ベイジ×WORDS×LIGのライター結集!BtoBコンテンツ談義【イベントレポート】

ベイジ×WORDS×LIGのライター結集!BtoBコンテンツ談義【イベントレポート】

Mako Saito

Mako Saito

こんにちは、LIGのマーケターのまこりーぬです。

LIGでは不定期に、コンテンツ制作やマーケティングに関するセミナーを開催しています。2022年12月開催のイベントでは、ベイジさん、WORDSさん、そしてLIGの3社で「BtoB企業のコンテンツづくり」について語り合いました!

今回はその内容の一部をご紹介します。

登壇者

株式会社ベイジ

登壇者:株式会社ベイジ ライターチームマネージャー 五ノ井 一平 氏大学卒業後は編集者として紙媒体の編集業務に従事。その後、ウェブ業界へ転身し2019年にベイジへ入社。現在はクライアントワークを担当しつつ、ライターチームのマネージャーとしてメンバーのマネジメントや採用なども行う。
登壇者:株式会社ベイジ ライター 林崎 優吾 氏新卒で求人広告代理店に入社し、コピーライティング・制作ディレクションを経験。そこからコンテンツ制作スキルの幅を広げるため、2021年にベイジへ転職。入社後は、ライターのワークフロー確立や、ノウハウの体系化にも注力している。

株式会社WORDS

登壇者:株式会社WORDS 豊福 未波 氏編集者。早稲田大学社会科学部卒業。出版社の書籍マーケティング部門で営業・編集を経験後、株式会社WORDSに参画。経営者の言葉を、SNS等を通して伝える「顧問編集者」として活動中。『書くのがしんどい』(竹村俊助)、『ぼくらの仮説が世界をつくる(文庫版)』(佐渡島庸平)など書籍の編集サポートも担当。
登壇者:株式会社WORDS 藤本 健太郎 氏編集者。関西学院大学文学部を卒業後、SaaS事業を展開するベンチャー企業に入社。採用広報、オウンドメディアの立ち上げなどに従事したのち、独立。約半年のフリーランス期間を経て、2022年7月より株式会社WORDSに入社。顧問編集者として活動中。

株式会社LIG

登壇者:株式会社LIG マーケター 齊藤麻子(まこりーぬ)1992年生まれ。2014年九州大学芸術工学部卒業後に採用コンサルティング会社へ新卒入社。法人営業から新規事業推進、マーケティング業務に従事したのち、2018年にLIGへ。顧客のマーケティング支援、自社のマーケティング、オウンドメディア運営に広く携わる。2021年にLIGブログ編集長代理、デジタルマーケティング事業部マネージャーに就任。副業ではライターとして活動中。

第一部:ベイジより

そもそもコンテンツとは?

林崎:私たちは「コンテンツ=中身のある情報」と考えています。この前提に立つと、Webサイトの文章や画像、SNSのほか、営業のセールストークやプレゼン資料もコンテンツであり、あらゆる企業がコンテンツを通して顧客とコミュニケーションを取っています。

ある調査によると、BtoBの購買管理者の約4割が商談前に候補を絞り込んでいるそうです。つまりBtoBでは「商談前に触れるコンテンツ」が重要と言えます。

※参考:電通B2Bイニシアティブ「B2B商材、商談前に取引先はほぼ絞り込まれている!? 購買関与者4500人調査の考察」

商談前に触れるコンテンツを段階的に見てみると、「課題化前」ではオウンドメディアやSNS、「情報収集」や「比較検討」では企業のコーポレートサイトなどが挙げられます。どのコンテンツに投資するかは企業が抱える課題やマーケティング戦略次第です。

林崎:ただ別の調査では、企業が製品やサービスの購入の際に参考にする情報源のトップは「企業のWebサイト」という結果が出ています。BtoBビジネスにおいて企業サイトは非常に重要です。

※参考:トライベック・ブランド戦略研究所「BtoBサイト調査2022

BtoBサイトでコンテンツが重要な理由

林崎:BtoBサイトにおいては、適切なコンテンツを用意できるかどうかがビジネスを左右します。その理由は、以下の3つです。

  1. 社内で協議・説得する材料が必要だから
  2. 経済合理性のある根拠が必要だから
  3. 高い失敗リスクを超える信頼が必要だから

一般的にBtoBで商品・サービスを購入するときには、上司の決裁や社内会議での承認が必要です。承認をもらうために、担当者は上司や会社を説得する材料を揃えなければいけません。

またBtoCと違ってBtoBでは個人の好みや印象ではなく、企業として投資に見合った効果が得られるかどうかが購入の可否に影響しやすいです。「会社が抱えている課題が解決できる」、「コスト削減につながる」、「他社商品にはない強みがある」など、その商品・サービスを選ぶ理由があると思ってもらえるようなコンテンツを企業サイトに揃えておく必要があります。

さらにBtoCと比べてBtoBは商品単価が高い傾向にあります。そのため、たとえば外部に頼んでリニューアルしたWebサイトがイメージとは違ったとしても、一から作り直すのはコスト的に難しいでしょう。また、無形商材の場合は手に取って確認することはできませんし、BtoBは口コミも少ない。つまり高い失敗リスクがあるんです。

企業は商品・サービスを提供している会社が本当に信頼できるかをチェックしているので、「ネットで検索してもHPが出てこない」「サイトはあるが全然違う情報が載っている」といったことがないようにしなければいけません。

これらの点からBtoBサイトにおいては、以下のようなコンテンツを揃えておくことをおすすめします。

  • 購入者の便益がわかるコンテンツ
  • 社内で伝達しやすいコンテンツ
  • 課題解決視点のコンテンツ
  • 論理的に書かれたコンテンツ
  • 買い手の状況に合わせたコンテンツ
  • 信頼を感じられるコンテンツ

ベイジのBtoBサイトでのコンテンツづくり

五ノ井:ベイジでは次のような流れでサイト制作を行っています。

五ノ井:私たちのコンテンツづくりは「戦略」から始まります。戦略フェーズの目的の一つは「コンテンツアイディアの創出」であり、ベイジが目指すのは「戦略からコンテンツまで一貫性のあるWebサイトづくり」になります。

戦略フェーズでは経営戦略、マーケティング戦略、ブランド戦略などの情報を顧客から引き出し、「CCPCCメソッド」という弊社独自のやり方で、顧客と一緒に情報を整理、議論していきます。

五ノ井:このなかでも特にコンテンツに強く影響を与えるのが「顧客」と「商材」です。商材の魅力は文脈やストーリーがあると伝わりやすくなります。弊社はBtoBサイトのコンテンツづくりで「コア・オブ・ストーリー」という手法を使うことが多いです。

五ノ井:続いて設計・制作フェーズでは、ビジュアルデザイン面(ワイヤーフレームの作成からデザイン制作)とコンテンツ面(ページのコピーや文章作成)を進めます。

戦略フェーズでサイト構造とコンテンツ案は固めていますが、実際に文章を書き始める前に「コンテンツ設計書」という資料を作ります。ワイヤーフレームは「全体の流れを可視化した資料」、コンテンツ設計書は「テキスト部分を抜き出して詳細化した資料」と考えてください。

五ノ井:コンテンツ設計書の冒頭には、コピーや文章に一貫性を持たせるために「このページで達成したいこと」を明記します。この時点で具体的な見出しまで作っています。

コンテンツ設計書をベースに顧客に原稿を書いてもらうのですが、顧客が忙しくて対応できないといった場合には簡単なインタビューを行い、こちらが書き上げることもあります。その後は原稿をチェックしてもらうなどして入稿します。

第二部:LIGより

まこりーぬ:LIGのパートでは「成功しているオウンドメディアの共通点」と「LIGブログが15年以上続けられている理由」についてお話したいと思います。

成功しているオウンドメディアの共通点

まこりーぬ:まず成功しているメディアの共通点ですが、みなさんは何だと思いますか?

私がLIGブログに携わっていて、また各社のメディアでライターとして企業の話を伺ってきてたどり着いた答えは「 “続ける” 前提であること」です。

「続ける」前提に立つために必要なことは、二つあると考えています。

一つ目は、情報発信に対する「経営者の理解」です。理解といっても、ただ知識として「頭」でわかっていればいいわけではありません。経営者自身がブログを書いてきたなど、「経験」として発信の重要性を認識していることが大事です。経営者の理解がなければ費用対効果などの面で揉めてしまうこともあるので、この要素は絶対に必要だと考えています。

二つ目は「売上以外の目的設定」です。社員育成に役立てたい、社会にメッセージを伝えたいなど、儲けること以外に掲げる「旗」があれば、やめるという判断にはつながりにくいと思います。

LIGブログが15年以上続けられている理由

まこりーぬ:LIGブログが長く続けられている理由も、今ご説明した点にあります。

LIGの創業者は昔から個人サイトで発信していたような、情報発信好きの人間でした。それもあって創業の際には、「営業はしたくないので、その分ブログを書いて情報発信をする」と決めたそうです。

また、私が入社した当時は「メンバー全員が月1本記事を書く」というルールがあり、セルフブランディングになるというのが売上以外の目的になっていたと思います。

ただ、市場も会社も社員も変わります。続けていくためには、社会や市場の変化に合わせてメディアも変えていかなければいけません。

各メンバーに記事を書いてもらっていたとき、記事のテーマは自由でした。ですが事業が多角化していったことで記事テーマも増えていってしまい、だんだんとLIGブログを読んでも何をやっている会社なのかわかりにくくなっていってしまいました。

まこりーぬ:そのため、現在はテーマ決めは主に編集部が行っています。会社が変わっていくなかで、最適と考えられるほうへと体制を変えていったということですね。もちろん今後変わる可能性はありますが、今はこれがベストだと思っています。

まこりーぬ:成功しているオウンドメディアは「続ける」ことが前提にあり、「続ける」ためには、「変わり続ける」ことが求められているのだと感じます。

第三部:WORDSより

WORDSってなにをやっているの?

豊福:WORDSでは、企業経営者の思考を言語化して発信をする「顧問編集者」というサービスを提供しています。

これは経営者にマンツーマンで取材をさせていただき、事業や組織、経営者の人生について深掘りして、内容をわかりやすくまとめてTwitterとnoteで発信するというものです。他にも、広告のコピーや書籍のディレクションもしています。

「顧問編集者」の利用には、さまざまなメリットがあります。たとえば知名度アップによる集客、SNS経由での採用、社内コミュニケーション、経営者の思考の整理です。

成果が出た代表例が、スポーツビジネスを行うプラスクラス・スポーツ・インキュベーション株式会社です。noteで事業紹介の記事を公開したところ、そこから10件弱のお問い合わせにつながりました。採用もほとんどTwitter経由でできています。

豊福:一番読まれたnote記事は、PVが約5万4000、「スキ」の数は約2300にもなりました。経営者のTwitterのフォロワー数も、順調に伸びていきました。

コンテンツは「資産」になります。そのため社名や社長名をネットで検索したときに、noteの記事やツイートがトップにでてくること。そしてそれが良質なコンテンツであることがとても大事なのです。

なぜ「読まれるコンテンツ」ができるのか?

豊福:弊社がコンテンツをつくるうえで大事にしているポイントが二つあります。

豊福:一つは「企業目線ではなく読者目線」でコンテンツをつくることです。私たちは、編集者の仕事は「経営者の言葉」を「消費者」の言葉にする「翻訳」のようなものだと思っています。

企業の伝えたいことと読者の知りたいことはズレていることが多く、ズレたまま発信してもなかなかそのコンテンツは読まれません。読者が「メリットがある情報だ」と思って読み進めると、いつの間にかその会社やサービスが好きになっている。そういったコンテンツをつくるのが編集者の役割だと思います。

特にSNS発信で大事にしているのは、「スーツ姿の“企業のことば”」を「パジャマ姿の“人間のことば”」にすることです。SNSを見るタイミングは、仕事モードではないときが多いですよね? だから家でパジャマでゴロゴロしているときに読む前提で、普段づかいの言葉で書くようにしています。

もう一つは、「発信は文脈づくりが大事」という点です。

豊福:最近は「何を」言うかよりも、「誰が」言うかが重要視される傾向がありますよね。だから「この人が言っているからそうなんだ」と思わせるような「文脈づくり」がとても大切なのです。

弊社が文脈づくりの最初の一歩として活用しているのが「自己紹介」です。先ほどご紹介したプラスクラスさんのケースでは、最初にnoteで経営者の半生をまとめた記事を出し、その後、事業内容や経営者の思いをつづった記事を出しました。すると2本目を出した後に問い合わせが殺到したんです。順番が逆だったら、ここまでの反響はなかったと思います。

私たちが情報発信にTwitterとnoteを使っているのは、この文脈づくりがしやすいからです。Twitterで発信の土壌をつくり、noteで長いコンテンツを出してファンをつける。それを繰り返すことで、だんだんと文脈ができていきます。

またプラスαとして、ヒット本を担当してきた代表の竹村と社外アドバイザーの柿内という凄腕編集者から週2回フィードバックを受けているのも、弊社のコンテンツが読まれる理由だと思います。

Q&A

Q.お客様の魅力や独自性をどのように引き出していますか?

ベイジ五ノ井:抽象的な言い方になりますが、私は「愛」が大事だと思っています(笑)。

弊社では「ディープダイブ」と呼んでいるんですが、クライアントの代表の著書を読むのはもちろん、業界トレンドを把握したり、社員のSNSをチェックしたり。あらゆる情報をインプットしたうえで打ち合わせに臨み、お客様に「この人はよくわかってくれている」と初見で思ってもらえるようにしています。これって「愛」なんじゃないでしょうかね。

ベイジ林崎:独自性については、求めすぎなくてもいいと思います。商品やサービスを選ぶときは競合と比較検討して選ぶことが多いので、オンリーワンの要素を探すよりも、競合にはない自社の魅力を考えるといいと感じます。

WORDS豊福:WORDSでは最初の取材で経営者の生まれてから現在までの話を細かく聞き取って、その方の年表を作っています。この工程が結果的に会社の魅力や独自性の発見につながっていますね。

WORDS藤本:年表づくりの際は、一人の人間として気になったところを突っ込んで聞いています。そうすると相手の方も心を開いてくれることが多いと感じます。

Q.発信を続けるためにネタを出し続けるコツはありますか?

ベイジ林崎:案件から学んだことなどを共有する社内Wikiがあるのですが、そこから記事化につながることはよくありますね。社内のノウハウを整理してみると、意外にネタが見つかるかもしれません。

WORDS藤本:斬新なネタがあればいいのですが、簡単には見つからないものです。なので、こすられてきたネタを使うのもいいと思います。散々言われてきたことでも、文脈づくりをすることで改めて語る必然性は持たせられます。

LIGまこりーぬ:私も全然こすっていいと思います! 発信者は「この話は前もしたし」と思うかもしれませんが、前の発信を見て覚えている人って全然いないんですよね。だから伝えたいことは何回も繰り返すくらいでちょうどいいと思います。

Q.フィードバックで大事にしていることを教えてください。

ベイジ林崎:指摘ばかりじゃなくて、ほめる部分も入れるように意識していますね。あとはテキストだけだと冷たい感じになってしまいがちなので、短時間、話をすることもあります。

WORDS豊福:インターンの大学生には、「取材のことも何も知らない第三者の視点で記事を読んでみて」と伝えています。個人的には、寝起きの意識が朦朧としているときに自分の書いた記事を読んでみるのがおすすめです。それでも面白かったら合格です!

Q.AIのライティングツールが出てきていますが、どう感じますか?

LIGまこりーぬ:すぐにライティングの仕事すべてが奪われることはないように思います。ただし、「キレイな日本語が書けるだけではこの先厳しい」というのは強く感じますね。

ベイジ五ノ井:同感ですね。将来的に私たちが目にする活字のうち何%かはAIが書いたものになるかもしれません。ただ、その場合でもAIに適切な指示を出したり、AIが出力した文章をより良いものにしたりするには人の手が必要です。「AIに代替されるような文章を書くだけのライターにならないようにする」という気持ちは持っておく必要がありますね。

ベイジ林崎:お試しでAIライティングツールを使ったことがあるんですが、こちらが知識を持って指示出しをしないと、全然違う内容のものができたことがあったんですよね。だから私たちが何も考えなくても、AIが120点のものを出してくれる未来はまだ先だと思います。ただ、単純に書くだけではなく、何を書くかという戦略を立てられるようにしておくことは大事だと思いますね。

さいごに

当レポートが、BtoBコンテンツに携わるみなさんにとって参考となれば幸いです。

また、弊社LIGはお客様のオウンドメディア運用も支援しています。もし少しでもご興味があれば、事業紹介ページをご覧ください!

 
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Mako Saito
Mako Saito LIGブログ編集長 / 人事部長 / 齊藤 麻子

1992年生まれ。2014年九州大学芸術工学部卒業後に採用コンサルティング会社へ新卒入社。法人営業から新規事業推進、マーケティング業務に従事したのち、2018年にLIGへ。2023年にLIGブログ編集長、2024年に人事部長に就任し、現在は自社のマーケティング・人事業務を担う。副業ではライターとして活動中。あだ名は「まこりーぬ」。著書『デジタルマーケの成果を最大化するWebライティング』(日本実業出版社)

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