LIGブログ編集長代理のまこりーぬです。
弊社LIGでは2006年より15年近くオウンドメディアを運営してきました。また、その経験を活かしてお客様のオウンドメディアの運用支援もおこなっています。
そんなこんなで「オウンドメディアをこれから立ち上げよう」「改めてテコ入れし直そう」としている企業様とお話しする機会がたびたびあるのですが……
「オウンドメディアの記事制作って、内製と外注どっちがいいの?」
という質問をよく頂戴します。
「目指す場所、持っているノウハウ、許容できる予算と時間によって異なります!!!」
……という回答にはなってしまうのですが、せっかくなので今回は「内製/外注にはどんなメリット・デメリットがあるのか」「どういう場合に内製/外注がマッチするのか」を、1オウンドメディア運営者の立場からじっくりと綴ってみました。内製/外注問題に悩むみなさま、ぜひご覧ください!
※以下、“自社の売上UPのために運営している” オウンドメディアを前提とします。ニュースサイトなど、マネタイズ目的で運営している商業メディアの場合は当てはまりませんのでご了承ください。
目次
内製/外注のメリット・デメリット
まずは3つの観点で内製/外注を徹底比較してみましょう。
「お金」がかからないのはどっち?
1つめはなんといっても「お金」です。一般的には「内製化したほうが費用をおさえられる」と言われていますよね。しかしこれはあくまで目に見えて出ていく “外注費” を減らせるという話であり、いろんな角度から「お金」を捉えると、少し見え方が変わります。
たとえば、月10本記事を公開するとしましょう。
- A. 正社員の編集者1名 + 業務委託のライターが1本3万円で10本記事を書く(外注)
- B. 正社員の編集者1名 + ライティング専任の正社員1名が10本記事を書く(内製)
- C. 正社員の編集者1名 + 現場で働く正社員10名が業務の合間に記事を書く(内製)
AとBを人件費込みで比較する場合、正社員ライターの平均年収442万円(月収約37万)で換算すると「B.内製のほうがお金がかかる」ことになります。また、Cのように現場社員に協力を仰ぐ場合、人日7万円のデザイナーが6時間かけて記事を書いたとしたら、5.25万円分の売上を失っている、つまり1本3万円で外注するよりも損している……とも捉えられます。
上記はかなり単純化して比較しているため、実際には「内製化したほうが費用をおさえられる」ケースも多分にあります。しかし「内製化したほうがお金がかからない」と一概には言えませんよね。
「時間」がかからないのはどっち?
2つめの観点は「時間」です。こちらは一般的に「外注のほうが一度にたくさん記事を作れる ≒ 時間がかからない」と言われています。たしかに、社内にライティング専任者が潤沢にいない限りは「外注のほうがスピードがはやい」と言えるでしょう。
現場社員に協力を仰ぐ場合、そもそも社員数によって制作本数の上限が生まれてしまいます。それに通常業務が忙しければ、提出が延び延びになってしまうことも少なくありません。また、執筆に慣れていない社員を巻き込む際はレクチャーやフィードバックの時間も必要です。
一方で外注の場合、リソースが空いている執筆のプロにお願いするわけなので、お金さえ出せばほぼ確実に期日内に目標本数を揃えることができます。
ただし一点注意が必要です。残念ながら、外注したにもかかわらず納品物のクオリティが低く、チェックに時間がかかるケースがたびたびあります。肩書が「ライター」であっても、ライティングの精度にはかなり個人差があるんですよね。「これじゃ自分で書いたほうがはやかった」なんて事態にならないよう、パートナーは価格で決めるのではなく、パフォーマンスでしっかりと見極めましょう。
「質」が高いのはどっち?
3つめの観点は「質」です。一般的には「内製化したほうが品質が上がる」という印象があるかと思います。
記事の制作フローを「企画」と「執筆」に大別して考えてみると、「企画」の質が高いのは、顧客や事業に対して理解が深い社員=内製であるはずです。一方で「執筆」の質が高いのは、その道のプロである外注なはず。……なんですが、前述のとおり外注先が実はそこまでプロではなかったり、現場社員のなかに執筆が上手なメンバーがいたりすることもあるので、これも一概には言えません。
また、「内製のほうがコミュニケーション機会が多くクオリティを担保しやすい」という説もありますが、外部パートナーをチームの一員のように巻き込み、成功している企業様も多くいらっしゃいます。内製であっても外注であっても、クオリティの基準が揃うかどうかは責任者の巻き込み力によるのではないか、と思います。
……どの観点もどっちつかずの歯切れの悪い内容ばかりになってしまいました。申し訳ありません(汗)。ここから先は、「結局のところ、内製と外注どっちがいいの?」という疑問に精一杯回答していこうと思います。
結局のところ、内製/外注どちらを選ぶ?
通常、内製化するのか外注するのかは「予算」という枠組みから考えることが多いかと思います。しかし当記事では「 “オウンドメディアを通じて自社の売上をUPさせる” という目的を実現するために、内製と外注、どっちを選ぶべきか」を考えていこうと思います。
売上UPのために外注してはいけない領域
オウンドメディアで売上をUPさせるためには、作った記事が潜在顧客に届かなければ意味がありません。よって「企画」は、顧客の課題を一番に把握している “社員” がコミットすべきだと私は考えます。
また、記事を通じて「この会社が出している情報は有益だな」「この人が持っているノウハウは信頼できるな」と感じてもらうためには、当然ながら自社ならではの知見を、自分たちの言葉で発信する必要があります。他所から借りてきたノウハウを発信するだけでは自社の権威性や信頼性は高まりませんし、なんなら昨今は検索上位を目指すこともできません。
つまり、「企画」と「発信するノウハウ(中身)」は会社の内側から生み出す必要があると考えます。
売上UPを加速させるために外注を検討すべき領域
一方で、「執筆」を内製することにこだわる必要はとくにありません。現場社員になんとかして書いてもらうよりも、執筆のプロにお願いしたほうが確実に情報発信のスピードは上がります。現に弊社LIGも、現場社員に取材してノウハウを抽出し、編集部か外部ライターが執筆を担うような体制をとっています。
なぜ外注してまで情報発信のスピードを上げたいかというと、ヒット数を確実に増やすためには、打席に立ち続けてPDCAを回し、球数と打率を伸ばすしかないと考えているからです。もし立ち上げたばかりのメディアにもかかわらず「週に1記事も更新できない」のであれば、それは外注費を払ってでもまずは情報発信量を増やすべきだと私は思います。
また、いくらすばらしいコンテンツを作ったとしても、無人島で発信してはなんの意味もありません。「オウンドメディアに人を呼び込む手段(メルマガ配信リストやSNSのフォロワー)がない」「人を呼び込む知見もない」のであれば、SEOなどマーケティングノウハウを持ったプロにきちんとアドバイスをもらい、オウンドメディアに人を呼び込む努力をしましょう。
もちろん、執筆スキルやマーケティングノウハウを持った人材を採用し、内製化するのも有効です。ただ採用にはかなり労力がかかりますし、入社後にミスマッチが起きた場合のリスクが大きいですよね。よってクイックに、かつ確実に売上UPを目指すのであれば、まずはパートナーに頼ってみるのが個人的にはオススメです。あるいは、まずは業務委託から始めて、ミスマッチの懸念を払拭してから正社員雇用という流れがよいと思います。
まとめると、「企画」や「発信するノウハウ(中身)」は内側から発することを前提に、以下2つの課題を抱えている場合は適切な外注先を頼るとよいでしょう。
- 内製だと情報発信のスピードが上がらない → 執筆をアウトソースする
- 社内に集客の術ない → コンサルティングを依頼する(SEOなど)
なお、すべて内製化できているオウンドメディアであっても、あえて外部パートナーに入ってもらうことで企画や集客チャネルのマンネリ化を打破するケースもあります。足りないものを埋めるためではなく、より成長を加速させるためにパートナーと協業する、という選択肢もおおいにアリだと思います。
成功している会社は、内製/外注どっち?
私はいままであらゆるオウンドメディアの事例を見聞きしてきましたが、成功している企業の共通点は、なんだかんだやっぱり “本気でオウンドメディアに取り組んでいる” ことです。
その「本気度」と「運営に携わる正社員数」が相関している可能性が多分にあるため、「内製化したほうが成功する」という印象があるのではないかと思っています。本気で外部パートナーと協業し、急成長しているオウンドメディアもたくさん存在します。
なお、ここまで「売上UPのため」という大前提のもと綴ってきましたが、実はオウンドメディアに成功している会社のなかには「売上UPのため」という目的に縛られていないケースもあります。たとえば、「社員教育のため」に社員に記事執筆を課していたりします。
こういった企業は「売上につながらなくていい」という考えを持っているわけでは一切ありません。「情報発信は当然売上につながるものだ」という大前提に立っているからこそ、情報発信をマーケティング手段ではなく、組織作りの手段に昇華させているのです。
一つの理想形だと感じますが、経営者の情報発信に対する理解や、企業規模によっては取り入れるのが難しいところです。現に当LIGブログも長らく「全社員で記事を書く」というルールで運営してきましたが、事業が多角化して社員数が増えた結果、「全員で情報発信することが最善ではないかもしれないね」ということで運営体制を見直しました。
このように、どの企業にも100%当てはまる体制なんて存在しません。自社にはどのような体制が最適なのか、ぜひじっくりと検討してみてくださいね。当記事の内容が少しでも参考となれば幸いです!
さいごに
最後にちょっとだけ宣伝を。
弊社LIGも伴走型のオウンドメディア支援をおこなっていますので、ご興味ありましたらぜひ詳細をのぞいてみてください!
以上、まこりーぬがお届けしました!