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ドラマ「和田家の男たち」を見て、エディターがWeb媒体と紙媒体の違いを考えてみた

のぞみーる

こんにちは、エディターののぞみーるです。

最近「和田家の男たち」や「ゴシップ #彼女が知りたい本当の○○」などネットニュースの会社を舞台にしたドラマが増えていますね。

それだけ、ネットニュースというものが身近なものになったのだと思います。わたしが編集者になったころはまだネットニュースというものに各社が力を入れ始めたばかりでした。

今回はそんなWeb媒体の変遷を紙媒体(※)とWeb媒体両方に関わりながら見てきたわたしのぞみーると、最近紙媒体からWeb業界に転職してきたベテランエディターのヒロさんとで違いを語り合ってみました。

※ここでいう紙媒体とは出版社が発売する「雑誌や本」のことです
ico ヒロ長年紙媒体で編集業をやってきた。1年前にLIGに転職して紙媒体からWeb業界に。
ico のぞみーる紙媒体→Web→紙媒体→Webと交互にやったため、それぞれの酸いも甘いも知った。

WebはPVがすべて・紙は部数がすべて

マスコミ一家の和田家を舞台にしたホームコメディである「和田家の男たち」で主人公の優がネットニュースのライターになると決まったときに、編集部の人から説明された言葉が「ビューを稼ぐことが我々にとっての正義であり、評価であり、報酬です」(第1話)

ビュー(PV:ページビュー)、つまりページが閲覧された数。どれくらいPVがあったかリアルタイムで解析ができるのがWeb。すぐに結果が見えるからこそ、指標となるわけです。

一方で、雑誌や本は発売後しばらくして売り上げ部数が出てくるので、どれくらいの反響があったのかがわかるまでにはタイムラグが発生します。全国の書店での売り上げが出た後に、営業や編集部と話し合って次号の部数や重版について話し合います。

icoPV数の多さは読者からのいいねだとポジティブに捉えるようにしています。
icoいいですね!ただ、PVや検索順位などの数字にこだわりすぎるとそれに縛られすぎて、Googleのために作っているような気もしてくることも……。
ico本来Webでも紙でも読者に読んでもらうことが大切なのに、PVを稼ぐことが目的になる“PV至上主義”にならないようにしたいですね。

Webは校閲がいない・紙は校閲がいる

第1話で優の祖父で元・大手新聞社の社長の寛さんから「句読点が間違っている」と指摘され、「ネットの記事には校閲はないらしいですよ、アップされてからいくらでも変更できるから」という会話をする場面があります。

実際にWebコンテンツには「校閲が入らない場合が多い」というのは事実です。簡単に変更ができる、というのも理由の一つですが、スケジュールがタイト、校閲の費用が含まれていない、という理由もあります。ですので、エディターが校閲者の役割もしなければならないことに……。

icoWebの場合一人で同じ記事を編集して、校閲して、WordPressに入力、記事公開できてしまうのが良いところでもあるとは思うんですが、同じ文章を読んでいるとだんだんゲシュタルト崩壊してくる……。
ico紙の場合、校閲はもちろん印刷所やデザイナーなどさまざまな人が関わるので、Webコンテンツは記事公開まで関わる人が少ないな!と思いました。
ico第三者の目を入れたくて、わたしはエディター同士で文字校正のチェックをするようにしています。
ico僕はできるだけ一晩おきますね。夜に書いた手紙は渡しちゃいけないのと一緒(笑)

Webはオフィスがおしゃれ・紙はデスク周りがごちゃごちゃ

優が契約記者を務めるネットニュース「Buzz Topic News」(バズとぴ)のオフィスは、奇抜なインテリアに囲まれ、社員も皆おしゃれな格好をして自由な働き方をしているように見えます。実際に、IT系はおしゃれなオフィスや人が多いですよね。

以前社内の人たちが帽子被っている人が多い、ということを別の業界に勤める友人に話をしたところ、非常に驚かれたことがあります。そういう意味ではやはり世間的には自由に見えるのかも。

icoいくら自由な働き方とはいえ、ドラマのバズとぴ編集部の志麻のように、さすがに仕事中にネイルはしませんけどね……!
ico紙媒体を扱う出版社、編集プロダクションは真逆のイメージ。めちゃめちゃデスク周りに本が置いてあってごちゃごちゃ(笑)
icoデスクに置いてある本を見ると、今やっている企画がわかりますよね。本を作る人は本を資料にするんですかね?
icoそうかも。資料本もあるし、とにかく本が積み上がっているデスクを見ると本が好きなんだなって思います。

Webはライターが出演者・紙はライターは裏方

主人公の優がカッパ祭りに参加し、自分もカッパの衣装を着て撮影をして記事を書く、という3話のシーン。カッパの衣装を着て川で浮かぶ写真がバズっていましたが、このようにライターが出演するのもWebコンテンツの特徴だと思います。

雑誌ではライターが出演することはほとんどありません。あくまで裏方として、原稿を書く際もライターは“地の文”の役割と教わりました(著名原稿ではその限りではないこともありますが)。

ico記事に出演するという意味ではWebライターさんはキャラクター性が必要になるので、個性的な人が多いですね。
ico顔出しするからこそ、インフルエンサー的な役割も担っていて、Webライターさんはたいへんだと思います。
icoちなみに、ドラマ内で優が「取材の交通費を経費申請していいか?」と尋ねた際に、「あり寄りのなし」と言われていますが、LIGでは「あり寄りのあり」です!

Webは炎上しやすい・紙は炎上しにくい

5話で優が書いた記事のタイトルを編集部が勝手に書き換え、炎上したシーンは見ていて心が痛くなりました。

優「あんな見出し誤解を生むだけです」
編集部「本文を読めばちゃんとわかりますよ」

という優の抗議に対して、編集部の人は「本文を読めば」と言い返しますが、炎上しているとき、ほとんどの人は本文を読まない!!!!!!!

わたしは記事を炎上させたことは今のところない!!!(強調)ですが、多くの炎上したコメントを見ていると「本文読んだらそんなこと書いていないのになー」と思うことが多々あります。

icoドラマの編集部の人の言い分「記事を埋もれさせたくないだけです」は痛いほどわかる……だけどやっちゃいけない。
icoWeb広告にインパクトがある文言が多いのは、記事を読ませるためですから。
ico紙媒体が炎上しづらいのは、購入する時点で読者は好感を持ってくれているっていうことですもんね。
icoその感覚でWebメディアをやっちゃって、ターゲット外から批判されることも見かけます……難しい問題です。

Webはマーケティング用語を使用・紙は校正記号を使用

ここからはドラマから少し離れて、わたしとヒロさんがWebと紙を両方経験して感じた違いを話し合ったところ、使用する専門知識の違いが話題にあがりました。

icoWeb業界きたときは、カタカナばっかり問題にぶち当たりました!CPC、CTR、 CVR、KPI、KGI、なんで3文字が多いんだ!!!!!!
icoマーケティング用語じゃないんですけど、 僕はLIGに入社するまでGoogleドキュメントやスプレットシートは使ったことがなくて、最初聞いたとき、香辛料の名前かと思いました(笑)
ico香辛料(笑)出版業界は出版業界で校正用語があったじゃないですか。新人のとき原稿に「トルツメ」(単語をトってツメる指示)って赤字が入っててなんのこと?ってなりました
icoWeb業界に転職してから、めっきり校正用語使用しなくなりましたね……。アキとか改行の記号とかたくさん覚えたのになあ〜〜。

さいごに

ヒロさんがこちらの記事でも、Web媒体と紙媒体のエディターの役割の違いを書いてくれていますが、同じエディター(編集者)という仕事でも違うことがこれだけありました。

わたしがドラマの中で一番グッと来たのは、1話で優が発した「小さなことでも公に出すと、国の一大事になることがあるって思ったら、怖くなったよ」というセリフです。Web媒体でも、紙の媒体でも、一度公に出して読者の目に触れることの責任は同じだと思っています。

そういえば、Web制作会社の人間ならではの視点(?)として、主人公の優が最初はテキストで文章を書いていたのに、途中からWordPressに直接ライティングしていたところに、優のWebライターとしての成長を感じていました。

ドラマ「和田家の男たち」を楽しんだエディターからは、以上です。