20代前半ではどんな働き方をすれば成長できるのか?元アクセンチュアの先輩に聞いてみた

20代前半ではどんな働き方をすれば成長できるのか?元アクセンチュアの先輩に聞いてみた

Shumpei Suzuki

Shumpei Suzuki

こんにちは。アカウントプランナーのイチローです。8月でLIG3年目に突入しました。

みなさんは社会人3年目のとき、何を考えてどんな仕事をしていましたか?

僕はというと、まったく成果が出せなかった1年目を経て、2年目では安定的に成果が出せるようになり、3年目はどうしていこうかと考えているところです。最近では、今後のキャリアも見据えて仕事に向き合ったほうが良いのかな、と何となく考えるようになりました。

そんなタイミングにアクセンチュアで10年間、ゴリゴリにコンサルタントをやっていた、てっぺーさんがLIGにマネージャーとして入社したので、てっぺーさんのことや20代前半のキャリアについて話を伺いたいと思います。

てっぺーさんってどんな人?

イチロー:お時間ありがとうございます! 早速ですが、てっぺーさんといえば、アクセンチュアで10年も活躍されて、LIGにマネージャーとして入社してきた人としかわかっていません。改めて経歴を教えていただけないでしょうか。

てっぺー:僕なんかで大丈夫でしょうか(笑)。経歴としては、新卒で電子機器メーカーで基盤のアクセンブリの開発を3年間ほどやってから、ソフトバンクに転職してスマホの前に存在していたPDAという端末のデバイスドライバやSDKの開発をやっていたよ。あとは法人営業のSEも同時やっていたね。

そこで7年ほど働いたあとにアクセンチュアに転職して、大規模なシステムの開発やカスマターエクスペリエンス、BPRのデジタル化戦略の支援をしていたんだよね。

イチロー:なるほど。いきなり横文字多すぎてびっくりしました(笑)。なんで新卒のときにメーカーに就職したんですか?

てっぺー:僕自身大学生のころから、ものづくりをしたかったんだよね。自分で手を動かして何か変化を起こすことがやりたかったんだけど、実際にやってみると電子機器って作ってすぐに動き出したりするような代物じゃないから、そんなに楽しくなくて続かなかった(笑)。

イケてる先輩にも挫折経験ってあるんですか?

イチロー:てっぺーさんってバリバリ仕事ができてキャリアを積み上げていったような人かなと思っているんですけど、そんなてっぺーさんでも新卒で挫折や苦労したことはありましたか?

てっぺー:ひたすらダメ出しされることがきつかったね。当時は個人の意見は尊重されない時代で、出る杭は打たれるような状況だった。とにかく先輩の意見を形にしていくことがメインだったかな。

本当はディスカッションをして、お互いに納得して仕事を進めていくような働き方をしたかったから、とてもフラストレーションに感じていたよ。

ただ挫折って話でいうと、僕は挫折は2つの定義があると思ってて、1つは「ミス」だよね。「見積書の金額を間違えた」とか「仕様書の内容を間違えた」とか。こっちはどんどんすべきだと思う。ただ、なんでミスしたのか? など、ミスから何を学ぶかが大事。失敗から何も学ばないことが本当の失敗だと思っている。

もう1つは挑戦に対して思い通りにことがすすまない、結果がでなかったパターンだよね。これは途中でやめたらいけない。やめたら挫折になるけど、成功すれば挫折じゃない。硬い岩をハンマーで毎日叩き続けるのってきついけど、諦めたら挫折になる。叩き続けて割ることができたら挫折ではなく成功になると思うんだよね。

イチロー:でも続けられない人が多いと思うんですよ。僕だったら営業で最初はしばらく結果が出なかったので、営業が自分に合っていないんじゃないか? 上司や会社が合っていなんじゃないか? 転職したほうが良いのか? と考えた時期もありました。どうしたら諦めずにハンマーで岩を叩き続けられるんですか?

てっぺー:信念だと思う。信念がないと目の前の岩を叩き続けることはできない。誰かに叩けと言われて岩を叩き続けるのは不可能。絶対に岩を砕いてやるという信念が自分の中にあるかどうか。

イチロー:信念を持つためには自分の仕事が本当にやりたいことなのか? を考える必要がありますよね。

てっぺー:自分のやっていることは誰かに言われてやっていることなのか? 自分がやりたいことなのか? は自分自身で見極めることがポイントだと思うな。そのためには誰と何の仕事をするかが大切になってくる。

僕自身20代のときは右も左もわからなかったから、とにかく勉強だと思っていて、諸先輩方の所作をみて学ぶという経験を積むことが大事かなと思っていたけど、実はそうじゃなかった。経験するのは大事だけど、人の成長って経験だけじゃ薄っぺらい。

それは誰と何をするかで信念が生まれるから。経験を積んだからといって、それが信念に変わるわけではない。

イチロー:たしかに、自分がやりたくないことを10年続けたからといって、それが信念に変わるわけではないですもんね。

イチロー:僕自身、仕事でミスがあって怒られ、悩み、そのうち悩んでいることに悩み始めちゃう。「なんで小さなことでこんなに悩んでるんだろう」「自分って弱い人間なんだな」って派生しちゃうんですよね。てっぺーさんにも昔そんなことありました?

てっぺー:20代前半の当時は僕もあったよ。自分の人間性が悪いんじゃないかって。結果がでないから怒られて、社会人向いてないな、何もできないなって思ったことはある。

成功体験を自信にするのは間違い

イチロー:そこから抜け出すのって、何か成功体験を掴んで自信にしていくしかないんですかね?

てっぺー:それは違うと思う。それも大事だけど、成功体験ってただのラッキーパンチなんだよね。つまりさっき言った経験でしかないので、自分の確固たる信念にはならない。最悪なのはサクセストラップにはまること。成功体験が自分の鑑になり、同じことをすれば成功すると思ってしまう。結局、抜け出すためには問題を切り分けることが必要だと思うよ。

いろんな失敗があるなかで、この問題は誰の問題なのかを考えることが大切。技術的な部分や知識的な部分は自分自身の力不足なので、今後身につけていけばいいけど、サービスを企画して売れなかったなど、結果が伴わないときは自分だけの問題ではないよね。会社のPRの問題やサービスの品質に問題がある可能性がある。

それをすべてごちゃ混ぜにして考えてしまうと、自分が本当に解決すべき問題を見失ってしまうんだよ。

だから最初に問題を切り分けるのが大事。自分で自分の人間性を否定してしまったら、しんどいよね。そうならないためには、物事を前向きに捉えられるようにしていったほうが良い。前向きに捉えられるようになるには、自分がコントロールできるところをひたすら磨くしかないよね。それが問題の切り分けに繋がってくる。その結果、自分の専門分野みたいなものが生まれて、次のステージにいけるのかなと今では思うね。

イチロー:たしかに僕も問題を切り分けられずにすべて自己責任に感じて無理をしてるときがありましたね……。ちなみに最初の会社で向いてないんじゃないかな? って思ったことはなかったですか?

てっぺー:会社を変えれば自分も成長できるかなと思った時期は確かにあったな。けど、それを動機として転職しても何の成功にもならないなと思った。それは信念ではないから。

信念を持つと主語が変わる

イチロー:20代のときから「信念があるか?」を基準に仕事に向き合ってきたことが今のキャリア形成に繋がっていると思いますか?

てっぺー:そうだね。30代になってアクセンチュアに入っていろんな企業のコンサルティングをやるなかで、求められるのが「意見」だから、それは信念がないと言えない。

いくつか案があって「選んでください」は信念のないやり方だし、それをやる人に対してお客さんは高い報酬を支払わないと思う。

いくつか案があるなかで「この案が最善ですよ」と言えるのって自分の中に信念があるからだと思う。そこの部分に信念を持つことは活きてきていると思うかな。

イチロー:自分の働き方だけでなく、お客さんに対しても自分の信念を持って向き合っているんですね。信念があれば徹底したリサーチを行い、論理立ったロジックを組み立てられるから、お客さんに納得感を持って提案できるってことですね。

てっぺー:そうだね。それで思ったことは、「主語が変わってきた」かな。20代の頃は自分のことで精一杯だし、周りなんて見えていなかった。自分の信念が見えてきてから、主語が「自分、僕、私」から「我々」に変わった。自分の仕事って誰に対する価値貢献なのか? クライアントなのか? エンドクライアントなのか? それが見えないと主語は変わらないなって思う。

てっぺー:誰に対する価値貢献なのかでいえば、例えば、エンドクライアントに対する価値貢献であれば、クライアントと「我々は何をしなければいけないのか」という語りができる。

そうなると自分一人でできることには限界があることがわかるんだよね。プログラミングができる人が必要だったり、デザインができる人が必要だったり、組織や社会の力が必要だったりする。

それを意識できれば信念をもって仕事に取り組める。自分のことばかり考えていたら一生主語は「我々」にはならないし、仲間意識もないし、会社を変えればとかの思考になってしまう。

イチロー:コンサルティング自体はアクセンチュアから初めて、今もコンサルティングもされていますが、今のてっぺーさんの信念はどういったものがありますか?

てっぺー:クライアントの先のお客さんを意識することだね。製造業のお客さんだったら、お客さんが製造した商品を使う人がエンドユーザーなので、そこを見て話をするようにしているかな。

仕事にできるできないや好き嫌いは関係ない

イチロー:今コンサルタントとしてキャリアを積んでいますが、それは自分にできると思ったからやっていたんですか? それとも好きだと思ったからやっていたんですか? それともキャリアに必要だと思ったからやっていたんですか?

てっぺー:使命感だね。「好き」って自分が好きだとしてもエンドユーザーからしたらどうでもいい。できるもエンドユーザーからしたらどうでも良い。結局エンドユーザーに何の価値が届けられるかだから「好き・嫌い」とか「できる・できない」なんて関係ないんだよね。

イチロー:てことは自分がこうなりたいとかは特になかったんですか?

てっぺー:もちろんそれはあったけど、最終的にはお客さんの望むものを提供できるようになりたいっていう方向性になったかな。

イチロー:「お前の夢を叶えるのがおれの夢」みたいな感じですね!

てっぺー:そうそう(笑)。だからこそ、自分が率先してサービスを作っていくほうではなく、お客さんと伴走してやっていきたいと思っているんだ。

今は、特に昔からあった大企業が、昨日今日できたベンチャー企業に市場をかっさらわれるような時代だからこそ、自分の信念がないとやりきれない。自分のできるできないを大事にする人と、信念を持っている人でどっちが競争力あるのか、市場価値があるのかでいうと答えは明らかだよね。

イチロー:今の若い人だと「好きなことを仕事にしよう」という発信が多いと思うのですが、好きなことは仕事にしたほうが良いと思いますか?

てっぺー:もちろん。入り口は好きなことでもできることでも良いと思う。そのうち好きから使命感に変わる。そうなることで一人前になって主語が変わるんだと思う。

イチロー:でも好きなものを仕事にしたら好きじゃなくなることが多いと思うんですよ。例えば、サーフィンを好きな人がインストラクターになりたいと思って始めたけど続かなかったとか。そんなときはどうすれば良いんですか?

てっぺー:まず嫌いにはならないと思う。嫌いになる人は、きっと目的がインストラクターをやることになっている人なんじゃないかな。目的がお客さんを喜ばせたいとかであれば終わりはないから続くと思う。結局、誰に対する価値貢献なのか? 自分なのか? お客さんへの体験なのか? が見えているか見えていないかだと思うよ。

イチロー:ちなみに自分ができることはない、好きなものがない人はとりあえず色々経験してみるのが良いんでしょうか?

てっぺー:経験してみるのもありだと思う。だけど、一番手っ取り早いのは言語化されていない部分を言語化することだね。好きなことがなかったり、自分にできることがないと思っている人は、自分自身のことも言語化できていないケースが多いと思うよ。

イチロー:やっぱり言語化は今の若者に必要な力なんですね……。

てっぺー:そうだね。言語化されていない非言語なものを自分の中で咀嚼していけるように身近にあるものから意識していくとその分野の専門家になれると思う。お客さんが嬉しいと思うことってなんなのか? 嬉しいってどういう状態なのか? とかを自分の頭で考えて、言語化できるように癖づけていったほうが良いと思う。

イチロー:てっぺーさん本日はありがとうございました!

さいごに

今回、20代はどんな働き方をすれば伸びるのか? をテーマにインタビューしてみましたが、てっぺーさんの話を聞いて、このテーマ自体がナンセンスだなと思いました。

それは僕自身が手法論に捉われていて「自分が信念を持って取り組めることが何なのか」をわかっておらず、自分自身に向き合えていない状態で成長を求めているからだと思います。その信念を持つことで、仕事への向き合い方が変わり、結果的に自身の成長に繋がるんだと思いました。

とはいえ、今自分の信念が何なのかと問われればすぐに答えられません。これから自分自身の言語化されていない部分を言語化していけるよう、意識して日々を積み重ねていきたいと思います。

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Shumpei Suzuki
Shumpei Suzuki Digital Marketing / Account Planner / 鈴木 舜平(イチロー)

1996年生まれ。大学在学中に個人事業として営業代行を開始。後に教育系スタートアップ企業を立ち上げ取締役に就任。初年度で年間200名が通うスクールへとスケールさせる他、ファイナンス、新規事業、法人提携などを経験し2019年にLIGに入社。顧客のマーケティング支援や広告コンテンツの企画、オウンドメディアの運用支援を行う。「ユーザーの喜びはクライアントの喜びに、クライアントの喜びは我々の喜びに」をモットーに活動中。

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