に組み込むことができます。これにより、お知らせやIR情報などの定期的な更新は広報やマーケティング担当者だけで完結し、エンジニアは重要なプロダクト開発に専念することができます。

こうした機能性を評価いただき、サービスをリリースした3年前に比べると問い合わせ数は大きく伸びています。

ユーザーがつまづくポイントは徹底的にコンテンツ化

―― ヘッドレスCMSのなかでも、「microCMS」の優位性について教えてください。

柴田和祈

柴田:ヘッドレスCMSはエンジニア向けのサービスと思われがちですが、実際にコンテンツを入力するのはマーケターや編集者の方々です。そのため、日本語対応がしっかりしているかが、サービスを選ぶ上で重要な要素となります。

microCMSは、わかりやすい管理画面と日本語のサポート対応で、安心して利用できるというお声を多くいただいています。

―― 日本語対応は非常にありがたいですよね。開発に詰まった際、サポートチームによく助けられています。すばらしい強みだと思います。

柴田:ありがとうございます。また、国内でいち早くサービスをリリースできたため、大企業の導入実績が多いのも選ばれる理由の一つです。地道にお客様の事例インタビュー記事を発信してきたことも信頼につながっていると考えています。

―― 御社はしっかり情報発信している印象がありますが、どのような体制で行っているのでしょうか。

柴田:私たちはPLG(Product-Led Growth)戦略、つまりはセールスを頑張るのではなく、プロダクトを磨くことでお客様を増やそうと考えています。その一環として、ユーザーに気持ちよくサービスを使ってもらうためにユーザーがつまづきやすいポイントはすべて記事にしています。

記事を書くことが直接ユーザーのメリットにつながるため、みんな率先して記事を書いてくれますね。とくにエンジニアたちはもともと情報発信が好きなので、会社でルールを決めたり無理強いしたことはありません。情報発信する文化が定着しています。

参考:microCMSブログ / microCMSユーザーコミュニティ

―― 弊社も長年情報発信をおこなっていますが、その大変さを身を持って感じています。「率先して記事を書いてくれる」という文化、とてもうらやましいです!

楽しい仕事に集中するため、面倒な仕事はすべて自動化

大西智也

大西 智也さん
2022年5月に入社。開発本部のマネージャーを担当し、組織の生産性向上を考えています。趣味は個人開発でiOSアプリを中心に様々なプロダクトを作っています。

―― 以前貴社にバグを報告した際、数週間で改善してもらえてとても助かったことがありました。どのような開発体制をとっているのでしょうか?

大西:現在は業務委託の方も含めて7~8名ほどの組織で開発を進めています。内訳としてはマネージャーの私と、テックリードがバックエンドとフロントエンドに1名ずつ、それ以外はエンジニアとして開発をしています。PMやデザイナーと協力して新機能を開発するチームと、インフラやバックエンドとして開発・保守をするチームに分かれていますが、大半は前者です。

基本的にはロードマップに沿って開発しているのですが、バグの報告など差し込みの案件があれば、個人の判断で対応していますね。私があまりチームを管理したいタイプではないので、基本的に個人に任せています。

―― 少数精鋭のチームなんですね。開発チームをマネジメントするうえで、大事にしていることはありますか?

大西:基本的に面倒な作業は自動化して、楽しい仕事に集中しようという方針を掲げています。たとえばリリース前後の動作確認は絶対に外せない作業ですが、エンジニアがやりたい仕事ではありませんよね。そのような業務はすべて自動化して、新しい機能を開発するような業務に集中できる環境作りを意識しています。

―― 御社のブログを見ていると、エンジニアが働きやすい環境が整備されているように感じます。環境づくりで意識していることがあれば教えてください。

柴田:最近はAIツールの成長がめざましく、賢く使えば小規模な組織でも十分に戦っていけると思っています。そのため、社内でもAIツールの活用を推奨しており、今後も随時サポート体制も整えていくつもりです。

その他の工夫でいうと、エンジニアは非同期のコミュニケーションを好む人が多く、時間が制限される会議などを好みません。そのため、定例会議もほとんど廃止しましたし、全社の集会も参加しなくていいようにビデオ録画して自分の好きな時に見れるようにしました。

また、エンジニアに限らず全職種フルリモート・フレックス制度を導入しています。

―― 定例会議の廃止にAIツールの積極活用は非常にうらやましいですね..……。魅力に感じるエンジニアが多そうです!

たった3名で手厚いサポートを実現できている秘訣

―― 続いて、サポート体制についてもぜひ教えてください。何度か技術的な質問をさせていただいたことがあるのですが、チャットで相談したらすぐに解決策を提案いただけました。いつもありがとうございます!

清水 環さん
2022年より株式会社microCMSに入社し、現在はカスタマーサクセス本部のマネージャーを担当。プライベートでは個人開発を行い、趣味の日本酒やゲームに関するウェブサイトを開発、運用をしています。

清水:現在、顧客のサポートは3名の組織で行っています。サポートだけおこなっているわけではなく、商談やお客様の接点が生まれる仕事を一通り担っているチームです。

その特徴は、全員エンジニアのバックボーンがあること。一人はフロントエンジニアも兼任していますし、プレイングマネージャーの私ともう一人も元々SEとして働いていました。カスタマーサポートが非エンジニアの場合、技術的な質問はいちどエスカレーションしなければなりません。一方で私たちはすぐに的確に返信できるため、手厚いサポートにつながっていると思います。

―― たった3名でチームを運営しているなんて、驚きました!

清水:たしかに今のmicroCMSの事業規模から考えると、3名でのサポート体制は少ないと思われるかもしれません。しかし、弊社は社長がエンジニア出身ということもあって、会社として「プログラミングやツールを使って自動化しよう」という文化があって。

たとえば問い合わせの内容によって担当者を自動で割り当てるシステムを組んだり、Slackでそれぞれ担当すべきものがわかりやすくしています。一般的なカスタマーサポートに比べると、格段に効率化できていると思います。

―― 徹底した効率化により、速やかな顧客対応や情報発信が実現しているのだな、と感じました。microCMSさんの強さの根源、お話しいただきありがとうございました!

さいごに

高速・高セキュリティなWebサイトを作るうえで、ヘッドレスCMSは強い味方になってくれます。そのため弊社LIGでも「microCMS」を活用した制作機会が増えています。

▼支援実績

ご興味があるみなさんはぜひ気軽にお問い合わせください。

 
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Kazuya Takato
Kazuya Takato 取締役 COO 兼 CTO / DX事業本部長 / 高遠 和也

1983年生まれ。SIerとしてのキャリアをスタートし、JavaやC#を中心に多岐にわたる開発プロジェクトにエンジニアとして参加。その経験を活かし、LIGを創業。バックエンドおよびフロントエンドエンジニアとしての深い知識と経験をもとに、多様なプロジェクトに従事。現在は、取締役COO兼CTO、DX事業本部長として、社内の体制やルールの最適化、AI技術の推進など、経営戦略の一翼を担う。

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