「お問い合わせ」体験を向上せよ。アソビューのCS×DX推進の裏側

「お問い合わせ」体験を向上せよ。アソビューのCS×DX推進の裏側

Ryosuke Tsuzuura

Ryosuke Tsuzuura

こんにちは。LIG Technologies Vietnam Company Limited.CEOの廿浦(つづうら)です。

みなさんは「CRE」という言葉をご存じですか?「Customer Reliability Engineering」の略で、日本語では「顧客信頼性エンジニアリング」と呼ばれています。テクノロジーの力で顧客体験の向上を目指すものであり、CS(カスタマーサポート/サクセス)やDX(デジタルトランスフォーメーション)の観点から近年注目を集めています。

今回は、我々LIGも一部お手伝いしながらCREに取り組んでいる日本最大級の遊び予約サイト「アソビュー!」を運営するアソビュー株式会社さんに取材の機会をいただきました。どのようにCREを推進していったのか、どれほどの成果が得られたのか、貴重なお話が満載です。ぜひご覧ください。

ico アソビュー株式会社 カスタマーサポート部部長 高畠 さやか さん神奈川県川崎市出身。2004年株式会社ガイアックス入社、投稿監視、学校裏サイト監視、ソーシャルアプリサポートの事業の立ち上げ、国内外複数拠点の運用センターの運営を経験。2021年1月にアソビュー株式会社に入社し、カスタマーサポート部の部長を担当。安定運用のため、AIツールの導入・社内外での運用体制の整備を行い、お客様が即時にお困りごとを解決できる仕組み構築に尽力中。
ico アソビュー株式会社 グループマネージャー / エンジニア 服部 毅保 さん兵庫県伊丹市出身。 2012年株式会社富士通BSC入社。受託でのwebアプリケーション開発やiOSアプリ開発を経験。 2015年MediaIndex株式会社に入社。Wordpress専門仮想サーバーのクラウドホスティングサービスの開発運用保守を担当。 2016年アソビュー株式会社に入社。webアプリケーションのUIリニューアルやECサイトのグロースを担当。2019年ベトナムオフショア組織CTOとして組織の立て直しを経験。現在はプロダクト組織のグループマネージャーを担当。

専任チームで技術的負債に向き合おう

ーー はじめに、アソビューさんがCREを掲げた背景をぜひ教えてください。

高畠:CSチームだけでは根本的に解決しきれないお客様のお困りごとが積み重なっていたため、弊社では2021年に開発部門のなかにCREチームを立ち上げました

特に課題に感じていたのは、「パスワードの再設定ができずチケットを発券できない」などといった、「レジャー直前にアソビュー!のサービスが使えない」というお問い合わせです。システムの複雑さから、休日のレジャーを楽しみにしているお客様にご不安な思いをさせてしまっている。この状況を一番に解決したいと考えていました。

服部:他のスタートアップ企業にも共通すると思いますが、通常、収益を生みだす新機能リリースなどに開発リソースは注がれます。そのため、費用対効果が測りづらい技術的負債の解消はどうしても後回しになりがちです。しかもシステムの根幹に関わる改修は設計の難易度が高く、気軽に手をつけられないものばかりでした。

そこで弊社では、CSチームが抱えている課題解決に特化して既存のシステムを見直す、CRE “専任” チームを作りました。専任にすることで、CREをきちんと推進できるようになったと感じています。

ーーたしかに、専任チームを設けることは推進力を高めるうえで重要なポイントですね。

体験を見直しお問い合わせ数を半減

ーーCREチームでは具体的にどのような取り組みをおこなっているのでしょうか?

高畠:一例として、AIチャットボットの導入を1年かけておこないました。

たとえば先ほど例に挙げた「パスワードの再設定ができずチケットを発券できない」というお困りごとは、メール認証の済んでいないお客様がパスワードを忘れてしまった場合に、パスワード再設定メールを自動送信できない仕組みのせいで発生していました。実はこの類のお問い合わせが全体の4割を占めていたんです。

現在は、お客様に氏名や生年月日をチャットへ打ち込んでいただくだけでパスワード再設定メールを自動で送付できるようになりました。最近実装したばかりのため効果検証はまだこれからですが、体感的には同様のお問い合わせが半分以下に減っていると感じています。

また、以前はCSメンバーが一件一件手動で本人確認とパスワード再設定メールの送付をおこなっていたため、当然ながら社内の工数削減にもつながりました。AIチャットボットは活用の幅が広いため、今後も学習データを増やしながらお客様によりフィットするよう運用していきたいと思っています。

ーーお客様にとっても会社にとっても、負担が軽減したんですね。ちなみに、DXの現場ではしばしば「社員の仕事がなくなってしまう」と意思決定が進まないケースがありますが、アソビューさんではそのような議論は生じなかったのでしょうか?

高畠:弊社はレジャー関連のサービスを提供していることもあり、需給のシーズン性が高いという特徴があります。そのため、お問い合わせ対応はパートナー企業と連携して実施しています。

また、弊社では事業が拡大しており今後も成長していく計画のため、CS業務のDXは必至でした。今後DXがさらに進み、ほとんどの業務をオートメーション化できた際には、お客様のサクセスの追求や心温まる対応など、人にしかできない業務をより一層担っていけるのではないかと思っています。

データは一朝一夕に集まらない

ーー約1年間取り組んでみて、「これはCREを進める上でこれが大切だ」と感じるポイントをぜひ教えていただけますか。

服部:CREを推進するには、「このお問い合わせ対応にどれほど費用がかかっているのか」を把握し、こうしたデータに基づき、どの課題から解決していくのかを意思決定する必要があります。しかしCREチームが発足するまで、お問い合わせ対応にかかっている費用を僕は把握できていませんでした。こうした事実をあらかじめ知っていれば、開発部門からもっと提案できたんじゃないかと思います。

今後は上記データはもちろんのこと、CREに取り組んだ結果どれほどの費用対効果が得られたのかも自ら情報を取りにいき、チームメンバーへどんどんシェアしていきたいですね。

高畠:私も同じく、CREにはデータが欠かせないと感じています。とくにCSの場合、数日のデータで効果を検証できるものはほぼなく、数ヶ月間データを取り続けてようやく検証できるようになります。現状まだまだ取りきれていないデータがあるので、漏れのないよう早めに基盤を整えていきたいですね。

お困りごとを “お客様自身が即時解決できる” 仕組み

ーー最後に、CREに興味がある企業のみなさまへ、ぜひCREに取り組む意義を語っていただけないでしょうか。

高畠:CREの大きな特徴の一つは、テクノロジーの力でお困りごとがお客様自身で即時解決できるようになることです。お客様のお困りごとが減れば、当然社内のCSメンバーの工数を削減できます。お客様と自社、双方にメリットが得られるところがCREの醍醐味だと感じますね。

服部:「お問い合わせ」って、お客様にとってストレスがかかる行為だと思います。しかしそのお問い合わせにおける一連の体験が気持ちよいものになれば、企業やサービスのイメージがマイナスからプラスに転じる可能性がありますよね。僕たちは引き続きCREに取り組み、お客様の体験を向上させて、アソビュー全体をもっと好きになってもらいたいと考えています。

ーーお二人がどういう気持ちでCREに取り組んでいるのかがしっかり伝わってきました。本日は貴重なお話をありがとうございました!

さいごに

CREに取り組みたいと考える企業様のみなさまにとって、今回のインタビューが少しでも参考になれば幸いです。また、CREに積極的に取り組んでいるアソビューさんでは現在エンジニアを積極採用中! ということで、もしご興味があればぜひ採用サイトをのぞいてみてくださいね。

アソビュー社のエンジニア採用サイトはこちら

また、弊社LIGはベトナムのエンジニア拠点を中心に、アソビューさんのCRE推進を一部お手伝いしています。これからCREに取り組んでいきたいものの、テクノロジーの知見やリソースが不足している……とお悩みの企業様がもしいらっしゃったら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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Ryosuke Tsuzuura
Ryosuke Tsuzuura Technology / Technical Director / 廿浦 稜介

1991年生まれ。大学院で理論宇宙物理学を修了後、2016年にバックエンドエンジニアとしてキャリアをスタート。 金融系の基幹システム開発やC向けウェブアプリのシステムリプレイス等の案件に参画。 2019年にLIG入社し、フィリピン・セブ島にてブリッジエンジニア/テクニカルディレクター/プロジェクトマネージャー等を担当。 2021年11月にLIG Technologies Vietnam CEOに就任し、ベトナム拠点の立上げ・運営を実施。 2023年12月に退任し現職。

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