LIGブログ編集長代理のMakoです。
2022年10月、B&H代表の今村玄紀(genki)さんがLIGのデザイン顧問に就任しました。
かねてよりB&HさんにはCI刷新プロジェクトに伴走いただいておりましたが、このたび「デザイン顧問」という新たな関係性で再スタートを切ります。
見た目だけのブランディングはもうやめよう|B&H×LIG対談
なぜ「デザイン顧問」を新設したのか、これからどんなデザイン組織を作っていこうとしているのか。genkiさんと代表大山の対談をお届けします。
B&H代表 今村 玄紀(Genki Imamura)さん経営学・哲学を軸としたブランドの戦略立案・理念体系の整理・CI策定・CM制作・プロダクトデザイン・建築・R&D・サービス開発等を担当。経営戦略に美意識やアート、建築の思想を融合させる事によって企業がどのように変革するかを研究。 |
「育っては辞める」の繰り返しに終止符を
―― このたび、デザイン顧問を迎え入れた背景を教えてください。
大山:はじめに弊社の状況を赤裸々にお話ししますと、LIGのデザイナーは直近5年間でほとんど入れ替わってしまっています。「LIGで学べることは学びきってしまいました」と、みな実力をつけて転職あるいは独立してしまうんです。
定着させるためにはデザイナーにとってより魅力的な成長環境を提供する必要があると考え、「デザイン顧問」を迎え入れることを決意しました。
genki:LIGさんだけでなく、どの企業もデザイナーの定着率の低さには頭を抱えていると感じます。デザイン会社って、ほとんどがヒエラルキー型の組織なんですよ。トップクリエイターのもとで修行して、成長すると「ありがとうございました」と独立してしまう。寿司職人さんの世界に近いですね。現にうちの会社でも独立している人はいますし(苦笑)。
―― デザイン顧問として、genkiさんへオファーを出したのはなぜですか?
大山:もともと弊社のCIプロジェクトをご一緒していたことが大きいですね。genkiさんって、いつも全体をものすごく俯瞰されているんですよ。デザインに強く、なおかつ経営観点で物事を見れる方なんてほとんどいないので、そこがすごく魅力的でした。
それに毎週の打ち合わせのなかで、自社(B&H)のデザイナーさんへの接し方がとても丁寧だなと感じていたんですよね。ピープルマネジメントにも長けているんだろうなと思い、「ぜひデザイン顧問としてお力添えいただけませんか」と声をかけました。
genki:デザイナーへの伝え方にはとても気をつけているので、そう感じてもらえて嬉しいです。
……実は昔、「なんでここまでやらないの」と僕はよく現場のデザイナーを詰めていたんですよ。そんなやり方を続けていった結果、全社の前で「このままじゃダメです」と社員からハッキリ言われたことがありました。それ以来、デザイナーとの関わり方を大きく変えています。
大山:genkiさんにもそんな時代があったんですね。驚きました。
顧客満足と従業員満足、どちらが重要?
genki:先ほどの経験を機に、僕はデザイナーがストレスなくのめり込んで働ける環境を整えることに注力するようシフトしました。それまではお客様満足度だけを重視していたところ、クリエイターの満足度も同じくらい重視するようにしたんです。そもそもクリエイターの満足度が上がらないと、いいものは作れませんからね。
大山:顧客満足と従業員満足のバランスって本当に難しい問題ですよね。LIGの場合、経営方針としてクライアントファーストを掲げたことも、クリエイターファーストを掲げたこともあります。矛盾していると思われるかもしれませんが、大前提私にとってはどちらも重要。いまの組織のコンディションにおいて、どちらに意識的に取り組むべきなのかを示したまでです。
―― B&Hさんでは、その難しいバランスをどのようにとっているのでしょうか?
genki:「この基準を下回るとお客様は満足してくれないだろう」という品質は僕やディレクターが必ず担保するようにしています。しかしそれ以上どこまでこだわるかはある程度クリエイターに任せます。彼らが作りたいものを、存分に作ってもらうんです。
また、「ユーザーにとってわかりづらいかもしれない」「戦略的にはこっちのデザインムードのほうが良いかもしれない」といった機能に対する指摘はしますが、デザインそのものに対する指摘はしません。自分の役割をデザイナーとは完全に分けることを意識していますね。
―― クリエイターを最大限尊重しつつ、お客様満足の最低ラインをしっかり維持するのですね。
強い個に、チームで勝ちにいく
―― いざ定着率を上げるべく、これからどのような取り組みをおこなっていく予定でしょうか?
genki:たとえば “社会” って、税金によって医療や教育環境が整えられていて、ある種互いに依存し合いながら集団で生きていくシステムが成立しているじゃないですか。僕はこうした社会システムに近いものを、デザインチームのなかにも作っていくことが重要だと考えています。独立したほうが稼げたとしても、チームだからこそ得られる心理的安全性や成長環境に魅力を感じてもらいたい。デザインだけに没頭できる環境を整えていきたいんです。
もちろんなかには独立する人も出てくると思いますが、顧問や業務委託として関わり続けられる道を残しておくことで、チームの範囲を大きくしていくのが理想です。
大山:LIGが大事にしている価値観の一つに「Build Team Together」という言葉があります。まさにgenkiさんのおっしゃるとおり、個人ではなく “チームで仕事をする空気” を醸成していきたいですね。
genki:B&Hもヒエラルキー型ではなく「チームで大きな仕事をしよう」という方針に変えてから以前よりも組織が安定したように思えます。トップクリエイターに1人では勝てずとも、5人で力を合わせれば勝てる。そんな市場的にも優位性があり再現性の高いチームをいくつも作れたら、会社に所属する意味ももっと生まれるはずです。
具体的な施策はこれから現場のみなさんの声を聞いてから落とし込んでいくところですが、いままでの経験やノウハウをもとに、デザイナーの能力を発揮できる “チーム作り” に取り組んでいきたいと思います。
大山:ありがとうございます。この取り組みを通じて人材の定着率を上げていきたいですし、なによりシンプルに、楽しく働ける職場を作っていきたいですね。
―― 今後の意気込みが伝わってきました。genkiさん、改めましてよろしくお願いいたします!
最後に
LIGでは現在デザイナー職を募集しています。
今回お伝えしたデザイン組織作りに共感いただけた方がもしいらっしゃれば、ぜひ気軽にカジュアル面談へご応募ください!
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