リスキリングのメリット・デメリットを個人と企業で比較してみた

リスキリングのメリット・デメリットを個人と企業で比較してみた

Jumpei Hayashi

Jumpei Hayashi

こんにちは! Webクリエイタースクール「デジタルハリウッド by LIG」(通称:デジLIG)の運営責任者をしているです。

デジLIG(デジタルハリウッドSTUDIO by LIG)とは
株式会社LIGとデジタルハリウッドが業務提携をしてはじめたクリエイター養成スクール。Webデザイナーや動画クリエイターを目指す方向けのカリキュラムを展開している。現在、上野・池袋・北千住・町田・川崎・大宮に校舎がある。毎日無料説明会を開催中!

近年、世界で注目度を増している「リスキリング」という言葉。日本でも2022年10月に、岸田首相が「リスキリング支援に5年で1兆円を投じる」と表明し、一気に話題になりました。

デジLIGにもリスキリングの目的で、働きながら終業後にWebデザインや動画編集について学んでいる(リスキリングしている)受講生さんが多くいらっしゃいます。

では、そもそもリスキリングとはなんなのでしょうか? 

企業・個人それぞれにどういったメリットやデメリットがあるのか、注意点も含め、詳しく解説していきます。

リスキリング(Reskilling)とは? 意味を解説

そもそも、リスキリング(Reskilling)とはどういう意味なのでしょうか。経済産業省の定義では

新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること

と、記されています。定義内の「大幅な変化」とは、主にDX化についてを指しています。

※参考リンク:経済産業省 「第2回 デジタル時代の人材政策に関する検討会」

「デジタル領域を活用して社会に新たな価値をもらたすこと」が企業の課題となってきているなか、デジタル人材の数は不足しており、多様化する働き方に対応できる人材が必要になってきます。

さらに経済産業省は、

デジタル社会においては、すべての国民が、役割に応じた相応のデジタル知識・能力を習得する必要がある。現役のビジネスパーソンの学び直し(=リスキリング)が重要。

とも述べており、今後もリスキリングの重要度が高まっていくことが予想されます。
※参考リンク:令和4年2月「経済産業省の取組」

ここからはリスキリングのメリットやデメリットを詳しく紹介していきます。

リスキリングのメリット

リスキリングのメリットは企業・個人の両方にあり、内容は異なります! 実際にDX化に対応したスキルを身につけることでどのようなメリットがあるのかを、企業と個人それぞれの視点で見ていきます。

企業にとってのメリット


社員がDX化に対応したスキルを得ることで、企業にとってもさまざまなメリットがあります。

雇用の安定

社員がリスキリングでDX化に対応したスキルを得ることで、DXや成長分野への移行に伴う、無理な配置転換や人員整理などを避けることができます。

社員にとっても自社でのキャリアプランが広がり、従業員満足度の向上やモチベーションの増加なども見込めます。

業務効率の向上が見込める

社員の業務が効率化することによって、企業側は削減できた時間や残業代などのコストを別の部分に割り当てることができるようになり、生産性の向上が見込めます。

自社リソースの活用範囲が広がることは大きなメリットです。

採用・教育においてはコストの削減になる

DXスキルを得た人材は市場でも常に需要があるため、転職活動も有利になります。実際に、デジタル人材の不足は深刻化しており、2030年には45万人のデジタル人材が不足するというデータもあるほどです。

ですが、人材を採用するにはコストがかかりますし、仮に採用できたとしても教育コストも発生します。

その反面、社内で適性の高い人材をリスキリングすれば、そういったコストの削減につながります。

個人にとってのメリット

個人にとっても新しいスキルを得ることで、次のようなメリットが考えられます。

業務の効率化ができる

今まで手作業で行っていた業務を、IT活用によって効率化・自動化できるようになる可能性があります。身近な例では契約書が電子契約になったりなど、アナログで行われていた作業がどんどんデジタル化しています。

DX化によってそういった事例はますます増加していくと考えられ、現在も様々な業務がIT活用によって効率化・自動化されています。それに伴い、DX化に対応できる人材の需要も今後ますます高まっていくことが予想されます。

キャリアの選択肢が増える

リスキリングを通して新たなスキルを身に付けると自分自身の視野が広がり、キャリアの選択肢も増えます。

そうなると、今の会社での待遇改善やキャリアチェンジも見込めるようになり、別業種への転職や自分の興味や適性に合った仕事を見つけられる可能性も高くなります。

転職において市場価値が向上する

スキルの向上は年収の向上にもつながります。新しいスキルを身につけることで、自分が最大限のバリューを発揮できる会社を見つけやすくなるのです。

リスキリングのデメリット・注意点

リスキリングのデメリットについても、企業・個人それぞれの視点で見ていきましょう。

企業のデメリット

スキルをつけた社員が転職する可能性がある

メリットと相反しますが、DX化に対応したスキルをつけた社員は市場での価値も高まり、転職しやすくなります。

リスキリングした優秀な人材が流出させないためにも、待遇の改善や配置転換など、長く働き続けてもらう施策をあらかじめ検討しておく必要があります。

金銭的・時間的なコストがかかる

社員をスクールに通わせる、外部の講師に研修を依頼する、または書籍購入や講座受講をサポートするなど、リスキリングには一定額の予算が必要となります。また、勤務時間中にリスキリングさせる場合、その分の時間的なコストもかかります。

そのため、企業側は業務とリスキリングのバランスを考え、適切に主導していかなければなりません。

長期的な取り組みになる可能性が高い

リスキリングでは一度スキルをつけて終わりではなく、継続的な学習が必要です。

なぜなら、技術や市場は日々変化しており、それに対応できるようまた学び直す必要が出てくるからです。

社員の能力や学習意欲を高める仕組みや評価制度の制定など、会社一丸となって舵をとることが大切です。

個人のデメリット

続いては、個人のデメリットも紹介します。

学習時間や労力がかかり、調整が必要になる

リスキリングは単発で終わるような講習ではなく、場合によっては1年かけて実施することもあります。仮に1年かからなかったとしても、学習にある程度まとまった時間を要する場合がほとんどのため、スケジュールの調整が必要となります。

学ぶスキルによってはモチベーションが上がらない

自分が元々興味を持っていたり、将来的に役に立ちそうだと思えるスキルなら問題はありませんが、学ぶ意思のないスキルを会社の決定で習得させられる場合、どうしても学習のモチベーションは上がりにくくなります。

「自分はこのスキルに興味がある!」というスキルがある場合は、会社主導ではなく自身でリスキリングしていくことも視野に入れてみてください。

▼85人にリスキリングで何を学ぶか聞いてみた結果はこちら

スキルを身に付けたのに会社で何も変わらないことがある

1年かけてスキルを習得したとしても、その間に会社の方針などが変わってスキルが活かせず、仕事内容や待遇が変わらないこともあります。

そのため、会社からリスキリングを依頼されたとしても、スキルを使えない可能性があることも頭の片隅に置きながら、よく考えるべきでしょう。

リスキリングしている85人に聞いてみた

最後に、リスキリングにおいて感じていることなどを、弊社が運営するスクールの受講生・卒業生に伺いました。個人向けのお話がメインとなりますが、他に出ていない生の声になりますので、ぜひご覧ください。

上記で実施したアンケートのプレスリリースはこちら。

独学で学ぶことも可能な現代ですが、スクールや外部から学ぶことで先人の方々の経験も同時に学べるため、スクールと独学では内容の説得力や成長スピードも変わってくると考えます。
20代男性 現役受講生

何かスキルを学ぼうとしたときに毎回スクールに通うと金銭的にも大変ですが、「これは絶対身につけたい!」というものであれば、スクールに通う価値はあると思います。一度通うと、時間の作り方や勉強方法の見直しができるため、他のスキルも学びやすくなる気がします。
30代女性 現役受講生

「何を学びたいのか」「自分の定めるゴールはどこなのか」などをもっと考えておくべきだったなと思います。
30代女性 デジLIG卒業生

独学でPhotoshopだけ勉強できたので、仕事の幅が広がり、やりたかったクリエイティブの領域も任せてもらえるようになりました。会社でもスクール費用を支援する制度はあるものの、通常業務が忙しくて、スクールに行ってまで新しい知識を得ようとしている人はいないです。
20代女性 現役受講生

リスキングを行うことで自身の経験値に新しいスキルがプラスされ、複数のスキルが組み合わさって自分の魅力を最大化できると思います。
20代男性 デジLIG卒業生

日本ではリスキリングを意識したり実施している人の割合が少ないように感じています。これから終身雇用制度がなくなっていくにつれてリスキリングをはじめる人が増えれば、日本経済もよりよくなると感じるので、リスキリングがもっと盛んになっていけばいいと思っています。
20代女性 現役受講生

▼より詳しい受講生へのアンケート結果はこちら

さいごに

今はまだ少ないですが、会社が主導で社員のリスキリングを奨めることも増えてきています。

働きながら学び直すことは、時間やお金の側面から簡単ではありません。しかし、スキルによっては新しい道が拓けることもあります。

実際にリスキリングをしていた&している人の意見を見ると、大変さを感じながらもポジティブに捉えてる人が多い印象を受けました。

リスキリングはメリットだけではないのは事実ですが、キャリアや事業など、市場の変化に合わせて新しい道へ進むこともできるようになります。時代にマッチしたスキルを持つことは企業にとっても個人にとっても重要なのです。

働きながら学べるスクールもおすすめ

「働きながら学び直したい」「プロとしてクリエイティブな仕事がしたい……」という方は「スクールでの勉強」もおすすめです。

デジLIGは夜間と土日も開校しており、社会人の受講生がほとんど。未経験から6ヶ月でWebデザイナー、3ヶ月で動画編集者を目指せます。現役で活躍するプロによる授業と、手厚く永続的な就職支援が特徴です。ぜひ一度詳細をチェックしてみてください!

 
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よくある質問

リスキリングとリカレント教育との違いは?

「仕事に活かすためのスキルを学ぶ」という意味ではリスキリングと同じですが、リカレント教育は学ぶ内容が個人の自由であり、内容もデジタル領域に限りません

リスキリングの導入で企業が気をつけることは?

「スキルをつけた社員は転職しやすくなる」ということを覚えておきましょう。待遇の改善や配置転換など、長く働き続けてもらう施策をあらかじめ検討しておく必要があります。

この記事のシェア数

日本大学芸術学部卒業後、テレビ、ラジオ、Webメディア、プロスポーツイベント等、複数の媒体にてディレクター職を経験。2018年9月からLIGにセールスメンバーとして入社し、教育事業部に配属(現デジタルエデュケーション部)。自身がクリエイターを行なっていた経験を生かし、現在は部長としてWebクリエイタースクール事業「デジタルハリウッドSTUDIO by LIG」の事業企画、運営を行い、クリエイター育成をミッションとしている。

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